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12 第二の作戦ですわ!

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やっぱり、これですよ、コレ!
切なさがないと!
だって、いきなり出てきてぱんぱんあんあんじゃ情緒も何もあったもんじゃありません。
まるで発情期の犬の交尾じゃありませんか。
目の前に雌犬がいれば、ハイ、レッツゴー!みたいな?
誰でもいいんだね・・・って思うと、なんか、萌えません。
ポンとひねって、ピュッと出してじゃねえ?蛇口みたいじゃありませんこと?
この二人がどうなるか、このじれじれ感が・・・た・ま・ら・な・い♡
ああっ!ついつい悶え喜んでしまいます。

思わず体をくねくねさせて喜びの舞を踊ってしまいます。
誰に見られるわけでもありませんもの!
というか、見られていても認知されませんもの。
ふふふ、モブチート、最高です。

「君、どうしたの?」

後ろから声が聞こえますけど、きっと気のせいですわよね。

「ねえ、大丈夫?なんか、苦しいのかな?体調が悪いの?保健室に行く?」

まさか・・・
しつこく声をかけてくるのは・・・私が見えている方がいる?
おそるおそる振り返ってみるとそこにいたのは・・・

サシャ様ーーーー!!!!ぎゃあああああああ!!!!!
もちろんお耳を汚してはならないので、声にならない悲鳴です。
でも、でも、私の喜びの舞を見られてしまった?
なんと、なんと言うお目汚し・・・!!罪万死に当たります、すみません。ちょっと死んできますか?

「ちょっと君」

サシャ様が私のえり首をつかんだ。

「この間、踏まれてた子だよね?本当に大丈夫なのか?」
だだだ大丈夫です。大丈夫じゃないけど大丈夫ですから。
本当に申し訳ありません。
私は目を見開いて無言でこくこくと頷いた。

ふと冷静になってみれば、サシャ様にお目汚しをおわびするために死んでみても、地縛霊になってつきまとう予感しかしません。このまま、おとなしく去ります。モブですので。
あ、掴んでいただいたえり首だけは記念にジップロックで永久保存してもいいですか?

私は深々と頭を下げると、無言のまま、サシャ様の前を去った。
ふふふ、同じ空気吸っちゃった♡
今日はいい日だな♪

思わずテンションが上がり、踊りながら教室に戻っていく。
いやーでも危なかった。もうちょっとでバレてしまうところでしたよ。
今なら単なる怪しい人としか思われていないから、大丈夫!

さあ、使徒としての役割を果たすため、次の作戦を考えなければ・・・

うーん。タオル・・・タオルはどうかしら?
教科書の次は使用済みのタオルでも突っ込んでおくとか?
ぐふふふ。
一般的には綺麗なタオルの方がいいんですかね?
いやまさかそんなはずありませんよね?
推しの使用済みタオルとか・・・あ、想像しただけで鼻血が。

私はこっそりとロッカールームに忍び込み、今度はヒュー様のタオルをサシャ様のロッカーに入れておくことにした。
もちろん、私がこそこそすれば誰にも気づかれない。
きっと邪念がないからですわね。
清らかな思いから出ている行動ですから、きっと誰にも気づかれないに違いありません。

よいしょっと、ヘアピンを曲げてヒューのロッカーの鍵をかちゃかちゃっといじると、カチッと音を立てて鍵が開いた。ふふふ。この技を会得しておいてよかったですわ。
ヒュー様のロッカーはあの美しい見かけによらず、雑然としていた。
脱ぎっぱなしのジャージが適当に突っ込んである。コレはコレで美味しいですけど、ちょっと今は目的が違います。どれどれ・・・あった。
ヒュー様の使用済みタオルはちょっと丸めてロッカーの中に突っ込んであった。
これも世のため人のため、萌のためです。
まあ、手拭きがなければお気の毒なので、ティッシュペーパーでもいれておいてあげましょう。
私は自分のポケットからティッシュを取り出すと、2枚いれておいてあげた。
これでよしっと。パタン。

お次はサシャ様のロッカーですわ。
あれ?なんで鍵の形が違いますの?なんで暗証番号?
えええーー?
そういえば、サシャ様のクラスは新設された方のロッカーを使ってるんでした。
思いつく限りの暗証番号を入れてみる。
801
348
うーーーん
開かない。
ぺかん。急に閃いた。
521
ヒュー様の誕生日。
カチャッ。さっきまでガッチリと入口を守っていた鍵はあっさりと開いた。

なあんだ。
ん?
ヒュー様の誕生日?
ヒュー様の誕生日がロッカーの鍵?
キターーーー!!!
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