スキル盗んで何が悪い!

大都督

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第2話 キャラメイクには時間をかけるタイプ

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《ようこそワールドランド(WL)へ》


 光に慣れると、目の前には文章が。

《このゲームは、コマンドは全てあなたの声によって入力されます》

《次の文章へ進む場合は、「次へ」とお話ください》

「へーすごいな。じゃあ次へっと!」

《今からあなたの分身であるキャラクターを制作します。※注意※  顔や外見は、最初に登録されたものを使用します。変更はできませんのでご了承ください》

 なるほど、ここでさっきの写真が使われるのか。下手に子供の頃の写真とか使わなくて良かった。


《まず、基本となる名前、年齢、性別をお決めください。決定後の変更はできませんのでご注意ください》

 これは確かに基本だね。

 キャラネームは本名の一部を使うのが楽だから、いつもそうしている。決定後は変更不可ということだし、ネタネームにするのは諦めとこう。


「えーと、名前はミツ。年齢は15歳で、性別は男」

  発した通りの文字が表示された。最新機種の性能に感心しながら次へ進める。

《次に、質問と選択項目が出ますので、回答してください。こちらの回答に対してボーナスが特典として付けられます。無回答でもボーナスはつきますのでご安心ください。ボーナスの内容はランダムとなっております》

「ボーナス特典か、やっぱり全部回答したほうが良い物貰えるのかな? でもランダムって言ってたし、項目を見てから決めよう。次へ。」

《以下の質問に対し、次の中から選択をして下さい。回答できない項目に関しては、無回答でもかまいません。》

 なんだろう、商品アンケートやってる気分になってきた。

 それから次々と出される質問に答えていく。

 好きな食べ物から始まり趣味や特技、この辺はゲームに関係するのだろうか?

 不思議に思いながらも、出された質問に答えていった。

 そんなに難しい事じゃなかったから時間もかからず、全部答える事ができた。

《本ゲームでは、皆様スタートはノービスです。冒険を進めていく中で習得したスキルと、ステータスによって職業が変わります。勇者にもなれますし、逆に魔王にもなる事ができます。》

 なるほど、スキルとステータスが重要なんだな。

 しかし、勇者と魔王って職業だったのか?

《次に、基本能力となる術をお選びください。選ばれた術によってあなたのステータスの上がり方が変わります》


《【剣術】 【弓術】 【魔力術】 【支援術】》


 前衛のタンクか、後衛のハンターもしくはマジシャンか、支援のプリーストのどれかって事かな。

 始めてすぐに、パーティに入れるなら良いけど、早々には無理だろうな。

 となると支援系は難しいか。レベルが上がっていけば重宝される職なんだけどね、ソロプレーヤーにはキツイかな。

 そうなるとタンクのような剣術かな……。

 いや、剣術と言うくらいだからこれはモンスターと戦ってゆくゲームだろう。となるとダメージを受ける。当たり前だが。

 初期の敵がスライムみたいな貧弱系だったとしても油断できない。数で囲まれたら一発でTHE ENDだ。

 なら魔術で一掃するか……?

 いや、魔法と言うくらいだ。MPの存在が否定できない。

 ソロでMP切れなんてなったら、サンドバックに早変わりだ。

 安全に、弓で遠くからチクチク攻撃するかな。

 これもデメリットはあるだろうけど、直ぐに逃げる事はできるだろう。そうすればダメージも最低限に抑えられるかもしれない。

「よし!【弓術】に決定!」

  弓術の文字が大きく浮かび上がり、一瞬崩れたかと思うと極小のキューブ状に分散し、自分の体へと吸収された。

《それでは、弓術を基本能力とし、それにあったスキルを表示します。次の項目の中から3つお選び下さい。》

*小鳥の目

*フクロウの目

*鷹の目

*罠仕掛け

*罠解除

*一点集中

*潜伏

*忍び足

*ダブルショット

*急所撃ち


 名前だけじゃ想像できないのが何個かあった。

「スキルの説明とかでるかな?」

 解らないスキルを取る訳にはいかない。せめて、この"目"シリーズだけでも解れば

《スキルの内容は、ゲームスタート時に鑑定にて解ります。現時点での鑑定はできません。》

 駄目か。

 しかし、目と言うくらいだ。動体視力が上がったり、遠くを見ることができる感じだろう。

 なら、この中で選ぶとすれば……


「潜伏、一点集中、フクロウの目!」

 潜伏は弓職の基本、見つかっては意味が無い。接近戦ができない以上は、ヒットアンドアウェイを基本スタイルとして戦おう。

 次に一点集中。これは弓の強みになるはずだ。

 最後はフクロウの目。鷹の目と悩んだけど、フクロウは夜行性、暗い所でも使えると思う。多分。

《それでは、以上3点のスキルで決定いたしました。最後に、これまで案内いたしました私に、どのような印象を持たれたでしょうか?》


「……?」

 何を言ってるんだこのゲームは?

  少し困惑しながらも、今までの対応と、自分の趣味も交えて回答しておく事にした。


「礼儀正しく、素晴らしい案内人だと思いました! あと、美人で! 金髪ブロンドの! 巨乳だといいな!」

  何の文字も表示されない。黙っている、ということか? 呆れられた?

 いや、思った事そのまま言っただけなんだけどな。

《ありがとうございます。登録により、これからミツ様のサポーターとしてフォローさせて頂く事になりました。》

「ふぁ?」

 いきなり過ぎて変な声が出た。

 まぁ、ゲームサポートは欲しいから問題ないかな。

 しかし、しょうがない事だが、文字だけで外見が見えないのはなんだか実感が湧きにくい。


《それでは、ボーナスの配布となります。ボーナスはランダムにスタートと同時にお手元に入りますので、確認をして下さい。》

 いよいよ始まるWLの世界、目標はランカーに入る事!

  一日にプレイできる時間は、平日は約4時間。でも休日にガッツリプレイすれば、いい所まで行けるだろう。

《WLの始まりです、ミツ様の未来に栄光を》

 そして、また眩いほどの白い光に包まれた。

 それが、自分の第二の人生の始まりとなる光であった。
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