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第4章 一泊二日の大阪旅行は行く先々でハプニングだらけ
第22話 しょうがないな、今回だけ特別だよ
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前期補習が終わった日から数日が経過し、いよいよ一泊二日で大阪のユニバースランドへと遊びに行く日がやって来た。
アラームの音で目覚めた俺達はそれぞれベッドから起き上がって外出の準備や髪のセットなどの朝のルーティンをした後、昨晩まとめた荷物を持って家を出る。
そして最寄り駅で電車に乗ってしばらく揺られているうちに東京駅へと到着した。
「相変わらず東京駅は人が多いな」
「夏休み真っ只中だからね。私達みたいにこれからどこかへ遊びに行く人とか、逆に東京に遊びに来た人とか色々いるんだよ」
お盆の時期は大混雑する事が目に見えていたためそこは避けた俺達だったが、それでも駅の構内はかなりの人口密度だった。
「この感じなら新幹線の自由席も結構混雑してそう」
「うん、だからあらかじめ指定席を買っておいて正解だったでしょ」
そう、俺達はこれを見越して事前に新幹線の指定席チケットを買っていたのだ。そのため席に座れず新大阪駅まで二時間三十分近く立ちっぱなしになるという心配はない。俺達はそのまま改札を通り抜け新幹線ホームへと向かう。
「まだ朝ごはん食べてないしさ、あそこの売店で何か買おうよ」
「そうだな、新幹線の中で食べようか」
「何がいいかな」
俺達は新幹線ホームにある売店へと行き、おにぎりやサンドイッチ、飲み物などを買った。そして乗る予定の新幹線が到着するまで二人でホームのベンチに座って待つ。新幹線ホームも予想通り人がかなり多い。
「新幹線に乗るのなんて結構久しぶりな気がする、最後に乗ったのは中学三年生の修学旅行で京都に行って以来だし」
「私は海外暮らしが長かったからそもそも新幹線にほとんど乗った事が無いんだよね」
「そっか、確かに外国は新幹線ってないもんな」
新幹線に似た高速鉄道がある国も存在しているようだが、日本のそれとは少し違うと聞いた事がある。
「乗るのは今日が人生で二回目だから拓馬の事頼りにしてるよ」
「別に普通の電車とそんなに変わらないから心配はいらないとは思うけどな」
そんな会話をしているうちに新幹線がホームへとやって来たため俺達は新幹線に乗り込む。それから俺達は新大阪駅に着くまで二人で雑談をしたりゲームをしたりして過ごした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「やっぱり周りにいる人達は関西弁ばかりだね」
「確かに新幹線を降りた瞬間、一気に言葉が変わったよな」
新大阪駅に到着した俺達は乗り換え先のホームへ歩いて向かっていたわけだが、耳に入ってくる言葉のイントネーションが東京とは全然違っていた。恐らく周囲にいるのは地元民ばかりなのだろう。
「乗り換えするのってさ、後何回だっけ?」
「大阪駅で降りてユニバースシティ駅方面に行く電車に乗り換えるから後一回だな」
ちなみにユニバースシティ駅はユニバーサルランドと繋がっているため、出口を出れば目的地はすぐそことなっている。
「へー、電車の本数はたくさんあるんだ」
「大阪も大都市だし、地方とかと比べると本数はめちゃくちゃ多いぞ」
スマホで時刻表を見ていたアリスに対して俺はそう答えた。父さんの転勤の関係で地方に住んでいた事もあるが、電車が三十分に一本くらいしかないというのは普通だった。だから数分おきにすぐ電車が来る大阪は十分早い。
「そっか、拓馬は東京に引っ越す前は高松に住んでたもんね。だから地方の事も知ってるんだ」
「あれ、何で俺が高松に住んでた事をアリスは知ってるんだ……?」
俺の記憶が正しければ話した事なんてないはずだが。するとアリスは一瞬何とも言えない表情をして黙り込んだ後、すぐに話し始める。
「……義母様に聞いたんだよ、義父様の転勤の関係で昔はよく引っ越してたって」
「なるほど、それで知ってたのか」
アリスとすっかり仲良くなった母さんならその辺の事を色々と話していたとしても全く不思議では無かった。
「あっ、そうそう。よく転勤してたせいで友達作るのが苦手になったって話も義母様から聞いたよ」
「おいおい、母さんはそんな余計な事までペラペラ喋ったのか」
そう、今の俺がぼっちになってしまったきっかけは銀行に勤めている父さんが転勤族だった事が大きな要因になっている。
ただでさえ友達作りが得意では無かったにも関わらず頻繁に転校して人間関係を何度もリセットされるはめになれば人間関係の構築が苦手になるのは無理のない話だろう。
「まあ、でも今の拓馬には私がいるから何も心配はいらないって義母様にはちゃんと言っておいてあげたからから」
「……むしろアリスがいるせいで色々心配な気はするけど?」
「あっ、酷い。拓馬は私にそんな事を言っちゃうんだ」
俺の言葉を聞いたアリスは頬がぷくっと膨らませながら抗議してきた。正直怖さは全く無くむしろめちゃくちゃ可愛い。
「ごめんごめん、許してくれ。この通りだから」
「しょうがないな、今回だけ特別だよ」
それから少しして乗り換え先のホームに到達した俺達は、ちょうど停車していた電車に乗るのだった。
アラームの音で目覚めた俺達はそれぞれベッドから起き上がって外出の準備や髪のセットなどの朝のルーティンをした後、昨晩まとめた荷物を持って家を出る。
そして最寄り駅で電車に乗ってしばらく揺られているうちに東京駅へと到着した。
「相変わらず東京駅は人が多いな」
「夏休み真っ只中だからね。私達みたいにこれからどこかへ遊びに行く人とか、逆に東京に遊びに来た人とか色々いるんだよ」
お盆の時期は大混雑する事が目に見えていたためそこは避けた俺達だったが、それでも駅の構内はかなりの人口密度だった。
「この感じなら新幹線の自由席も結構混雑してそう」
「うん、だからあらかじめ指定席を買っておいて正解だったでしょ」
そう、俺達はこれを見越して事前に新幹線の指定席チケットを買っていたのだ。そのため席に座れず新大阪駅まで二時間三十分近く立ちっぱなしになるという心配はない。俺達はそのまま改札を通り抜け新幹線ホームへと向かう。
「まだ朝ごはん食べてないしさ、あそこの売店で何か買おうよ」
「そうだな、新幹線の中で食べようか」
「何がいいかな」
俺達は新幹線ホームにある売店へと行き、おにぎりやサンドイッチ、飲み物などを買った。そして乗る予定の新幹線が到着するまで二人でホームのベンチに座って待つ。新幹線ホームも予想通り人がかなり多い。
「新幹線に乗るのなんて結構久しぶりな気がする、最後に乗ったのは中学三年生の修学旅行で京都に行って以来だし」
「私は海外暮らしが長かったからそもそも新幹線にほとんど乗った事が無いんだよね」
「そっか、確かに外国は新幹線ってないもんな」
新幹線に似た高速鉄道がある国も存在しているようだが、日本のそれとは少し違うと聞いた事がある。
「乗るのは今日が人生で二回目だから拓馬の事頼りにしてるよ」
「別に普通の電車とそんなに変わらないから心配はいらないとは思うけどな」
そんな会話をしているうちに新幹線がホームへとやって来たため俺達は新幹線に乗り込む。それから俺達は新大阪駅に着くまで二人で雑談をしたりゲームをしたりして過ごした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「やっぱり周りにいる人達は関西弁ばかりだね」
「確かに新幹線を降りた瞬間、一気に言葉が変わったよな」
新大阪駅に到着した俺達は乗り換え先のホームへ歩いて向かっていたわけだが、耳に入ってくる言葉のイントネーションが東京とは全然違っていた。恐らく周囲にいるのは地元民ばかりなのだろう。
「乗り換えするのってさ、後何回だっけ?」
「大阪駅で降りてユニバースシティ駅方面に行く電車に乗り換えるから後一回だな」
ちなみにユニバースシティ駅はユニバーサルランドと繋がっているため、出口を出れば目的地はすぐそことなっている。
「へー、電車の本数はたくさんあるんだ」
「大阪も大都市だし、地方とかと比べると本数はめちゃくちゃ多いぞ」
スマホで時刻表を見ていたアリスに対して俺はそう答えた。父さんの転勤の関係で地方に住んでいた事もあるが、電車が三十分に一本くらいしかないというのは普通だった。だから数分おきにすぐ電車が来る大阪は十分早い。
「そっか、拓馬は東京に引っ越す前は高松に住んでたもんね。だから地方の事も知ってるんだ」
「あれ、何で俺が高松に住んでた事をアリスは知ってるんだ……?」
俺の記憶が正しければ話した事なんてないはずだが。するとアリスは一瞬何とも言えない表情をして黙り込んだ後、すぐに話し始める。
「……義母様に聞いたんだよ、義父様の転勤の関係で昔はよく引っ越してたって」
「なるほど、それで知ってたのか」
アリスとすっかり仲良くなった母さんならその辺の事を色々と話していたとしても全く不思議では無かった。
「あっ、そうそう。よく転勤してたせいで友達作るのが苦手になったって話も義母様から聞いたよ」
「おいおい、母さんはそんな余計な事までペラペラ喋ったのか」
そう、今の俺がぼっちになってしまったきっかけは銀行に勤めている父さんが転勤族だった事が大きな要因になっている。
ただでさえ友達作りが得意では無かったにも関わらず頻繁に転校して人間関係を何度もリセットされるはめになれば人間関係の構築が苦手になるのは無理のない話だろう。
「まあ、でも今の拓馬には私がいるから何も心配はいらないって義母様にはちゃんと言っておいてあげたからから」
「……むしろアリスがいるせいで色々心配な気はするけど?」
「あっ、酷い。拓馬は私にそんな事を言っちゃうんだ」
俺の言葉を聞いたアリスは頬がぷくっと膨らませながら抗議してきた。正直怖さは全く無くむしろめちゃくちゃ可愛い。
「ごめんごめん、許してくれ。この通りだから」
「しょうがないな、今回だけ特別だよ」
それから少しして乗り換え先のホームに到達した俺達は、ちょうど停車していた電車に乗るのだった。
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