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聖ロベリア像
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六回目のループの前日、ネイサンはローズマリーを見送った後、温室のドアに内側から鍵をかけた。
さっきまでお茶を飲んでいたテーブルの横には室内用の噴水があり、その奥に大人の膝丈ほどの古い小さな像が花に埋もれて佇んでいた。
彼はその像の前にひざまづき、何かを真剣に祈った。
ネイサンはグランフォード公爵家の一人息子だ。
この聖ロベリア学園は、グランフォード公爵家が設立し、運営している。
この温室はグランフォード家の者しか鍵を持っておらず、中に入ることはできない。
そして、この中にある小さなロベリア像こそが、恋を叶えると言い伝えられているものなのだ。
中庭に置いてあるのは、この像を模したレプリカに過ぎない。つまりローズマリーが祈りを捧げているロベリア像には何の力もなかったということになる。
あの、1回目の入学式の日。クリスに一目惚れをしたローズマリーを側で見ていたネイサンも、彼女に一目惚れをしていたのだ。
だが、ローズマリー同様、初めての恋に何もすることが出来ないまま時が過ぎていった。
12月に入り、失恋したローズマリーが中庭のロベリア像の前で泣きながら祈っている姿を見て
(彼女の願いを叶えてあげたい)
と、温室にある本物の像に祈りを捧げたのだ。
まさか時間をループする願いとは思わなかったけれど。
そしてループを繰り返すうちに黙っていられなくなり、声をかけて協力を申し出てみたのだ。
ローズマリーが失恋する度、ネイサンも祈る。
彼女の恋が叶うということはすなわち、ネイサンの失恋が決定するのだが、それでもいいと思っていた。彼女が幸せになるのなら。
ただ、徐々に打ち解け、すっかり仲良くなったローズマリーを失うのを辛く感じ始めた時、彼女の口から『クリスを諦める』発言を聞いたのだ。
ネイサンは心を決めた。
(聖ロベリアよ、どうか私の願いを叶えて下さい。
もう一度ローズマリーが入学式にループしますように。そして、私と彼女が幸せになれますように)
彼は願い、そして叶えられた。
こうして聖ロベリア像の言い伝えは、真実だと証明された。
もちろん、それはグランフォード公爵家だけの秘密である。
さっきまでお茶を飲んでいたテーブルの横には室内用の噴水があり、その奥に大人の膝丈ほどの古い小さな像が花に埋もれて佇んでいた。
彼はその像の前にひざまづき、何かを真剣に祈った。
ネイサンはグランフォード公爵家の一人息子だ。
この聖ロベリア学園は、グランフォード公爵家が設立し、運営している。
この温室はグランフォード家の者しか鍵を持っておらず、中に入ることはできない。
そして、この中にある小さなロベリア像こそが、恋を叶えると言い伝えられているものなのだ。
中庭に置いてあるのは、この像を模したレプリカに過ぎない。つまりローズマリーが祈りを捧げているロベリア像には何の力もなかったということになる。
あの、1回目の入学式の日。クリスに一目惚れをしたローズマリーを側で見ていたネイサンも、彼女に一目惚れをしていたのだ。
だが、ローズマリー同様、初めての恋に何もすることが出来ないまま時が過ぎていった。
12月に入り、失恋したローズマリーが中庭のロベリア像の前で泣きながら祈っている姿を見て
(彼女の願いを叶えてあげたい)
と、温室にある本物の像に祈りを捧げたのだ。
まさか時間をループする願いとは思わなかったけれど。
そしてループを繰り返すうちに黙っていられなくなり、声をかけて協力を申し出てみたのだ。
ローズマリーが失恋する度、ネイサンも祈る。
彼女の恋が叶うということはすなわち、ネイサンの失恋が決定するのだが、それでもいいと思っていた。彼女が幸せになるのなら。
ただ、徐々に打ち解け、すっかり仲良くなったローズマリーを失うのを辛く感じ始めた時、彼女の口から『クリスを諦める』発言を聞いたのだ。
ネイサンは心を決めた。
(聖ロベリアよ、どうか私の願いを叶えて下さい。
もう一度ローズマリーが入学式にループしますように。そして、私と彼女が幸せになれますように)
彼は願い、そして叶えられた。
こうして聖ロベリア像の言い伝えは、真実だと証明された。
もちろん、それはグランフォード公爵家だけの秘密である。
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