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マリース・アースドロイト

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「殿下っ!!これ私が作ったんですの!!食べてください」
「私のも!!」
「私も!!」
…はぁ
レイはモテますわね…
私は作りながら女子に囲まれているレイを見てため息をついた。
「ごめんね。マリースの付き添いで来てるから」
ギロッ
…あ~あ
何してくださいますの…
レイを囲んでいた女子の視線が全て私に向いた。
「レイ。これでも食べて黙ってて」
私は作ったシュークリームをレイの口に突っ込んだ。
「むぐっ!?…甘…何これ?」
「シュークリームですわ」
「シュー…何?」
「創作菓子とでも言っておきます」
前世のお菓子ですしね
「へ~マリース…料理の才能あるんだね」
「これはお菓子作りですけどね」
元々パティシエから教わっていましたし
料理は三ツ星レストランの料理長でしたし
他の方よりかは出来るとは思いますけど…
「で…何作ってるの?」
「クロカンブッシュですわ。本来は結婚式などで頂くものですが…調理学の生徒数は多いので1個1個を飾り付けするよりこの方がいいと思って…」
「凄いね。マリース」
「はぁ…引っ付かないで。抓るわよ?」
「怖い怖い…」
「もう…」
私は出来上がったクロカンブッシュをテーブルに置いた。
「皆様で食べてくださいな」
「ありがとうございます!!」
平民の子達は正直ですのね…
それより材料があって良かったですわ…
材料などは前世と同じで助かりましたわ…
「マリース。僕の分は?」
「…これでいいですの?」
私は冷蔵庫からチョコレートを出した。
「チョコレート?」
「ボンボンショコラにスティックチョコレートですわ。テンパリング大変だったんですからね」
「テンパリング?」
「え…テンパリングですわよ?知りませんの?」
「何それ?」
え…
テンパリングが無いだなんて…
「とりあえず頂くよ」
パクッ
「…チョコレートが滑らか…何したの?」
「ですからテンパリングですわ」
「分からないよ…」
「テンパリングは口では説明できませんの。体で覚えるしかありませんから」
テンパリングを覚えるにはかなりの時間を費やしましたわ…
「マリース。凄い凄い」
「…だから小さい子扱いするなですの!!」
む~
レイに撫でられて私は頬を膨らませた。
「次は何作るの?」
「まだ作らせる気ですの!?」
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