人形姫に愛情を

如月花恋

文字の大きさ
上 下
10 / 41

10

しおりを挟む
あれから4年が経ち…
私は15歳になりました。
そして…
「エリーナ。お前も来年には結婚適齢期だ。そろそろ婚約者の1人でも見つけないと…」
「…お父様。エリーナは1人でいいですわ」
「しかしだな…」
「跡継ぎはシオンお兄様がいらっしゃいますし…」
「エリーナ。私はお前にも幸せになって欲しい」
「私の幸せは他人が幸せになるのを見ていることですわ」
…私とお父様の攻防戦が開かれていた。
シロとクロは2人とも結婚してしまい私の元を離れた。
「…エリーナ。パネラのことを気にしているのか?」
「いいえ。小さい頃にされていたことなど…もう忘れましたわ」
「母親のことか?」
私はビクッと震えた。
「…お母様のことは…ただ不幸だったと思っています。後宮内の争いに巻き込まれたのでしょう。それを承知でお嫁にここに来たお母様の責任ですわ」
本当はお父様が無理矢理連れてきたのをエリーナは知っていますわ
「あ…うん…そうだな」
「ではお父様。失礼致しますわ」
私は礼をしてから部屋を出た。
私は美しく成長した。
髪も伸び…出るところは出ている
しかし…身長が低いのが残念だ
「お父様は…過保護なの。パネラお姉様が幸せであれば私はそれでいいのよ」
私は自分にそう言い聞かせた。
その時向こうから1人の男性が歩いてきた。
服装からして…他国の方ね
私は礼をして待った。
本来礼をして待つのは使用人だったり…身分の低い人が行うのだが私は母親が平民だったため家族の中では1番身分が低い。
「…誰だ?使用人ではないだろう。何故頭を下げている」
思っていたより低い声だった。
「私は生まれが生まれですので…」
「顔を上げろ」
私は言われた通り顔を上げた。
「綺麗だ…」
「…私の心を知らないのだから言えることですわ」
「は?」
「失礼致しますわ」
私は急いでその場を立ち去ろうとしたのだが腕を掴まれた。
「なんですの?」
「気に入った。今から国王に会いに行こう」
「嫌ですわ」
さっきまでお父様の元にいたんですもの
「いいから来い」
「きゃっ」
強引な方ですね…
紳士とは言い難いですわ
私は怒りながらその方に引っ張られついさっきまでいた執務室の前に立った。
「はぁ…このお方がお父様にお会いしたいと仰っているの。開けてくださる?」
「は…はいぃ!!」
声が上擦りましたわよ?
…そんなに私は嫌われていますの?
私は不思議に思いながら中に入った。
「お父様。お父様にお会いしたいと仰る方をお連れいたしましたわ」
「あぁ……ってエリーナが!?」
「何か悪いんですの?」
「いや……」
歯切れが悪いですわ
…イライラしますの
私はお父様の隣に立った。
「国王陛下。私は隣国のトルーク国の第1王子のローレンと言います。突然ですがこちらのご令嬢を私にくださいませんか?」
「は…?」
私は思わずそう呟いてしまった。
あなたとお会いしたのはつい先程ですよね?
いつ惚れられる場面があったのです?
それよりも私は嫁ぐなど嫌ですわ
鳥籠の中の姫になりたいんですの
絶対お断りですわ
「よかろう。行き遅れるんじゃないかと心配していたのだ」
「お父様!?エリーナは嫁ぐ気はないと言いましたよね!!」
私は思わず机をバンと叩いてしまった。
「…もういいですわ。政略結婚をさせるつもりでしたらエリーナは城を出ますわ」
「エリーナ!!」
「元々私はここの生活が嫌いですの。…お父様は気づいていらっしゃらなかったようですけど…一夫多妻制など嫌ですわ。子供のことも考えてくださいまし」
…一夫多妻制は私を不幸にするだけ
だから1人がいいの
「エリーナ。国王として命令だ。トルーク国に嫁ぎなさい」
「…分かりましたわ。国王令には逆らえませんもの。
「…エリーナ。自殺することは禁じたはずだよ」
「簡単に禁じられることではありませんわ。私の命など軽いものですわ。それにこの命は11歳のあの日になくなるはずのものですもの」
私は胸元に手を当てて言った。
あの日止められていなければ私は飛び降りて死んでいた。
だから別に命なんて…


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

攻略対象の王子様は放置されました

白生荼汰
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

私達、政略結婚ですから。

恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。 それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。

なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。 本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

処理中です...