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「リー様。王宮内にお入りください…って何してるんですか!?」
「来ないで!!」
私はハサミを首に当てた。
「もう無理なの…自分に嘘をつくのは…輝様が悲しむ…真実は知ってはいけないの。お嬢様…すみません!!」
私は思いっきりハサミを引き首を切った。
すぐに出血し私は倒れた。
「リー様!!」
タークは自分の服を引き裂き止血用の布として使った。
「くそ…出血量が多い…このままでは間に合わない!!今すぐ担架用意させろ!!それと医者も来るよう言っておけ!!」
「…ター…ク…」
「リー様。喋らないでください。」
「…あの…ね…私…ごほっ…皆…大好き…だった…よ…」
「だから喋らないでください!!」
タークは止血していた手に更に力をこめた。
「…ター…ク…苦しい…息が…出来ない…の…」
「今担架呼びましたから!!いい加減大人しくしてください!!」
私は持ってきた担架に乗せられ運ばれた。
~王子視点~
なんだか急に王宮内が騒がしくなった。
「…何かあったのか?」
「王子!!」
タークが勢いよく扉を開けた。
「…扉は静かに開けろ。壊れる。」
「そんなこと言ってる場合じゃありませんよ!!リリエンヌ様が!!」
「何!?」
俺はタークの服が破れ手に血が付いていることに気づいた。
「…まさかそれリーの血じゃないだろうな。」
「…リー様のものです。ご自分でハサミで首をお切りになりました…自殺…しようとしたのかと…」
「自殺しようとした原因は?リーは大丈夫なのか?」
「躊躇ったようで傷は致命傷にはなっていません。ですがいつ何があってもおかしくありません。」
「…リー。無事でいろよ。」
俺は急いでリーの元へ向かった。
「リー!!」
俺は医務室の扉を勢いよく開けた。
「王子様。お静かに…」
「リーは?」
俺は医者に聞いた。
「とりあえず傷は縫いました。呼吸も安定してきています。多分…リリエンヌ様が目を覚ませば後は大丈夫かと…」
「血は?足りているのか?」
「それが…極度の貧血状態でして…」
「まぁリーは元々貧血だったんだ。それなのに大量出血したからな。リーの親に連絡を入れて輸血の準備をしろ。この王宮にはリーと同じ血液型のストックがあまりない。」
「かしこまりました。では王子様…リリエンヌ様の元へお付になっていますか?」
「あぁ…そうする。」
「では目が覚めたら近くの者に言ってください。」
医者はそう言って医務室を出て行った。
俺はリーのベットの横の椅子に座った。
「何か嫌なことでもあったのか?悩みでもあったのか?…頼むから俺に言ってくれ…死のうとするな…」
俺はリーの頭を撫でながらそう言った。
「…首を切るなんて令嬢がするか?そもそも死に方を知っているなど…」
と俺は疑問に思った。
令嬢は屋敷の中で美しく成長するようにされるはずだ。
そんな人が死に方を知っているはずがない。
本などで読まない限りは…
「色々とおかしい…」
~リー視点~
「…」
私は無言でうっすらと目を開けた。
…見たことのない天井が見えた。
「(あぁ…私…死ねなかった…お嬢様の後を追えなかった…)」
私はそう思うと泣けてきた。
私の頬を一筋の涙が流れると誰かがそれを拭った。
「…泣くほど怖いなら死ぬなんてやめろ。」
「(…輝様!?)」
私は飛び起きようとしたが体が動かない。
「俺はリーに死んでほしくない。」
輝様は私の頭を撫でると近くの人と何か話していた。
「(…何故私は助かってしまったの?お嬢様は私に"生きろ"とご命令なさるのですか?)」
「リー。何故死のうとした?理由は?」
「…言い…たく…ありま…せん。」
「…命令だ。言え。」
「…だめ…です。」
「何故だ?」
「…私…は…」
輝様に本当のことを言ってもいいのか迷った。
「…私は…ただ自分が…嫌になった…だけです。」
「リーは嫌な奴じゃない。だから俺の結婚相手候補になったんだろう?」
「…」
私は黙り込んだ。
輝様に嘘をつくのは心が痛い。
「それと何故死に方を知っている。」
「…」
「令嬢だろ?何一つ不自由はなかったはずだ。それに死に方など誰も教えるはずがない。本でも読んだのか?」
「…」
「無視…か。」
輝様はため息をついた。
そうだ。
令嬢は死に方なんて知っているはずがない。
ましてやハサミで自らの首をきるなど…
私は失態を犯した。
本なんて読めない。
お嬢様も本はお読みにならない。
それよりも外で遊ぶ方がお好きだと仰っていた。
「輝様…心配…かけて…すみません。」
「いやいい。これからは何でも相談しろ。」
輝様はそう言って立ち去った。
「輝様…お嬢様…奥様…旦那様ごめんなさい…」
私はまた泣いた。
この失態がいつ奥様方に伝わるか分からない。
私は代わりとして送り込まれたのだ。
お嬢様にならなくてはならないのだ。
それなのに…お嬢様が出来ないことをしてしまった。
「来ないで!!」
私はハサミを首に当てた。
「もう無理なの…自分に嘘をつくのは…輝様が悲しむ…真実は知ってはいけないの。お嬢様…すみません!!」
私は思いっきりハサミを引き首を切った。
すぐに出血し私は倒れた。
「リー様!!」
タークは自分の服を引き裂き止血用の布として使った。
「くそ…出血量が多い…このままでは間に合わない!!今すぐ担架用意させろ!!それと医者も来るよう言っておけ!!」
「…ター…ク…」
「リー様。喋らないでください。」
「…あの…ね…私…ごほっ…皆…大好き…だった…よ…」
「だから喋らないでください!!」
タークは止血していた手に更に力をこめた。
「…ター…ク…苦しい…息が…出来ない…の…」
「今担架呼びましたから!!いい加減大人しくしてください!!」
私は持ってきた担架に乗せられ運ばれた。
~王子視点~
なんだか急に王宮内が騒がしくなった。
「…何かあったのか?」
「王子!!」
タークが勢いよく扉を開けた。
「…扉は静かに開けろ。壊れる。」
「そんなこと言ってる場合じゃありませんよ!!リリエンヌ様が!!」
「何!?」
俺はタークの服が破れ手に血が付いていることに気づいた。
「…まさかそれリーの血じゃないだろうな。」
「…リー様のものです。ご自分でハサミで首をお切りになりました…自殺…しようとしたのかと…」
「自殺しようとした原因は?リーは大丈夫なのか?」
「躊躇ったようで傷は致命傷にはなっていません。ですがいつ何があってもおかしくありません。」
「…リー。無事でいろよ。」
俺は急いでリーの元へ向かった。
「リー!!」
俺は医務室の扉を勢いよく開けた。
「王子様。お静かに…」
「リーは?」
俺は医者に聞いた。
「とりあえず傷は縫いました。呼吸も安定してきています。多分…リリエンヌ様が目を覚ませば後は大丈夫かと…」
「血は?足りているのか?」
「それが…極度の貧血状態でして…」
「まぁリーは元々貧血だったんだ。それなのに大量出血したからな。リーの親に連絡を入れて輸血の準備をしろ。この王宮にはリーと同じ血液型のストックがあまりない。」
「かしこまりました。では王子様…リリエンヌ様の元へお付になっていますか?」
「あぁ…そうする。」
「では目が覚めたら近くの者に言ってください。」
医者はそう言って医務室を出て行った。
俺はリーのベットの横の椅子に座った。
「何か嫌なことでもあったのか?悩みでもあったのか?…頼むから俺に言ってくれ…死のうとするな…」
俺はリーの頭を撫でながらそう言った。
「…首を切るなんて令嬢がするか?そもそも死に方を知っているなど…」
と俺は疑問に思った。
令嬢は屋敷の中で美しく成長するようにされるはずだ。
そんな人が死に方を知っているはずがない。
本などで読まない限りは…
「色々とおかしい…」
~リー視点~
「…」
私は無言でうっすらと目を開けた。
…見たことのない天井が見えた。
「(あぁ…私…死ねなかった…お嬢様の後を追えなかった…)」
私はそう思うと泣けてきた。
私の頬を一筋の涙が流れると誰かがそれを拭った。
「…泣くほど怖いなら死ぬなんてやめろ。」
「(…輝様!?)」
私は飛び起きようとしたが体が動かない。
「俺はリーに死んでほしくない。」
輝様は私の頭を撫でると近くの人と何か話していた。
「(…何故私は助かってしまったの?お嬢様は私に"生きろ"とご命令なさるのですか?)」
「リー。何故死のうとした?理由は?」
「…言い…たく…ありま…せん。」
「…命令だ。言え。」
「…だめ…です。」
「何故だ?」
「…私…は…」
輝様に本当のことを言ってもいいのか迷った。
「…私は…ただ自分が…嫌になった…だけです。」
「リーは嫌な奴じゃない。だから俺の結婚相手候補になったんだろう?」
「…」
私は黙り込んだ。
輝様に嘘をつくのは心が痛い。
「それと何故死に方を知っている。」
「…」
「令嬢だろ?何一つ不自由はなかったはずだ。それに死に方など誰も教えるはずがない。本でも読んだのか?」
「…」
「無視…か。」
輝様はため息をついた。
そうだ。
令嬢は死に方なんて知っているはずがない。
ましてやハサミで自らの首をきるなど…
私は失態を犯した。
本なんて読めない。
お嬢様も本はお読みにならない。
それよりも外で遊ぶ方がお好きだと仰っていた。
「輝様…心配…かけて…すみません。」
「いやいい。これからは何でも相談しろ。」
輝様はそう言って立ち去った。
「輝様…お嬢様…奥様…旦那様ごめんなさい…」
私はまた泣いた。
この失態がいつ奥様方に伝わるか分からない。
私は代わりとして送り込まれたのだ。
お嬢様にならなくてはならないのだ。
それなのに…お嬢様が出来ないことをしてしまった。
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