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大学2年生編
第13話 駅前イルミネーション
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ランチを終えた俺達は映画館でチケットを購入し、ジュースとポップコーンを持って劇場へと入る。
劇場内は友達同士や1人で来ている人が多く、俺達のようなカップルの姿はほとんど無かった。
まあ、これから見る映画は普通のカップルがデートで見るような内容の作品では無いため、当然な気もするが。
だが俺的には正直恋愛映画よりもこっちの方が本音を言うと見たかったわけだし、何より実乃里が見たがっているのだから何も問題は無いだろう。
普通のカップルのデートとは少し違っている気もするが、ある意味俺達らしくていいとすら思っている。
「アニメの最終回が終わってからずっとモヤモヤしてたから、本当に楽しみだよ」
待ちきれない様子の実乃里は、本当に楽しみにしていたのだろう。
これから見る映画はいわゆる魔法少女ものと呼ばれるジャンルのアニメ映画で、元々テレビで放送していたアニメの続編だ。
このアニメは物語中で主要登場人物がほとんど死んでしまうなどダークでシリアスな世界観が広がっていて、見た目の可愛らしいイラストからは全く想像ができない鬱ストーリーを展開した挙句、謎が多く残された最終回を迎えた事からネット上で大きな話題を呼び、オタク達からカルト的な人気を得ていた。
勿論俺もリアルタイムで見ていて、意味不明な最終回を見終わった後はネット上の考察や二次創作を読み漁ったのは記憶に新しい。
まさか数年後に、彼女とのクリスマスデートでその続編を見ることになるとは夢にも思わなかったが。
映画が始まると俺達2人はスクリーンを食い入るように見つめ、気付けばあっという間に2時間が経過していた。
映画が終わり劇場内が明るくなると、実乃里は興奮気味に俺に話しかけてくる。
「面白かったね、結局色々と謎は残ったままだけど、私的にはめちゃくちゃ満足だったよ」
「あの終わり方だと、またネット上に考察が乱立しそうだな」
俺と実乃里は映画の内容についての感想や場面の考察をお互いに話しながら映画館を後にした。
それから俺達はイルミネーションの時間になるまで再びショッピングに戻るのだが、途中甘い物が食べたくなりクレープ屋に立ち寄る。
「どれにしようかな、チョコバナナホイップが美味しそうだけどイチゴホイップも捨てがたいし……」
「なら1つずつ買って、それを2人で半分に分けるってのはどう?」
メニュー表の前で実乃里がどちらにするか迷っている様子を見て、俺はそう提案した。
俺の言葉に実乃里はまるで子供のように目を輝かせ、俺の方へ顔を向ける。
「本当にいいの!?」
「勿論だよ、俺も両方食べたかったし」
実際に俺もその2択のどちらにするかで悩んでいたので何の問題も無い。
「やったー、春樹君ありがとう」
飛び上がって喜ぶ実乃里にクレープぐらいで大袈裟だなと思いつつ、感謝されるだけでこんなに浮かれている俺ってひょっとしてちょろい?などと考えながら、クレープを購入した。
その際に、半分にして食べやすいように紙皿を忘れずに貰っておく。
「じゃあ食べようか」
「うん」
俺達はクレープをそれぞれ半分こにして、仲良く食べ始めた。
さっきの映画とは違い、これこそ普通のカップルらしいデートの光景ではないだろうか。
先に食べ終わった俺が実乃里を待っていると、何かに気付いた実乃里がこちらへ腕を伸ばしてくる。
「ほっぺにクリームついてるよ」
俺の頬についていたクリームを指で掬い上げると、そのまま口に持っていった。
「えっ!?」
そんな突然の行動に驚いた俺はその場で完全に固まり、顔がどんどん火照るのを感じている。
だがそれをやった本人の実乃里も自分の行動にだんだんと恥ずかしくなってきたのか、顔を真っ赤にして固まっていたのだ。
「み、実乃里って結構大胆な行動をするんだな」
「勢いでやったのはいいけど、思った以上に恥ずかしかった……」
しばらくの間、俺達はお互いに顔を真っ赤にしたまま無言で見つめ合っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
それからショッピングを楽しんだ俺達は、イルミネーションの時間が近づいてきた事に気づき、会場の駅前広場へと向かい始める。
外はすっかりと薄暗くなってきており、昼間よりも肌寒くなっていた。
「やっぱり寒いね」
「そうだな、もう12月下旬だしな」
駅前広場に到着すると、まだ点灯時間の少し前ではあるが、たくさんの人達が既に集まっている。
やはりクリスマスのイルミネーションという事で、俺達の周りにはカップルが非常に多かった。
始まるまでもう少しだけ時間があるので、俺はこのタイミングでプレゼントを渡す事を決める。
「ちょっとだけ目を閉じてもらってもいいかな?」
「どうしたの? とりあえず目を閉じるね」
不思議そうな顔をしつつも、実乃里は素直に目を閉じた。
最初はここで実乃里にキスをするつもりだったが、ヘタレで勇気の出なかった俺は諦める。
そして買い物袋の中から赤いマフラーを取り出すと、ゆっくりと実乃里の首に巻いていく。
マフラーが首に触れた瞬間少し驚いた様子だったが、実乃里はそのまま目を閉じ続けていた。
「もう目を開けても大丈夫」
「急に首元が暖かくなったと思ったらマフラーだったんだ」
自分の首元に巻かれた赤いマフラーを見た実乃里は嬉しそうな表情を浮かべている。
「それは俺からのプレゼントだよ、大切に使ってくれたら嬉しいな」
「ありがとう、大切に使うね」
喜んでくれるかどうか少し不安だったが、今の様子を見ると大丈夫だったようだ。
「あっ、そろそろ始まるみたいだよ」
会場の方へ目を向けると、電飾に次々と色とりどりの灯りが輝き始める。
薄暗い中で灯る赤や青、緑などのカラフルな電飾は幻想的な光景を生み出していて、とても綺麗だった。
俺も実乃里もその景色に見惚れてしまい、その場で完全に固まってしまっている。
「綺麗だね……」
「そうだな、普段は普通の駅前でしかないのにな……」
見慣れた駅前が幻想的な景色に生まれ変わった事に俺達2人は感動して、しばらく言葉が出てこなかった。
それからハッと我に返った俺と実乃里は駅前広場を2人で仲良く見て回る。
見るのに夢中になってしまい会話はあまり無かったが、俺達は満喫していたので何も問題は無い。
一通りイルミネーションを見終わった俺は満足そうな表情を浮かべていた実乃里に声をかける。
「また来年も一緒に見に行こうよ」
「うん、また一緒に行こうね。約束だよ」
こうして初めてのクリスマスデートは幕を閉じた。
劇場内は友達同士や1人で来ている人が多く、俺達のようなカップルの姿はほとんど無かった。
まあ、これから見る映画は普通のカップルがデートで見るような内容の作品では無いため、当然な気もするが。
だが俺的には正直恋愛映画よりもこっちの方が本音を言うと見たかったわけだし、何より実乃里が見たがっているのだから何も問題は無いだろう。
普通のカップルのデートとは少し違っている気もするが、ある意味俺達らしくていいとすら思っている。
「アニメの最終回が終わってからずっとモヤモヤしてたから、本当に楽しみだよ」
待ちきれない様子の実乃里は、本当に楽しみにしていたのだろう。
これから見る映画はいわゆる魔法少女ものと呼ばれるジャンルのアニメ映画で、元々テレビで放送していたアニメの続編だ。
このアニメは物語中で主要登場人物がほとんど死んでしまうなどダークでシリアスな世界観が広がっていて、見た目の可愛らしいイラストからは全く想像ができない鬱ストーリーを展開した挙句、謎が多く残された最終回を迎えた事からネット上で大きな話題を呼び、オタク達からカルト的な人気を得ていた。
勿論俺もリアルタイムで見ていて、意味不明な最終回を見終わった後はネット上の考察や二次創作を読み漁ったのは記憶に新しい。
まさか数年後に、彼女とのクリスマスデートでその続編を見ることになるとは夢にも思わなかったが。
映画が始まると俺達2人はスクリーンを食い入るように見つめ、気付けばあっという間に2時間が経過していた。
映画が終わり劇場内が明るくなると、実乃里は興奮気味に俺に話しかけてくる。
「面白かったね、結局色々と謎は残ったままだけど、私的にはめちゃくちゃ満足だったよ」
「あの終わり方だと、またネット上に考察が乱立しそうだな」
俺と実乃里は映画の内容についての感想や場面の考察をお互いに話しながら映画館を後にした。
それから俺達はイルミネーションの時間になるまで再びショッピングに戻るのだが、途中甘い物が食べたくなりクレープ屋に立ち寄る。
「どれにしようかな、チョコバナナホイップが美味しそうだけどイチゴホイップも捨てがたいし……」
「なら1つずつ買って、それを2人で半分に分けるってのはどう?」
メニュー表の前で実乃里がどちらにするか迷っている様子を見て、俺はそう提案した。
俺の言葉に実乃里はまるで子供のように目を輝かせ、俺の方へ顔を向ける。
「本当にいいの!?」
「勿論だよ、俺も両方食べたかったし」
実際に俺もその2択のどちらにするかで悩んでいたので何の問題も無い。
「やったー、春樹君ありがとう」
飛び上がって喜ぶ実乃里にクレープぐらいで大袈裟だなと思いつつ、感謝されるだけでこんなに浮かれている俺ってひょっとしてちょろい?などと考えながら、クレープを購入した。
その際に、半分にして食べやすいように紙皿を忘れずに貰っておく。
「じゃあ食べようか」
「うん」
俺達はクレープをそれぞれ半分こにして、仲良く食べ始めた。
さっきの映画とは違い、これこそ普通のカップルらしいデートの光景ではないだろうか。
先に食べ終わった俺が実乃里を待っていると、何かに気付いた実乃里がこちらへ腕を伸ばしてくる。
「ほっぺにクリームついてるよ」
俺の頬についていたクリームを指で掬い上げると、そのまま口に持っていった。
「えっ!?」
そんな突然の行動に驚いた俺はその場で完全に固まり、顔がどんどん火照るのを感じている。
だがそれをやった本人の実乃里も自分の行動にだんだんと恥ずかしくなってきたのか、顔を真っ赤にして固まっていたのだ。
「み、実乃里って結構大胆な行動をするんだな」
「勢いでやったのはいいけど、思った以上に恥ずかしかった……」
しばらくの間、俺達はお互いに顔を真っ赤にしたまま無言で見つめ合っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
それからショッピングを楽しんだ俺達は、イルミネーションの時間が近づいてきた事に気づき、会場の駅前広場へと向かい始める。
外はすっかりと薄暗くなってきており、昼間よりも肌寒くなっていた。
「やっぱり寒いね」
「そうだな、もう12月下旬だしな」
駅前広場に到着すると、まだ点灯時間の少し前ではあるが、たくさんの人達が既に集まっている。
やはりクリスマスのイルミネーションという事で、俺達の周りにはカップルが非常に多かった。
始まるまでもう少しだけ時間があるので、俺はこのタイミングでプレゼントを渡す事を決める。
「ちょっとだけ目を閉じてもらってもいいかな?」
「どうしたの? とりあえず目を閉じるね」
不思議そうな顔をしつつも、実乃里は素直に目を閉じた。
最初はここで実乃里にキスをするつもりだったが、ヘタレで勇気の出なかった俺は諦める。
そして買い物袋の中から赤いマフラーを取り出すと、ゆっくりと実乃里の首に巻いていく。
マフラーが首に触れた瞬間少し驚いた様子だったが、実乃里はそのまま目を閉じ続けていた。
「もう目を開けても大丈夫」
「急に首元が暖かくなったと思ったらマフラーだったんだ」
自分の首元に巻かれた赤いマフラーを見た実乃里は嬉しそうな表情を浮かべている。
「それは俺からのプレゼントだよ、大切に使ってくれたら嬉しいな」
「ありがとう、大切に使うね」
喜んでくれるかどうか少し不安だったが、今の様子を見ると大丈夫だったようだ。
「あっ、そろそろ始まるみたいだよ」
会場の方へ目を向けると、電飾に次々と色とりどりの灯りが輝き始める。
薄暗い中で灯る赤や青、緑などのカラフルな電飾は幻想的な光景を生み出していて、とても綺麗だった。
俺も実乃里もその景色に見惚れてしまい、その場で完全に固まってしまっている。
「綺麗だね……」
「そうだな、普段は普通の駅前でしかないのにな……」
見慣れた駅前が幻想的な景色に生まれ変わった事に俺達2人は感動して、しばらく言葉が出てこなかった。
それからハッと我に返った俺と実乃里は駅前広場を2人で仲良く見て回る。
見るのに夢中になってしまい会話はあまり無かったが、俺達は満喫していたので何も問題は無い。
一通りイルミネーションを見終わった俺は満足そうな表情を浮かべていた実乃里に声をかける。
「また来年も一緒に見に行こうよ」
「うん、また一緒に行こうね。約束だよ」
こうして初めてのクリスマスデートは幕を閉じた。
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