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パーティーの申し込み
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卒業パーティーだけは特別な意味がある。在学中のパーティーはあくまで学園のイベントであり、パートナーを誰と組もうが関係ない。しかし卒業パーティーは王族も参加しての正式なパーティーで、婚約披露の場でもある。卒業時には皆十八歳になっており、婚約者がいるのが当たり前なのだ。
つまり、ヴィンセントはアンジェリカに婚約を申し込みたいと暗に言っているのである。
「そんな……殿下、畏れ多いことでございます……」
うろたえて何も言えなくなっているアンジェリカに、ヴィンセントは優しく微笑んだ。
「急にこんな事言われて驚いただろうね。でも僕は、君の外見だけではなく内面の豊かさや誠実さにも惹かれたんだ。話すたびに好きになっていく。こんな人は初めてだ。一度、国に帰って王の許しを得て戻ってくる。そうしたら正式に申し込むから返事はその時聞かせてくれないか」
「……はい、わかりました……」
アンジェリカは嬉しかった。もし、こんな顔でなかったら身体中で喜びを表現しただろう。涙も流したかもしれない。だけど。
(これは本当のこと? もしかして夢ではないかしら? からかわれているのではないの?)
まだ、全てを信じ切ることが出来ないのであった。
その夜、アンジェリカは自分の部屋で鏡台の前に座っていた。鏡に映るのは、ロバのような長い顔。
(でも、ヴィンセント殿下は私を可愛いと言って下さった。何度も何度も。そして背筋を伸ばし、顔を上げるようにとも)
そっと鏡に手を触れ、自分の顔が映る部分を撫でた。
(ずっとこの顔が嫌いだった。でも、これが私なんだ。私が私の顔を嫌ってしまっては、可哀想だわ。誰に何と言われても、自分くらいはこの顔を好きになってあげなくては。……それに、この顔を好きだと言って下さる方もいる)
鏡の中のアンジェリカの頬が赤く染まった。
(明日は、髪を下ろしてみよう。他の女生徒のように巻いてハーフアップにして……顔は変わらないけれど、少しでも可愛く見せるように)
六歳のあの時以来、初めてこんなに長い時間鏡に向かい、あれこれと髪型を試してみるアンジェリカだった。
つまり、ヴィンセントはアンジェリカに婚約を申し込みたいと暗に言っているのである。
「そんな……殿下、畏れ多いことでございます……」
うろたえて何も言えなくなっているアンジェリカに、ヴィンセントは優しく微笑んだ。
「急にこんな事言われて驚いただろうね。でも僕は、君の外見だけではなく内面の豊かさや誠実さにも惹かれたんだ。話すたびに好きになっていく。こんな人は初めてだ。一度、国に帰って王の許しを得て戻ってくる。そうしたら正式に申し込むから返事はその時聞かせてくれないか」
「……はい、わかりました……」
アンジェリカは嬉しかった。もし、こんな顔でなかったら身体中で喜びを表現しただろう。涙も流したかもしれない。だけど。
(これは本当のこと? もしかして夢ではないかしら? からかわれているのではないの?)
まだ、全てを信じ切ることが出来ないのであった。
その夜、アンジェリカは自分の部屋で鏡台の前に座っていた。鏡に映るのは、ロバのような長い顔。
(でも、ヴィンセント殿下は私を可愛いと言って下さった。何度も何度も。そして背筋を伸ばし、顔を上げるようにとも)
そっと鏡に手を触れ、自分の顔が映る部分を撫でた。
(ずっとこの顔が嫌いだった。でも、これが私なんだ。私が私の顔を嫌ってしまっては、可哀想だわ。誰に何と言われても、自分くらいはこの顔を好きになってあげなくては。……それに、この顔を好きだと言って下さる方もいる)
鏡の中のアンジェリカの頬が赤く染まった。
(明日は、髪を下ろしてみよう。他の女生徒のように巻いてハーフアップにして……顔は変わらないけれど、少しでも可愛く見せるように)
六歳のあの時以来、初めてこんなに長い時間鏡に向かい、あれこれと髪型を試してみるアンジェリカだった。
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