93 / 103
92
しおりを挟む
長いキスをして少しお互いに落ち着いたのかゆっくり離れた。翔の眼は真っ赤に腫れて痛々しい。それなら多分俺もそうなってんだろう。
「落ち着いたか?」
「あぁ…」
空き教室で二人床に座って翔の眼を撫でながら気遣う。翔も落ち着いてきたのか呼吸もだいぶ良い。これはちゃんと話さないといけない雰囲気だよな?自分勝手に離れると話してしまった手前俺も戸惑ってしまう。
「この間雄介さんと話をしたんだ…」
「知ってる。親父から電話きて剛が取った態度の理由が分かった。だからっ…俺も考えて…」
また翔の眼から涙がこぼれ落ちる…俺達はまだ十七で自分の行動に責任が取れる年じゃ無い。そう考えると今まで俺の親や和也の家族に言った言葉が恥ずかしい。それを考えるきっかけはたった一人の言葉…。
社会に出て家族を養ってる翔の父親の言葉がこんなにも簡単に先のことを考える力を持っていた。
「俺…バカだな…簡単に大事にします。守ります。って言ってたわ。雄介さんが一番まともな事を言ってるんだぜ?翔の事を一番に考えてさ…。俺何も出来ねぇんだ。多分翔も和也も分かってるからこんな事になってる」
「頭では分かってるんだ…でもここが痛てぇ」
翔が手を心臓に持ってそこをグッと握った。今まで俺はこんなに苦しんでる翔を見た事あっただろうか?
いや…ねぇよ。
「翔…あの人と一緒になった方が良い。俺はお前を友人として支えてやるよ…。大丈夫ちゃんと時間が解決してくてる」
これは俺自身にも言い聞かせていた。今翔と話が出来て良かった。こんなにも翔は俺を思ってくれているそれだけで俺は幸せだ。
「はぁ…ってかそれしか無いだろ…俺と一緒に仕事をしている社員の事言ってきやがって…」
そんな事も言ったのか…そうだよな。俺達が気付かなかったそれだけの事だ…。
「今和也に連絡しよう。ちゃんと話をした方が良い」
「そうだな…剛…最後に抱きしめて良いか?」
そん事聞くんじゃねぇよ…。俺は無言で翔に手を伸ばして思いり抱きしめる。和也がこの教室に来るまで…キスはしないで…翔今までありがとうな…。
和也視点
「いきなり連絡してきて来てみれば抱きしめ合って…何してんのよ?」
俺がキレるのも分かるよな?数日前から二人の意味不明に態度で俺がどれだけ考えてそれでも答えが出なくて…。
「ちゃんと話をしないとだろ?」
剛が俺に言ってくるが最初に話をして欲しかった。俺には理解出来ない事が二人には起きててあの顔を見る限り何か考えが纏まったって事か?
俺は完全に蚊帳の外…。朝の剛の態度にも苛つく。
「何か話す事あんのか?ってかめんどくせぇよ…今更。今までの事は無かった事にして友人同士仲良くしましょうで良いんだろ?」
ったく…自分で言ってて悲しくなる。俺はハッキリ言って拒否したい。こんなに大事な二人を離す事は俺のキャパの中に無い。
「まぁ…大体合ってるな…」
それから剛が翔の親父さんに言われた事翔が言われた事二人がどんな結論を出したかを聞いた。
だから何だ?子供とか社員とかどうでもいい事じゃねぇの?こんな考えをしてる俺がアホなのか?間違ってるのか?本人の気持ちが一番じゃねぇのかよ。
子供なんて今の時代養子制度だってあるし社員は翔が居なくても仕事ちゃんとするだろ?
「んで?」
「は?お前話…聞いてたか?」
剛が信じられないという顔でこっちを見る。俺は今までにない位感情の無い顔をしてるだろう。だってくだらねぇんだから仕方がない。
「聞いてたぜ?余りにくだらねぇから逆にこっちがビックリだ。ちゃんと俺達の気持ちもぶつけてねぇのに現実言われた位で何負けてんだよ?お前らってそんな気持ちで一緒にいたのか?ふざけんじゃねえってっ!」
ガシャンッ。
俺は力任せに近くにあった椅子を蹴る。いい音がしてぶっ飛んでいった。
このメンバーの中で俺が一番バカだが今はこいつらが一番バカでアホだ。
あぁ…イライラする。
剛視点
和也が蹴った椅子を眺めてふと考える。あれ?俺は翔の親父さんに気持ち言ってなかったのか…?なんの事ですかってはぐらかして…。
多分翔もだろう…思考が止まって和也を見ている。
あの瞬間を思い出す。俺は雄介さんに付き合ってるのかと聞かれて誤魔化した…いや…あの時言えば良かったのか?わかんねぇよっ!
「和也はあの時居なかったから分かんねぇんだよっ!」
「関係ねぇよ…俺はちゃんと言う。言ってから言われた言葉ならちゃんと考える。でもそうじゃねぇだろ?ったくいつからそんなにチキンになったんだよ」
和也の言葉が突き刺さってくる。俺が間違っていたのか?さっきまで覚悟を決めていた考えが揺らいでしまう。
「は?言葉もでねぇのか?二人とも一個の考えに縛られてちゃんと見えてねぇんだよ…」
黙っている俺と翔に和也が畳み掛ける様に話してくる。和也が言ってる事も理解は出来る。でもそれじゃダメな事も…。
「和也が言ってる事は分かった。でもさっき俺達が話してる事も分かってくれよ…それに和也だって将来結婚して後継作らないといけないだろう?」
「はぁ?俺は剛と翔とこんな風な関係になってから一切そんな事は考えてねぇ。俺はそれ位の覚悟で二人に接してた…。同じ気持ちだったろ?違うのかっ…」
俺の言葉に和也も涙を溜めて話す。三人の恋愛は各々考え方が違う…多分正解は無いだろう。改めて話をして俺達はどんな道を進んで行くかって事しか方法が無い。
まさにバラバラの方向性…。
でも分かってる。俺も和也と同じ気持だ…だからこそ翔と和也の将来を考えてしまう。
和也の真っ直ぐな気持ちが羨ましい。
「っ…でも…俺は将来何かあった時責任取れない…だから今離れた方が良いんだ」
「何言ってんだっ!いい加減にしろよっ…誰が剛一人に背負わせると言ったよ?俺だって怖ぇよ。でも離れるよりはぶつかった方がマシだっ。俺はっ!翔の親父さんに恨まれた方が良い。だから俺と一緒に二人は居れば良いんだよっ」
「「っ…」」
和也が俺と翔に近づいて俺達を大きい身体で抱きしめてくる。和也の言葉と温もりに自然と涙が溢れる…。翔も言葉も無く泣いて肩を震わせていた。
「変なこと考えるな…今度の休みに三人でちゃんと話に行こうぜ。ダメだったらその時考える」
「っああ…和也…ありがとう」
「うわっ…翔に感謝されるなんて気持ちわりぃ…ほら剛も顔上げろって」
もしかしたら…だた背中を押して貰いたかっただけなのかもしれない…あんなに悩んで結論を勝手に決め付けて答えを話した。それを和也は最も簡単に論破してきた。和也の優しい手が俺の頭を撫ででくれる…。
「分かった…俺ちゃんと言うわ…剛と和也も覚悟を決めてくれ」
ずっと話を聞いていた翔が気持ちを固めたのか良い顔で俺達を見た。先程の自信がない顔はもうしてない…だったら一緒に俺も頑張りたい。
「俺も頑張る。ちゃんと話す…」
「良かった。本当に終わるかと思って焦ったぞ!このバカ二人め…」
「「和也に言われたくねぇ…」」
「落ち着いたか?」
「あぁ…」
空き教室で二人床に座って翔の眼を撫でながら気遣う。翔も落ち着いてきたのか呼吸もだいぶ良い。これはちゃんと話さないといけない雰囲気だよな?自分勝手に離れると話してしまった手前俺も戸惑ってしまう。
「この間雄介さんと話をしたんだ…」
「知ってる。親父から電話きて剛が取った態度の理由が分かった。だからっ…俺も考えて…」
また翔の眼から涙がこぼれ落ちる…俺達はまだ十七で自分の行動に責任が取れる年じゃ無い。そう考えると今まで俺の親や和也の家族に言った言葉が恥ずかしい。それを考えるきっかけはたった一人の言葉…。
社会に出て家族を養ってる翔の父親の言葉がこんなにも簡単に先のことを考える力を持っていた。
「俺…バカだな…簡単に大事にします。守ります。って言ってたわ。雄介さんが一番まともな事を言ってるんだぜ?翔の事を一番に考えてさ…。俺何も出来ねぇんだ。多分翔も和也も分かってるからこんな事になってる」
「頭では分かってるんだ…でもここが痛てぇ」
翔が手を心臓に持ってそこをグッと握った。今まで俺はこんなに苦しんでる翔を見た事あっただろうか?
いや…ねぇよ。
「翔…あの人と一緒になった方が良い。俺はお前を友人として支えてやるよ…。大丈夫ちゃんと時間が解決してくてる」
これは俺自身にも言い聞かせていた。今翔と話が出来て良かった。こんなにも翔は俺を思ってくれているそれだけで俺は幸せだ。
「はぁ…ってかそれしか無いだろ…俺と一緒に仕事をしている社員の事言ってきやがって…」
そんな事も言ったのか…そうだよな。俺達が気付かなかったそれだけの事だ…。
「今和也に連絡しよう。ちゃんと話をした方が良い」
「そうだな…剛…最後に抱きしめて良いか?」
そん事聞くんじゃねぇよ…。俺は無言で翔に手を伸ばして思いり抱きしめる。和也がこの教室に来るまで…キスはしないで…翔今までありがとうな…。
和也視点
「いきなり連絡してきて来てみれば抱きしめ合って…何してんのよ?」
俺がキレるのも分かるよな?数日前から二人の意味不明に態度で俺がどれだけ考えてそれでも答えが出なくて…。
「ちゃんと話をしないとだろ?」
剛が俺に言ってくるが最初に話をして欲しかった。俺には理解出来ない事が二人には起きててあの顔を見る限り何か考えが纏まったって事か?
俺は完全に蚊帳の外…。朝の剛の態度にも苛つく。
「何か話す事あんのか?ってかめんどくせぇよ…今更。今までの事は無かった事にして友人同士仲良くしましょうで良いんだろ?」
ったく…自分で言ってて悲しくなる。俺はハッキリ言って拒否したい。こんなに大事な二人を離す事は俺のキャパの中に無い。
「まぁ…大体合ってるな…」
それから剛が翔の親父さんに言われた事翔が言われた事二人がどんな結論を出したかを聞いた。
だから何だ?子供とか社員とかどうでもいい事じゃねぇの?こんな考えをしてる俺がアホなのか?間違ってるのか?本人の気持ちが一番じゃねぇのかよ。
子供なんて今の時代養子制度だってあるし社員は翔が居なくても仕事ちゃんとするだろ?
「んで?」
「は?お前話…聞いてたか?」
剛が信じられないという顔でこっちを見る。俺は今までにない位感情の無い顔をしてるだろう。だってくだらねぇんだから仕方がない。
「聞いてたぜ?余りにくだらねぇから逆にこっちがビックリだ。ちゃんと俺達の気持ちもぶつけてねぇのに現実言われた位で何負けてんだよ?お前らってそんな気持ちで一緒にいたのか?ふざけんじゃねえってっ!」
ガシャンッ。
俺は力任せに近くにあった椅子を蹴る。いい音がしてぶっ飛んでいった。
このメンバーの中で俺が一番バカだが今はこいつらが一番バカでアホだ。
あぁ…イライラする。
剛視点
和也が蹴った椅子を眺めてふと考える。あれ?俺は翔の親父さんに気持ち言ってなかったのか…?なんの事ですかってはぐらかして…。
多分翔もだろう…思考が止まって和也を見ている。
あの瞬間を思い出す。俺は雄介さんに付き合ってるのかと聞かれて誤魔化した…いや…あの時言えば良かったのか?わかんねぇよっ!
「和也はあの時居なかったから分かんねぇんだよっ!」
「関係ねぇよ…俺はちゃんと言う。言ってから言われた言葉ならちゃんと考える。でもそうじゃねぇだろ?ったくいつからそんなにチキンになったんだよ」
和也の言葉が突き刺さってくる。俺が間違っていたのか?さっきまで覚悟を決めていた考えが揺らいでしまう。
「は?言葉もでねぇのか?二人とも一個の考えに縛られてちゃんと見えてねぇんだよ…」
黙っている俺と翔に和也が畳み掛ける様に話してくる。和也が言ってる事も理解は出来る。でもそれじゃダメな事も…。
「和也が言ってる事は分かった。でもさっき俺達が話してる事も分かってくれよ…それに和也だって将来結婚して後継作らないといけないだろう?」
「はぁ?俺は剛と翔とこんな風な関係になってから一切そんな事は考えてねぇ。俺はそれ位の覚悟で二人に接してた…。同じ気持ちだったろ?違うのかっ…」
俺の言葉に和也も涙を溜めて話す。三人の恋愛は各々考え方が違う…多分正解は無いだろう。改めて話をして俺達はどんな道を進んで行くかって事しか方法が無い。
まさにバラバラの方向性…。
でも分かってる。俺も和也と同じ気持だ…だからこそ翔と和也の将来を考えてしまう。
和也の真っ直ぐな気持ちが羨ましい。
「っ…でも…俺は将来何かあった時責任取れない…だから今離れた方が良いんだ」
「何言ってんだっ!いい加減にしろよっ…誰が剛一人に背負わせると言ったよ?俺だって怖ぇよ。でも離れるよりはぶつかった方がマシだっ。俺はっ!翔の親父さんに恨まれた方が良い。だから俺と一緒に二人は居れば良いんだよっ」
「「っ…」」
和也が俺と翔に近づいて俺達を大きい身体で抱きしめてくる。和也の言葉と温もりに自然と涙が溢れる…。翔も言葉も無く泣いて肩を震わせていた。
「変なこと考えるな…今度の休みに三人でちゃんと話に行こうぜ。ダメだったらその時考える」
「っああ…和也…ありがとう」
「うわっ…翔に感謝されるなんて気持ちわりぃ…ほら剛も顔上げろって」
もしかしたら…だた背中を押して貰いたかっただけなのかもしれない…あんなに悩んで結論を勝手に決め付けて答えを話した。それを和也は最も簡単に論破してきた。和也の優しい手が俺の頭を撫ででくれる…。
「分かった…俺ちゃんと言うわ…剛と和也も覚悟を決めてくれ」
ずっと話を聞いていた翔が気持ちを固めたのか良い顔で俺達を見た。先程の自信がない顔はもうしてない…だったら一緒に俺も頑張りたい。
「俺も頑張る。ちゃんと話す…」
「良かった。本当に終わるかと思って焦ったぞ!このバカ二人め…」
「「和也に言われたくねぇ…」」
0
お気に入りに追加
699
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる