全寮制男子校

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思ったほどに冷静な翔の母親を俺の寮部屋につれてくる。勝手知ったる翔がコーヒーを入れてリビングに各々座る。


誰も話そうとしない。翔の母親は黙ったままで静かに下を向きながらコーヒーを飲んでいた。俺はもう覚悟を決めていたのでどんな事を言われようと翔を幸せにします以外の答えは出ない。もちろん和也も同じだ。眼を見れば分かる。
何分経ったろうか…?沈黙の中にコトっとカップが置かれた音がして三人が翔の母親を見る。

さぁ…来い。受け止めてやるよ。




「ゴホン……………………。
きゃーーーーーーーーっ!翔ゲイなの!?男が好きなの!?何でもっと早く言わないの!!!」



ハッキリ言って…混沌。翔に母親が襲いかかる様に抱きついてギューってしていた。俺と和也の思考が止まり脳が理解する前に眼が勝手に映像を送ってくる。




「なっ…はっ?」




翔は思った反応じゃなかった母親の対応に思考が止まったんだろう。取り敢えず今起ってる事は俺達三人じゃちゃんと説明できない。
ただそのまま伝えるしか出来ない。





「ねぇねぇねぇ!三人なの?3Pなの!?誰がネコ!?誰がタチ??早く言いなさいよ!ぁぁぁっ!何で自分の息子なのに分からなかったのぅ!滾るわぁ♡
ねぇ詳しく教えてっ!やっぱり入れる時痛いの?どうなの?誰がネコなのっ!」




「「「は?」」」




翔から離れて顔を真っ赤にしに身体をクネらせ男同士のSEXを語る翔母…。
この人は二重人格なんじゃないか?先程の雰囲気とはかけ離れている。
俺達三人がかけるの母親を理解するために脳を動かしていると我慢出来なくなったのか翔母が暴走する。





「もうっ!いいわ。私が言う事に答えてよね。タチの人手ェ上げてっ!」




「「はっ」」



ビシッと腕を上げた母親につられて翔と和也が手を上げた…。それを見た翔母の眼は輝き満足したのかゆっくり顔を動かして俺を見る。




「三人とも高身長でイケメンだから分からなかったけど…なる程ね!皆川くんね!ねぇねぇ!痛かった?前立腺ってやっぱり気持ちいいの?女だから分からないのよ…教えてよっ!」




「いやっ…あのっ…」




「はっきり言ってよ!私の探究心を刺激したんだから最後まで教えてもらうわよっ!」



俺はギギギっと首を動かし息子に助けを求める。その間もずっとお話を続けていらっしゃる翔母…。
俺達が返事もしないで固まっていたからか翔母がの暴走がやっと止まった。




「あら?ごめんなさいね…あの…私…俗に言うそう言うのが好きな人種で…テンションあがっちゃって…見てみる?」



何が入ってるか分からないバッグから一冊の本…それを俺が受け取る。翔と和也も俺の手元を見て眼が開く。
これはまさか…。




『禁断の学生愛~俺とアイツとお前~』




なんて言うタイトルの漫画本なんでしょうか?これはBL本だ…一回見た事がある。和也が持っていた物で俺がズタボロにして捨てたが…これはそれだしかも3Pだ…。



「母さんにそんな趣味があったのか?」




実の母親の暴走に一番現実逃避していただろう翔が覚醒。俺が渡したBL本をパラパラ開き母親をガン見して質問する。



「えと…隠してたんだけどね。ネットで一回眼に入ってから色んなサイトとか本見て読んだら凄く純愛なのよっ!それからネットのお友達と色々と話す様になって…。自分の息子がそうだって知ったら…我慢出来なくてっ!」



ダメだ。また暴走するぞこの人。ってかアレだろう?芳田の姉さんと一緒の類だろ?腐女子ってヤツ。話してる内容は放送禁句ばかりなのに眼が輝いてしかも頬が赤く恋してる乙女だ。翔キツいだろうな…。ちょっと同情の眼差しを送ってしまった。



ん?翔の顔がショックを受けていない…むしろ…?




「そうか…。母さんがそう言う人だってのは分かった。それで?俺達の事は?」




「えと…翔はちゃんと真剣なの?あとお二人さんは?」




「俺は自分の人生を掛けて真剣に二人が大事だ」




「「俺達も大事です。自分の親にはちゃんと報告してます」」




「あら?今のご時世ご両親も寛大なのね…。三人ってのは親として気になるけれど…私個人としては凄く嬉しいわ。
今まで気に触る態度をとってしまってごめんなさいね…翔は大事な一人息子なのよ。でも曲がった事はしないと私は信じてるから。
その翔が二人を選んだなら私は協力するわよ」




腐女子ママは凄く寛大だと思うぞ。これで一応三人の親が知る事となった。翔も少し安心出来ただろう。結構でけぇ会社の奥様がこれでいいのか疑問だが認めてくれたならそれはそれで良い…。



「じゃあ香奈美さんは断って…あっ!そうだわっ!翔…お父さんどうしようか…」



最終的な壁。翔の父親…翔母でさえ顔が曇る。


「そうだな…いや…いざとなったら和也の家入るから大丈夫だ」




「ブッフォッ!」




和也がコーヒーを吹いた。そりゃそうだろう…翔を睨んでいるが翔の吹っ切れた笑みに力が抜けてしまったようだ。
母親の隠し事より自分の気持ちを言った事で翔の顔が変わったのが分かる。よかった…。



「木宮くんだっけ?家凄いの?翔を養えるの?」



質問攻め。しかし今和也の家の話はダメだと俺でも分かる。



「紗英さん…今その話は止めにして旦那様にどう伝えるか考えた方が…」



「皆川くんがそう言うなら…はぁ。あの人信じられない位頑固で古風なのよね…今話しても絶対ダメだし…よし!分かったわ。私が冬休みまでに考えておくから休みに入ったら家にいらっしゃい。話はそれからだわ」




キリッとした顔になり俺達三人の事をちゃんと考えてくれる…。本当に話して良かった。

話は終わって俺達が冬休みに翔の家にお邪魔して何かをし、翔の父親に認めてもらう作戦を翔母が作るらしい。少し話がまとまって翔が二杯目のコーヒーを入れて席を立った。


そこからが俺達の地獄。ボーイズラブがどう言ったものかをかれこれ数時間語られ暗くなって学祭が終わる時にやっと帰っていた。



これからどうなるのか…分からないが冬休みに覚悟を決めて三人で進んでいこうと思う。
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