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16 邪魔者は消えてもらいます。
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もう、なりふり構っちゃいられません。
この女、残念ながら、女子の支持は得られないタイプ。消えていただきましょう。
「お待たせいたしました、蜂蜜入りウインナコーヒーです」
リナが追加で頼んだメニューが運ばれてきた。
「うわあ、かわいーーーリナのだけ特別にハートマークつけてくれたのかなぁ?」
ん?と覗き込むと、リナのカップにはラテアートでハートマークが飾られていた。
全く”豚に真珠”とはこのことですわよ。
「いただきまーす♡」
リナが可愛こぶりながらカップに口をつけた瞬間、私は後ろから、どんっとリナの背中をどついた。
「きゃーーー!!あっつーーーい!!!」
店内に響き渡るリナの叫び声。
「大変だ。すぐに冷やさないと、トイレに行って濡れたところを冷やしてこいよ」
ヒュー様が冷静に対応を指示する。
「サシャ~助けて~~~、一人じゃ行けないよ~~~」
「しょうがないな」
えっ?そう来る?
お優しいサシャ様はリナの背に手を当てて、店内の奥にあるトイレに向かった。
ダメダメ、個室なんて、絶対ダメ。
あの女の狙いは障害者用トイレでサシャ様と二人きりになること?
そしてそのチャンスを与えてしまったのは、まさかわたしぃぃぃ?
ぐおっ。痛恨のミス!
こうしてはいられません、失敗で終わらせてはなりません。失敗は成功の母ですわ!
私は二人を追いかけました。
「ちょちょちょちょちょ!!私に、お任せください!」
ドンっとサシャ様を押しのけ、私はリナの手を取った。
「ほ、ほら、やっぱり、女性は女性同士ですわ。さあ、リナさん参りますわよ」
「あんただれ」狐につままれたようなリナの顔。
「正義の使者ですわ」えっへん。
「なんだか知らんけど、リナを頼む」少しだけホッとしたようなサシャ様。お役に立てて何よりです。
「ちょっと、待ちなさいよ、なんであんたがでしゃばってくるのよ。どっか行ってよ」
うるさいなあ。
「だいたいなんで私がこんな目に合わなきゃいけないのよ」え、尊い二人の邪魔するから・・・
私はめんどくさいリナをトイレの洗面台の前に押し込んだ。
「え、なにこれぇ。生クリームがベッタリくっついてるし、コーヒーでシミになっちゃう。どうしたらいいのよ。着替えなんて持ってないけど、これじゃ道歩けないじゃないのよ」
はあ、どうもすみません。お役に立てませんで。
いやー、まさかそこまでバッチリヒットしちゃうとは思わなくてごめんなさいよ。
うーん、とはいえ私の手には負えません。
「あ、すみませんそこの親切そうな店員様」私はプロにお願いすることにした。
「は、はい?」
「すみませんけど、あちらで騒いでいる女狐・・・じゃなくて女豹・・・でもなくて、女のことを面倒見てくださるかしら」
「は、はあ?」
店員さんはぽかーんとしながらも、トイレに向かってくれた。やっぱプロは頼りになるぅ。
さあ、急ぎ重要シーンの鑑賞に行かねばなりません。
女狐の相手で時間を無駄にしてしまいましたわ。
大慌てで元いた席に着くと、麗しい二人の間には、気まずい雰囲気が漂っていた。
「・・・ごめんね。リナがうるさくて」
「いや、大丈夫か?そのリナの火傷は」
「大丈夫だよ。見てないけど多分。昔からかまってほしがるんだよな。手のかかる妹みたいな感じ」
「そうか」
しーん。ち、沈黙がイタイです。
あああ、せっかく二人の距離が縮まったって言うのに、リナのせいでまた距離が・・・
「その・・・将来婚約者になりたいってのは・・・」
「言ってるだけだよ。僕にはその気はないし」
そうそう、そうですわ。もっと言っておしまいになって!
「・・・君のところとは違うよ」
あら、ざっくり。
「サシャ。そうじゃない。違うんだ・・・!」
ヒュー様が必死に言葉を探している。
そう、退っ引きならない理由があるんでしょ?きっとそうに違いありません。
さあさあ、ここでドーンと告白して誤解をといてください!
盛り上がってまいりましたわよ。目カメラのセット完了。
「俺は・・・俺は・・・サシャ・・・泣かないでくれ」
「泣いてないよ、誤解するなよ。これは・・・汗だから」
俯いたサシャ様に困り果てて手を伸ばすけど、ふれることを迷うヒュー様。
なんか、黄金の展開になってきましたわよ!!目から出る汗!鉄板ですわね。
この後の展開が楽しみで、超手汗かいてます!
この女、残念ながら、女子の支持は得られないタイプ。消えていただきましょう。
「お待たせいたしました、蜂蜜入りウインナコーヒーです」
リナが追加で頼んだメニューが運ばれてきた。
「うわあ、かわいーーーリナのだけ特別にハートマークつけてくれたのかなぁ?」
ん?と覗き込むと、リナのカップにはラテアートでハートマークが飾られていた。
全く”豚に真珠”とはこのことですわよ。
「いただきまーす♡」
リナが可愛こぶりながらカップに口をつけた瞬間、私は後ろから、どんっとリナの背中をどついた。
「きゃーーー!!あっつーーーい!!!」
店内に響き渡るリナの叫び声。
「大変だ。すぐに冷やさないと、トイレに行って濡れたところを冷やしてこいよ」
ヒュー様が冷静に対応を指示する。
「サシャ~助けて~~~、一人じゃ行けないよ~~~」
「しょうがないな」
えっ?そう来る?
お優しいサシャ様はリナの背に手を当てて、店内の奥にあるトイレに向かった。
ダメダメ、個室なんて、絶対ダメ。
あの女の狙いは障害者用トイレでサシャ様と二人きりになること?
そしてそのチャンスを与えてしまったのは、まさかわたしぃぃぃ?
ぐおっ。痛恨のミス!
こうしてはいられません、失敗で終わらせてはなりません。失敗は成功の母ですわ!
私は二人を追いかけました。
「ちょちょちょちょちょ!!私に、お任せください!」
ドンっとサシャ様を押しのけ、私はリナの手を取った。
「ほ、ほら、やっぱり、女性は女性同士ですわ。さあ、リナさん参りますわよ」
「あんただれ」狐につままれたようなリナの顔。
「正義の使者ですわ」えっへん。
「なんだか知らんけど、リナを頼む」少しだけホッとしたようなサシャ様。お役に立てて何よりです。
「ちょっと、待ちなさいよ、なんであんたがでしゃばってくるのよ。どっか行ってよ」
うるさいなあ。
「だいたいなんで私がこんな目に合わなきゃいけないのよ」え、尊い二人の邪魔するから・・・
私はめんどくさいリナをトイレの洗面台の前に押し込んだ。
「え、なにこれぇ。生クリームがベッタリくっついてるし、コーヒーでシミになっちゃう。どうしたらいいのよ。着替えなんて持ってないけど、これじゃ道歩けないじゃないのよ」
はあ、どうもすみません。お役に立てませんで。
いやー、まさかそこまでバッチリヒットしちゃうとは思わなくてごめんなさいよ。
うーん、とはいえ私の手には負えません。
「あ、すみませんそこの親切そうな店員様」私はプロにお願いすることにした。
「は、はい?」
「すみませんけど、あちらで騒いでいる女狐・・・じゃなくて女豹・・・でもなくて、女のことを面倒見てくださるかしら」
「は、はあ?」
店員さんはぽかーんとしながらも、トイレに向かってくれた。やっぱプロは頼りになるぅ。
さあ、急ぎ重要シーンの鑑賞に行かねばなりません。
女狐の相手で時間を無駄にしてしまいましたわ。
大慌てで元いた席に着くと、麗しい二人の間には、気まずい雰囲気が漂っていた。
「・・・ごめんね。リナがうるさくて」
「いや、大丈夫か?そのリナの火傷は」
「大丈夫だよ。見てないけど多分。昔からかまってほしがるんだよな。手のかかる妹みたいな感じ」
「そうか」
しーん。ち、沈黙がイタイです。
あああ、せっかく二人の距離が縮まったって言うのに、リナのせいでまた距離が・・・
「その・・・将来婚約者になりたいってのは・・・」
「言ってるだけだよ。僕にはその気はないし」
そうそう、そうですわ。もっと言っておしまいになって!
「・・・君のところとは違うよ」
あら、ざっくり。
「サシャ。そうじゃない。違うんだ・・・!」
ヒュー様が必死に言葉を探している。
そう、退っ引きならない理由があるんでしょ?きっとそうに違いありません。
さあさあ、ここでドーンと告白して誤解をといてください!
盛り上がってまいりましたわよ。目カメラのセット完了。
「俺は・・・俺は・・・サシャ・・・泣かないでくれ」
「泣いてないよ、誤解するなよ。これは・・・汗だから」
俯いたサシャ様に困り果てて手を伸ばすけど、ふれることを迷うヒュー様。
なんか、黄金の展開になってきましたわよ!!目から出る汗!鉄板ですわね。
この後の展開が楽しみで、超手汗かいてます!
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