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1章 妖を祓え
2話
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『 人間を下に 』
年老いて足を引きずりながら歩く一匹のネコ。
目もあまり見えてなさそう。
道路を横断しようとする。
ドンッ
ネコは倒れ、人の焦る声はするが走り去ってしまう。
ネコの体から黒い霧が出る。
数十年後、
外では餌が欲しくて鳴いているネコ達。
「うるさいぞ!」
ネコに見向きもせずテレビを楽しむ男。
テレビの画面が突然切り替わり不気味に現れるなにか。
二つの光にさらされる。
「・・・!?」
華南は町に来る。
隅では猫達がくつろいだり毛づくろいをする。
「ドロボー!!」
店からオヤジが出て来る。
華南は店の荒れようを見る。
オヤジは泣きながら荒れたところを直し、華南は後を追う。
華南は荒らしたものを追うが草むらに隠れていなくなる。
別の場所ではネコ達が一匹の魚を巡って奪い合う。
華南は歩いているとゴミ捨て場で物音を聞く。
四足歩行で人がゴミやゴミ箱から勢いよく出てくると走り去る。
「!?」
猫達はそれぞれ行動する。
前足で虫を捕まえる。
捕まえたネズミをくわえて歩く。
体を伸ばして高いところに上がる。
足を滑らせて宙づりになるがやがて落ちる。
片隅でエサで野良猫を引き寄せるが棒でつついてからかう男。
「おもしれぇ。」
男の近くにおがるような猫の鳴き声。
華南が後から来ると男は野良猫とエサを奪い合う。
「何やってるんだ!?」
華南は引きはがすと男は暴れて引っかこうともする。
よそを見ると四足歩行で走る人が二人。
謎の行動をする人を華南は追いかけようとする途中で公園の中でも寝転がる人の姿を見る。
近くには巾着袋が落ちていて拾う。
華南は走っていると町のいたるところで不思議な光景。
人が庭や小屋に入ってくつろぎ、猫は家の中で高価な餌を食べている。
ドアにある猫用の入り口から人が入ろうとして首がつかえている。
魚屋では人が捕まり、猫のような仕草で抵抗する。
屋根の上でくつろぎ、家の住人がほうきで叩こうとするとくつろいでいた人から猫パンチをくらう。
華南はさらに走っていると、猫のおがる声とともに男の悲鳴。
声のした方向に来ると何者かは去っていき、男は四足歩行で走り去る。
追いかけようとすると足元にはほとんど身のついていないチキンの骨が落ちている。
「待て!!」
華南は刀を構えて来ると走り去る者の姿がだんだんはっきりしていく。
その姿は獣とはかなり離れた姿。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
〔 猫又 〕
現世に強い恨みを持って死んだ猫の魂が妖となったもの。
近年では虐待を受けてなったという例も挙がる。
(妖の書 イメージ:斉藤 作)
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
華南は手から火の玉を飛ばすと猫又はかわして素早く逃げる。 華南もさらに追いかける。
猫又「人間は嫌いだ! 自分勝手で、俺たち生き物をないがしろにして、言うこと聞かなきゃ無理矢理調教して、自分は頂点だと勘違いする!
お前だってあいつらと一緒だ!」
華南「(じゃあ、こいつやっぱり・・・)」
華南は刀を投げ捨てて抱くように両手を広げる。
「なにも乱暴なことしないから、話を聞かせてくれ!」
猫又は華南の近くに来る。
華南は手を差し出すが猫又は噛みつく。 華南はこらえる。
「恐いよな。 無理もない。」
猫又は口を離して噛みついたところを舐める。
猫又は敵意を感じなくなって話し出す。
「俺も昔は人間に飼われたただの猫だった。 身寄りのなかった俺をおっちゃんはかわいいと言って拾ってくれて、いろいろ良くしてくれた、しあわせだった。
だけど、テレビというものが普及しだしてからおっちゃんは急に相手をしてくれなくなった。 それどころかいつしかのけ者扱いされた。」
小回想、飼い主だと思われる男は複数回たたく。
「 バカが! ボケが! 猫なで声なんかしやがって! 」
猫又「俺は自分の都合で飼っておきながら自分の都合で捨てる身勝手なやつらが許せないんだ!!」
華南は考える。
華南「それじゃあ、お前の気が済むまで遊んであげる。」
二人は広い場所に来るといろんなことをして遊ぶ。
追いかけっこ、おもちゃでじゃれる、なでたり抱いたり首やあお向けの状態では腹を触る。
その間に猫又は嬉しそうに首を鳴らす。
夕方になり、二人は息を切らす。
猫又「楽しかった。 こんなに人に優しくされたのは久しぶりだ。」
華南「そうか、ならよかった。」
「俺、お前みたいなのが飼い主だったら、よかった・・・・・・ 」
猫又は光の粒子になって消える。
華南は供養したことを確認して道を歩いていると、数人の男と警察官が来る。
(男の中には猫にされていた者もいる)
警官「あの子ですか?」
「ああ、あいつが一人で変なことをしていたんだ。」
華南「(しまった、人には妖なんて・・・)」
警官「君。 」
華南は逃げる。
警官「あ、待ちなさい!」
華南と警官は追いかけっこになる。
警官が走っていくと華南は敷地の塀から降りてきて別の方向に走っていく。
町を去る途中で数匹の猫が華南についてくる。
華南は持っていた巾着袋の中身を確認すると袋を開けて足元に置く。
猫達は群がる。 (中身はまたたび)
そして華南は去る。
[ 報告書 ]
怪異調査協会本部宛、
__町にいた猫又を討伐
溝口 華南
年老いて足を引きずりながら歩く一匹のネコ。
目もあまり見えてなさそう。
道路を横断しようとする。
ドンッ
ネコは倒れ、人の焦る声はするが走り去ってしまう。
ネコの体から黒い霧が出る。
数十年後、
外では餌が欲しくて鳴いているネコ達。
「うるさいぞ!」
ネコに見向きもせずテレビを楽しむ男。
テレビの画面が突然切り替わり不気味に現れるなにか。
二つの光にさらされる。
「・・・!?」
華南は町に来る。
隅では猫達がくつろいだり毛づくろいをする。
「ドロボー!!」
店からオヤジが出て来る。
華南は店の荒れようを見る。
オヤジは泣きながら荒れたところを直し、華南は後を追う。
華南は荒らしたものを追うが草むらに隠れていなくなる。
別の場所ではネコ達が一匹の魚を巡って奪い合う。
華南は歩いているとゴミ捨て場で物音を聞く。
四足歩行で人がゴミやゴミ箱から勢いよく出てくると走り去る。
「!?」
猫達はそれぞれ行動する。
前足で虫を捕まえる。
捕まえたネズミをくわえて歩く。
体を伸ばして高いところに上がる。
足を滑らせて宙づりになるがやがて落ちる。
片隅でエサで野良猫を引き寄せるが棒でつついてからかう男。
「おもしれぇ。」
男の近くにおがるような猫の鳴き声。
華南が後から来ると男は野良猫とエサを奪い合う。
「何やってるんだ!?」
華南は引きはがすと男は暴れて引っかこうともする。
よそを見ると四足歩行で走る人が二人。
謎の行動をする人を華南は追いかけようとする途中で公園の中でも寝転がる人の姿を見る。
近くには巾着袋が落ちていて拾う。
華南は走っていると町のいたるところで不思議な光景。
人が庭や小屋に入ってくつろぎ、猫は家の中で高価な餌を食べている。
ドアにある猫用の入り口から人が入ろうとして首がつかえている。
魚屋では人が捕まり、猫のような仕草で抵抗する。
屋根の上でくつろぎ、家の住人がほうきで叩こうとするとくつろいでいた人から猫パンチをくらう。
華南はさらに走っていると、猫のおがる声とともに男の悲鳴。
声のした方向に来ると何者かは去っていき、男は四足歩行で走り去る。
追いかけようとすると足元にはほとんど身のついていないチキンの骨が落ちている。
「待て!!」
華南は刀を構えて来ると走り去る者の姿がだんだんはっきりしていく。
その姿は獣とはかなり離れた姿。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
〔 猫又 〕
現世に強い恨みを持って死んだ猫の魂が妖となったもの。
近年では虐待を受けてなったという例も挙がる。
(妖の書 イメージ:斉藤 作)
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
華南は手から火の玉を飛ばすと猫又はかわして素早く逃げる。 華南もさらに追いかける。
猫又「人間は嫌いだ! 自分勝手で、俺たち生き物をないがしろにして、言うこと聞かなきゃ無理矢理調教して、自分は頂点だと勘違いする!
お前だってあいつらと一緒だ!」
華南「(じゃあ、こいつやっぱり・・・)」
華南は刀を投げ捨てて抱くように両手を広げる。
「なにも乱暴なことしないから、話を聞かせてくれ!」
猫又は華南の近くに来る。
華南は手を差し出すが猫又は噛みつく。 華南はこらえる。
「恐いよな。 無理もない。」
猫又は口を離して噛みついたところを舐める。
猫又は敵意を感じなくなって話し出す。
「俺も昔は人間に飼われたただの猫だった。 身寄りのなかった俺をおっちゃんはかわいいと言って拾ってくれて、いろいろ良くしてくれた、しあわせだった。
だけど、テレビというものが普及しだしてからおっちゃんは急に相手をしてくれなくなった。 それどころかいつしかのけ者扱いされた。」
小回想、飼い主だと思われる男は複数回たたく。
「 バカが! ボケが! 猫なで声なんかしやがって! 」
猫又「俺は自分の都合で飼っておきながら自分の都合で捨てる身勝手なやつらが許せないんだ!!」
華南は考える。
華南「それじゃあ、お前の気が済むまで遊んであげる。」
二人は広い場所に来るといろんなことをして遊ぶ。
追いかけっこ、おもちゃでじゃれる、なでたり抱いたり首やあお向けの状態では腹を触る。
その間に猫又は嬉しそうに首を鳴らす。
夕方になり、二人は息を切らす。
猫又「楽しかった。 こんなに人に優しくされたのは久しぶりだ。」
華南「そうか、ならよかった。」
「俺、お前みたいなのが飼い主だったら、よかった・・・・・・ 」
猫又は光の粒子になって消える。
華南は供養したことを確認して道を歩いていると、数人の男と警察官が来る。
(男の中には猫にされていた者もいる)
警官「あの子ですか?」
「ああ、あいつが一人で変なことをしていたんだ。」
華南「(しまった、人には妖なんて・・・)」
警官「君。 」
華南は逃げる。
警官「あ、待ちなさい!」
華南と警官は追いかけっこになる。
警官が走っていくと華南は敷地の塀から降りてきて別の方向に走っていく。
町を去る途中で数匹の猫が華南についてくる。
華南は持っていた巾着袋の中身を確認すると袋を開けて足元に置く。
猫達は群がる。 (中身はまたたび)
そして華南は去る。
[ 報告書 ]
怪異調査協会本部宛、
__町にいた猫又を討伐
溝口 華南
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