12 / 24
12 グレッグとゆでダコ
しおりを挟む
壁を叩かれて、グレッグも少し冷静になったみたい。
しっと口に指を当てて、静かに、のサインをする。
「俺には、恋人はいない。」グレッグがムッとしたように言う。
「それにエラを誘う気もない。まあ、仮にだ、仮に俺がエラを誘ったとしても、エラはついて来ないと思うぞ」
そうかなあ?私だったら、グレッグに誘われたらついて行っちゃうけどなあ。
優しいし、カッコいいし、美味しいものご馳走してくれそうだし。
あ、そういえば路地裏の新作ジュース飲めなかったんだよね?
もしかして、誘ったら、一緒に行ってくれるのかな‥‥‥ドキドキ
「それからな、エラが万一俺の誘いに乗ったとして、だ。あくまでも、仮にだぞ。その時は、必死になって止める奴がいると思うぞ」
え、それってお父さん?それともお兄ちゃんたち?あ、もしかして私?
グレッグはゴホンと咳払いした。
「まあとにかくだな、エラのことは心配いらないってことだ。えー、それでだな。俺は今23になって、クラリスよりも10歳近くも年上なわけだが。クラリスは、あー、そのー、何だ。えーっと、その、あと3ヶ月で成人するのか?」
「うん」
「あー、その、えー、恋人とかはいるのか?」
「恋人?」
「いやその、恋人というか、好きな人、というか」
ドキッと心臓が音をたて、口から飛び出してゴロゴロと床を転がっていく‥‥‥ところだった。
危ない、危ない。
グレッグが立ち上がってベッドに座る私の前に膝を付き、私の手を握った。
「俺はさ、クラリス。ずっと待ってた子がいるんだよ」
藍色の瞳と目が合うと、吸い込まれそうになった。
「初めて会った時はまだ、子どもだったから、ずっと見守って待ってたんだ。なるべく、ここに来られるように仕事を志願してさ。毎年綺麗になって眩しくなっていく姿を見守っていた子がいるんだ。大切に思っていたから、ずっと、大きくなるのを楽しみにしていたんだけど、その子が自分のことをもう大人だっていうんだけど、どう思う?」
え、それって、私のこと?もしかして、もしかするとお姉ちゃん?
私の頭は混乱してぐるぐる回りっぱなし。
「クラリス?」
「わ‥‥‥わかんにゃい」呂律が回らない。「わかんにゃいもん」
「クラリス‥‥‥、俺のこと、好き?っていうか、好きになってくれそうな可能性ある?」
私の心臓はズンドコズンドコ大きな音を立てて、部屋中をゴムボールみたいに跳ね回っている。
グレッグも私もゆでダコみたい。ズンドコズンドコゆでダコがゴムボールに変身して部屋中を暴れまわっている。
「す、好きとか、よく分からないんだもん~~~」
プシューッつと私の頭から蒸気が吹き出した。まるで蒸気機関車のようにドッドッドと私の心臓が勢いよく耳から飛び出して走り出した!
「そ、それにもう、心臓病か気鬱の病で死んじゃうかもしれない~もう、もう、部屋に帰りたいよ~~~!!!」
私は目を回して倒れてしまった。
しっと口に指を当てて、静かに、のサインをする。
「俺には、恋人はいない。」グレッグがムッとしたように言う。
「それにエラを誘う気もない。まあ、仮にだ、仮に俺がエラを誘ったとしても、エラはついて来ないと思うぞ」
そうかなあ?私だったら、グレッグに誘われたらついて行っちゃうけどなあ。
優しいし、カッコいいし、美味しいものご馳走してくれそうだし。
あ、そういえば路地裏の新作ジュース飲めなかったんだよね?
もしかして、誘ったら、一緒に行ってくれるのかな‥‥‥ドキドキ
「それからな、エラが万一俺の誘いに乗ったとして、だ。あくまでも、仮にだぞ。その時は、必死になって止める奴がいると思うぞ」
え、それってお父さん?それともお兄ちゃんたち?あ、もしかして私?
グレッグはゴホンと咳払いした。
「まあとにかくだな、エラのことは心配いらないってことだ。えー、それでだな。俺は今23になって、クラリスよりも10歳近くも年上なわけだが。クラリスは、あー、そのー、何だ。えーっと、その、あと3ヶ月で成人するのか?」
「うん」
「あー、その、えー、恋人とかはいるのか?」
「恋人?」
「いやその、恋人というか、好きな人、というか」
ドキッと心臓が音をたて、口から飛び出してゴロゴロと床を転がっていく‥‥‥ところだった。
危ない、危ない。
グレッグが立ち上がってベッドに座る私の前に膝を付き、私の手を握った。
「俺はさ、クラリス。ずっと待ってた子がいるんだよ」
藍色の瞳と目が合うと、吸い込まれそうになった。
「初めて会った時はまだ、子どもだったから、ずっと見守って待ってたんだ。なるべく、ここに来られるように仕事を志願してさ。毎年綺麗になって眩しくなっていく姿を見守っていた子がいるんだ。大切に思っていたから、ずっと、大きくなるのを楽しみにしていたんだけど、その子が自分のことをもう大人だっていうんだけど、どう思う?」
え、それって、私のこと?もしかして、もしかするとお姉ちゃん?
私の頭は混乱してぐるぐる回りっぱなし。
「クラリス?」
「わ‥‥‥わかんにゃい」呂律が回らない。「わかんにゃいもん」
「クラリス‥‥‥、俺のこと、好き?っていうか、好きになってくれそうな可能性ある?」
私の心臓はズンドコズンドコ大きな音を立てて、部屋中をゴムボールみたいに跳ね回っている。
グレッグも私もゆでダコみたい。ズンドコズンドコゆでダコがゴムボールに変身して部屋中を暴れまわっている。
「す、好きとか、よく分からないんだもん~~~」
プシューッつと私の頭から蒸気が吹き出した。まるで蒸気機関車のようにドッドッドと私の心臓が勢いよく耳から飛び出して走り出した!
「そ、それにもう、心臓病か気鬱の病で死んじゃうかもしれない~もう、もう、部屋に帰りたいよ~~~!!!」
私は目を回して倒れてしまった。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
嘘つきは眼鏡のはじまり
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私、花崎ミサは会社では根暗で通ってる。
引っ込み思案で人見知り。
そんな私が自由になれるのは、SNSの中で〝木の花〟を演じているときだけ。
そんな私が最近、気になっているのはSNSで知り合った柊さん。
知的で落ち着いた雰囲気で。
読んでいる本の趣味もあう。
だから、思い切って文フリにお誘いしたのだけど。
当日、待ち合わせ場所にいたのは苦手な同僚にそっくりな人で……。
花崎ミサ
女子会社員
引っ込み思案で人見知り。
自分の演じる、木の花のような女性になりたいと憧れている。
×
星名聖夜
会社員
みんなの人気者
いつもキラキラ星が飛んでいる
ミサから見れば〝浮ついたチャラい男〟
×
星名柊人
聖夜の双子の兄
会社員
聖夜とは正反対で、落ち着いた知的な雰囲気
双子でも、こんなに違うものなんですね……。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
【完結】結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが
Rohdea
恋愛
結婚式の当日、花婿となる人は式には来ませんでした───
伯爵家の次女のセアラは、結婚式を控えて幸せな気持ちで過ごしていた。
しかし結婚式当日、夫になるはずの婚約者マイルズは式には現れず、
さらに同時にセアラの二歳年上の姉、シビルも行方知れずに。
どうやら、二人は駆け落ちをしたらしい。
そんな婚約者と姉の二人に裏切られ惨めに捨てられたセアラの前に現れたのは、
シビルの婚約者で、冷酷だの薄情だのと聞かされていた侯爵令息ジョエル。
身勝手に消えた姉の代わりとして、
セアラはジョエルと新たに婚約を結ぶことになってしまう。
そして一方、駆け落ちしたというマイルズとシビル。
二人の思惑は───……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる