スキル盗んで何が悪い!

大都督

文字の大きさ
上 下
39 / 174

第39話 ワクワクのジョブ変更

しおりを挟む
〘チミっ子言うな!〙

(うわっ! シャロット様!?)

 いつもの様にユイシスにアレコレと質問しようとすると、返ってきた声はユイシスではなく神であるシャロット様だった。思わぬ声の主に自分の寝起きの頭も一気に目が覚める程だ。

〘全く。ほんの少し離れたと思ったら、あんたは私を直ぐにチミっ子呼びするわね。あんたには褒美ではなく天罰が必要なのかしら?〙

(アワワ、すみません! すみません!)

 天罰、正に神が使うに相応しい言葉だろう。

 物事を簡単に済ませるシャロット様の天罰と言う言葉に、自分はその場で起立し、綺麗に90度腰を曲げ心身と謝罪を繰り返した。

〘フフッ、冗談よ。ところでユイシスは今持ち場を離れてるわ。代わりに私が質問に答えてあげる〙

(うわー、なんか新鮮。よろしくお願いします)

〘で、聞きたい事はジョブ枠の増加数だったっけ? 増やしたのは3つよ。要するに今あんたが付けれるジョブは、メインのジョブと、スキルで増やした枠、後3つが私の増やした枠よ〙

【忍者】_________Lv8。

【ウィザード】___Lv8。

【ノージョブ】

【ノージョブ】

【ノージョブ】

(なるほど。しかし、ノージョブって無職扱いとわ……)

〘その方が面白いでしょ。それであんたが今付けれるジョブがこれね。少し解りやすい様に分けてあげる〙

前衛

【ソードマン】【ランサー】【ガード】

【モンク】【ウォーリアー】

後衛

【ハンター】【ボウマン】【シューター】

【イリュージョニスト】【エンハンサー】

【アルケミスト】【サマナー】

商人

【ペドラー】

盗賊

【ローグ】【アサシン】【カットパース】

支援

【プリースト】【ヒーラー】

【タクティクスシャン】

その他

【ジョングルール】【アオイドス】【テイマー】

【料理人】

 自分自身のステータスが増加し、スキルも増えてきた事で転職できるジョブが以前の倍近く増えていた。

(おぉ、見やすい。ん? 何です最後の料理人って)

〘飯を作る人の事を言うのよ?〙

(いや……それは解りますよ)

〘まぁ、いいわ。さっ、この中から3つ選びなさい〙

(いくつか質問してもいいですか?)

〘良いわよ〙

 何も解らずに適当にジョブを選ぶ事は今までも無かった。更には今回は説明役はユイシスでは無くシャロットだ。当の本人がこの世界を作り出したのだから、もしかしたら思わぬヒントが貰えるかと期待を込めて質問してみた。

(まず【プリースト】と【ヒーラー】の違いって何ですか? 同じに思えますけど)

〘プリーストは一般的に【クレリック】を極めた者が行く先ね。回復量も増えて、MPの増加も見込める安定の支援者よ。変わって【ヒーラー】だけど、高位の回復魔法を覚えれるわ。MPの増加はそんなに無いけど、回復では【プリースト】よりも専門になるわね〙

(なるほど。次に増えた物が何なのか教えてもらってもよろしいですか?)

〘えーと、簡単に説明するわよ【イリュージョニスト】幻術の魔法を得意とするわ【エンハンサー】攻撃スキルは無いけど自身や仲間の強化スキルを多彩に持ってるわね【サマナー】召喚魔法を扱えるわ、召喚できるのは召喚者の魔力量で変わるわよ【カットパース】盗む事を得意とするジョブね。えーと、次の【ヒーラー】と【プリースト】は飛ばすわよ〙

「はい」

〘【タクティクスシャン】戦闘の戦いの戦法を考える、えーと何だったけ、軍師? だったかしら、頭がキレるジョブよ【ジョングルール】は楽器の演奏者、音楽の力で仲間の能力を上げることができるわ【アオイドス】は歌い手、これも前者と似た者よ、最後の【料理人】これも説明はいいわね〙

「ありがとうございました」

〘ふ~、疲れたわ〙

《ご主人様、私の代役、誠にありがとうございます。後は私が引き継ぎますのでお休み下さい》

 早口ながら全てのジョブを説明を終えると、いつも聞きなれているユイシスの声が聞こえてきた

〘解ったわ。あんた、あんまりユイシスに苦労させるんじゃないわよ〙

〚それはお前だろ〛

〘お前はさっさと帰れ!〙

〚痛って! 食い物投げんじゃねぇ!〛

〘これは堅焼き煎餅よ。割って食べるものだからね。その使いどころの少ない硬い頭には丁度いいでしょ〙

(えっ、まさか、ユイシス居なかったのって買い出しに行かされてたの?)

《フフッ、ヒミツですよ。ところでミツ、選択するジョブは決まりましたか?》

(ん~、まぁ、1つ目は前から決めてた前衛のソードマンを選んで【剣術】獲得かな。後2つオススメある?)

 結局シャロット様からはジョブの説明しか聞けなかったので、いつも通りサポーターのユイシスにアドバイスを貰うことにした。

《【エンハンサー】【ヒーラー】をオススメします。ミツは何度かパーティーを組まれてますが、仕方ないとは言え、殆どがミツの独壇場になってます。今後を考えると、幅広く仲間へのサポートスキルを覚える事をオススメします》

 ユイシスの言葉も確かである。
 今まで何度も危機が襲ってきたが、殆どが自分の独断で解決としている。
 覚えているスキルも自身を強化する物ばかりで、ゲームは基本ソロプレイヤーがメインだった為に、無意識にパーティーでの戦闘での考えが疎かになっていたのかもしれない。

(確かに……ならそれで。あっ、先に【エンハンサー】と【ヒーラー】に登録してもらってもいいかな)

《解りました、転職を行います、サードジョブに【エンハンサー】を登録。続いて、フォースジョブに【ヒーラー】を登録してよろしいですか》

(よろしく!)

《サードジョブ【エンハンサー】が登録されました。ボーナスとして以下のスキルから5つお選びください。既に習得済みのスキルは非表示となります》

※攻撃力上昇
※攻撃力低下
※守備力上昇
※守備力低下
※魔法攻撃力上昇
※魔法攻撃力低下
※魔法守備力上昇
※魔法守備力低下
※攻撃速度上昇
※攻撃速度低下

 シャロットの言うとおり攻撃スキルは一つもないジョブの【エンハンサー】しかし〈ブレッシング〉〈速度増加〉のスキルにプラスして、能力上昇スキルは自身にも嬉しい事だ。

(うわ、サポートスキルオンリーだ。仲間の能力上昇系スキルだけではなく、敵に対してもデメリットスキルもあるんだな。恐らく使い分けしながらの戦いなんだろうか。まぁ、取り敢えず前衛と後衛の為に攻撃力と守備は上げないとね。敵のステータスも下げた方がいいかな、でも……)

〘あっ、ちなみに同じタイプのスキル取れば特殊スキルが貰えるわよ〙

(えっ! 本当に! でも同じタイプ? タイプ……なら統一)

 突如シャロットのヒントの言葉に少し驚きも、もう一度取るべきスキルを考えた。

(ユイシス、エンハンサーのスキルは上昇系のスキルを選ぶよ!)

 自分が出した答えは全て〈〇〇上昇〉の文字がついたスキルだ。

《はい。では、スキル〈攻撃力上昇〉〈守備力上昇〉〈魔法攻撃力上昇〉〈魔法守備力上昇〉〈攻撃速度上昇〉を習得しました、条件スキルの対象を獲得しました〈絆の力〉を習得しました》

攻撃力上昇

・種別:アクティブ

ステータスの攻撃力を上昇させる、レベルが上がると効果が増す。

守備力上昇

・種別:アクティブ

ステータスの守備力を上昇させる、レベルが上がると効果が増す。

魔法攻撃力上昇

・種別:アクティブ

魔法での攻撃力を上昇させる、レベルが上がると効果が増す。

魔法防御力上昇

・種別:アクティブ

魔法での防御力を上昇させる、レベルが上がると効果が増す。

攻撃速度上昇

・種別:アクティブ

物理/魔法での攻撃速度を上昇させる、レベルが上がると効果が増す。

絆の力

・種別:パッシブ

パーティーの人数に応じてステータス上昇、対象はパーティー全てに反映する。

(よし!)

《次にフォースジョブ【ヒーラー】が登録されましたボーナスとして、以下のスキルから5つお選びください。既に習得済みのスキルは非表示となります》

※ハイヒール

※エリアヒール

※プロテス

※ディーバールチャンスダイ

※デプロテクションダウン

※デーモンズアタック

※コーティングベール

(半分は何となくだけど、名前で効果は解るけどね、ユイシス、スキルの説明お願いしても良いかな?)

《はい、では上から順に〈ハイヒール〉は〈ヒール〉の上位版です、効果は高く消費するMPは倍となりますが回復力はそれ以上です。〈エリアヒール〉は自分を中心に周辺に回復をする事ができます。効果は覚えている〈ヒール〉の回復力と同じとなります》

(なるほど、今ヒールのレベルが4だから、一回で周囲にその効果が現れるのか。ここにたどり着く前に欲しかったなそれ)

《次に〈プロテス〉は物理防御力と魔法防御力を上げる効果を持っています。〈ディーバールチャンスダイ〉これは自身のMPを他者へと送る事ができます》

(おぉ、プロテスってミラーシールドを重ねがけってできるのかな?)

《可能です》

(よし! 後ディーバールチャンスダイ、これは使えるね、今のパーティーならリッケとリッコがMP枯渇させないようにできるし)

《次です、〈デプロテクションダウン〉は相手の戦闘意識を下げる効果を持ちます。〈デーモンズアタック〉はアンデット系又はゴースト系に対しての攻撃となります》

(なるほど、要するに敵を賢者モードにするスキルか、それとこっちは〈シャイン〉持ってるから必ずほしいってことも無いかな、未だに使った事無いけど)

《強さは使用者の魔力とスキルレベルになりますが〈シャイン〉はゴースト系には効きにくいので注意して下さい。最後に〈コーティングベール〉は精神系魔法防御効果、また精神に異常を持ち合わせた者を治すことができます》

(精神系魔法ってのもあるんだ。確かに戦いの時に相手にそんな事されたら危ないな……。これは自分にも使えるよね?)

《はい、ちなみに【ヒーラー】の限定スキルはこの〈コーティングベール〉です》

 自分はユイシスからスキルの説明を聞くと、この後の事を考え、選択するスキルを選んだ。

(解った、ユイシス選んだよ〈ハイヒール〉〈エリアヒール〉〈プロテス〉〈ディーバールチャンスダイ〉〈コーティングベール〉をよろしく)

《はい、スキル〈ハイヒール〉〈エリアヒール〉〈プロテス〉〈ディーバールチャンスダイ〉〈コーティングベール〉を習得しました》

ハイヒール

・種別:アクティブ

ヒールの上位版、大きく回復する。

エリアヒール

・種別:アクティブ

自身を中心とした周囲を回復する。

回復量は自身のヒールの回復量と同じとなる、また、使用経験はヒールへと加算される。

プロテス

・種別:アクティブ

物理防御力/魔法防御力を上昇させる、レベルが上がると効果が増す。

ディーバールチャンスダイ

・種別:アクティブ

他者へと自身のMPを渡す事ができる。

コーティングベール

・種別:アクティブ

精神魔法を防ぐ、精神状態異常を癒し治す事もできる。

(それじゃユイシス、最後に【ソードマン】を最後の枠に選択しておくれ)

 最後は、以前より決めていた【剣術】取得の為ジョブは前衛でもある【ソードマン】これでこの世界にやってきて【弓術】から始まり【支援術】【魔術】と取得続けて術系はこれでコンプリートだ。

《フィフスジョブ【ソードマン】がジョブに登録されました【剣術】を獲得しました、ボーナスとして以下のスキルから6つお選びください。既に習得済みのスキルは非表示となります》

※剣術上昇

※挑発

 ユイシスの言葉の後にウィンドウ画面に表示されたのは2つのスキルだけだった。

(ちょちょちょ! 2つしか表示されてないんだけど!?)

《はい、ミツは既にソードマンに関するスキルを〈スティール〉で回収しております。よって、先程申し上げた通りに、表示されるスキルは残り2つです》

(その場合残りの4つ分はどうなるの? まさか無効とか!?)

 せっかく【剣術】取得分のボーナスがあるのに取得できるスキルが無い。
 流石に、そのまま流れるのは勘弁と焦りを隠せなかった。

〘安心しなさい。あんたのこれ迄の努力を無下にはしないわ。提案として今まで選択されなかったスキルから好きなスキルを選ぶと良いわ〙

 自分の焦りを感じてか、シャロットが直ぐに打開策を出してくれた。

(選択されなかった? それジョブ全てですか?)

〘ええ、流石にまだ経験の無いジョブのスキルを選択には入れないけど、これで納得しときなさいよ〙

(いえ、ありがとうございます! 取り逃したやつも気になったのがあったので助かります!)

《では、以下のスキルから残り4つを選びください》

※罠解除

※忍び足

※ダブルショット

※連斬

※ポイズントラップ

※トラップ探知

※解毒

※二刀流

※投刀

※残像

※秘密探知

※ファイヤーボール

※アイスジャベリン

※アイスノヴァ

※ウォーターカッター

※ニードル

※攻撃力低下

※守備力低下

※魔法攻撃力低下

※魔法防御力低下

※攻撃速度低下

※デプロテクションダウン

※デーモンズアタック

 

 ウィンドウ画面に表示されたのは確かに今まで選択してこなかったスキルの一覧だった。
 これを見る限り、やはりスキルのコンプリートは大変だと思う。

(この中から4つ。どうしようかな)

《ミツは既に決まってるのでは》

(流石ユイシス。後々気にしないようにしてたのにやっぱり気づいてたのか……。じゃ~〈二刀〉〈投刀〉〈残像〉〈秘密探知〉の忍者のスキルを希望でおねげぇしやす!)

《では、〈剣術上昇〉〈挑発〉と、選択されたスキル〈二刀〉〈投刀〉〈残像〉〈秘密探知〉を習得しました、条件スキルの対象を獲得しました〈影分身〉を習得しました》

剣術上昇

・種別:パッシブ

剣の技量が上昇する。

挑発

・種別:アクティブ

敵からの注目を自身に向ける、引きつけた敵は守備力が低下する。

二刀

・種別:パッシブ

武器を両手に持つことができる、両手とも利き腕のように武器を扱えるようになる。

投刀

・種別:アクティブ

武器を魔力を込めて投げる事ができる。

残像

・種別:アクティブ

その場にいるかのように姿を残す事ができる。

秘密探知

・種別:パッシブ

建物、屋外、洞窟、様々な場所違和感のある場所を感知する。

影分身

・種別:アクティブ

自身と同じ姿能力を持つ人物を出す事ができる、分身が習得した経験は自身に反映する。

(やったー! これこそ正に忍者の完成形だ! まさかファンタジーな世界で忍者になれるとは。いや、ファンタジーだからこそできるのか)

 そして、余ったポイントで【忍者】のスキルを取り終わったその時、いつも出てくるウィンドウ画面とは違い、ウィンドウバーが虹色に輝きながら目の前に突如として表示された。

《基礎術式全てを習得しました。ボーナスとして習得済みスキルを20、レベルを上げる事ができます》

 ユイシスの思わぬ言葉にガバッと立ち上がり、目を大きく開き、表示された文字の数字をマジマジと見た。

(何! 何! 何! 今日は大安吉日か! こんなに貰っちゃっていいの!)

〘いらないなら無しにしても良いわよ〙

(そんな事はございません! これも全て創造主神シャロット様のご自愛! 心より感謝いたします! はは~)

〘……別に良いけど。アンタ、今の姿を他の者が見たら異様な格好よ〙

 シャロットの言葉に直立していた自分が物凄いスピードでその場で神に祈る大勢……。
 いや、完全に土下座の姿勢をとっていた。
 確かに焚き火に土下座する人の姿は、傍から見たら異様な姿だろう。

(いえ! これは感謝の祈りなので構いません!)

〘まぁ、悪い気はしないわね。フフフッ〙

《ミツ、レベルを上げるスキルを決めて下さい》

 ユイシスの言葉でゆっくりと頭を上げ、選択するスキルを考え込む。

(うん、そうだね。前回と同じ身体能力スキルを上げるべきか……。いや……まてよ。攻撃スキルも少しあげたい……でも)

 以前はアースベアーとの戦闘中と言う事もあって、ゆっくりと考える余裕も無かった。
 今回は火の番なので時間はある。
 焚き火の火が弱くなったので調整したりと色々としながら時間は経ち、その間も上げるスキルを考える。

(よし! 決めたよユイシス)

《はい》

 ブツブツと独り言を言いながら数分たっただろうか。自分の言葉にユイシスが返事をする。

(〈身体強化Lv2〉を8上げてMAXに。〈自然治癒Lv1〉を4上げて5に。最後に〈痛覚軽減Lv2〉8つ上げてMAXにして下さい!)

《選択により〈身体能力LvMax〉〈自然治癒Lv5〉〈痛覚軽減LvMax〉となりました》

(ふ~、これで〈痛覚軽減〉のスキル上げの為に痛い思いしなくて済む。後は実験か……)

 〈痛覚軽減〉をMAXにしたところで、いきなり戦闘で本番を試す度胸も自分には無い。
 アイテムボックスから矢を1本取り出し、鏃部分をジッと見る。

(手の甲に少しだけ……)

 矢の先端。
 鏃部分を手の甲に当てスッと腕を引く。
 手の甲からは薄っすらと赤い血が滲んで出てきたが、自分に痛みを感じる事も無く、切った傷口も血を拭った時には完全に塞がっていた。

(おぉ! 痛くない! しかも治った傷口も瘡蓋もできずに塞がるとは)

 アレコレとジョブを増やし、その分新しいスキルを獲得。
 ホクホク状態だが、まだ終わりではない。
 次は神様の二人? 二柱から貰ったスキルだ。

(さて、バルバラ様のスキルは明日のモンスター戦に使うとして、シャロット様から貰った〈マーキング〉と〈創造〉かな。ユイシス説明お願いできるかな)

《はい〈マーキング〉は〈マップ〉と共に使うスキルです。先ず〈マップ〉を開いて下さい》

 ユイシスに言われるまま〈マップ〉を目の前に表示させる。

(はい、開いたよ)

〈次に、近くに居る生命体に〈マーキング〉をイメージして下さい〉

(生命体って、今は人しかいないしな)

 キョロキョロと周りを見渡すが、居るのは壁で囲った中にプルンとリッコ、その壁を背に寝ているリックとリッケだ。

(あっ、リックでいいか)

 いびきをかきながら爆睡しているリックに向かって〈マーキング〉を使用した。

(マーキングっと)

《マップ上に今、マーキングした対象が矢印で表示されます。対象がミツに対して友好的な場合は青色表示となり、敵意は赤色表示。または様々な感情によって色の表示が変動します》

 そう言われてリックに〈マーキング〉をした後に〈マップ〉に表示された矢印の色を確認する。

(えーと、青色だね)

 これで、リックが自分に対して友好的だと言う事が解った。
 無いとは思うが、今後洞窟内で迷子になっては困るので明日皆にスキル(マーキング)を使用しとく事にした。

《次に〈物質製造〉ですが、こちらは言葉の通り物を作り出すスキルとなります》

(作り出すって何でも?)

《はい、ミツのイメージで何でも作り出す事が可能となります。勿論材料は必要としますが》

(えっ、本当に何でもか)

《試しに、アイテムボックス内の物を使い、簡単な物を作ってみたらどうでしょう》

(そうだね……。アイテムボックスから出してっと)

 自分はアイテムボックスから、15センチ程の角材を取り出す。
 手にした角材を見ながら何を作るのか考えてみた。

(ん~、簡単な物ね。じゃ~、コップでも作ってみようかな)

 早速マグカップ程の大きさのコップをイメージしながらスキルを発動した。

 その瞬間、角材がグニャリと形を変えた。
 まるで粘土の様にウネウネと動き、角材はゆっくりとコップの形になっていく。

 形を整えた元角材のマグカップは漆を塗ったように艷やかであり、口を当てる部分や手に持つ取っ手部分は滑らかにヤスリをかけた様に綺麗な仕上がりだった。

(これはいいや! 皆の分も作っとこう)

 火の番をしながらコップを夢中に作っていると、何やら人が動く気配を感じた。

 薄暗い洞窟の中〈小鳥の目〉と〈感覚強化〉スキルが反応し、此方を伺っていると思われる数人の気配を感じた。

(あっ……) 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

処理中です...