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26 結びついたあとは
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金色の光はしばらく光り輝いていたが、強くなったり弱くなったり収縮を繰り返し、結局俺たちの右手の下、つまり心臓の上に音も無く吸い込まれていった。
ただ、それだけ。
よく見ると、心臓の上あたりに金色の紋様のようなものがペタッとくっ付いていた。
3センチくらいかな?
特に変わったこともないが、なんとなく、クラウスとより深くつながったような気がする。
本当に何となく、気分だけだけど。
クラウスは花が開いたような笑顔を浮かべると、「ありがとう」とつぶやいた。
それは、俺に対していった言葉、というより、思わず漏れ出た言葉のような。
「へへへ、これで、婚姻成立なのか?」
俺が少し照れくささを隠しながら言うと、クラウスは俺をぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう。僕のたった1人の人。愛してます。永遠に」
「俺もだよ。愛してるよ。ずっと前からな」
これからはちゃんと伝えてやらないとな、また大泣きされたら困るし。なんてな。
クラウスは立ち上がり、「じゃ、新居に移動しますか」とさらっと言いやがった。
聞いてませんけど?
とりあえず、俺たちは昨夜から部屋に篭りきりだし、そろそろ俺の家族も心配するだろうと部屋を出て、家族に俺たちが婚姻したことを伝えることにした。
父上は俺の婚姻を聞くと、「我が家の末っ子が‥‥‥」と言って大泣きした。
母さまは「そうなると思ってましたよ」とにっこり笑った。
横にいるクラウスから「本当にそっくりなんだ」という呟きが聞こえてきたが、聞こえなかったことにしてやろう。
兄貴達は4人もいるからまあそれぞれだが、全体的には「落ち着くところに落ち着いたんだろ」的なことを言われた気がする。何となくクラウスにビビってる感じだし。
クラウスは、今すぐに自分の離宮に連れて帰りますぐらいの勢いだったが、家族全員が止めたので思い留まった。
父上の例もあるし、甘い顔見せたら二度と会えなくなるかもしれないからな。
一人で我が家を出て、自分の離宮に帰る時には死にそうな顔してたけど、婚姻紋も結んだしさ、なんかあったらお互いにすぐわかるらしい。
あとひと月は家で家族とゆっくり過ごし、それからクラウスの離宮に引っ越すことにした。
まあ、ほら、俺だってちょっとゆっくりしたいじゃん?断罪まで色々忙しかったしさ。
せっかくだから離れて暮らす恋人期間を一度くらいは経験してみたいんだよ。
なんか楽しそうじゃん?
うちの家族は俺の態度が以前からバレバレだったり、実はクラウスが前から俺と婚姻させてくれって内々に申し込んであったりしたし、しかも昨夜から俺たちがどったんばったんくんずほぐれつしていたせいで何をやってたのかもわかっていたから、まあ、よかったね?的なぬるい祝福ムードだったが、王城はそうはいかなかった。
国王陛下は「2代続けて取り逃がした(呆然)」と言って泣きながら王城に半旗を掲げさせたり、レイモンドは「婚約破棄の破棄」するって大騒ぎしたりしたらしい。
半旗ってなんだよ、失礼だな。まあレイモンドはバカだしな。
ただ、それだけ。
よく見ると、心臓の上あたりに金色の紋様のようなものがペタッとくっ付いていた。
3センチくらいかな?
特に変わったこともないが、なんとなく、クラウスとより深くつながったような気がする。
本当に何となく、気分だけだけど。
クラウスは花が開いたような笑顔を浮かべると、「ありがとう」とつぶやいた。
それは、俺に対していった言葉、というより、思わず漏れ出た言葉のような。
「へへへ、これで、婚姻成立なのか?」
俺が少し照れくささを隠しながら言うと、クラウスは俺をぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう。僕のたった1人の人。愛してます。永遠に」
「俺もだよ。愛してるよ。ずっと前からな」
これからはちゃんと伝えてやらないとな、また大泣きされたら困るし。なんてな。
クラウスは立ち上がり、「じゃ、新居に移動しますか」とさらっと言いやがった。
聞いてませんけど?
とりあえず、俺たちは昨夜から部屋に篭りきりだし、そろそろ俺の家族も心配するだろうと部屋を出て、家族に俺たちが婚姻したことを伝えることにした。
父上は俺の婚姻を聞くと、「我が家の末っ子が‥‥‥」と言って大泣きした。
母さまは「そうなると思ってましたよ」とにっこり笑った。
横にいるクラウスから「本当にそっくりなんだ」という呟きが聞こえてきたが、聞こえなかったことにしてやろう。
兄貴達は4人もいるからまあそれぞれだが、全体的には「落ち着くところに落ち着いたんだろ」的なことを言われた気がする。何となくクラウスにビビってる感じだし。
クラウスは、今すぐに自分の離宮に連れて帰りますぐらいの勢いだったが、家族全員が止めたので思い留まった。
父上の例もあるし、甘い顔見せたら二度と会えなくなるかもしれないからな。
一人で我が家を出て、自分の離宮に帰る時には死にそうな顔してたけど、婚姻紋も結んだしさ、なんかあったらお互いにすぐわかるらしい。
あとひと月は家で家族とゆっくり過ごし、それからクラウスの離宮に引っ越すことにした。
まあ、ほら、俺だってちょっとゆっくりしたいじゃん?断罪まで色々忙しかったしさ。
せっかくだから離れて暮らす恋人期間を一度くらいは経験してみたいんだよ。
なんか楽しそうじゃん?
うちの家族は俺の態度が以前からバレバレだったり、実はクラウスが前から俺と婚姻させてくれって内々に申し込んであったりしたし、しかも昨夜から俺たちがどったんばったんくんずほぐれつしていたせいで何をやってたのかもわかっていたから、まあ、よかったね?的なぬるい祝福ムードだったが、王城はそうはいかなかった。
国王陛下は「2代続けて取り逃がした(呆然)」と言って泣きながら王城に半旗を掲げさせたり、レイモンドは「婚約破棄の破棄」するって大騒ぎしたりしたらしい。
半旗ってなんだよ、失礼だな。まあレイモンドはバカだしな。
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