216 / 278
第十六章 義時と真子の挙式 ~純白のドレスと運動靴!?~
第十六章 ㊼
しおりを挟む
そして……。あの愛媛旅行、弾丸日帰り旅行
から、二か月以上経った今、私は、
妊娠しています。
あんな生き方を続けていた私が、妊娠中の
妊婦なのです。
憂いと苛立ちでいっぱいだった、あの頃には
考えられないような、毎日を送っています。
全ては……と、私は思うんです。
そうです。
「全ては、雪子さんのお祈りのおかげ
だなぁ」と。
それまで完全に無縁だった、何より、
自分自身「一生縁がないだろうなぁ」と
考えていた、産婦人科の病院に行き、
正式に、「妊娠していますね」と言われる
まで、ずっと思いめぐらしていました。
「大丈夫!あの、雪子さんが、お祈りして
くれたんだから、絶対、妊娠できる」と。
そして、夫がいない時には、家の中で、
口ずさみました。
「お祈りしてもらったんだから!
絶対、すぐに、結果が出る」と、いつも
……。
まぁ、常識的にはムリだと分かって
いました。
調べて、それを知った時は、絶望的に
感じましたね。
それまでの自分を殴ってやりたくなり
ました。
ずっと、長い間、経口避妊薬を服用して
いると、服用をやめても、すぐには、
妊娠はない……と知って。
だからこそ、とにかく、不安になること、
そして、後悔することを防ぐために、
毎日、そういうことを思い考え、一人に
なれたら、告白して……。
そして、実際、経口避妊薬との縁を
断ち切って、夫に抱かれて……。
でも、力強いものです。
味方の存在は……。
ちょっと、揺るぎそうになっても、
思い出すんです。
あの雪子さんのことを……。
それまでに出会ってきたどの人物よりも
偉大と言っても、決して過言ではない、
あの人のことを。
「雪子さんが、お祈りしてくれたん
だから!
それに、今日も、愛媛でお祈りして
くれているんだ!」って。
それに、自分でも、雪子さんに教わった
ように、毎日、小さな十字架を見上げ
ながら、祈願していました、ずっと……。
「キリストの神様。どうか、こんな私
ですが、憐れんでください。子どもを
お与えください」と。
……私は、本当に、『こんな私』と言う
表現がピッタリな女なのです。
夫を、両親を、義父母を、騙し続けて
いた。
一人の女性として、家庭人として最低
です。妻、娘、嫁としても!!
それに、警察手帳を所持していると
言っても…。
子どもたちの憧れの警察官だとは
言っても…。
時に、被疑者に対し、非人間的な
対応をしてしまっている一面は、
否めません。
補導対象の青少年を前に、
「こんなクズ野郎を産んだアホ両親の
顔が見たいわ!!」とか「こんなクソ、
いっそ事件に巻き込まれりゃ良いんだ!」
って思うことも、多々あります。
本気で、「殺してやりたいッ!」って、
殺意を抱いてしまうことも少しじゃない。
まぁ、これらは、職務上しょうがないとか
『熱心に任務にあたっているから』と
言い訳がきくかもしれないですが…。
何度も刑事としての身分を「使った」
こともある
情報をながしたこともある。
それに、「もみけし」も……。
確かに、真子ちゃんを平戸から助けた
あの時には、純粋な正義心等から、規定や
法を無視する結果になりましたが、
利己的な感情や保身のために、一線を
超えることも度々、です…。
交通課にいる同僚に、頼んではいけない
ことを、それを分かっていながら頼んだ
ことを、今でも思い出します。
昔、ちょっと憧れていた、母方の従兄。
彼から久しぶりに電話がかかってきて…。
私は、彼が、阿佐ヶ谷中央署管内で、
駐車違反の件で揉めていることを知って、
同僚に裏から頼んだわけです。
あと、私自身も……。
独身時代、非番の日。
車を運転していて、気づいたら速度超過。
停止命令。
ハッとした時には、もう遅い。
交機の制服警官が、駆け寄って来て…。
車を止めて、車の窓を開けながら、
私は、再度ハッとしました。
私の車に近づいてくる警官は、警察学校
時代の同期……。
あっちも、私に気づいたようで。
私は、一瞬、「これ、いけるかな?」と
思ってしまったのです、事実。
それを……期待したのです。
とりあえず、彼に声をかけようとする
私に、彼は目配せし、手で「行け!」
と……。
私は、あの時、ちゃんと、切符の処理を
させるべきだったのに!
ホッとして、安心して、何より、
「うまくいったぁ!」、「アイツで
良かったぁ」と心の中でガッツポーズして、
その場を走り去ったのです。
彼が、私に好意を持っていたのを知って
いた狡賢い私は……。
もともと、免許証を彼に提示する意思も
なかったし、そうならないと踏んでいた
……。
他にも、生安課に配属されてからして
きた、規定違反やら地公法違反を全部
曝け出されたら、とんでもないことに
なるのです、絶対。
私は、本当に、本当に、そういう意味でも
『こんな女』なわけです。
(著作権は、篠原元にあります)
から、二か月以上経った今、私は、
妊娠しています。
あんな生き方を続けていた私が、妊娠中の
妊婦なのです。
憂いと苛立ちでいっぱいだった、あの頃には
考えられないような、毎日を送っています。
全ては……と、私は思うんです。
そうです。
「全ては、雪子さんのお祈りのおかげ
だなぁ」と。
それまで完全に無縁だった、何より、
自分自身「一生縁がないだろうなぁ」と
考えていた、産婦人科の病院に行き、
正式に、「妊娠していますね」と言われる
まで、ずっと思いめぐらしていました。
「大丈夫!あの、雪子さんが、お祈りして
くれたんだから、絶対、妊娠できる」と。
そして、夫がいない時には、家の中で、
口ずさみました。
「お祈りしてもらったんだから!
絶対、すぐに、結果が出る」と、いつも
……。
まぁ、常識的にはムリだと分かって
いました。
調べて、それを知った時は、絶望的に
感じましたね。
それまでの自分を殴ってやりたくなり
ました。
ずっと、長い間、経口避妊薬を服用して
いると、服用をやめても、すぐには、
妊娠はない……と知って。
だからこそ、とにかく、不安になること、
そして、後悔することを防ぐために、
毎日、そういうことを思い考え、一人に
なれたら、告白して……。
そして、実際、経口避妊薬との縁を
断ち切って、夫に抱かれて……。
でも、力強いものです。
味方の存在は……。
ちょっと、揺るぎそうになっても、
思い出すんです。
あの雪子さんのことを……。
それまでに出会ってきたどの人物よりも
偉大と言っても、決して過言ではない、
あの人のことを。
「雪子さんが、お祈りしてくれたん
だから!
それに、今日も、愛媛でお祈りして
くれているんだ!」って。
それに、自分でも、雪子さんに教わった
ように、毎日、小さな十字架を見上げ
ながら、祈願していました、ずっと……。
「キリストの神様。どうか、こんな私
ですが、憐れんでください。子どもを
お与えください」と。
……私は、本当に、『こんな私』と言う
表現がピッタリな女なのです。
夫を、両親を、義父母を、騙し続けて
いた。
一人の女性として、家庭人として最低
です。妻、娘、嫁としても!!
それに、警察手帳を所持していると
言っても…。
子どもたちの憧れの警察官だとは
言っても…。
時に、被疑者に対し、非人間的な
対応をしてしまっている一面は、
否めません。
補導対象の青少年を前に、
「こんなクズ野郎を産んだアホ両親の
顔が見たいわ!!」とか「こんなクソ、
いっそ事件に巻き込まれりゃ良いんだ!」
って思うことも、多々あります。
本気で、「殺してやりたいッ!」って、
殺意を抱いてしまうことも少しじゃない。
まぁ、これらは、職務上しょうがないとか
『熱心に任務にあたっているから』と
言い訳がきくかもしれないですが…。
何度も刑事としての身分を「使った」
こともある
情報をながしたこともある。
それに、「もみけし」も……。
確かに、真子ちゃんを平戸から助けた
あの時には、純粋な正義心等から、規定や
法を無視する結果になりましたが、
利己的な感情や保身のために、一線を
超えることも度々、です…。
交通課にいる同僚に、頼んではいけない
ことを、それを分かっていながら頼んだ
ことを、今でも思い出します。
昔、ちょっと憧れていた、母方の従兄。
彼から久しぶりに電話がかかってきて…。
私は、彼が、阿佐ヶ谷中央署管内で、
駐車違反の件で揉めていることを知って、
同僚に裏から頼んだわけです。
あと、私自身も……。
独身時代、非番の日。
車を運転していて、気づいたら速度超過。
停止命令。
ハッとした時には、もう遅い。
交機の制服警官が、駆け寄って来て…。
車を止めて、車の窓を開けながら、
私は、再度ハッとしました。
私の車に近づいてくる警官は、警察学校
時代の同期……。
あっちも、私に気づいたようで。
私は、一瞬、「これ、いけるかな?」と
思ってしまったのです、事実。
それを……期待したのです。
とりあえず、彼に声をかけようとする
私に、彼は目配せし、手で「行け!」
と……。
私は、あの時、ちゃんと、切符の処理を
させるべきだったのに!
ホッとして、安心して、何より、
「うまくいったぁ!」、「アイツで
良かったぁ」と心の中でガッツポーズして、
その場を走り去ったのです。
彼が、私に好意を持っていたのを知って
いた狡賢い私は……。
もともと、免許証を彼に提示する意思も
なかったし、そうならないと踏んでいた
……。
他にも、生安課に配属されてからして
きた、規定違反やら地公法違反を全部
曝け出されたら、とんでもないことに
なるのです、絶対。
私は、本当に、本当に、そういう意味でも
『こんな女』なわけです。
(著作権は、篠原元にあります)
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
学園のアイドルは料理下手。目立たぬ俺は料理講師~いつの間にやら彼女を虜にしていた件~
波瀾 紡
青春
◆学校では完璧な姿しか見せない学園のアイドルが俺の前では可愛い姿を見せる---
「学校ではここに通っていることは内緒にして」
「お……おう。わかった」
俺は母が主催する料理教室で、講師としてアルバイトをしている。そこにある日突然、俺の高校の同級生で、『学園のアイドル』春野日向が体験教室にやってきた。//
彼女は成績もスポーツもトップ、歌もピアノも抜群に上手いというスーパー美少女。そしていつも笑顔を絶やさず、学校では完璧な姿しか見せない高嶺の花。
そんな学園のアイドルは、実は料理だけは超苦手だった。
俺のいる料理教室で、学園のアイドルは普段他人に見せないような、おろおろする姿や無邪気に喜ぶ姿を、ついつい見せてしまう。//
だけど彼女が料理教室で俺と接点があることは、学校では内緒。
だから彼女が実はそんな可愛い面があることは、他には誰も知らない。
これは、そんな二人が徐々に惹かれあう物語。
※カクヨムジャンル別2位(日間、週間、月間)になりました。
※小説家になろうジャンル別1位(週間)になりました。
あの音になりたい! 北浜高校吹奏楽部へようこそ!
コウ
青春
またダメ金か、、。
中学で吹奏楽部に挫折した雨宮洸。
もうこれっきりにしようと進学した先は北浜高校。
[絶対に入らない]そう心に誓ったのに
そんな時、屋上から音が聞こえてくる。
吹奏楽部で青春and恋愛ドタバタストーリー。
少女が過去を取り戻すまで
tiroro
青春
小学生になり、何気ない日常を過ごしていた少女。
玲美はある日、運命に導かれるように、神社で一人佇む寂しげな少女・恵利佳と偶然出会った。
初めて会ったはずの恵利佳に、玲美は強く惹かれる不思議な感覚に襲われる。
恵利佳を取り巻くいじめ、孤独、悲惨な過去、そして未来に迫る悲劇を打ち破るため、玲美は何度も挫折しかけながら仲間達と共に立ち向かう。
『生まれ変わったら、また君と友達になりたい』
玲美が知らずに追い求めていた前世の想いは、やがて、二人の運命を大きく変えていく────
※この小説は、なろうで完結済みの小説のリメイクです
※リメイクに伴って追加した話がいくつかあります
内容を一部変更しています
※物語に登場する学校名、周辺の地域名、店舗名、人名はフィクションです
※一部、事実を基にしたフィクションが入っています
※タグは、完結までの間に話数に応じて一部増えます
※イラストは「画像生成AI」を使っています
【完結】婚約者と幼馴染があまりにも仲良しなので喜んで身を引きます。
天歌
恋愛
「あーーん!ダンテェ!ちょっと聞いてよっ!」
甘えた声でそう言いながら来たかと思えば、私の婚約者ダンテに寄り添うこの女性は、ダンテの幼馴染アリエラ様。
「ちょ、ちょっとアリエラ…。シャティアが見ているぞ」
ダンテはアリエラ様を軽く手で制止しつつも、私の方をチラチラと見ながら満更でも無いようだ。
「あ、シャティア様もいたんですね〜。そんな事よりもダンテッ…あのね…」
この距離で私が見えなければ医者を全力でお勧めしたい。
そして完全に2人の世界に入っていく婚約者とその幼馴染…。
いつもこうなのだ。
いつも私がダンテと過ごしていると必ずと言って良いほどアリエラ様が現れ2人の世界へ旅立たれる。
私も想い合う2人を引き離すような悪女ではありませんよ?
喜んで、身を引かせていただきます!
短編予定です。
設定緩いかもしれません。お許しください。
感想欄、返す自信が無く閉じています
悪意か、善意か、破滅か
野村にれ
恋愛
婚約者が別の令嬢に恋をして、婚約を破棄されたエルム・フォンターナ伯爵令嬢。
婚約者とその想い人が自殺を図ったことで、美談とされて、
悪意に晒されたエルムと、家族も一緒に爵位を返上してアジェル王国を去った。
その後、アジェル王国では、徐々に異変が起こり始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる