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「エリーナ。おいで」
「…何ですの?」
私は嫌々傍に寄った。
「誕生日おめでとう」
そう言ってローレン様は小包を渡してくれた。
「…誕生日…忘れていましたわ。今日だったんですの」
「自分の誕生日だよね?迂闊に忘れちゃダメだよ」
「必要ありませんもの」
…歳をとるごとに刺客が増えるだけでしたもの
ここに来てからはなかなか狙われなくなりましたけれど
私は手元の小包を開けた。
「…髪飾りですの?」
「アクセサリーとかだとなんか薬とか入れられそうだったからね」
「…もう少し尖らせたら暗器として使えるかしら」
「こらこら。そのまま使うんだよ」
「…このまま?ただの拷問ですわよ?」
「本来の使い方をしなさい」
…髪飾りは緊急時に暗器に早変わりするものではありませんの?
お母様にそう教わりましたわ?
「…貸して。つけてあげる」
「…ありがとうですわ」
私はローレン様に髪飾りをつけてもらった。
「どう…です?」
「可愛いよ。似合ってる」
ローレン様は私の額にキスをした。
…こういう方でしたっけ?
スキンシップが多い気がしますわ
「これからはなるべく傍にいるように努力するから」
「嫌ですわ」
私はすぐに拒否した。
…のだがそれから毎日執務室にも呼ばれるようになってしまった。
そして数日経ったある日…
「エリーナ様。新しいメイドを紹介してもよろしいでしょうか?」
「えぇ。いいわ」
…何故今増えるのかしら?
何かこれから大きな仕事なんてあったかしら
「エリーナ!!」
メイド長の裏から現れたメイドは私に飛びついてきた。
「ぶ…無礼者!!」
「エリーナ…エリーナ…会いたかった…」
「やめなさい!!こら!!離れなさい!!」
メイド長はそのメイドを叱りつけた。
だ…誰ですの!!
この失礼なメイドは!!
「エリーナ…覚えてない?アイラだよ…やっと転生出来たの…」
「…アイラ…アイラ様!?嬉しいですわ!!また会えましたわ!!」
私の顔には久しぶりに笑顔が浮かんでいた。
「えへへ。ちょっと時間かかっちゃったけどちゃんと帰ってきたでしょ?」
「えぇ!!…アイラ様」
「ん?」
「大好きですわ!!もう離しませんわよ!!」
私はアイラ様に抱きついて頬ずりした。
「きゃぁ!!あはは~エリーナくすぐったいって~」
「エリーナ。随分と明るくなってみたいだね」
「昔のようだ…エリーナ…」
いつの間にかメイド長はいなくなり代わりにローレン様とお父様がいた。
「お父様!!ローレン様!!」
「…エリーナの記憶で見るよりもいい感じのおじ様…」
…え
「あの…アイラ…様?」
「…私…タイプかも…」
「あの…アイラ…様…」
アイラ様はぼーっとしてこちらの声が聞こえていないようだった。
「アイラ様!!聞いてくださいませ!!」
「ふぇ!?」
「お父様は私のお父様ですの!!アイラ様がお父様のお嫁さんになるなんて許しませんわよ!!」
「待って…エリーナ…それ婚約する前に聞きたかった…父様泣くよ?泣いていい?」
「気持ち悪いからやめてくださいませ」
「エリーナ…おかえり」
お父様は浮かんできた涙を拭って私を抱きしめた。
「…そういえば国はいいんですの?」
「少しだけ抜けてきたんだよ。娘にも会いに行けないなんて父親失格だからね」
「…その前に国王失格の気がしますわ」
「エリーナ。それ言っちゃダメ」
…誰かに連絡入れますか
私はそう心に決めた。
「…何ですの?」
私は嫌々傍に寄った。
「誕生日おめでとう」
そう言ってローレン様は小包を渡してくれた。
「…誕生日…忘れていましたわ。今日だったんですの」
「自分の誕生日だよね?迂闊に忘れちゃダメだよ」
「必要ありませんもの」
…歳をとるごとに刺客が増えるだけでしたもの
ここに来てからはなかなか狙われなくなりましたけれど
私は手元の小包を開けた。
「…髪飾りですの?」
「アクセサリーとかだとなんか薬とか入れられそうだったからね」
「…もう少し尖らせたら暗器として使えるかしら」
「こらこら。そのまま使うんだよ」
「…このまま?ただの拷問ですわよ?」
「本来の使い方をしなさい」
…髪飾りは緊急時に暗器に早変わりするものではありませんの?
お母様にそう教わりましたわ?
「…貸して。つけてあげる」
「…ありがとうですわ」
私はローレン様に髪飾りをつけてもらった。
「どう…です?」
「可愛いよ。似合ってる」
ローレン様は私の額にキスをした。
…こういう方でしたっけ?
スキンシップが多い気がしますわ
「これからはなるべく傍にいるように努力するから」
「嫌ですわ」
私はすぐに拒否した。
…のだがそれから毎日執務室にも呼ばれるようになってしまった。
そして数日経ったある日…
「エリーナ様。新しいメイドを紹介してもよろしいでしょうか?」
「えぇ。いいわ」
…何故今増えるのかしら?
何かこれから大きな仕事なんてあったかしら
「エリーナ!!」
メイド長の裏から現れたメイドは私に飛びついてきた。
「ぶ…無礼者!!」
「エリーナ…エリーナ…会いたかった…」
「やめなさい!!こら!!離れなさい!!」
メイド長はそのメイドを叱りつけた。
だ…誰ですの!!
この失礼なメイドは!!
「エリーナ…覚えてない?アイラだよ…やっと転生出来たの…」
「…アイラ…アイラ様!?嬉しいですわ!!また会えましたわ!!」
私の顔には久しぶりに笑顔が浮かんでいた。
「えへへ。ちょっと時間かかっちゃったけどちゃんと帰ってきたでしょ?」
「えぇ!!…アイラ様」
「ん?」
「大好きですわ!!もう離しませんわよ!!」
私はアイラ様に抱きついて頬ずりした。
「きゃぁ!!あはは~エリーナくすぐったいって~」
「エリーナ。随分と明るくなってみたいだね」
「昔のようだ…エリーナ…」
いつの間にかメイド長はいなくなり代わりにローレン様とお父様がいた。
「お父様!!ローレン様!!」
「…エリーナの記憶で見るよりもいい感じのおじ様…」
…え
「あの…アイラ…様?」
「…私…タイプかも…」
「あの…アイラ…様…」
アイラ様はぼーっとしてこちらの声が聞こえていないようだった。
「アイラ様!!聞いてくださいませ!!」
「ふぇ!?」
「お父様は私のお父様ですの!!アイラ様がお父様のお嫁さんになるなんて許しませんわよ!!」
「待って…エリーナ…それ婚約する前に聞きたかった…父様泣くよ?泣いていい?」
「気持ち悪いからやめてくださいませ」
「エリーナ…おかえり」
お父様は浮かんできた涙を拭って私を抱きしめた。
「…そういえば国はいいんですの?」
「少しだけ抜けてきたんだよ。娘にも会いに行けないなんて父親失格だからね」
「…その前に国王失格の気がしますわ」
「エリーナ。それ言っちゃダメ」
…誰かに連絡入れますか
私はそう心に決めた。
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