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マリース・アースドロイト

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「はぁ…」
「…レイ?どうしたの?疲れてるの?」
私はため息をついたレイを見上げた。
「マリースぅ…癒して…」
「え…ひゃあ!!」
レイは私に抱きついてきた。
「マリース…今度…戦争があるんだ」
「戦…争?」
…戦うの?
…私…戦いは嫌い…
競争も…
誰かが勝てば…誰かが負ける
誰かが喜んで…誰かが悲しむ
…そんなの…嫌
「マリース。…マリースは戦いは嫌?」
「大嫌いですわ!!」
「僕もだよ。だけど…いつかは必ず戦わなくてはならないんだ」
「…レイが…王子様…だから?」
「そう。よく知ってるね。僕は第一王子…だけどそれと同時に兵を指揮する者でもあるんだ。だから僕は戦争があったら必ず行かなくてはならない」
…指揮をする…者
「が…頑張って…」
「そんな震える声で言われてもね」
「だ…だって…」
指揮をする者って…とても…狙われやすいんじゃ…
「大丈夫。僕の兵達は強いし絶対に負けない。マリースがいる限り帰ってこないとね」
「レイ…」
私はレイに優しく抱きついた。
頑張って…とは言えない
だって…本当は行ってほしくない
私のそばにいて欲しい…
「…だいぶ先だろうけど…マリースは混乱すると思って先に伝えたんだけど…大丈夫そう?」
「…頑張りますわ…レイのために…」
「どうして僕のため?」
「…レイ…私が泣いていたりしたら…心配でしょう?」
「…マリースが泣いてたら心配よりも怒るかな?」
「レイには…集中していてほしいから」
「そういうこと…じゃあ今はマリースを満喫してていいかな?」
「…え?」
「丁度いいクッションもあるしね」
…クッション
私のお胸!?
「い…いやぁぁぁぁぁ!!」
私はすぐに離れてメイドの影に隠れた。
「レ…レイのバカ!!」
「マリースから抱きついてきたんだけどね~」
「バカバカバカ!!」
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