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王都編

26(カミラside)

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 門番から追い出され王城へすら近づけなくなったカミラは、一度、王都に有る男爵家へ戻る事にした。

「おかしいわね…わたくしは選ばれし令嬢の筈だわ。それなのに男爵と言うだけで追い出される何て…(それにランフォース様は既に他国の姫と婚姻が結ばれて居た?そんな馬鹿な)」

 馬車で戻りながらも次なる一手を打つべく屋敷の自室に籠り計画を立てる事にした。

「お返りなさいませ、お嬢様」

「あら、王都にも執事を置いて下さってたのね。侍女も居るのなら紅茶を私室に用意して下さる?少し調べものをしたいから図書は多少は置いて居ましたわよね?」

「はい。王立図書館には及びませんが、屋敷での保有としては多く持って居るかと」

「じゃあ紅茶をお願い」

「畏まりました」

 ランフォースが駄目なら他国の王子を狙うか…とも考えるのだが、やはり諦めきれず第二夫人の座でも構わないから選ばれたいと願おうかと思った。

 王子の婚姻が決まったからと言う理由で、アリアが王都へ呼びつけられた事だけがしゃくさわる。

 どうせなら何か・・・そう、舞踏会でも開いてくれれば、アリアの命を亡き者に出来るのに…と黒く淀んだ思いが溢れて行く。

「そうよ…直接、手を下して居れば王都まで追いかける必要もランフォース様から門前払いを食らう事も無かったのよ」

 考えが纏まると同時に紅茶が運ばれて来る。

「お嬢様、紅茶をお持ちしました」

「あら、有難う」

 コポコポと暖かな紅茶がカップに注がれ口に含めば黒くなって居る思いすら、浄化される…訳も無かった。

 ニヤリ・・・と何かを思いついたカミラは

「暫く調べものをするから下がって居て良いわ」

 と侍女を下がらせ、図書の中から薬草や毒草が掲載されて居る書物を抜き出して行き、味は変わる事なく毒性の強い草を厳選して行った。

「屋敷周辺で毒草が有る場所…と言ったら森しか無いわね。そうなると散歩に行く、と見せかけ探すしか無いかしら」

 見つけた毒草…毒ウ○ギ。

 最強クラスの毒草で無味無臭、しかも美味しいらしい、と書かれて居る文献に行き当たり描かれて居る花を覚える。

「これで…これでアリアに復讐できるわ」

 復讐と言って居るが、アリアがカミラに意地悪をした訳でも何かをした訳でも無い。

 だがカミラに取ってアリアは、王子に呼び出された憎き相手と言う認識が間違った解釈へといざなって居た。

 花粉ならば粉状なので、ハンカチで包み持ち歩いたとしても気付かれる事は無いだろう。

 元の位置に本を戻し、何を調べて居たのか気づかれないよう隠蔽工作をしておく。

 万が一、アリアが死亡し疑いを掛けられたとしても証拠が無い状態にしたのだ。

「ふふふ…選ばれし令嬢を蔑ろにした王家は、わたくしを選ばなかった事を後悔して頂くわ」

 暴走してしまったカミラを誰も止める事が出来なかった
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