2 / 147
まだ幼児
2
しおりを挟む
さて、乙女ゲーム「バル恋」の悪役令嬢カーラ・テトラディルに転生したわけですが、まだ1歳半の幼女でございます。当然、どの攻略対象とも面識はありません。
昨日はあれから少しして医者が来て、診察を受けましたが、異常なしとのことでした。丸一日眠っていたそうで、消化によさそうなパン粥を食べて早々に眠りにつきました。まだ幼児ですので寝るのも仕事です。
『何をしているのだ?』
紙に覚えていることを書き出しているのです。この世界の言葉はまだ書けないので、日本語ですが。でも誰も読めないでしょうから、幼児の落書きと見逃してもらえるでしょう。
まずはゲーム主人公レイチェル。
平民として育ったが、実は大公の庶子という設定。でないと貴族相手に恋愛なんて無理。視界にさえ入らない可能性大。母は公爵家の元ランドリーメイドで闘病中です。
精霊の加護なしで生まれるという稀な存在ですが、髪色は本来の遺伝の色である茶やブロンドだったりするので、外見でそうとはわかりません。
で、ここで現れるのが光の精霊です。他の精霊の気配を嫌う後天的な精霊で、加護を受けると銀髪になります。銀髪で光の精霊の加護もちとわかりますので、通常は光教会へ保護という名の隔離をされます。
レア度でいけば闇のほうがレア。
学園の入学年齢である15歳のとき、病で死にかけた母を助けたいという思いが光の精霊を呼びます。精霊の力を暴走させて広範囲の治癒を行ったせいで光教会に存在がばれますが、権力でねじ伏せ大公家へ。強い力を持った光の精霊で、死んでさえいなければ病気も欠損も治せる治癒系チートです。
次に攻略対象たち。
ヘンリー・モノクロード殿下。このモノクロード国第三王子で、私の初恋の相手らしい。まだ会ったこともありませんけど。風と土の精霊由来の金茶の髪と、碧眼の美少年です。
このルートだと悪役令嬢カーラは、婚約者がいるにも関わらず犯罪すれすれというか、ほぼ犯罪をしまくり、最後は投獄されます。
アレクシス・トリステン公爵令息は悪役令嬢カーラの婚約者です。ツンデレ系イケメンで、精霊の力が弱いのがコンプレックス。ツンがデレるたびにキュンキュンしたわ。
このルートだと、あの手この手で妨害をし、大勢の前で婚約破棄された挙句に国外追放になります。
レオンハルト・ペンタクロム伯爵令息はフェロモン系、遊び人。のふりして実は愛に飢えている純粋な人。親は精霊の加護が強い子供の扱いに困っていて、放任主義。親近感を感じるわ。
このルートだとカーラは関係ない・・・はずが、似た境遇からレオンハルトを気に掛けるカーラの行動に取り巻きたちが暴走し、巻き込まれ、国外追放になります。
ルーカス・テトラディル侯爵令息はカーラの弟。ゲームでは寡黙キャラ。母が出産後に死亡したのを、自分のせいだと気に病んでいます。
このルートのカーラは母の死を弟のせいにし、主人公ともども弟をさんざんいじめ倒します。
主人公が攻略に失敗すると、病んだ実の弟にカーラが刺殺されます。攻略に成功すると主人公に癒された弟に国外追放されます。
プレイした時は驚きました。だからR指定ついてたんだねって納得もしましたけど。非リアの私は、ちょいエロい展開があるからR指定だと思って期待してました。
書き出して思いましたが、カーラ大活躍ですね。全ルートで破滅フラグありですよ!
あと隠しキャラ、オルカ。みんな死んじゃえ的な破滅系魔王キャラらしいです。掲示板で知りました。まだクリアしていないので、詳しくはわかりません。いざプレイしようと帰宅する途中で死んでしまいましたからね。逆ハーするとプレイできるらしいです。
そんなことより、問題は弟です! まだ生まれていませんが、回避にはやはり母が死なないことが第一でしょう。
『カーラの母は死ぬのか』
そうなんですよ。このままでは出産後に亡くなってしまうのです。今は確か妊娠6か月くらいのはずです。もう安定期に入っていい頃なのですが、いつも臥せっています。
さあ、前世の知識フル活用ですよ!
出産後になくなるということは、出血多量だったのでしょうか。ん? 出産後・・・後なら、感染症とかもありですね。単に体力が落ちていることもありうる。体が弱いとかですとお手上げですかね。
『体が弱いと子を産むときに死ぬのか』
前世でも出産は命がけと言われていました。ただ医療が発達した国だったので、生存率は高かったですが。この世界は前世ほど医療は発達していないようです。なんせ治癒魔法がありますからね。
しかし今、光教会はこの町から避難してしまっているのです。
テトラディル侯爵領はモノクロード国と南接するガンガーラ国との境にあるのですが、ややキナ臭い状況にあります。ガンガーラ国は国土の半分を砂漠が占める国で、ここ2年ほど干ばつが続いています。そのため飢えたガンガーラ国民が難民として、テトラディル侯爵領に流れ込んできているのです。
そして戦争の噂もあります。
聖職者たるもの困った人々を救うべきだと思うのですが、わがテトラディル侯爵領の光教会は早々に避難してしまいました。ですから治癒魔法は頼れません。身重の母に長旅をさせるわけにもいきません。
『体が弱いとはどういう状態なのだ?』
難しい質問ですね。心疾患のような先天的な疾患もありますし、栄養失調や、貧血、体力の低下などといった状態でしょうか。
『それは状態異常ということか?』
また難しいことを。何を正常ととらえるかどうかの定義によりますね。
『術者の主観でかまわない。それはカーラにとって異常なのか?』
そうですね。健康ではないのですから、異常でしょうね。
『ならば我が力をつかって、状態異常を解除すればよい』
ん? どういうことですか?
『闇の精霊は状態異常を付与することができる』
はい。知っています。ゲームではカーラが魅了の魔法をつかって取り巻きを作ったり、毒の魔法をつかって主人公に危害を加えたりしてましたからね。えげつない感じで。
『逆に解除することもできる。契約前では言語による指示が難しかっただろうが、契約後の今なら簡単だ。術者であるカーラが、解除したい状態異常を具体的に想像するだけでいい』
ええと・・・その理屈だと傷とか、病気とか、欠損とか治せて、さらに死者蘇生もできるとか?
『可能であろうな』
はああああああああああああああああっっっっ?! なんですと?! なんですかそのチート! 光の精霊のお株を奪っちゃうどころか、神の領域なんじゃないですか?!
『あとからしか来ん、腰抜けどもなんぞと比べるでない』
オニキスがふんすと鼻息荒く吐き捨てます。
『ただ死者蘇生ともなれば、かなりの生体知識と相手の情報が必要になる。理屈では可能だが、現実的には無理であろうな。似て非なる者になる可能性が高い』
あぁ・・・手が震えてきました。前世では平凡どころか、非リアだった私には過ぎた能力です。
『心配せずともカーラが言わねば、誰にもわからぬ。そもそも精霊と契約できる事を知るものは、いないであろう。精霊の声が聞こえるもの自体が希少であるし、姿が見えるものなど聞いたことがない。呪文を唱えれば魔法は使えるのだから契約の必要性もないしな』
そうでございますか。確かに精霊と契約できるとは、ゲーム中でも明かされませんでした。でもカーラには、精霊の声が聞こえていたと思います。だから始終不機嫌な顔をしていたのでしょう。
主人公は・・・あぁ。時々、神のお告げがありました。あれは精霊の声だったんですね。
そういえば、ゲームのカーラからだいぶかけ離れてしまいましたね。光以外の魔法を使えるのはゲームと同じですが、無詠唱ではありませんでしたし、もちろん契約もしていませんでした。まあ、ゲームと一緒では破滅が待っているのですから、そうでなくていいのですが。
昨日はあれから少しして医者が来て、診察を受けましたが、異常なしとのことでした。丸一日眠っていたそうで、消化によさそうなパン粥を食べて早々に眠りにつきました。まだ幼児ですので寝るのも仕事です。
『何をしているのだ?』
紙に覚えていることを書き出しているのです。この世界の言葉はまだ書けないので、日本語ですが。でも誰も読めないでしょうから、幼児の落書きと見逃してもらえるでしょう。
まずはゲーム主人公レイチェル。
平民として育ったが、実は大公の庶子という設定。でないと貴族相手に恋愛なんて無理。視界にさえ入らない可能性大。母は公爵家の元ランドリーメイドで闘病中です。
精霊の加護なしで生まれるという稀な存在ですが、髪色は本来の遺伝の色である茶やブロンドだったりするので、外見でそうとはわかりません。
で、ここで現れるのが光の精霊です。他の精霊の気配を嫌う後天的な精霊で、加護を受けると銀髪になります。銀髪で光の精霊の加護もちとわかりますので、通常は光教会へ保護という名の隔離をされます。
レア度でいけば闇のほうがレア。
学園の入学年齢である15歳のとき、病で死にかけた母を助けたいという思いが光の精霊を呼びます。精霊の力を暴走させて広範囲の治癒を行ったせいで光教会に存在がばれますが、権力でねじ伏せ大公家へ。強い力を持った光の精霊で、死んでさえいなければ病気も欠損も治せる治癒系チートです。
次に攻略対象たち。
ヘンリー・モノクロード殿下。このモノクロード国第三王子で、私の初恋の相手らしい。まだ会ったこともありませんけど。風と土の精霊由来の金茶の髪と、碧眼の美少年です。
このルートだと悪役令嬢カーラは、婚約者がいるにも関わらず犯罪すれすれというか、ほぼ犯罪をしまくり、最後は投獄されます。
アレクシス・トリステン公爵令息は悪役令嬢カーラの婚約者です。ツンデレ系イケメンで、精霊の力が弱いのがコンプレックス。ツンがデレるたびにキュンキュンしたわ。
このルートだと、あの手この手で妨害をし、大勢の前で婚約破棄された挙句に国外追放になります。
レオンハルト・ペンタクロム伯爵令息はフェロモン系、遊び人。のふりして実は愛に飢えている純粋な人。親は精霊の加護が強い子供の扱いに困っていて、放任主義。親近感を感じるわ。
このルートだとカーラは関係ない・・・はずが、似た境遇からレオンハルトを気に掛けるカーラの行動に取り巻きたちが暴走し、巻き込まれ、国外追放になります。
ルーカス・テトラディル侯爵令息はカーラの弟。ゲームでは寡黙キャラ。母が出産後に死亡したのを、自分のせいだと気に病んでいます。
このルートのカーラは母の死を弟のせいにし、主人公ともども弟をさんざんいじめ倒します。
主人公が攻略に失敗すると、病んだ実の弟にカーラが刺殺されます。攻略に成功すると主人公に癒された弟に国外追放されます。
プレイした時は驚きました。だからR指定ついてたんだねって納得もしましたけど。非リアの私は、ちょいエロい展開があるからR指定だと思って期待してました。
書き出して思いましたが、カーラ大活躍ですね。全ルートで破滅フラグありですよ!
あと隠しキャラ、オルカ。みんな死んじゃえ的な破滅系魔王キャラらしいです。掲示板で知りました。まだクリアしていないので、詳しくはわかりません。いざプレイしようと帰宅する途中で死んでしまいましたからね。逆ハーするとプレイできるらしいです。
そんなことより、問題は弟です! まだ生まれていませんが、回避にはやはり母が死なないことが第一でしょう。
『カーラの母は死ぬのか』
そうなんですよ。このままでは出産後に亡くなってしまうのです。今は確か妊娠6か月くらいのはずです。もう安定期に入っていい頃なのですが、いつも臥せっています。
さあ、前世の知識フル活用ですよ!
出産後になくなるということは、出血多量だったのでしょうか。ん? 出産後・・・後なら、感染症とかもありですね。単に体力が落ちていることもありうる。体が弱いとかですとお手上げですかね。
『体が弱いと子を産むときに死ぬのか』
前世でも出産は命がけと言われていました。ただ医療が発達した国だったので、生存率は高かったですが。この世界は前世ほど医療は発達していないようです。なんせ治癒魔法がありますからね。
しかし今、光教会はこの町から避難してしまっているのです。
テトラディル侯爵領はモノクロード国と南接するガンガーラ国との境にあるのですが、ややキナ臭い状況にあります。ガンガーラ国は国土の半分を砂漠が占める国で、ここ2年ほど干ばつが続いています。そのため飢えたガンガーラ国民が難民として、テトラディル侯爵領に流れ込んできているのです。
そして戦争の噂もあります。
聖職者たるもの困った人々を救うべきだと思うのですが、わがテトラディル侯爵領の光教会は早々に避難してしまいました。ですから治癒魔法は頼れません。身重の母に長旅をさせるわけにもいきません。
『体が弱いとはどういう状態なのだ?』
難しい質問ですね。心疾患のような先天的な疾患もありますし、栄養失調や、貧血、体力の低下などといった状態でしょうか。
『それは状態異常ということか?』
また難しいことを。何を正常ととらえるかどうかの定義によりますね。
『術者の主観でかまわない。それはカーラにとって異常なのか?』
そうですね。健康ではないのですから、異常でしょうね。
『ならば我が力をつかって、状態異常を解除すればよい』
ん? どういうことですか?
『闇の精霊は状態異常を付与することができる』
はい。知っています。ゲームではカーラが魅了の魔法をつかって取り巻きを作ったり、毒の魔法をつかって主人公に危害を加えたりしてましたからね。えげつない感じで。
『逆に解除することもできる。契約前では言語による指示が難しかっただろうが、契約後の今なら簡単だ。術者であるカーラが、解除したい状態異常を具体的に想像するだけでいい』
ええと・・・その理屈だと傷とか、病気とか、欠損とか治せて、さらに死者蘇生もできるとか?
『可能であろうな』
はああああああああああああああああっっっっ?! なんですと?! なんですかそのチート! 光の精霊のお株を奪っちゃうどころか、神の領域なんじゃないですか?!
『あとからしか来ん、腰抜けどもなんぞと比べるでない』
オニキスがふんすと鼻息荒く吐き捨てます。
『ただ死者蘇生ともなれば、かなりの生体知識と相手の情報が必要になる。理屈では可能だが、現実的には無理であろうな。似て非なる者になる可能性が高い』
あぁ・・・手が震えてきました。前世では平凡どころか、非リアだった私には過ぎた能力です。
『心配せずともカーラが言わねば、誰にもわからぬ。そもそも精霊と契約できる事を知るものは、いないであろう。精霊の声が聞こえるもの自体が希少であるし、姿が見えるものなど聞いたことがない。呪文を唱えれば魔法は使えるのだから契約の必要性もないしな』
そうでございますか。確かに精霊と契約できるとは、ゲーム中でも明かされませんでした。でもカーラには、精霊の声が聞こえていたと思います。だから始終不機嫌な顔をしていたのでしょう。
主人公は・・・あぁ。時々、神のお告げがありました。あれは精霊の声だったんですね。
そういえば、ゲームのカーラからだいぶかけ離れてしまいましたね。光以外の魔法を使えるのはゲームと同じですが、無詠唱ではありませんでしたし、もちろん契約もしていませんでした。まあ、ゲームと一緒では破滅が待っているのですから、そうでなくていいのですが。
1
お気に入りに追加
2,783
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!
高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる
レラン
恋愛
前世でプレーした。乙女ゲーム内に召喚転生させられた主人公。
すでに危機的状況の悪役令嬢に転生してしまい、ゲームに関わらないようにしていると、まさかのチート発覚!?
私は平穏な暮らしを求めただけだっだのに‥‥ふふふ‥‥‥チートがあるなら最大限活用してやる!!
そう意気込みのやりたい放題の、元悪役令嬢の日常。
⚠︎語彙力崩壊してます⚠︎
⚠︎誤字多発です⚠︎
⚠︎話の内容が薄っぺらです⚠︎
⚠︎ざまぁは、結構後になってしまいます⚠︎
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
申し訳ないけど、悪役令嬢から足を洗らわせてもらうよ!
甘寧
恋愛
この世界が小説の世界だと気づいたのは、5歳の頃だった。
その日、二つ年上の兄と水遊びをしていて、足を滑らせ溺れた。
その拍子に前世の記憶が凄まじい勢いで頭に入ってきた。
前世の私は東雲菜知という名の、極道だった。
父親の後を継ぎ、東雲組の頭として奮闘していたところ、組同士の抗争に巻き込まれ32年の生涯を終えた。
そしてここは、その当時読んでいた小説「愛は貴方のために~カナリヤが望む愛のカタチ~」の世界らしい。
組の頭が恋愛小説を読んでるなんてバレないよう、コソコソ隠れて読んだものだ。
この小説の中のミレーナは、とんだ悪役令嬢で学園に入学すると、皆に好かれているヒロインのカナリヤを妬み、とことん虐め、傷ものにさせようと刺客を送り込むなど、非道の限りを尽くし断罪され死刑にされる。
その悪役令嬢、ミレーナ・セルヴィロが今の私だ。
──カタギの人間に手を出しちゃ、いけないねぇ。
昔の記憶が戻った以上、原作のようにはさせない。
原作を無理やり変えるんだ、もしかしたらヒロインがハッピーエンドにならないかもしれない。
それでも、私は悪役令嬢から足を洗う。
小説家になろうでも連載してます。
※短編予定でしたが、長編に変更します。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる