上 下
46 / 155
マリース・アースドロイト

44

しおりを挟む
「…マリース?殿下がまた来てくれたわよ?」
「追い返して」
私はあの日からレイを避けた。
なんか…信じられないな
レイにずっと騙されてたなんて…
「…マリース…大丈夫か?」
「お父様…大丈夫ですわ…明日には学園に戻りますわ」
「そうだった!!マリース!!寮やめよう!!邸に戻ってこい!!」
「寮に戻ったらお手紙書きますわ」
「マリースぅぅぅぅ!!」
うるさいですわ
私は窓を開けて窓枠に座った。
「この空は私の(前世の)お父様とお母様のいる所には繋がっていないのよね…」
遠すぎる
お父様達のところまでは…
殺される時…少し怖かった
死に対する恐怖なんて抱かないって思ってたのに…
「お父様…お母様…私が殺される場面を見て…どう思いました?馬鹿な娘だと…思いました?」
だって私は…クラスメイトを助けようとして自分から犯人のところに行ったんだもの
数人は怪我させてしまったわ
「お父様…お母様…私はマリースとしてここにいますわ。いつか…会いたいですわ…」
もう1度…
もう1度だけ会えるのなら…
私は素直になって感謝しよう
『育ててくれてありがとうございました。幸せでした』
って…
人を…信用するってことがどれだけ重要なことかやっと分かった
簡単に信用してはいけないのだわ
人を見極める目を持たなくては…
凛奈さんみたいな方を…もう2度と出させたりしないわ
しおりを挟む

処理中です...