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学園あ〜んど修羅場

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「…39度8分。高熱ね…」
「あぅ…昨日…というか今日までネットサーフィンしてたのがいけなかったのかな…」
「多分…というか絶対原因それだろ」
「夜はちゃんと寝なきゃダメだよ?」
「分かってるんだけど…気になっちゃって」
私はベッドに寝転び手を額に当てた。
「あつい…とける…」
「春斗くんと秋斗くん、冬真くんはもうそろそろ学校の時間じゃない?」
「僕お姉ちゃんと一緒にいるよ。成績は入って数カ月で何とかしたし」
「…冬真くん相変わらずの…天才っぷり…」
「俺たちは行くか」
「授業用のノートとかないと不便でしょ?」
「助かる…」
春斗くん達が出ていくとママはぬるくなってしまった水を持って立ち上がった。
「もう少し熱が下がるようだったら病院に行って下がらないようだったら先生を呼びましょうか」
「え…注射される…やだ。却下」
「ダメよ。解熱剤と…あとフルーツも買ってこなくちゃいけないわね」
「あ。それ僕が行くよ。お姉ちゃんの看病したいし」
「そう?じゃあよろしくね。冬真くん」
冬真くんはママからお財布とカバンを受け取ると部屋を出て行った。
ママは私のベッドのすぐ隣に洗面器を置くと水で濡らしたタオルを額に置いた。
「きもち…」
「冷え〇タも必要ね。脇の下に貼るのよ?おでこに貼るんじゃなくて。おでこはただ気持ちいいだけなんだから」
「分かってる…」
…あ。そういや…華に話したいことあったんだった
「よいしょっと…」
私はお財布とスマホだけを持って窓から抜け出した。
まぁ私のパジャマはパジャマに見えないし
…だってロリータ服やもん
この格好なら見られてもまぁなんとかなるよ
リーチェとしては性別と顔は公開してるし
私はすぐにタクシーを拾って学園へ向かった。

「ちなちゃん!?」
「あ。春斗くんやほ~今体育の授業中?」
「そうだけど…なんでいるの!?」
「なんだ?春斗。どうした?は!?ちな!?」
春斗くん達の声を聞きつけて人が集まってきてしまった。
はぁ…仕方ない
「…皆様ごきげんよう。リーチェと申しますわ」
すると様々な方向からざわめきが聞こえてきた。
「ち……リーチェ様。今日は何故ここに?」
…華
見事に察してくれたね
「少しあなたに用がありますの」
「私に…ですか?」
華は目で私に語りかけてきた。
…1ファンとして呼び出すのか四葉華として呼び出すのか
…そういうことでしょ?
「えぇ。四葉華だからこそのことよ」
私はそう小声で呟いた。
「それでしたら…喜んで」
華はすぐに私について来てくれた。

「…何?熱あるんじゃなかったの?」
「熱はもちろんあるよ~39度8分」
「帰って寝なさい」
「…華。椎名としての時もリーチェとしての時も…なるべく友人らしさは無くして」
「今のはいいの?」
「いいの。私時々ファンと個人的に会ったりするから」
「うわぁ…贔屓…」
「違う違う。私の携帯小説時代…つまり無名時代の頃から贔屓にしてくれてる人たちへのお礼。大体の人が小説家だから交流会って名目で会ってるの」
私はスマホを取り出して連絡先の登録した人を見せた。
「うわぁ…ほんと…売れっ子の人ばっか」
「…この仕事してると意外と人脈って作れるもんだよ」
「要件は終わった?なら早く帰って休んで」
「え~…もう少し回っていこうかなって思ってたんだけど…お店も見に行きたいし」
「…熱上がらない?」
「大丈夫。いつもの事だから慣れてるっ!!解熱剤飲めばなんとかなるっ!!」
「…飲んだの?」
「飲んでないっ!!…あれ?」
「薬局行きなさいっ!!」
「うん。行ってくる~」
私は華と別れていろんな所を回ってから家に帰った。

「千夏!!」
「ひゃいっ!!」
「熱があるのにどこに行っていたの!!冬真くんにも探しに行ってもらったんだから!!」
「ごめんなさい…」
私は帰ってきてすぐにママに怒られた。
そしてすぐにベッドに行くように言われた。
「え…寝たくない。仕事…」
「今日ぐらいは大丈夫でしょう?」
ママは私を強制的に寝かせると冷えピタを貼られた。
う…出かけるために外したのに
「…おやすみなさい。千夏」
「おやすみ…ママ」
私は(多分寝れないけど)目を閉じた。
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