上 下
6 / 24

6 私、病気かもしれません‥‥‥しょぼん

しおりを挟む
まずは調査だよね。

お姉ちゃんに直球で聞く?
ちょっとおっかないけど。
なんかいい方法ないかな~~?

いや、私だってね。お年頃なんだよ。15歳になったら結婚できるんだから。
恋人いたっていいんだよ。いやん。

でもね、そう、まず自分から考えてみるか。

いっつも邪魔されるの。
お父さんとか、大兄ちゃんとか、サム兄ちゃんとか。
何となく私のこといいなと思ってくれている人がいたとしても、誰かが止めに入って終わっちゃうんだよね。
まだ未成年だからっていうのもあるし、まあ、ピンと来る人もいないからいいんだけどさ。

私はまぶたの裏に浮かんだグレックの金髪と藍色の目を頭から追い払った。
からね!
ほんとだもん!

自分のことじゃなかった。
じゃあ、キューピット?すればいいの?
何だか難易度上がってない?難しいなあ。

うーん、うーん‥‥‥

はっ!閃いた!
やっぱりここは近くにいる大人の女の人に聞くべきじゃないの???
いるじゃん、夜に営業にくるお姉さんたち!!
あのお姉さん達、女の人のプロって感じがしない?
たまーに会うと優しくしてくれるし、話を聞いてみたらいいんじゃないの?

そうだよね、ここはプロの力を借りるべきよ。
どんどん閃いちゃって私天才かもしれない。

夜になるのが待ち遠しい。
私は肩の荷がすっかり降りて、ルンルンワクワクしてお姉さんたちのくるのを待ちわびてたんだ。



夕方になると、騎士団のお客さん達がやってきた。
第七騎士団の皆さんはうちの宿がある東地区に3ヶ月に一度巡回している。
うちの宿のある東地区は北方への入り口になっていて、後方地区の最前線だ。北方は辺境伯様が守っているけれど、その隣にある東地区は王直轄地区であり、定期的な情報収集が行われている。
王国有数のダンジョンもあり、名を揚げたい冒険者達にもうってつけの地区なんだって。

お姉ちゃんがちょっとおっかないけどお客さん用のいい笑顔で対応する。
今日の騎士団のお客さんは10人か。後ろからこっそり探りを入れる。

みんな騎士団の制服を着ているが一人だけ、すぐに誰だか分かった。
すらっと背が高く金髪を後ろで束ねた美丈夫グレックだ。
私の心臓がものすごい勢いで跳ねた。

なんだかわからないけど急に心臓病になったみたいだ。
そういえば、八百屋のジョンのおばあちゃんが心臓が悪いって言ってたっけ。
身近な病気だから私がなってもおかしくない。
それとも花屋のミーシャがかかった気鬱の病かもしれない。
ミーシャは大兄ちゃんを見ると発作が起きて、息が苦しくなって顔が赤くなって話せなくなっちゃうんだって。
やばいよね、それ。

エラが部屋の鍵を渡すと、常連さん達は勝手知ったるなんとやらで部屋に荷物を置きに行ってしまった。
その時、一瞬グレッグの切れ長の瞳が私を見て、目があった・・ような気がした。
多分、心臓が止まった、気がする。
 
もうこれはやばい、死ぬかもしれない。
そのうちジョンさんの婆ちゃんみたいに一日中ロッキングチェアで居眠りしているか、ミーシャみたいに言語障害が出る気がしてならない。
こどもの頃からいなかったお母さんは心臓が悪かったのかもしれない。
お父さんに聞いても兄ちゃん達もお姉ちゃんも教えてくれないのはそういうことだったのか‥‥‥


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

母になる、その途中で

ゆう
恋愛
『母になる、その途中で』 大学卒業を控えた21歳の如月あゆみは、かつての恩師・星宮すばると再会する。すばるがシングルファーザーで、二人の子ども(れん・りお)を育てていることを知ったあゆみは、家族としての役割に戸惑いながらも、次第に彼らとの絆を深めていく。しかし、子どもを愛せるのか、母親としての自分を受け入れられるのか、悩む日々が続く。 完璧な母親像に縛られることなく、ありのままの自分で家族と向き合うあゆみの成長と葛藤を描いた物語。家庭の温かさや絆、自己成長の大切さを通じて、家族の意味を見つけていく彼女の姿に共感すること間違いなしです。 不安と迷いを抱えながらも、自分を信じて前に進むあゆみの姿が描かれた、感動的で温かいストーリー。あなたもきっと、あゆみの成長に胸を打たれることでしょう。 【この物語の魅力】 成長する主人公が描く心温まる家族の物語 母親としての葛藤と自己矛盾を描いたリアルな感情 家族としての絆を深めながら進んでいく愛と挑戦 心温まるストーリーをぜひお楽しみください。

少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。

ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。 なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。 妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。 しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。 この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。 *小説家になろう様からの転載です。

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

女嫌いな騎士団長が味わう、苦くて甘い恋の上書き

待鳥園子
恋愛
「では、言い出したお前が犠牲になれ」 「嫌ですぅ!」 惚れ薬の効果上書きで、女嫌いな騎士団長が一時的に好きになる対象になる事になったローラ。 薬の効果が切れるまで一ヶ月だし、すぐだろうと思っていたけれど、久しぶりに会ったルドルフ団長の様子がどうやらおかしいようで!? ※来栖もよりーぬ先生に「30ぐらいの女性苦手なヒーロー」と誕生日プレゼントリクエストされたので書きました。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

憧れの騎士さまと、お見合いなんです

絹乃
恋愛
年の差で体格差の溺愛話。大好きな騎士、ヴィレムさまとお見合いが決まった令嬢フランカ。その前後の甘い日々のお話です。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

処理中です...