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44 【番外編2】どうしてこうなった? 5
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「目にクマができておるぞ」
「誰のせいだよ、誰の」
はて、誰のせいであろう。全く見当もつかぬな。
「怒ってばかりでは、健康にも良くないのだぞ」
そう、カルシウム不足ではないのか?小魚を食すが良い。
ギロリ!リーランドは私を睨み付けると、
「で・ん・か!早く常識を学んでくださいよ。一般常識!」と言い出した。
そもそも、一般常識とはなんなのだ。
軍のような人手不足の組織で何を学べるというのか。
大体トイレすら自分で流しているというのに。
それだけではない。私はできた王族だから最近は自分一人で洗顔や着替えができるようになったのだぞ?
それ以外は‥‥‥そう!筋力がついたのだ。
もう筋肉ダルマになる日も遠くはあるまい。
「20‥‥‥21‥‥‥22‥‥‥」ぱったり。も、もう、無理‥‥‥
「おい、200回だって言っただろ」
リーランドは私に腹筋と背筋200回を申し付けると自分はさっさと自分のトレーニングに取り掛かる。
「‥‥‥500」
幻聴か。
倒れて動けなくなっている私の腹をグリグリと足先で踏み、ほら、早くしろよとせっついてくる。
む、無理。
死んだはずのおばーさまがそこに‥‥‥
「早くやれよ」
ああ、おばあさまが笑顔で手を振っていらっしゃる‥‥‥
「いいからやれっつってんだろ」
グエエ。
「23‥‥‥24‥‥‥25‥‥‥」ばたん。
「お、おばあさま、ここから連れて行ってください~~~」
「しょうがねーなー、今日は無理か」
さっきから無理だって言ってんだろ!!
できた主人の私であろうと怒鳴りあげたくなったが、筋肉痛のため、怒鳴ることすらできなかった。くそぅ。
まあ、このように筋肉ダルマになる日も遠くない私ではあるが、たまには息抜きが必要だ。
美しすぎる金髪に茶色の粉をかけ、地味になるように変装し、街に遊びに行くことにした。
これを「忍び」というのだぞ?
ふふん。
特に誰に止められることもなく、以前ローリアにもらった髪を染める粉で茶色の髪を作り上げ、堂々と街中に出かけて行った。
もしや、この筋肉質な体つきを見た街の者に警らの者だと思いこまれて、頼られてしまうかもしれぬな?
全く何をやってもでき過ぎてしまう私だから。
意気揚々と街に出かけていく。
初めて一人で歩く街は、どこをどうみたらいいのかもわからないが、多くの人が行き交い、活気に満ちていた。
街を歩く人々の喧騒、笑い声、ざわめき。商店の掛け声。
うむ、悪くない。
夕暮れ時の街は急ぐ者やゆっくりと買い物を楽しむ者、それぞれの時間を楽しみ、慈しんでいるような気配が漂っている。
「いらっしゃい、いらっしゃい!!孕み腹様ご懐妊祝いの特別割引だよ!」
「孕み腹様ご懐妊をお祝いして新商品を開発したよ!」
「ほら、パンの中にパンがあるっていう新商品だよ!名付けて、『孕みパン』!」
「‥‥‥」
ルーリクが懐妊した?
まさか‥‥‥
まだ、あの断罪の日より三月も経ってはおらぬではないか。
私はいつも氷のような冷たい目で私を拒否していたルーリクの姿を思い出した。
「婚姻前の性的接触はご法度ですよ。」
ルーリクの声がどこかから聞こえてくる。
「そこの兄ちゃん!目出度いね!国の繁栄を約束する孕み腹様ご懐妊祝い記念時計はどうだね?!」
遠くから声が聞こえてくる。
私の足元にあった地面はどんどん崩れ始めているようだ。
人々の声もどんどん遠ざかっていく。
「帰るぞ」
とん、と私の肩に手を置いた者がいた。
振り向くと、温かな茶色の瞳が私を見つめていた。リーランドだった。
「誰のせいだよ、誰の」
はて、誰のせいであろう。全く見当もつかぬな。
「怒ってばかりでは、健康にも良くないのだぞ」
そう、カルシウム不足ではないのか?小魚を食すが良い。
ギロリ!リーランドは私を睨み付けると、
「で・ん・か!早く常識を学んでくださいよ。一般常識!」と言い出した。
そもそも、一般常識とはなんなのだ。
軍のような人手不足の組織で何を学べるというのか。
大体トイレすら自分で流しているというのに。
それだけではない。私はできた王族だから最近は自分一人で洗顔や着替えができるようになったのだぞ?
それ以外は‥‥‥そう!筋力がついたのだ。
もう筋肉ダルマになる日も遠くはあるまい。
「20‥‥‥21‥‥‥22‥‥‥」ぱったり。も、もう、無理‥‥‥
「おい、200回だって言っただろ」
リーランドは私に腹筋と背筋200回を申し付けると自分はさっさと自分のトレーニングに取り掛かる。
「‥‥‥500」
幻聴か。
倒れて動けなくなっている私の腹をグリグリと足先で踏み、ほら、早くしろよとせっついてくる。
む、無理。
死んだはずのおばーさまがそこに‥‥‥
「早くやれよ」
ああ、おばあさまが笑顔で手を振っていらっしゃる‥‥‥
「いいからやれっつってんだろ」
グエエ。
「23‥‥‥24‥‥‥25‥‥‥」ばたん。
「お、おばあさま、ここから連れて行ってください~~~」
「しょうがねーなー、今日は無理か」
さっきから無理だって言ってんだろ!!
できた主人の私であろうと怒鳴りあげたくなったが、筋肉痛のため、怒鳴ることすらできなかった。くそぅ。
まあ、このように筋肉ダルマになる日も遠くない私ではあるが、たまには息抜きが必要だ。
美しすぎる金髪に茶色の粉をかけ、地味になるように変装し、街に遊びに行くことにした。
これを「忍び」というのだぞ?
ふふん。
特に誰に止められることもなく、以前ローリアにもらった髪を染める粉で茶色の髪を作り上げ、堂々と街中に出かけて行った。
もしや、この筋肉質な体つきを見た街の者に警らの者だと思いこまれて、頼られてしまうかもしれぬな?
全く何をやってもでき過ぎてしまう私だから。
意気揚々と街に出かけていく。
初めて一人で歩く街は、どこをどうみたらいいのかもわからないが、多くの人が行き交い、活気に満ちていた。
街を歩く人々の喧騒、笑い声、ざわめき。商店の掛け声。
うむ、悪くない。
夕暮れ時の街は急ぐ者やゆっくりと買い物を楽しむ者、それぞれの時間を楽しみ、慈しんでいるような気配が漂っている。
「いらっしゃい、いらっしゃい!!孕み腹様ご懐妊祝いの特別割引だよ!」
「孕み腹様ご懐妊をお祝いして新商品を開発したよ!」
「ほら、パンの中にパンがあるっていう新商品だよ!名付けて、『孕みパン』!」
「‥‥‥」
ルーリクが懐妊した?
まさか‥‥‥
まだ、あの断罪の日より三月も経ってはおらぬではないか。
私はいつも氷のような冷たい目で私を拒否していたルーリクの姿を思い出した。
「婚姻前の性的接触はご法度ですよ。」
ルーリクの声がどこかから聞こえてくる。
「そこの兄ちゃん!目出度いね!国の繁栄を約束する孕み腹様ご懐妊祝い記念時計はどうだね?!」
遠くから声が聞こえてくる。
私の足元にあった地面はどんどん崩れ始めているようだ。
人々の声もどんどん遠ざかっていく。
「帰るぞ」
とん、と私の肩に手を置いた者がいた。
振り向くと、温かな茶色の瞳が私を見つめていた。リーランドだった。
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