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抱擁
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「ここがその宿屋か」
「はい、陛下」
「アイナの気配は感じられないな」
アイナが閉じ込められている宿屋の前に、レイ達は立っていた。空からはいくら探しても緑色の髪の女は見当たらず、アイナの気配も感じられなかった。しかし、地上を探していたエレンが有力な情報を得ていた。
「緑の髪の女が向かった方向の宿屋を全て当たってみたところ、一軒だけ、様子がおかしかったのです」
「様子がおかしいとは?」
ダグラスが聞いた。
「はい。声を掛けても誰も出ませんし、ドアもまったく開きません。窓から中を覗くと、人はいるのですが全く動いていないのです」
「他の宿屋はどうだった」
「その他の宿は全て、緑の髪の女などいないと答えました」
「そうか。ではやはりここが怪しいな」
「陛下、どの窓も開きません」
アレスとコウが全ての窓を開けようと試して戻ってきた。
「台所の女達が、調理の手を止めて動かないんだよ。やっぱ変だ」
「霊亀の能力が今ひとつ分からない以上、うかつな手出しは出来ない。だが、アイナの身が無事であるかも分からないのだから、なんとかして中に入らなければ」
レイは両手に魔力を込めた。力ずくで行けるかどうか、試すつもりだ。だがその時、何かが聞こえてきた。
「アイナ? アイナの声が聞こえる」
「ええっ?」
ダグラス達も皆、耳をすました。だが、何も聞こえてこない。
「本当に聞こえますか?」
「ああ。アイナが歌っている。それも、とても美しく哀しいメロディを……。アイナは絶対にここだ。ここにいる」
レイはドアを開けようと必死に体当たりした。
「アイナ! ここにいるのか? アイナ!」
すると、ピシッと音がして宿屋の周りから何かが弾け飛んだ。その途端ドアが壊れて開き、レイは思い切り中に転げて入った。
「陛下!」
慌ててダグラスが駆け寄るよりも、レイが飛び起きる方が早かった。
「アイナ! どこだ!」
レイはアイナの魔力の方向へ走って行った。玄関ホールにいた宿屋の主人は、急に目の前に現れた六人を見て驚き、手に持っていた箒を取り落とした。
宿屋の離れにある部屋へレイが入って行こうとすると、レイの気配に気付いたアイナが中から飛び出してきた。
「ハク!」
アイナはレイの胸に向かって走って来た。
「アイナ!」
レイはアイナを受け止め、両腕で息が出来ないほど抱き締めた。
「無事で良かった……!」
「ごめんなさい、心配かけて……」
アイナの顔を両手で包み、キスをした。もう二度と会えないのではないかと恐れていた、その恐怖を打ち消すように激しいキスを。
「霊亀に攫われていたんじゃないのか」
「ええ、そうよ。でももう大丈夫。アッシュが術を解いてくれたの」
アイナの後ろから、アッシュを抱いたロビンが現れた。
すぐさま、ダグラスとエレンは戦闘態勢に入ったが、アイナは急いで止めた。
「待って、ダグラス。もうアッシュは闘う意志はないわ」
「ですが、油断させているだけかも」
「大丈夫です。我々はエルミナ石の腕輪をつけました」
ロビンが自分の腕とアッシュの手を見えるように掲げた。
「もう少し時間が経つと私は元の姿に戻ってしまいますので、どこか広い所に場所を移していただけませんか」
「じゃあアレス、この二人をナウルの屋敷まで運んでくれ。コウは私とアイナを」
「はい、陛下」
「陛下、私とエレンは宿で事情聴取をしてから戻ります」
「そうしてくれ。では、急いで戻るぞ」
コウに乗ったレイは、アイナを抱き締めたまま顔を上げなかった。身体が小刻みに震えているようだった。
「ハク……泣いているの?」
「アイナがもう戻って来れないんじゃないかって思うと……とても怖かった」
「私も……あの宿に囚われたままかと思うと恐ろしかったわ。二度とハクに会えないなんて考えただけでも辛かった」
「私は無力だ。自分だけでなく、アイナまでやすやすと囚われることになってしまって……情けないよ」
「違うわ、ハク。あなたのせいじゃない。精霊の力に対して人間はどうすることも出来ないわ。あまりにも大き過ぎる力だもの」
「そうだよ、陛下。気にするなよ。大体、時間を操るなんて反則だぜ。俺達精霊だって敵いっこない力だもん」
「……コウにまで慰められてしまったな」
レイは苦笑してもう一度アイナを抱き締めた。
「アッシュは、もうすぐ命が尽きてしまうの。子供の姿のまま、五百二十年も生きているのよ。だから、霊亀の新しい主人を探していたの。悪い心を持った人間が主人とならないように」
「そうだったのか。やり方は強引だが、彼なりに霊亀のことを考えての行動だったんだな」
「ええ。それで、王宮に一緒に行くことを提案したのよ。王宮ならば悪い人間はいないし、どうすればいいのかみんなで知恵を絞れるから」
「そうだな。だがまずは、じっくりと話を聞かなければならないな」
話をしている間もずっと、レイが背中からアイナを抱き締めたまま頬をぴったりと寄せていたので、アイナは嬉しいやら恥ずかしいやらで心臓が爆発しそうになっていた。
(ハクは平気なのかしら?私は緊張し過ぎてどうにかなりそう……)
実はレイの方もドキドキして死にそうになっていたが、それはアイナには内緒である。
間もなく、ナウルの邸宅に到着した。ナウルや兵士達は何も知らなかったので、呑気に出迎えた。
「セランの街はいかがでしたか。こんなに遅くまで、あちこち歩かれたんですね。珍しい物でもございましたか」
「いや、ナウル、すまないが軽く食べられる物を五人分用意してくれるか。皆、腹を空かしているのだ」
「さ、左様でございますか?! 街では何も召し上がらなかったのですか。では今すぐ、何か持って参ります」
レイはナウルに頼み、ロビンと話が出来るように中庭に面した部屋を開け放させた。ロビンは着くやいなや元の姿になり、ナウルを驚かせた。
「お、大きな亀でございますね……」
決して小さくはない中庭が埋まってしまう程の甲羅を持った、大きな亀であった。
「陛下、実はこれでもまだ本当の大きさではないらしいですよ」
アレスが言った。
「来る途中で聞いたのですが、本来なら小高い山くらいの大きさで、木が生えていたり動物が住んだりしていたそうです」
「すごいな……どれだけ長生きしてるんだ」
「俺達なんてまだまだひよっこだなあ、アレス」
「そうですね、コウ。おそらく何万年と生きているのでしょうね」
ダグラスとエレンも戻って来た。
「陛下、あの宿に彼らが入ったのは今日の午後だそうです。だから宿の者は彼らについて何も知りませんでした」
「そうか、ご苦労。二人ともまずは腹ごしらえをしてくれ」
ナウルが用意してくれた温かいスープとパン、それに焼いた鹿肉を五人は味わいながら食べた。アッシュもアイナの横で美味しそうにスープを飲んでいた。
「アッシュ、アイナから話は聞いた。お前の能力は、触った者の時間を止めることと、一定の範囲内の時間を止めること。それだけか?」
「うん、そうだよ。それ以外は出来ない。時間を止めるのも、人間で最大一分。場所なら丸一日が限界だ」
「ええっ、百年でも二百年でもって言ってたじゃない」
「あれは脅しだよ。実際、めちゃくちゃ焦ったでしょ?」
「そうよ。ものすごく怖かったわ」
「ごめんなさい。ホントに悪かったよ」
「だがアッシュ、もしも陛下ほどの魔力の持ち主が霊亀を得たとしたらどうなる?」
ダグラスが尋ねた。
「わからない。どうかな、ロビン?」
「はい。昔、かなり魔力の強い主人を持ったことがありましたが、その時は一週間止めることが出来ました。しかし、その男の魔力は陛下には遥かに及びません。おそらく陛下なら、年単位で止めることが可能かと」
「……恐ろしいな。黒龍の力も凄かったが、霊亀の力も凄まじい」
「だから、ロビンをアイナに渡したかったんだ。それにアイナなら、ロビンが眠りたくなったら眠らせてくれるかもしれないし」
「アイナがロビンの主人になったら、アイナも寿命が長くなるんだよな?俺はアイナとずーっといられるのなら嬉しいけど」
コウがまんざらでもない様子だった。
「え、そんな、同時に二つの精霊の主人になんてなれるの?」
「アイナや陛下クラスの魔力の持ち主なら大丈夫。陛下なら三つでもいけるさ」
「ちょっと待て。アイナが若いままで長生きするのは嬉しいが……私は、普通に歳を取って先に死んでしまうよな? だ、だめだ!若く美しいアイナがその後ずっと一人だなんて、悪い虫が寄ってくるではないか。心配過ぎて死んでも死にきれん」
「大丈夫だよ陛下。俺が見張っててやるから」
「いーや。断じて許さん!」
冗談にして笑ってはいるが、誰も本気には思っていなかった。五百年もの長い時間を一人で生きていくことを、望む者がいるだろうか?
どうすればいいのか、簡単に結論は出なかった。しかしやはり、アッシュを王宮で預かるのがいいだろうということになり、アッシュも同意した。
「アイナと一緒にいられるならどこでもいいんだ」
レイは、また一人ライバルが増えてしまったことを内心嘆きながら言った。
「では明日、皆で王宮へ戻ろう」
「はい、陛下」
「アイナの気配は感じられないな」
アイナが閉じ込められている宿屋の前に、レイ達は立っていた。空からはいくら探しても緑色の髪の女は見当たらず、アイナの気配も感じられなかった。しかし、地上を探していたエレンが有力な情報を得ていた。
「緑の髪の女が向かった方向の宿屋を全て当たってみたところ、一軒だけ、様子がおかしかったのです」
「様子がおかしいとは?」
ダグラスが聞いた。
「はい。声を掛けても誰も出ませんし、ドアもまったく開きません。窓から中を覗くと、人はいるのですが全く動いていないのです」
「他の宿屋はどうだった」
「その他の宿は全て、緑の髪の女などいないと答えました」
「そうか。ではやはりここが怪しいな」
「陛下、どの窓も開きません」
アレスとコウが全ての窓を開けようと試して戻ってきた。
「台所の女達が、調理の手を止めて動かないんだよ。やっぱ変だ」
「霊亀の能力が今ひとつ分からない以上、うかつな手出しは出来ない。だが、アイナの身が無事であるかも分からないのだから、なんとかして中に入らなければ」
レイは両手に魔力を込めた。力ずくで行けるかどうか、試すつもりだ。だがその時、何かが聞こえてきた。
「アイナ? アイナの声が聞こえる」
「ええっ?」
ダグラス達も皆、耳をすました。だが、何も聞こえてこない。
「本当に聞こえますか?」
「ああ。アイナが歌っている。それも、とても美しく哀しいメロディを……。アイナは絶対にここだ。ここにいる」
レイはドアを開けようと必死に体当たりした。
「アイナ! ここにいるのか? アイナ!」
すると、ピシッと音がして宿屋の周りから何かが弾け飛んだ。その途端ドアが壊れて開き、レイは思い切り中に転げて入った。
「陛下!」
慌ててダグラスが駆け寄るよりも、レイが飛び起きる方が早かった。
「アイナ! どこだ!」
レイはアイナの魔力の方向へ走って行った。玄関ホールにいた宿屋の主人は、急に目の前に現れた六人を見て驚き、手に持っていた箒を取り落とした。
宿屋の離れにある部屋へレイが入って行こうとすると、レイの気配に気付いたアイナが中から飛び出してきた。
「ハク!」
アイナはレイの胸に向かって走って来た。
「アイナ!」
レイはアイナを受け止め、両腕で息が出来ないほど抱き締めた。
「無事で良かった……!」
「ごめんなさい、心配かけて……」
アイナの顔を両手で包み、キスをした。もう二度と会えないのではないかと恐れていた、その恐怖を打ち消すように激しいキスを。
「霊亀に攫われていたんじゃないのか」
「ええ、そうよ。でももう大丈夫。アッシュが術を解いてくれたの」
アイナの後ろから、アッシュを抱いたロビンが現れた。
すぐさま、ダグラスとエレンは戦闘態勢に入ったが、アイナは急いで止めた。
「待って、ダグラス。もうアッシュは闘う意志はないわ」
「ですが、油断させているだけかも」
「大丈夫です。我々はエルミナ石の腕輪をつけました」
ロビンが自分の腕とアッシュの手を見えるように掲げた。
「もう少し時間が経つと私は元の姿に戻ってしまいますので、どこか広い所に場所を移していただけませんか」
「じゃあアレス、この二人をナウルの屋敷まで運んでくれ。コウは私とアイナを」
「はい、陛下」
「陛下、私とエレンは宿で事情聴取をしてから戻ります」
「そうしてくれ。では、急いで戻るぞ」
コウに乗ったレイは、アイナを抱き締めたまま顔を上げなかった。身体が小刻みに震えているようだった。
「ハク……泣いているの?」
「アイナがもう戻って来れないんじゃないかって思うと……とても怖かった」
「私も……あの宿に囚われたままかと思うと恐ろしかったわ。二度とハクに会えないなんて考えただけでも辛かった」
「私は無力だ。自分だけでなく、アイナまでやすやすと囚われることになってしまって……情けないよ」
「違うわ、ハク。あなたのせいじゃない。精霊の力に対して人間はどうすることも出来ないわ。あまりにも大き過ぎる力だもの」
「そうだよ、陛下。気にするなよ。大体、時間を操るなんて反則だぜ。俺達精霊だって敵いっこない力だもん」
「……コウにまで慰められてしまったな」
レイは苦笑してもう一度アイナを抱き締めた。
「アッシュは、もうすぐ命が尽きてしまうの。子供の姿のまま、五百二十年も生きているのよ。だから、霊亀の新しい主人を探していたの。悪い心を持った人間が主人とならないように」
「そうだったのか。やり方は強引だが、彼なりに霊亀のことを考えての行動だったんだな」
「ええ。それで、王宮に一緒に行くことを提案したのよ。王宮ならば悪い人間はいないし、どうすればいいのかみんなで知恵を絞れるから」
「そうだな。だがまずは、じっくりと話を聞かなければならないな」
話をしている間もずっと、レイが背中からアイナを抱き締めたまま頬をぴったりと寄せていたので、アイナは嬉しいやら恥ずかしいやらで心臓が爆発しそうになっていた。
(ハクは平気なのかしら?私は緊張し過ぎてどうにかなりそう……)
実はレイの方もドキドキして死にそうになっていたが、それはアイナには内緒である。
間もなく、ナウルの邸宅に到着した。ナウルや兵士達は何も知らなかったので、呑気に出迎えた。
「セランの街はいかがでしたか。こんなに遅くまで、あちこち歩かれたんですね。珍しい物でもございましたか」
「いや、ナウル、すまないが軽く食べられる物を五人分用意してくれるか。皆、腹を空かしているのだ」
「さ、左様でございますか?! 街では何も召し上がらなかったのですか。では今すぐ、何か持って参ります」
レイはナウルに頼み、ロビンと話が出来るように中庭に面した部屋を開け放させた。ロビンは着くやいなや元の姿になり、ナウルを驚かせた。
「お、大きな亀でございますね……」
決して小さくはない中庭が埋まってしまう程の甲羅を持った、大きな亀であった。
「陛下、実はこれでもまだ本当の大きさではないらしいですよ」
アレスが言った。
「来る途中で聞いたのですが、本来なら小高い山くらいの大きさで、木が生えていたり動物が住んだりしていたそうです」
「すごいな……どれだけ長生きしてるんだ」
「俺達なんてまだまだひよっこだなあ、アレス」
「そうですね、コウ。おそらく何万年と生きているのでしょうね」
ダグラスとエレンも戻って来た。
「陛下、あの宿に彼らが入ったのは今日の午後だそうです。だから宿の者は彼らについて何も知りませんでした」
「そうか、ご苦労。二人ともまずは腹ごしらえをしてくれ」
ナウルが用意してくれた温かいスープとパン、それに焼いた鹿肉を五人は味わいながら食べた。アッシュもアイナの横で美味しそうにスープを飲んでいた。
「アッシュ、アイナから話は聞いた。お前の能力は、触った者の時間を止めることと、一定の範囲内の時間を止めること。それだけか?」
「うん、そうだよ。それ以外は出来ない。時間を止めるのも、人間で最大一分。場所なら丸一日が限界だ」
「ええっ、百年でも二百年でもって言ってたじゃない」
「あれは脅しだよ。実際、めちゃくちゃ焦ったでしょ?」
「そうよ。ものすごく怖かったわ」
「ごめんなさい。ホントに悪かったよ」
「だがアッシュ、もしも陛下ほどの魔力の持ち主が霊亀を得たとしたらどうなる?」
ダグラスが尋ねた。
「わからない。どうかな、ロビン?」
「はい。昔、かなり魔力の強い主人を持ったことがありましたが、その時は一週間止めることが出来ました。しかし、その男の魔力は陛下には遥かに及びません。おそらく陛下なら、年単位で止めることが可能かと」
「……恐ろしいな。黒龍の力も凄かったが、霊亀の力も凄まじい」
「だから、ロビンをアイナに渡したかったんだ。それにアイナなら、ロビンが眠りたくなったら眠らせてくれるかもしれないし」
「アイナがロビンの主人になったら、アイナも寿命が長くなるんだよな?俺はアイナとずーっといられるのなら嬉しいけど」
コウがまんざらでもない様子だった。
「え、そんな、同時に二つの精霊の主人になんてなれるの?」
「アイナや陛下クラスの魔力の持ち主なら大丈夫。陛下なら三つでもいけるさ」
「ちょっと待て。アイナが若いままで長生きするのは嬉しいが……私は、普通に歳を取って先に死んでしまうよな? だ、だめだ!若く美しいアイナがその後ずっと一人だなんて、悪い虫が寄ってくるではないか。心配過ぎて死んでも死にきれん」
「大丈夫だよ陛下。俺が見張っててやるから」
「いーや。断じて許さん!」
冗談にして笑ってはいるが、誰も本気には思っていなかった。五百年もの長い時間を一人で生きていくことを、望む者がいるだろうか?
どうすればいいのか、簡単に結論は出なかった。しかしやはり、アッシュを王宮で預かるのがいいだろうということになり、アッシュも同意した。
「アイナと一緒にいられるならどこでもいいんだ」
レイは、また一人ライバルが増えてしまったことを内心嘆きながら言った。
「では明日、皆で王宮へ戻ろう」
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