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Day 3 お祭り忍者?
しおりを挟む「偵察ってわけにはいかなそうだな、オイ」
透がそんな軽口を言っていると、アリスが状況を告げる。
『追われているのは、耳の長い種族のようです。ユイちゃんとは違って特徴は耳だけにようです。追ってきている動物は、魔物と言うものでしょうか?ものすごい大きい虎のような動物で角があります。』
「エルフさんです。追ってきてるのはダブルホーンタイガーです、一頭だとシルバーランクですが群れだとゴールドランクなのですです。」
アリスの言葉を受けて、ユイが補足説明をすると、透が食いついた。
「おおお! エルフですか、ソーですか?! テンション上がるねー!」
「何興奮してるのよ! ゴールドランクの魔物よ! 気をつけないと!」
「へいへい、ではでは先手必勝と! アリス、虎の群れにターゲットロック、炸裂弾を威力中くらいで打つから、いいぐらいで四ヶ所くらいロックオンしてくれ」
『了解しました、範囲攻撃ロックオンします』
「よし、桜一旦ストップ! 銃構えて、ターゲットを俺に制御させてくれ!」
そう言うと、二人はブレーキをかけ一瞬後輪のブレーキを緩め横に滑らせる、横向きにバイクを停車させた二人は、銃を構える。カタカタと現代のグロッグに似た形の銃が現れる。
『桜ちゃんの制御をマスターに渡します、接敵します』
アリスの声とともに、二人はトリガーを引く、閃光が短く尾を引いて虎の群れに降り注ぐ。瞬間、爆発音が響き渡り4、5メートルはあろうかという虎が乱れ飛んだ。
「たーまーやーってね、よっしゃ残りは手分けして殲滅だ!」
と言っても、もう動ける虎は2、3頭しかいないのだが……。
まずは、意表をついて、ユイが出た、獣人の瞬発力と身体強化の術で、それこそマッハ如く一頭に飛びかかり獣化するや否や鋭く伸びた爪で十字切りにする。
「ガオオオオ!!!…おおん?」
「あ、戻った、ユイ、かーいー」
残った二頭のうち一頭が二人にめがけて走って来るが、さっとバイクを降り桜が居合の型をとる。
「一ノ太刀、虚無幻影の剣」
静かにつぶやくが否や、桜が抜刀する、今回は本気なのか、試験のときとは違い青白く光った剣の残影が虎の身体を二分する。突如何が起こったかもわからないまま、虎は身体を二つに分け、絶命する。
「やべぇ! また何もしないで終わっちゃうじゃん! 俺も行くゼーット!」
厨二病全開で透は、速度も全開でエルフの方へ向った虎を追う音速に近いスピードで近づいた透は、そっと手刀を虎の首へと当てる。音速の加速度を伴った手刀の衝撃で虎の首はあらぬ方に曲がり絶命する。
「悪く思うなよ。虎よ」
そう言うと透はエルフに近付き
「大丈夫かい? エルフさん?」
「おお、助かったでござるよ」
「えええ! エルフがござるって武士なの?」
顔を上げたエルフは金髪で美麗な顔立ち、スラッとした所謂モデル体型の女性だった、残念な言葉遣い以外は完璧だった。
三人はエルフさんを連れバイクの所に戻って、バックから水を出し飲み始める。エルフも最初は透明の入れ物に入った水を見て驚いていたが、のどが渇いていたのか普通に飲みだした。
「なんで追われていたのかしら? 一人で近づくなんて危ないじゃない」
「面目ない、拙者、シルバーの冒険者アリエルと申す。三人で偵察依頼を受けて、魔物溜まりを偵察していたのでござるが、突然近くのダブルホーンタイガーの群れが暴れ出しこっちに向かって来たのでござるよ、何体かは倒したのでござるが三人では無理でござった。で、散り散りに逃げたのでござる。」
「ね? やっぱ武士なの? それとも忍者?」
「コラ! ハットリくんじゃないんだからね! ニンニンとか言ってないし!」
昭和世代にはやはり藤子アニメなのである。
「忍者は分からないでござるが、助かったでござるよ」
「良かったです、トールさんたちのおかげなのです」
「いやまあ、俺たちも魔力溜まりに偵察に行くところなんだけど、ついでに他の二人も助けられれば助けに行こう」
「そうね、じゃあエルフさんは私の後ろに乗って!」
「んじゃま、近くまで行きますか!」
透たちは再びエンジンをかけギアをローに落とす。音にエルフがまたビックリするが気にせず後ろに載せ発進する、と桜がいきなりウイリーをかました。
「うぎゃああああ!」
エルフの悲痛な叫び声が加速とともに遠ざかる。
「ご愁傷様。」
そう透は言うとユイを乗せてアクセルを開ける。
「桜! 魔力溜まりの近くに丘のような高台はあるか聞いてくれ」
透はエルフから偵察できる場所を聞き出す。
「近くに偵察していた丘があるそうよ」
一行はその丘を目指して進んでいった。ちなみに三人はユイも通信具があるのでオートバイに乗っていても普通に会話は可能なのだ。
一行は丘につき、バイクを降りた。透は慣れた手付きで丘の一角に四人が潜れそうな穴をアリスに出してもらったスコップで掘り出す。
「なんかいきなり普通な感じで穴掘り出してるけど何なのよ?」
「いや隠れんだよ、魔物に見つかるだろ、伏せとけ! 穴掘りは新兵の役目なんだよ」
「よくわかんないけどわかったわ」
程なく穴を掘り、地面に耐熱シートをしきみんなを潜り込ませ偽装シートをかぶる。
「なんだか馴れてるわね? 謎だわ?」
苦笑いをしながら透は双眼鏡を三人に渡す。程なくして偵察が始まる。
「魔力溜まりだけじゃなく、追われてる人も注意して見てくれ」
そう言い、双眼鏡を覗き込むと
「うわ、すげえ事になってんな?!」
魔力溜まりを見た透は絶句した
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