179 / 247
3 ヒロインへの道
175 湖の浄化
しおりを挟む
まずは瘴気穴の浄化からだ。
この間は魔物化したカニに弾かれちゃったけど、今回は大丈夫。だってもう魔物化したカニがいないもんね!
さっき板で水をせき止めてもらっていたので、瘴気穴の周辺には水がなくなっていた。
「今から、先ほどの聖女様の力を込めた水晶をここに入れて、祈りを送ります。おそらく、それで十分浄化できると思いますので、聖女様はお休みください」
えー?もう仕事終わってんの?
なんか、やる気出したのになあ。肩透かしを食らったみたい。
ジョセフに促されて、おとなしく後ろに下がっていると、リカルドが私が力を込めた水晶を一つ取り出した。
「とりあえず、一つでいいか」
ボソッと呟くと、瘴気穴に水晶を放り投げ、両手を広げると大声で叫んだ。
「大地よ!聖なる御霊がこの土地に降りたり!聖なるお力を借り、この地を浄化せよ!!」
うわっ!いきなり、ノリノリじゃん!
と思ったら、瘴気穴からリカルドの声に応えるように、光が溢れ出してきた。
そしてその光はどんどん広がり、強くなり弱くなり、また強い光となり、そして静かに消えていった。
「え、すご・・・」
なんでそんなことができるの?もしかして、もしかしてリカルドって単なる変態じゃなくってすごい人だったってこと?
「序の口ですよ」リカルドが振り返り、ドヤ顔で笑った。
・・・これがなければ、すごい人かもね。
「さあ次ですよ!」
リカルドも調子出てきたみたい。
「ケチケチしないで全部使ってしまいましょう!聖女様が力を込めてくださった水晶を全部使います。私が湖に水晶を投げ入れて、祈りを込めますので、そのタイミングで聖女様も力を湖の中にまっすぐに入れるイメージで放ってください。用意はいいですか?」
「もちろん!」
「湖は広いので、できる限りのお力を出してください。ただし、倒れない程度に、ですよ?」
「任せて!」
私は答えると同時に、気を集め始めた。
休んだおかげで気力体力十分!
頑張ればきっと、湖が浄化されて元の綺麗な湖に戻るはず。そう、男爵領の湖みたいに!
鳥の声や虫の音。風の音や波の音に癒されるようなそんな場所に必ず戻れる!
私に向かってどんどんと気が集まってくる。
今までよりも体が軽い。さあ、みんな手伝って!一緒に頑張ろう!!
そう思った瞬間、すごいいきおいで気が流れ込んできた。
どんどん私に気が流れ込み、身体中から力が湧き上がってくる。
気の塊はもう両手では抱えきれない。でも、なぜか持てる。そしてそのまま大きくなり、私を金色な光が取り巻いた。
「水の精霊よ!聖なる御霊より清らかな力を受け、この地を浄化せよ!」
リカルドの声が響き、水晶を投げ入れたのが分かった。今だ!
私は思いっきり力を込めて湖の中央に向かって光の玉を送った。
光の玉は音もなく湖の上を走りながら、水面に吸い込まれていく。
そして、湖の中央付近でその姿が消えた。
次の瞬間。
ぱらぱらぱら・・・
花火が夜空に舞い散るような音を響かせながら、水面が金色に染まり出した。
ぱらぱらぱら・・・
金色の光はどんどん大きくなり、湖全体を覆っていく。
ざばあーーーーーーーーー!!!!
湖中央から光と水の柱が立ち、湖一帯を金色に照らした。
湖のほとりにいる私たちも全員金色に染まる。
「うわあ・・・、すげー」
誰かが呟いた。
「ちょっとやりすぎたかもしれませんね?」
リカルドが私にそっと囁いた。
「そうなの?うん、そうかも。でも害はないんでしょ?」
「うーん、多分健康になっちゃうかなってところですね」
「健康?」
「この地の浄化力が高まって、恵み豊かな湖になり、そして湖に住む魚を食べた人が健康になっちゃうような感じですかね?」
「あはは、じゃ、いっか」
湖を輝かせていた金色の光は少しずつ弱くなっていった。
そして、湖の中央に金色の大きな魚が跳ね上がり、水の中にまた消えていった。
(主様、いたんだ。汚染されていたのかな。浄化されたみたい。よかった)
私はみんなを振り返ると、にっこりと笑った。
「浄化できたみたいです。よかった」
この間は魔物化したカニに弾かれちゃったけど、今回は大丈夫。だってもう魔物化したカニがいないもんね!
さっき板で水をせき止めてもらっていたので、瘴気穴の周辺には水がなくなっていた。
「今から、先ほどの聖女様の力を込めた水晶をここに入れて、祈りを送ります。おそらく、それで十分浄化できると思いますので、聖女様はお休みください」
えー?もう仕事終わってんの?
なんか、やる気出したのになあ。肩透かしを食らったみたい。
ジョセフに促されて、おとなしく後ろに下がっていると、リカルドが私が力を込めた水晶を一つ取り出した。
「とりあえず、一つでいいか」
ボソッと呟くと、瘴気穴に水晶を放り投げ、両手を広げると大声で叫んだ。
「大地よ!聖なる御霊がこの土地に降りたり!聖なるお力を借り、この地を浄化せよ!!」
うわっ!いきなり、ノリノリじゃん!
と思ったら、瘴気穴からリカルドの声に応えるように、光が溢れ出してきた。
そしてその光はどんどん広がり、強くなり弱くなり、また強い光となり、そして静かに消えていった。
「え、すご・・・」
なんでそんなことができるの?もしかして、もしかしてリカルドって単なる変態じゃなくってすごい人だったってこと?
「序の口ですよ」リカルドが振り返り、ドヤ顔で笑った。
・・・これがなければ、すごい人かもね。
「さあ次ですよ!」
リカルドも調子出てきたみたい。
「ケチケチしないで全部使ってしまいましょう!聖女様が力を込めてくださった水晶を全部使います。私が湖に水晶を投げ入れて、祈りを込めますので、そのタイミングで聖女様も力を湖の中にまっすぐに入れるイメージで放ってください。用意はいいですか?」
「もちろん!」
「湖は広いので、できる限りのお力を出してください。ただし、倒れない程度に、ですよ?」
「任せて!」
私は答えると同時に、気を集め始めた。
休んだおかげで気力体力十分!
頑張ればきっと、湖が浄化されて元の綺麗な湖に戻るはず。そう、男爵領の湖みたいに!
鳥の声や虫の音。風の音や波の音に癒されるようなそんな場所に必ず戻れる!
私に向かってどんどんと気が集まってくる。
今までよりも体が軽い。さあ、みんな手伝って!一緒に頑張ろう!!
そう思った瞬間、すごいいきおいで気が流れ込んできた。
どんどん私に気が流れ込み、身体中から力が湧き上がってくる。
気の塊はもう両手では抱えきれない。でも、なぜか持てる。そしてそのまま大きくなり、私を金色な光が取り巻いた。
「水の精霊よ!聖なる御霊より清らかな力を受け、この地を浄化せよ!」
リカルドの声が響き、水晶を投げ入れたのが分かった。今だ!
私は思いっきり力を込めて湖の中央に向かって光の玉を送った。
光の玉は音もなく湖の上を走りながら、水面に吸い込まれていく。
そして、湖の中央付近でその姿が消えた。
次の瞬間。
ぱらぱらぱら・・・
花火が夜空に舞い散るような音を響かせながら、水面が金色に染まり出した。
ぱらぱらぱら・・・
金色の光はどんどん大きくなり、湖全体を覆っていく。
ざばあーーーーーーーーー!!!!
湖中央から光と水の柱が立ち、湖一帯を金色に照らした。
湖のほとりにいる私たちも全員金色に染まる。
「うわあ・・・、すげー」
誰かが呟いた。
「ちょっとやりすぎたかもしれませんね?」
リカルドが私にそっと囁いた。
「そうなの?うん、そうかも。でも害はないんでしょ?」
「うーん、多分健康になっちゃうかなってところですね」
「健康?」
「この地の浄化力が高まって、恵み豊かな湖になり、そして湖に住む魚を食べた人が健康になっちゃうような感じですかね?」
「あはは、じゃ、いっか」
湖を輝かせていた金色の光は少しずつ弱くなっていった。
そして、湖の中央に金色の大きな魚が跳ね上がり、水の中にまた消えていった。
(主様、いたんだ。汚染されていたのかな。浄化されたみたい。よかった)
私はみんなを振り返ると、にっこりと笑った。
「浄化できたみたいです。よかった」
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。

不憫なままではいられない、聖女候補になったのでとりあえずがんばります!
吉野屋
恋愛
母が亡くなり、伯父に厄介者扱いされた挙句、従兄弟のせいで池に落ちて死にかけたが、
潜在していた加護の力が目覚め、神殿の池に引き寄せられた。
美貌の大神官に池から救われ、聖女候補として生活する事になる。
母の天然加減を引き継いだ主人公の新しい人生の物語。
(完結済み。皆様、いつも読んでいただいてありがとうございます。とても励みになります)

悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

想い合っている? そうですか、ではお幸せに
四季
恋愛
コルネリア・フレンツェはある日突然訪問者の女性から告げられた。
「実は、私のお腹には彼との子がいるんです」
婚約者の相応しくない振る舞いが判明し、嵐が訪れる。

家族と移住した先で隠しキャラ拾いました
狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
「はい、ちゅーもーっく! 本日わたしは、とうとう王太子殿下から婚約破棄をされました! これがその証拠です!」
ヴィルヘルミーネ・フェルゼンシュタインは、そう言って家族に王太子から届いた手紙を見せた。
「「「やっぱりかー」」」
すぐさま合いの手を入れる家族は、前世から家族である。
日本で死んで、この世界――前世でヴィルヘルミーネがはまっていた乙女ゲームの世界に転生したのだ。
しかも、ヴィルヘルミーネは悪役令嬢、そして家族は当然悪役令嬢の家族として。
ゆえに、王太子から婚約破棄を突きつけられることもわかっていた。
前世の記憶を取り戻した一年前から準備に準備を重ね、婚約破棄後の身の振り方を決めていたヴィルヘルミーネたちは慌てず、こう宣言した。
「船に乗ってシュティリエ国へ逃亡するぞー!」「「「おー!」」」
前世も今も、実に能天気な家族たちは、こうして断罪される前にそそくさと海を挟んだ隣国シュティリエ国へ逃亡したのである。
そして、シュティリエ国へ逃亡し、新しい生活をはじめた矢先、ヴィルヘルミーネは庭先で真っ黒い兎を見つけて保護をする。
まさかこの兎が、乙女ゲームのラスボスであるとは気づかづに――

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

君を愛することは無いと言うのならさっさと離婚して頂けますか
砂礫レキ
恋愛
十九歳のマリアンは、かなり年上だが美男子のフェリクスに一目惚れをした。
そして公爵である父に頼み伯爵の彼と去年結婚したのだ。
しかし彼は妻を愛することは無いと毎日宣言し、マリアンは泣きながら暮らしていた。
ある日転んだことが切っ掛けでマリアンは自分が二十五歳の日本人女性だった記憶を取り戻す。
そして三十歳になるフェリクスが今まで独身だったことも含め、彼を地雷男だと認識した。
「君を愛することはない」「いちいち言わなくて結構ですよ、それより離婚して頂けます?」
別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。
そして離婚について動くマリアンに何故かフェリクスの弟のラウルが接近してきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる