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 ついに門の一部が破られた。傭兵が次々に侵入し戦闘が始まる。大勢の兵士が戦う中、一人の傭兵がソニアを目掛けて櫓を登り始めた。さっき、嫌な言葉を放った男だ。 

 ソニアは胸に隠していた短剣を鞘から取り出して両手でしっかりと握った。せめて相手に一太刀なりとも与えたい。それがだめなら自らの最期をこの手で……

 男の手が最上段に掛かった。そして下卑た顔をヌッと現す。

「へへへっ、やっぱり上玉だな。俺が一番乗りだ」

 両手で縁を掴んでひょいと上がって来た男は、ニヤニヤしながらソニアに近づいてきた。

「近寄らないで! 刺しますよ!」

 すると男はソニアの手を剣の柄で殴ってソニアの剣をはたき落とした。

「あっ……!」

 すぐさま両の頬をパンパンと殴られて、目の前に星が飛ぶ。

「俺は女だって容赦はしないぜ。刃向かう奴は殴る」

 そして拳を握るとソニアの腹に一発、叩きこんだ。

「うぐっ……」

 床に仰向けに倒れ込んだソニアは気が遠くなっていく。男が近づく気配がして、ドレスに手がかかった。

(これは、罰なんだわ……私がリカルド様を騙した罰。だから私の純潔は、こんな下衆な男に奪われることになってしまった……)

 涙が一筋流れ、目を閉じたその時。

「ソニア!」
「ぐわっ」

 リカルドの声が聞こえて目を開けたソニアの視界に、男の苦痛に歪む顔が映った。ソニアの上に倒れそうになった男の服を、リカルドが掴んでどさりと放り投げる。男の背中には剣が深々と刺さっていた。

「ソニア! しっかりしろ、ソニア!」

 リカルドはソニアを抱き上げ必死で声を掛ける。

「リカルド様……」

 ソニアはそっと手を伸ばしてリカルドの頬に触れると、そのまま意識を失った。








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