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第一幕〜リュカ〜

42 12歳 兄の誘惑 ※※

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俺は兄の誘惑には勝てない。
兄の唇が触れた瞬間、弟妹もイネスも、俺たちの世界から消え去った。
この世に生きてるのは二人だけ。
兄の優しい手が俺を引き寄せると、まるで磁石がくっつくように兄に吸い寄せられていく。

「あ・・・」でも。わずかに残った理性のかけらが遠くで鐘を鳴らす。
「にいちゃん、誰かに見られたらまずいんじゃ・・・」
兄は喉の奥でくくっと笑った。
「見られてもいいだろ」
「だって」
「もう報告する相手がいないんだから」

それだけ言うと、俺の体をぐいっと引き寄せ、同時に兄の舌が侵入してきた。
蜂蜜のように甘い兄の舌に吸い付くと、もう他のことはどうでもよくなった。
兄の舌先が俺の口の中をつんつんと突き、探りながら侵入してくる。
ふわふわと浮き上がらないように兄にしがみつくと、兄の舌が口腔の奥深くをざらりと舐め、俺の口からは喘ぎ声が漏れた。

長い時間、溺れるようなキスを交わす。
頭の中では金色の小さな光が生まれては飛び散り、光のかけらに埋もれかけていた。
兄が俺の頬、首筋から喉へと舌を這わせると、俺の喉からは笑い声がこぼれた。

どれだけ時間が経ったのか分からない。
子犬のようにじゃれあって、シャツもズボンもしわくちゃになってしまった。
気がつくと、書斎の奥にある簡易ベッドの上で兄のキスを味わっていた。

(また背が伸びたんだ。それに、筋肉も前よりついてきた感じがする)

俺は兄のシャツの中に手を滑らせ、兄の筋肉を手のひらで味わった。
指先に伝わる熱のせいか、手がくっついてしまったように離せない。
なめらかな肌が心地よい。

「リュカ」

兄は俺のシャツの胸元を開け、首筋に吸い付くようにキスの雨を降らせてくる。

「なんで、こんなにどこもかしこも甘いんだ」

首筋を甘噛みしながら、俺のシャツをはだけ、こわれものにでも触るようにそっと乳首に触れた。
頭の先から足の先まで、目もくらむほどの電流が勢いよく走り抜ける。

「あっ・・・!!!」

他のところとは全然違う感覚に全身が震えだした。
頭の中までかき回されるほどの衝撃に、これ以上耐えられないと、ぎゅっとつま先に力を入れた。
自分がどこに向かっているのかも分からない。いましていることが正しいことなのか分からない。
でも、やめてほしくない。
止められない。

これは、閣下が母にしていたこと?
このふれあいには続きがあるの?
もしかして、この先にはもっと、恐ろしいほどの快感が待っているの?
体の底からぞくぞくと何かが湧き上がってくる。
俺の体の中心は熱くなり、このまま弾け飛んでしまいそうだ。

「にいちゃん・・・」

兄を呼ぶと、兄は荒い息を吐きながら俺から離れようとした。
でもその指先は未練がましく、俺の腹の上から乳首をゆっくりと触り、そして首筋から顎をさまよっていた。

「俺、俺・・・」

どうしたらいいのか、わからない。ただ本能のおもむくままに俺の熱くたぎった中心を兄の腰に擦りつけるように押し付けた。

「はっ、ああっ・・・」

腰を揺らすと先端からもたらされる刺激はどんどん強くなり、声が漏れる。
自分の声が漏れて恥ずかしくて仕方ないのに、どうしても止めることができなかった。

「はあっ・・・、にいちゃん。おかしくなる・・・!!!」

勢いを増す腰の動きに兄の雰囲気も変わってきた。
兄の目が獣のように光り、俺をじっと見つめている。頬は紅潮し、息は荒く、興奮しているようだ。
兄の体温がどんどん高くなっていく。
このまま兄に溶け込んでしまいたい。強すぎる快感に頭がおかしくなりそうだ。
俺は兄に腰を押し付けて叫ぶように兄を呼んだ。

「にいちゃん、にいちゃん・・・」
「リュカ、リュカ・・・」

兄は耐えられないとでも言うように、また俺を引き寄せた。
大きなてのひらが全身を撫で回し快感を引き出していく。
尻たぶを強く揉まれ、乳首を噛まれた瞬間、何かが弾け飛んだ。

「あっ・・・」

目の前に光が舞い、全身に力が入り、ぶるぶると震えた。
たまらず兄にしがみついた時、兄も興奮しているのがわかった。

(ああよかった。俺だけじゃなかった)

胸の奥が甘くうずき、つい口元がほころんだ。身体の力が空気に溶け込み、そのまま兄の腕の中で眠り込んでしまった。


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