空は青いか?

乱川 カナト

文字の大きさ
上 下
13 / 18
スカイフリューゲル

#12

しおりを挟む
「コウギさん体柔らかいね!」
「......これくらい当然ですわ。スカイフリューゲルで求められるのは瞬発的な筋肉ではなく、しなやかな筋肉ですから日頃から柔軟をしておかないと基礎が出来ませんもの」
 凛とした佇まいで黙々と柔軟をしている姿がどこか寂しげに見えてしまったのは私の気のせいだろうか。
 ただひたすらに目標の為だけに頑張っているように思えた。
冠崎かんざきさんはどうしてここの部活に入ろうと思ったんですの?」
 互いに足を合わせながら腕を引っ張る柔軟をしながらコウギが聞いてきた。冠崎は少し照れくさそうに笑った後どうしてここに見学に来たのか、この学校を選んだのかを話した。
 理由を聞いたコウギは少し考え込んだ後、意を決したように冠崎に言った。
わたくしもアナタに話したいことがありますの」
「話したいこと?」
「えぇ。先程更衣室で質問してきたでしょう?その質問の答えをお話しますわ」
 見学者達は雑談をしながらも一生懸命指示の通りトレーニングをし、ホワイトボードに書いてあった内容をあらかた終えると副部長の四阿あづまが手を叩いて浮ついた空気を切り替える。
「みんなお疲れ様。今日は軽めのトレーニングだったけどどうだったかな。もしまだ続けられそうだとかもっとやってみたいと思うなら是非入ってもらいたい。もちろん、まだ見学していない部活もあるだろうからゆっくり考えてもらって構わないよ」
 にこっと微笑み私達1年生に賽を投げる。2択しかないサイコロの目をどう振るのかは自分達次第であり、強制はしないということだろう。
 他の部活だと強制的に入れられる所もあるみたいだし、まぁまだ自分達で選択できるだけマシって事か。
 入部希望の紙を見ながら皆悩んでいるとドアが勢いよく開き、部長のかなでが現れた。クリーム色の髪を窓から吹く風でなびかせ、目の辺りまで伸びた前髪が横に流れハッキリとした目元が見える。
 鋭い眼というよりも部活以外何にも興味が無い、虚無に満ちた眼に見えた。
「今すぐに決めろとは言わない。とりあえず今日はさっさと帰るか他の部活の見学に行け」
秋月 奏あきづき かなで...」
「ん、どうしたの?コウギさん」
「なんでもありませんわ。それよりも早く着替えましょう。アナタに話さなければならない事もありますし」
「あぁ~、そういえばそうだったね。うん、行こっか」
 こうして見学を終えた私はコウギさんと更衣室へ向かって歩いていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

My Angel -マイ・エンジェル-

甲斐てつろう
青春
逃げて、向き合って、そして始まる。 いくら頑張っても認めてもらえず全てを投げ出して現実逃避の旅に出る事を選んだ丈二。 道中で同じく現実に嫌気がさした麗奈と共に行く事になるが彼女は親に無断で家出をした未成年だった。 世間では誘拐事件と言われてしまい現実逃避の旅は過酷となって行く。 旅の果てに彼らの導く答えとは。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

私の日常

友利奈緒
青春
特になし

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

処理中です...