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西園寺 真由華

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「真由華様。御機嫌よう」
「御機嫌よう。優香ゆかさん」
私は…とても充実した生活を送っていた。
優しい両親、親しい友達
有り余るほどのお金
…まぁお金はそこまで要らないのだけれど…
「真由華様!!」
「あら秀仁しゅうとさん。御機嫌よう」
「僕と付き合ってください!!」
「何度もお断りしたはずです。私は両親のために恋愛をします。ですので私が選ぶ権利はないのです」
「そんな!!真由華様!!」
「…鬱陶しいですわね。真由華様」
「えぇ…でもあれほどのしつこさを持っているのなら…役立つ所もたくさんあるのでしょう」
「まぁ…真由華様はお心が広い!!」
私の取り巻き達は次々に私を褒めた。
授業…
「正解です。流石は西園寺財閥のご令嬢」
「ありがとうございます」
先生までもが私を褒めた。
その時だった。
ガラッと教室の扉が開き覆面の男性が数人銃を構えて入ってきた。
銃刀法違反という法律を知らないのかしら…
「西園寺財閥の娘はどこだ!!」
狙いは私ですか…
「真由華様。ここは護衛に任せて逃げましょう?」
「…そうね。私達に出来ることはなさそうだし…恵梨えりさん。行きましょう」
私と数人の取り巻き達はコソコソと避難経路を通って学園を出た。
「クラスの皆様を置いてきてしまいましたわ…」
「狙いは真由華様なのです。真由華様が逃げないでどうするのですか」
「…戻りますわ」
「え!?」
「真由華様!!」
「クラスの皆様を置いて逃げるなど私には出来ませんわ」
私はそう言って戻ったのはいいのだが…
数分後…お父様とお母様の目の前で殺された…
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