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「…結菜!!」
「ひゃぁぁ!!」
私は即座にパパの前から逃げ出した。
だっていつもの甘々と違って般若みたいなんだもん!!
「捕まえた!!」
「うわぁん!!」
ごめんなさいぃぃ!!
謝るから許してぇぇ!!
パパは私を抱えたまま近くの椅子に座った。
「…結菜。誰から教えてもらった?」
「…ひっく…言わな…いもん…」
「…ひろくん」
ビクッ
「…なんだね?」
「…ち…違うもん…」
「結菜1人じゃ考えられないもんね?入学書を結菜の手紙に見せかけてパパにサインとハンコまでさせるなんてね?」
「うわぁん!!だって…パパそうしないと…学校行かせてくれないもん!!」
「…学院ならいいって前から言ってるよね?」
「学院じゃひろくんいないもん…」
私がそう言うとパパは私を抱く手を強くした。
「ねぇ…結菜。そのひろくんって結菜の何なの?」
「友達」
「…本当に?」
「パパ…手痛い…」
「…ごめんね。パパ熱くなりすぎたよ…ごめん…痛いよね。『治癒』」
パパは魔法で手の跡を消した。
「結菜」
「ん?」
「もし…好きな人が出来たらパパに教えてくれる?」
「うん!!ひろくん!!」
私が即答するとパパは固まった。
「そっか…そうなのかぁ…」
「あとね…パパとママとメイドさんと執事さんと…騎士さんと…」
「…待って。結菜…好きな人って…」
「皆大好き!!」
「あ…うん…結菜は結菜のままだったね…」
…どういう意味でしょう?
「結菜。変わらないでよ?」
「何が?」
「…何でもない」
何が変わらなければいいの…?
言ってくれないとわかんないよ?

「…ってことがあったの」
私は手元のカップを持った。
「やっぱりなぁ…俺いつか結菜の父さんに消されるんじゃね?」
「ん~大丈夫だと思うよ。パパ結菜のこと好きだし」
私がそう言うとひろくんは真剣な顔をした。
「…結菜…お前本当は全部分かってんだろ」
「何が?」
「いつもわかんないって顔してるけどな…お前の口から出てくる言葉は違う。幼さではなく真実ばかりだ。なぜ演技をする?」
私はカップを置いた。
「…捨てられたくないから」
「は?」
「…私ね。1度死んでるの」
「…転生か?」
「そう。これはまだパパ達にも話してないんだけど私の前世は地球に生まれたただの小学生。体育の授業中に熱中症で死んじゃった」
「…それと何の関係がある?」
「前世の私はね…結構頭良かったの。でも周りの人はそれを認めてくれなかった。異分子だったんだよ。よく言うでしょ?天才は変人でもあるって」
私はカップを強く握った。
「…いじめられることはなかったけど完全にハブられちゃった。別によかったんだけど…心は少しずつ傷ついてたみたいだね。1回リストカットしようとしてた。その時はカッターを当てる寸前で何やってんだろって思えたから大丈夫だったけど…今世の家族に嫌われたら私は…壊れるよ」
前世の家族は私を褒めてはくれなかった
従兄弟達は私を変なものでも見る目で見てた
幼い頃からそんなことを理解してしまうから…心は傷つくんだ
「…なるほどな」
「ひろくんはこんな私を嫌う?」
「いや。面白いと思うけどな。…でも文字を覚えるのは遅いよな」
「うっさい!!知らない文字なんだから仕方ないでしょ!!」
「結菜の場合は人の心をつくのに長けているって感じだな」
「ひろくんはその頭脳だよね。というか私…人の心につけこんでる?」
「まぁな。溺愛されてんならお前の理想通りにいってるってことだ」
…ならいっか
「…ありがと」
「何が?」
「何でもない」
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