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ヤバイ…自分が言う言葉すら整理出来てないのに明日は本番。明日は雄介さんに話す日…。
翔が結納断って他に大事な人を紹介すると親父さんに言って親父さんはブチギレていたが何とか顔合わせをする時間をゲットしたのは良い…。
それから暫くして紗英さんから親父さんの機嫌がすこぶる悪いとの連絡が俺に来て何とも言えない気持ちになる。
二回も断ってしまったモブ子の両親を説得するのは並大抵では無いだろう。気持ちは決まって前に三人で進むと言ったが…。
本当にそれで良いのか?やっぱり怖い。でも和也と翔が居れば大丈夫だと心に決めて明日を迎える事しか出来ない。
今日の朝から翔は先に実家に帰って俺達が行く準備をしてくれてる。ありがとうと心の中でありがとうと感謝する。
それに対して俺と和也は明日の準備をしながらドキドキしている。
明日何を着て行こうかとかどうでも良い事ばかり考えてしまって集中出来てない。
「すげぇ緊張する…」
「何でだよ。和也が前言った言葉で俺は勇気出したんだからな」
「いやっ!分かってんだけどな…こうっ…日にちが迫ってくるとなっ…」
この間俺と翔の考えを変えたこいつがこんなに動揺すると思わなかった。和也の気持ちが伝染して俺まで要らない緊張が襲ってくる。
「頼むから緊張するなっ!俺までどうして良いか分からなくなるだろっ!」
お互いを責めながら大企業の息子の父親を説得する為に明日に備えて早く寝る。大好きな食事も喉を通らずそれならば寝るしか無いと和也と一緒に横になって二人ガチガチに緊張したながら眼を閉じた。
次の日二人の顔は終わっていた…。真っ赤に充血して血走ってる眼。
「なぁ?ありか?」
「なしだろ…」
「だよな…」
お互い顔を見合って溜息を吐く。しかしこうしても居られないのはわかってるので急いで準備してバスに乗る。
スマホに送られて来た翔の家の住所に向かって早足で歩く。
暫くして立派な門構えの建物が出てきてすぐ翔の家だと分かった。益々緊張が増して心臓が煩い。
でもここまで来たら逆に心は落ち着いていた。和也と顔を見合って玄関のインターフォンを押す。
「はーい」
「あの…皆川ですが」
「あっ!いらっしゃい。今開けますからそのまま玄関開けて来ちゃって」
翔の母親…紗英さんの元気な声がインターフォンのスピーカーから聞こえてくる。よし…行くか。広いに庭を抜けて玄関に向かう。
お邪魔しますとガチャリとドアを開けたら翔と紗英さんが出迎えてくれた。
「迷わず来れたか?ってかすげぇ顔してるな」
「あぁ…気にしないでくれ。それと紗英さん。今日はお世話になります」
「良いのよ…はぁ…私の所為でごめんなさいね…そんな顔になるまで…緊張したでしょう?」
「大丈夫です。この日みたいなのは絶対いずれ来ます。だから気にしないでください」
和也が言った言葉に俺も同調する。紗英さんの顔が少し和らいでくれたみたいで良かった。
「じゃあ…客間に案内するから親父来るまで待っててくれ…」
翔に案内されて豪華な客間に案内された。紗英さんは飲み物でも入れてくるのだろうかいつの間にか何処かに行ってしまった。
どれ位時間が経ったのか和也と翔とソファーに座って背筋を伸ばし待っていたら長い廊下からスリッパの擦れる音が聞こえてくる。
いよいよか…。はぁ…マジで緊張する。手が汗で気持ち悪ぃ。
ガチャっと扉がゆっくり開いて俺の寮部屋で話をした人…翔の父親の雄介さんが入ってきて俺と和也をその眼に入れ驚いた顔をした。
「ん?今日は何て聞いていたか?確か…翔の付き合ってる人を紹介するって言われたような気がしたんだが…」
少し雄介さんがピタリと止まって考える素振りをしながら言葉を発してくる。
もう根性しかないので和也と二人で立ち上がり一気に捲し立てた。
「「翔さんとお付き合いさせてもらってます!今日は信じられない話かと思いますが認めて頂きたくこちらに伺いました。お時間作ってくださりありがとうございます」」
「この間はぐらかしてしまい本当にすみません。いきなりで本心では無い言葉を言ってしまいました。でも俺はやっぱり翔が好きです!この気持ちは変わりません!」
「俺も同じ気持ちです。夏のパーティの時から翔を大事に思ってました。俺は翔を大事にすると誓います」
俺と和也の勢いを一人で受け止める雄介さんの表情は驚いた顔で止まっている。
その時紗英さんが扉を開けて飲み物を乗せたお盆を持って入ってきた。
「ゴホンっ…取り敢えず座りなさい。私も座りたいしな」
翔以外全員総立ちの状況に座れと言われ雄介さんが上座に座った時俺と和也も座った。紗英さんが飲み物を各自の前に置いて雄介さんの隣に座る。
さぁ…ここからか…。
「それで?何で私はこんな茶番に付き合ってるんだ?」
「茶番じゃねぇよ。父さんには分からないかもしれないが俺はこの二人が大事だ。勿論会社も継ぐし社員も守る」
今度は翔のターン。今まで言った事もないだろう言葉が出てくる。
「根拠がないし証拠も無いだろ?たかだか高校生が言った言葉なんて何の重みも無い」
「あなた…私は賛成です。学園祭の時話してみて分かったのよ。本当に三人の雰囲気は良いものよ」
「それはお前がそう言う趣味を持っていて偏見が無いからだ」
自分の趣味を言われて紗英さんがグッと言葉に詰まる。バレてないと思っていた趣味がバレるのは結構なダメージだろう。やはり社長と言う肩書は嘘では無いのか冷静に話してくる雄介さんに負けそうになってしまう。
「そうですか…だからと言って諦める気持ちは微塵も待ち合わせていません。俺は一回逃げましたがもう逃げません…認めてもらうまで帰りませんよ」
「だからその考えが甘いんだ。翔と君達の所為で大人ががどれだけ迷惑を被ったか分からないだろう?香奈美さんの両親に私がどれだけ謝ったか…。本当に先を見ないバカな若者だな…」
「その件なら私もフォローします…。あなた…翔が幸せそうに笑って気を許せる人が見つかったのよ?」
「お前達…自分で何言ってるか分かってるのか?同性でしかも三人が付き合ってるなんて正常じゃ無い」
「確かに一般的におかしいと思います。でもその常識を俺達は越えて今一緒になろうとしてます。認められる為だったら何でもします」
「何でもって言う言葉を簡単に使うんじゃ無い。今はまだ若いから先が見えてないんだ。私は認めない。それを覚えておけ…ったく無駄な時間だった…高校生のうちは好きにすれば良い。結納の話も伸ばしてやる…短い時間楽しむと良いさ」
翔が結納断って他に大事な人を紹介すると親父さんに言って親父さんはブチギレていたが何とか顔合わせをする時間をゲットしたのは良い…。
それから暫くして紗英さんから親父さんの機嫌がすこぶる悪いとの連絡が俺に来て何とも言えない気持ちになる。
二回も断ってしまったモブ子の両親を説得するのは並大抵では無いだろう。気持ちは決まって前に三人で進むと言ったが…。
本当にそれで良いのか?やっぱり怖い。でも和也と翔が居れば大丈夫だと心に決めて明日を迎える事しか出来ない。
今日の朝から翔は先に実家に帰って俺達が行く準備をしてくれてる。ありがとうと心の中でありがとうと感謝する。
それに対して俺と和也は明日の準備をしながらドキドキしている。
明日何を着て行こうかとかどうでも良い事ばかり考えてしまって集中出来てない。
「すげぇ緊張する…」
「何でだよ。和也が前言った言葉で俺は勇気出したんだからな」
「いやっ!分かってんだけどな…こうっ…日にちが迫ってくるとなっ…」
この間俺と翔の考えを変えたこいつがこんなに動揺すると思わなかった。和也の気持ちが伝染して俺まで要らない緊張が襲ってくる。
「頼むから緊張するなっ!俺までどうして良いか分からなくなるだろっ!」
お互いを責めながら大企業の息子の父親を説得する為に明日に備えて早く寝る。大好きな食事も喉を通らずそれならば寝るしか無いと和也と一緒に横になって二人ガチガチに緊張したながら眼を閉じた。
次の日二人の顔は終わっていた…。真っ赤に充血して血走ってる眼。
「なぁ?ありか?」
「なしだろ…」
「だよな…」
お互い顔を見合って溜息を吐く。しかしこうしても居られないのはわかってるので急いで準備してバスに乗る。
スマホに送られて来た翔の家の住所に向かって早足で歩く。
暫くして立派な門構えの建物が出てきてすぐ翔の家だと分かった。益々緊張が増して心臓が煩い。
でもここまで来たら逆に心は落ち着いていた。和也と顔を見合って玄関のインターフォンを押す。
「はーい」
「あの…皆川ですが」
「あっ!いらっしゃい。今開けますからそのまま玄関開けて来ちゃって」
翔の母親…紗英さんの元気な声がインターフォンのスピーカーから聞こえてくる。よし…行くか。広いに庭を抜けて玄関に向かう。
お邪魔しますとガチャリとドアを開けたら翔と紗英さんが出迎えてくれた。
「迷わず来れたか?ってかすげぇ顔してるな」
「あぁ…気にしないでくれ。それと紗英さん。今日はお世話になります」
「良いのよ…はぁ…私の所為でごめんなさいね…そんな顔になるまで…緊張したでしょう?」
「大丈夫です。この日みたいなのは絶対いずれ来ます。だから気にしないでください」
和也が言った言葉に俺も同調する。紗英さんの顔が少し和らいでくれたみたいで良かった。
「じゃあ…客間に案内するから親父来るまで待っててくれ…」
翔に案内されて豪華な客間に案内された。紗英さんは飲み物でも入れてくるのだろうかいつの間にか何処かに行ってしまった。
どれ位時間が経ったのか和也と翔とソファーに座って背筋を伸ばし待っていたら長い廊下からスリッパの擦れる音が聞こえてくる。
いよいよか…。はぁ…マジで緊張する。手が汗で気持ち悪ぃ。
ガチャっと扉がゆっくり開いて俺の寮部屋で話をした人…翔の父親の雄介さんが入ってきて俺と和也をその眼に入れ驚いた顔をした。
「ん?今日は何て聞いていたか?確か…翔の付き合ってる人を紹介するって言われたような気がしたんだが…」
少し雄介さんがピタリと止まって考える素振りをしながら言葉を発してくる。
もう根性しかないので和也と二人で立ち上がり一気に捲し立てた。
「「翔さんとお付き合いさせてもらってます!今日は信じられない話かと思いますが認めて頂きたくこちらに伺いました。お時間作ってくださりありがとうございます」」
「この間はぐらかしてしまい本当にすみません。いきなりで本心では無い言葉を言ってしまいました。でも俺はやっぱり翔が好きです!この気持ちは変わりません!」
「俺も同じ気持ちです。夏のパーティの時から翔を大事に思ってました。俺は翔を大事にすると誓います」
俺と和也の勢いを一人で受け止める雄介さんの表情は驚いた顔で止まっている。
その時紗英さんが扉を開けて飲み物を乗せたお盆を持って入ってきた。
「ゴホンっ…取り敢えず座りなさい。私も座りたいしな」
翔以外全員総立ちの状況に座れと言われ雄介さんが上座に座った時俺と和也も座った。紗英さんが飲み物を各自の前に置いて雄介さんの隣に座る。
さぁ…ここからか…。
「それで?何で私はこんな茶番に付き合ってるんだ?」
「茶番じゃねぇよ。父さんには分からないかもしれないが俺はこの二人が大事だ。勿論会社も継ぐし社員も守る」
今度は翔のターン。今まで言った事もないだろう言葉が出てくる。
「根拠がないし証拠も無いだろ?たかだか高校生が言った言葉なんて何の重みも無い」
「あなた…私は賛成です。学園祭の時話してみて分かったのよ。本当に三人の雰囲気は良いものよ」
「それはお前がそう言う趣味を持っていて偏見が無いからだ」
自分の趣味を言われて紗英さんがグッと言葉に詰まる。バレてないと思っていた趣味がバレるのは結構なダメージだろう。やはり社長と言う肩書は嘘では無いのか冷静に話してくる雄介さんに負けそうになってしまう。
「そうですか…だからと言って諦める気持ちは微塵も待ち合わせていません。俺は一回逃げましたがもう逃げません…認めてもらうまで帰りませんよ」
「だからその考えが甘いんだ。翔と君達の所為で大人ががどれだけ迷惑を被ったか分からないだろう?香奈美さんの両親に私がどれだけ謝ったか…。本当に先を見ないバカな若者だな…」
「その件なら私もフォローします…。あなた…翔が幸せそうに笑って気を許せる人が見つかったのよ?」
「お前達…自分で何言ってるか分かってるのか?同性でしかも三人が付き合ってるなんて正常じゃ無い」
「確かに一般的におかしいと思います。でもその常識を俺達は越えて今一緒になろうとしてます。認められる為だったら何でもします」
「何でもって言う言葉を簡単に使うんじゃ無い。今はまだ若いから先が見えてないんだ。私は認めない。それを覚えておけ…ったく無駄な時間だった…高校生のうちは好きにすれば良い。結納の話も伸ばしてやる…短い時間楽しむと良いさ」
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