5月の雨の、その先に

藍音

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第十二話 悪夢 ※冒頭注意喚起あり

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《注意喚起》冒頭、残酷な描写あり。

金色の暗闇の中、炎が浮かぶ。
炎はゆらめき、徐々に大きさを増す。
その中央で炎に焼かれているのはまだ小さな子どもだ。
断末魔の叫び。
激しい衝撃。

次の瞬間、子供の体は砕け散り、金色の炎がくすぶりながら、嫌な匂いを放った。
ぬるりとした肉片が降り注ぎ、部屋の中にはむっとする血の匂い。



「はっ」

アウレリオは目を覚まし、自分が暗闇の中にいることに気がついた。

(夢だ・・・いや、現実だ・・・だが、もう、終わった)

ダメージを受けてはならない。
敵に気取られてはならない。私にダメージを与えることができると知られれば、奴らはますます残酷さを増してくるだろう。

血を吐きながら死んでいった子どもはひとりや二人ではない・・・

(カナリヤか・・・)

部屋の入口からは規則正しい寝息が聞こえてくる。
藁布団の中、小さく身体を丸めて寝入っているリオが見えた。

(美味しいと)

リオは、食事を美味しいと言った。
そんな感覚はすでに忘れて久しい。身体に食料を取り入れることも、水を一口飲むことさえ命がけだった。
アウレリオは首を振って考えを追い払った。
余計なことは考えるな。命取りだ。

だが、あの子どもはほんとうにただの子どもなのか。金色の瞳に見えたのは、ただの見間違いか?
するりと心に入り込み、簡単に私を笑わせた。そんな芸当ができるのは、やはり・・・

ベッドから降りると、木枠がぎぃと小さく音を立てた。

裸足のままリオに近づき覗き込む。
リオはぐっすりと眠っていた。
美味しいものを食べている夢でも見ているのか、なにかもぐもぐするような仕草をしている。

「けえき・・・け・・き・・・わかさま・・・」

(緊張感のないやつだ)

また笑わされそうになってしまう。
そばに置くほうがいいのか、それとも放したほうがいいのか・・・

体内に入った致死量の魔力に耐えきれず爆発した少年はイサーク付きだったはず。
視界に入っていなかったから、自分もお付きの者たちも皆油断してしまった。
あのとき、こいつの目は確かに金色に見えた。
やはり、そばにおいて用心していたほうが安全だろう。

もう一度リオに視線を落とすと、白い首が目に入った。

(細い首・・・息の根を留めるのは簡単だ。ならば、もう少し様子を見るか。しょせん、こいつは、カナリアだ)




*******************

(お礼)
短いので、2話更新です!
本日もお読みいただきましてありがとうございました。

こっち方面のR18になるとは!(規制かけててよかった)

ハートを投げてくださいまして、ありがとうございました。
とっても、とっても感謝しています!





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