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大学4年生編
第84話 プロポーズ
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3月も中旬となり、いよいよ西洋大学経済学部の卒業式当日となった。
年が明けてからは卒論の執筆やら北海道への卒業旅行やらで盛りだくさんな3ヶ月間だったが、ついに今日で長かった4年間の大学生活も終わりを迎える。
ちなみに平成大学文学部の卒業式は一昨日終わっているため実乃里は既に卒業済みだ。
「春樹君、4年間本当にお疲れ様。そして卒業おめでとう」
「ありがとう、なんだかんだ色々あった4年間だったけど実乃里がいてくれたおかげで本当に楽しかった」
「私も春樹君のおかげで楽しい大学生活が過ごせたよ、ありがとう」
俺は自分の正直な気持ちをストレートで実乃里に伝えた。
大学生活を振り返ってみると、初めて付き合った彼女に浮気された挙句サークルまで除名されたりと辛いことも色々あったが、実乃里のおかげで楽しい事もたくさんあった。
クリスマスにデートをしたり、初めての旅行で和歌山のアドベンチャーランドへ行ったり、泊まりがけの旅行で群馬の九相津温泉へ行ったりと、ちょっと思い出しただけでも色々な思い出が頭の中に次々蘇ってくる。
それに冴えなかった俺がここまで変わる事ができたのは実乃里のおかげと言っても過言では無い。
「じゃあ遅れないようにそろそろ行ってくるよ、また後でな」
「うん、いってらっしゃい」
「いってきます」
実乃里から見送られた俺は駐輪場に停めていたバイクへ跨ると、すっかり見慣れた道を走って大学へ向かう。
「バイクでこの道を走って学生として大学へ行くのは今日が最後か……ちょっと寂しいな」
そんな事をつぶやいているうちに大学へ到着した俺は卒業式の会場であるホールに向かって歩き始める。
キャンパス内はスーツや袴を着た卒業生と思わしき学生達で溢れかえっていて、それなりに混雑していた。
そしてホールに着いてゼミのメンバー達と雑談しているうちに開始時間となり、学位記の授与式が始まる。
高校までの卒業式とは違って予行練習などは一切無いぶっつけ本番だったが、特に問題はなかった。
それから1時間半ほどで式が終わり、学生証と引き換えに卒業証書を受け取った後、ゼミメンバーや元バイト仲間達と色々な場所で写真撮影を行ってから実乃里の待つ家へと帰る。
「ただいま」
「おかえり、春樹君」
家に戻るとそこには実乃里が俺を待ち構えている姿があった。
そう、これから俺と実乃里の2人で昼食を兼ねた卒業式の打ち上げに行く予定なのだ。
本当は夜行きたいところだったが、ゼミの打ち上げと被ってしまったため時間を昼に変更していた。
「店は駅前にあるレストランを予約してあるから歩いていける距離だよ」
「よし、いい時間だしちょっと休憩したら行こうか」
俺はスーツから私服に着替えると、部屋を出て駅前のレストランを目指して2人で歩き始める。
「大学4年間って長い気がしてたけどもう終わりか、早いな……」
「確かにそうだね。私もこの前高校を卒業して入学したような気がするのに、気付けばもう卒業だからね」
本当にこの大学4年間はあっという間に過ぎていったように感じている。
「来月の今頃は社会人になってるんだよな。何してるんだろ」
「私もどこの部署の配属になるか分からないからそれが怖いんだよね」
公務員は部署によって当たり外れが大きいと聞くので心配になるのは無理もない。
そんな雑談を2人でしながら歩いているうちに目的の店へと到着した。
「ここって2年前のクリスマスデートで来たイタリアンじゃん、懐かしいな」
「えへへ、思い出も色々とあるからここを予約しちゃった」
懐かしい気持ちを感じながら俺達は店に入っていき、予約の名前を伝えた後に席へと案内される。
「前は向こうの席に案内されたんだっけ?」
「そうだね、流石に同じ席は無理だったみたい」
料理を注文した俺達は2人でそんな雑談をしていた。
それから運ばれて来た料理を食べながら一通り色々な雑談をしたところで俺は前々から卒業式の日に実乃里へ話そうと思っていた事を切り出す。
「……あのさ、もし俺が実乃里と結婚したいって言ったらどうする? 総合商社だから転勤も多いし、下手したら海外に行く可能性もあるけど」
俺からのそんな言葉を聞いた実乃里は顔を赤らめたまま固まってしまった。
だがすぐに動き始めてゆっくりと口を開く。
「……そんなの勿論OKに決まってるよ。私は世界中どこへだって着いていくから」
「そっか……じゃあ実乃里、今すぐには無理だし多分まだまだ先にはなるだろうけど、俺と結婚してください」
俺は最大限の勇気を出して実乃里にプロポーズの言葉を彼女に伝えた。
「嬉しいな、ありがとう。春樹君の事をずっと待ってるから」
実乃里はぼろぼろと涙を流しながらだったが、俺からの告白をオッケーしてくれたのだ。
どうやら俺の一世一代のプロポーズは無事に成功したらしい。
「ありがとう実乃里、大好きだよ」
「私も大好きだよ、春樹君」
大学は今日卒業してしまったが、俺と実乃里の関係はこれからも末永く続いていきそうだ。
年が明けてからは卒論の執筆やら北海道への卒業旅行やらで盛りだくさんな3ヶ月間だったが、ついに今日で長かった4年間の大学生活も終わりを迎える。
ちなみに平成大学文学部の卒業式は一昨日終わっているため実乃里は既に卒業済みだ。
「春樹君、4年間本当にお疲れ様。そして卒業おめでとう」
「ありがとう、なんだかんだ色々あった4年間だったけど実乃里がいてくれたおかげで本当に楽しかった」
「私も春樹君のおかげで楽しい大学生活が過ごせたよ、ありがとう」
俺は自分の正直な気持ちをストレートで実乃里に伝えた。
大学生活を振り返ってみると、初めて付き合った彼女に浮気された挙句サークルまで除名されたりと辛いことも色々あったが、実乃里のおかげで楽しい事もたくさんあった。
クリスマスにデートをしたり、初めての旅行で和歌山のアドベンチャーランドへ行ったり、泊まりがけの旅行で群馬の九相津温泉へ行ったりと、ちょっと思い出しただけでも色々な思い出が頭の中に次々蘇ってくる。
それに冴えなかった俺がここまで変わる事ができたのは実乃里のおかげと言っても過言では無い。
「じゃあ遅れないようにそろそろ行ってくるよ、また後でな」
「うん、いってらっしゃい」
「いってきます」
実乃里から見送られた俺は駐輪場に停めていたバイクへ跨ると、すっかり見慣れた道を走って大学へ向かう。
「バイクでこの道を走って学生として大学へ行くのは今日が最後か……ちょっと寂しいな」
そんな事をつぶやいているうちに大学へ到着した俺は卒業式の会場であるホールに向かって歩き始める。
キャンパス内はスーツや袴を着た卒業生と思わしき学生達で溢れかえっていて、それなりに混雑していた。
そしてホールに着いてゼミのメンバー達と雑談しているうちに開始時間となり、学位記の授与式が始まる。
高校までの卒業式とは違って予行練習などは一切無いぶっつけ本番だったが、特に問題はなかった。
それから1時間半ほどで式が終わり、学生証と引き換えに卒業証書を受け取った後、ゼミメンバーや元バイト仲間達と色々な場所で写真撮影を行ってから実乃里の待つ家へと帰る。
「ただいま」
「おかえり、春樹君」
家に戻るとそこには実乃里が俺を待ち構えている姿があった。
そう、これから俺と実乃里の2人で昼食を兼ねた卒業式の打ち上げに行く予定なのだ。
本当は夜行きたいところだったが、ゼミの打ち上げと被ってしまったため時間を昼に変更していた。
「店は駅前にあるレストランを予約してあるから歩いていける距離だよ」
「よし、いい時間だしちょっと休憩したら行こうか」
俺はスーツから私服に着替えると、部屋を出て駅前のレストランを目指して2人で歩き始める。
「大学4年間って長い気がしてたけどもう終わりか、早いな……」
「確かにそうだね。私もこの前高校を卒業して入学したような気がするのに、気付けばもう卒業だからね」
本当にこの大学4年間はあっという間に過ぎていったように感じている。
「来月の今頃は社会人になってるんだよな。何してるんだろ」
「私もどこの部署の配属になるか分からないからそれが怖いんだよね」
公務員は部署によって当たり外れが大きいと聞くので心配になるのは無理もない。
そんな雑談を2人でしながら歩いているうちに目的の店へと到着した。
「ここって2年前のクリスマスデートで来たイタリアンじゃん、懐かしいな」
「えへへ、思い出も色々とあるからここを予約しちゃった」
懐かしい気持ちを感じながら俺達は店に入っていき、予約の名前を伝えた後に席へと案内される。
「前は向こうの席に案内されたんだっけ?」
「そうだね、流石に同じ席は無理だったみたい」
料理を注文した俺達は2人でそんな雑談をしていた。
それから運ばれて来た料理を食べながら一通り色々な雑談をしたところで俺は前々から卒業式の日に実乃里へ話そうと思っていた事を切り出す。
「……あのさ、もし俺が実乃里と結婚したいって言ったらどうする? 総合商社だから転勤も多いし、下手したら海外に行く可能性もあるけど」
俺からのそんな言葉を聞いた実乃里は顔を赤らめたまま固まってしまった。
だがすぐに動き始めてゆっくりと口を開く。
「……そんなの勿論OKに決まってるよ。私は世界中どこへだって着いていくから」
「そっか……じゃあ実乃里、今すぐには無理だし多分まだまだ先にはなるだろうけど、俺と結婚してください」
俺は最大限の勇気を出して実乃里にプロポーズの言葉を彼女に伝えた。
「嬉しいな、ありがとう。春樹君の事をずっと待ってるから」
実乃里はぼろぼろと涙を流しながらだったが、俺からの告白をオッケーしてくれたのだ。
どうやら俺の一世一代のプロポーズは無事に成功したらしい。
「ありがとう実乃里、大好きだよ」
「私も大好きだよ、春樹君」
大学は今日卒業してしまったが、俺と実乃里の関係はこれからも末永く続いていきそうだ。
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