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番外編15 勇太 やさぐれ勇太
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前回に引き続き、男女のラブシーン(映画の中)に関する記載があります。
登場人物ではありませんが、とっても苦手な方はご注意ください。
**************************************************
さっきまでずっと上の空だった壮介は、目の前で俳優たちが絡み始めた途端、画面に釘付けになった。
画面に広がっているのは、俳優たちのラブシーン。
アクション映画は男性向けに作っているせいか、この手のシーンが入っていることが多い。
ジェームズボンドは必ず違う女優とエッチすることになってるもんな?お約束なんだよ。
それはわかっていたけど、壮介が女優に釘付けになる姿は結構きつかった。
(やっぱり、女の子の方がいいのかな。)
俺は自分のペタンコの胸を見下ろした。
当たり前だけど、女の子みたいなおっぱいはない。
いらないけど、壮介が好きだと思うと、胸が痛む。
自分で努力してもどうにもならないことを考えると、どうしても苦しい。
(早送りしたいけど、それも不自然か)
オレは画面に釘付けになっている壮介にあえて気づかないふりをした。
さっきまでの楽しかった気分は完全になくなっていた。
壮介はオレに触りたいとか、思わないのかな。
オレは手が触れただけでも嬉しくなるし、本当は手を繋いでみたい。
外が無理なら部屋の中だけでもいいんだけど。
それにいつかはキスもしてみたいし・・・まだ、早いかな。引かれちゃったら、凹むな。
いつだってオレの心は堂々巡りだ。
さっき壮介が開けた窓からは、金木犀の香りが漂ってくる。
ここにくるときは、その香りが幸せを運んでくれたのに、今はオレたちを隔てる象徴みたいな気がして、心に穴が空いたような気がした。
ラブシーンなんて見慣れてるし?それが何か?って顔を取り繕う。
本当は、壮介に見せたくない。
他の人なんて見ないでほしい。女でも男でも。オレだけを見てほしいって思うのは贅沢だよな。
そんなのわかってる。でも辛いんだ。
目の前の画面では、いつの間にかラブシーンは終わり、ラストに向かって派手なアクションシーンが展開されている。
車が転がって、派手に炎上しているが、ストーリーに集中することは、もうできない。
そのうちビルが炎上して、ヘリから飛び降りるんだろ。
焼けちまえ。
ちょっとやさぐれてきた。
壮介は相変わらず画面に集中しているようだし、楽しんでいるようだ。
なんか、ムカつく。
オレがこんなに悲しんでるのに、なんでこいつこんなにフツーなの?
一応かもしれないけど、オレの恋人なんじゃないの?なんでオレじゃなくて画面ばかり見てるんだよ。
なんだか腹が立ってきた。
オレは壮介の目を両手で覆って画面を見せないようにしてやりたいと思う。もちろんそんなことできないけど。
楽しんでる壮介の邪魔をするのは気がひける。
ただ、想像の中だけでも邪魔してやれ!
オレはぎゅっと目をつぶった。
やってられるか!
想像の中のオレは、壮介の目を後ろから覆う。
「いたずらっ子だな、勇太は♡」
壮介がオレのことを優しくつつく。
「だってぇ、壮介が構ってくれないから。さみしくってぇ」
そんなこと言えるわけない。
夢の中のオレ、すごいな。
まあ、夢だからな。
よし、甘えちゃえ!
「壮介、オレだけ見てよ。女優なんか見ないで」
「お前だけだよ、勇太♡」
きゅいん。なんかオレの中の何かが変な音を立てた。
「お・れ・も♡」
おおっ!すごい、すごいぞオレ!恥ずかしげもなくよく言えるな?
なんか夢の中ならいけちゃうかも?
「ねえ、壮介、ちゅーしよ?」
「もちろんいいよ、勇太♡」
オレは唇を突き出した。
「壮介、好き・・・」
ちゅ
あれ?
感触?
オレがこわごわと目を開けると目の前には・・・リアル壮介?
なんで?
目の前の壮介は完全に固まっていた。
目を見開き、呆然とオレを見下ろしている。
「・・・え・・・?」
何が起こったのかわからない。
寝落ちしたオレを起こそうとしたのか、ベッドにでも寝かせようとしたのか。
なぜかわからないが、オレの目の前に壮介の顔があった。
ど、どうしよう。
何が起こったのかわからないけど、とにかく謝らないと!
「ご、ごめ・・・」
オレが謝ろうと口を開いた瞬間、オレの体はふわりと浮き、なにか柔らかいものの上に投げ出された。
え、なに?ベッド?なに?なに?どうゆうこと?
え?え?え?
混乱したままのオレの目の前いっぱいに壮介の顔が広がって・・・オレの唇は何か柔らかいものに塞がれた。
え?なにが起こってるの?
もしかして、これがキス?
オレ、壮介にキスされてんの?
え?まさか。
え?本当に?
嘘だろ~~???
登場人物ではありませんが、とっても苦手な方はご注意ください。
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さっきまでずっと上の空だった壮介は、目の前で俳優たちが絡み始めた途端、画面に釘付けになった。
画面に広がっているのは、俳優たちのラブシーン。
アクション映画は男性向けに作っているせいか、この手のシーンが入っていることが多い。
ジェームズボンドは必ず違う女優とエッチすることになってるもんな?お約束なんだよ。
それはわかっていたけど、壮介が女優に釘付けになる姿は結構きつかった。
(やっぱり、女の子の方がいいのかな。)
俺は自分のペタンコの胸を見下ろした。
当たり前だけど、女の子みたいなおっぱいはない。
いらないけど、壮介が好きだと思うと、胸が痛む。
自分で努力してもどうにもならないことを考えると、どうしても苦しい。
(早送りしたいけど、それも不自然か)
オレは画面に釘付けになっている壮介にあえて気づかないふりをした。
さっきまでの楽しかった気分は完全になくなっていた。
壮介はオレに触りたいとか、思わないのかな。
オレは手が触れただけでも嬉しくなるし、本当は手を繋いでみたい。
外が無理なら部屋の中だけでもいいんだけど。
それにいつかはキスもしてみたいし・・・まだ、早いかな。引かれちゃったら、凹むな。
いつだってオレの心は堂々巡りだ。
さっき壮介が開けた窓からは、金木犀の香りが漂ってくる。
ここにくるときは、その香りが幸せを運んでくれたのに、今はオレたちを隔てる象徴みたいな気がして、心に穴が空いたような気がした。
ラブシーンなんて見慣れてるし?それが何か?って顔を取り繕う。
本当は、壮介に見せたくない。
他の人なんて見ないでほしい。女でも男でも。オレだけを見てほしいって思うのは贅沢だよな。
そんなのわかってる。でも辛いんだ。
目の前の画面では、いつの間にかラブシーンは終わり、ラストに向かって派手なアクションシーンが展開されている。
車が転がって、派手に炎上しているが、ストーリーに集中することは、もうできない。
そのうちビルが炎上して、ヘリから飛び降りるんだろ。
焼けちまえ。
ちょっとやさぐれてきた。
壮介は相変わらず画面に集中しているようだし、楽しんでいるようだ。
なんか、ムカつく。
オレがこんなに悲しんでるのに、なんでこいつこんなにフツーなの?
一応かもしれないけど、オレの恋人なんじゃないの?なんでオレじゃなくて画面ばかり見てるんだよ。
なんだか腹が立ってきた。
オレは壮介の目を両手で覆って画面を見せないようにしてやりたいと思う。もちろんそんなことできないけど。
楽しんでる壮介の邪魔をするのは気がひける。
ただ、想像の中だけでも邪魔してやれ!
オレはぎゅっと目をつぶった。
やってられるか!
想像の中のオレは、壮介の目を後ろから覆う。
「いたずらっ子だな、勇太は♡」
壮介がオレのことを優しくつつく。
「だってぇ、壮介が構ってくれないから。さみしくってぇ」
そんなこと言えるわけない。
夢の中のオレ、すごいな。
まあ、夢だからな。
よし、甘えちゃえ!
「壮介、オレだけ見てよ。女優なんか見ないで」
「お前だけだよ、勇太♡」
きゅいん。なんかオレの中の何かが変な音を立てた。
「お・れ・も♡」
おおっ!すごい、すごいぞオレ!恥ずかしげもなくよく言えるな?
なんか夢の中ならいけちゃうかも?
「ねえ、壮介、ちゅーしよ?」
「もちろんいいよ、勇太♡」
オレは唇を突き出した。
「壮介、好き・・・」
ちゅ
あれ?
感触?
オレがこわごわと目を開けると目の前には・・・リアル壮介?
なんで?
目の前の壮介は完全に固まっていた。
目を見開き、呆然とオレを見下ろしている。
「・・・え・・・?」
何が起こったのかわからない。
寝落ちしたオレを起こそうとしたのか、ベッドにでも寝かせようとしたのか。
なぜかわからないが、オレの目の前に壮介の顔があった。
ど、どうしよう。
何が起こったのかわからないけど、とにかく謝らないと!
「ご、ごめ・・・」
オレが謝ろうと口を開いた瞬間、オレの体はふわりと浮き、なにか柔らかいものの上に投げ出された。
え、なに?ベッド?なに?なに?どうゆうこと?
え?え?え?
混乱したままのオレの目の前いっぱいに壮介の顔が広がって・・・オレの唇は何か柔らかいものに塞がれた。
え?なにが起こってるの?
もしかして、これがキス?
オレ、壮介にキスされてんの?
え?まさか。
え?本当に?
嘘だろ~~???
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