28 / 49
黒い龍 5
しおりを挟む
広場は、この王都にこんなに人がいたのかと思うくらいごった返していた。
人々が口々に話しているのが聞こえた。どうやら、
『王が直々に罪人を裁くから昼に王宮広場に集まるように。来ない者は死罪にする』
というお触れが出たので渋々集まってきたようだ。
「ごめんなさい、通して下さい」
アイナは必死に人混みを抜けて一番前に出た。そこには、龍の姿のアレス、そしてレイは後ろ手に縛られて立っていた。二人とも、石のついた鎖を首に巻き付けられていた。
(ハク! まだ無事だったのね、良かった。でもこんな縛られた姿で……ひどい)
少し離れた所に金色の瞳をした男が立っていた。首には大きな石の首飾りをしている。
「黒龍だ」
コウが言った。
「あの男は黒龍だ。くそう、あいつ、なんでカストール王なんかに」
その時、ラッパの音が鳴り響いた。
「時間だ。カストール王のお出ましだ。皆、拍手で出迎えよ」
人々は仕方なく、といった感じで拍手をし始めた。
するとバルコニーにカストール王バルディスが出てきて、その拍手に応えるように手を振った。
バルディスはでっぷりと太っていて顔は脂で光っていた。きらびやかな衣装に身を包み、沢山飾り付けた勲章がジャラジャラと鳴っていた。
「皆の者、聞くが良い」
バルディスは話し始めた。
「今ここに、蒼龍を不当に扱った罪人を処刑する」
人々はざわめいた。蒼龍の持ち主がアルトゥーラ王であることなど、一般庶民でも知っていることだ。
バルディスは構わず続けた。
「蒼龍は千年以上こき使われ、もう嫌だと言っている。そこで私が正義の鉄槌を下し、蒼龍を解放してやろうと思う。皆の者、良く見ておくがよい」
バルディスはバルコニーから部屋へ引っ込んだ。おそらく広場に出てくるつもりだろう。
アイナはハクに必死に合図を送った。
(ハク! ここよ! 今助けるわ!)
(アイナ! 何故ここへ? )
アイナに気がついたレイは驚きながらも目で合図を送り、黒龍の方を見るように示した。
よく見ると黒龍の後ろに控えている兵士達のうち一人はダグラスだった。
(ダグラス! 潜入してくれていたのね)
エレンもダグラスと合図を送り合っている。
そこへ、バルディスがふんぞり返って現れた。ゆっくりとレイの前に進むと、
「ふはは、レイよ。残念だったな。お前の軍隊もここまで来るには二日はかかろう。今お前を助ける者はいない。軍隊が着く頃には、アルトゥーラの王は私に変わっておるわ」
レイは大きなため息をついて言った。
「子供の頃から馬鹿だとは思っていたが、本当の馬鹿だな。私を殺したからといってお前がなぜアルトゥーラの王になれるのだ。誰もお前を王とは認めない」
「知りたいか? なら教えてやろう。王の証を私が継承するからだ」
バルディスは手をさっと振って合図をした。すると、黒龍の背後にいた兵士が、石のついた鎖を素早く黒龍の首に掛けた。
「な、なんだ?! なぜ私にこの鎖を掛ける?」
黒龍が叫んだ。
「お前がいると邪魔なのだ。蒼龍を解放するつもりはないからな」
「どういうことだ!」
「こいつを殺して蒼龍は私の下僕にし、私がアルトゥーラ王となるのだ」
「おのれ、騙したな。闇に消されたいのか」
「やれるものならやってみろ。そのエルミナ石の封印を破れるものならな」
「くっ……力が」
黒龍は膝をつき、そのまま龍の姿に戻ってしまった。
その瞬間、ダグラスとエレンの手から短刀が放たれ、レイとアレスの鎖を切った。石がキラキラと光りながらこぼれ落ち、レイの魔力がもの凄い勢いで溢れ出した。
「アレス!」
アレスは人型に戻り、レイは手のひらから氷魔法を出してバルディスの下半身を凍らせ、地面に繋ぎとめた。
バルディスの周りにいた兵士たちの持っていた剣や槍は、コウが風をおこして空に巻き上げ、すべて遠くの方に落とした。
「ハク!」
アイナはレイの元へ駆け寄って行った。
「アイナ、私の後ろへ!」
レイはアイナを庇いながら背後に回した。その後ろをダグラスとエレンが固め、横をアレスとコウがカバーした。
「うわああ。足が凍った。誰か、誰かこれを溶かせ。足が冷たいいい」
バルディスは叫び続けている。コウがからかうように言った。
「じゃあ、溶かしてやるよ。ほら、アイナ!」
「はい!」
アイナは手のひらに灯した火をバルディスに向けて指先で弾いた。足を狙ったつもりだったが上半身に当たってしまい、
「熱いいい」
「あっ、やっちゃった」
バルディスのご自慢の衣装は焼け焦げ、勲章も炭になった。火傷まではしなかったのが不幸中の幸いだった。
「バルディス。まだやるつもりか」
「く、くそう。お前達、こいつらを捕らえんか! でないと全員死罪だぞ」
だが、武器も無くなったうえに、氷や風や火の魔術を使う者たちを相手に戦う勇気など、誰も持っていなかった。しかも、このようなみっともない王の為になど。
「バルディス。今回の件は到底水に流すことは出来ない。国交断絶はもちろんだが、各国の首脳にも伝えさせてもらう」
それはカストールの孤立を意味していた。貧しいカストールにとって貿易を断たれることは死も同然だ。
「お待ち下さい、アルトゥーラ王よ。それでは我が国民は飢えて死んでしまいます。どうか寛大な処置をお願いいたします」
カストールの重臣たちが進み出て頭を深々とさげながら言った。
「これだけの不敬をはたらいて、よくもそのような事が言えるな。私の軍隊も二日後にはこの王都に入るだろう。街を占領し、カストール王家を廃してアルトゥーラに併合してもよいのだぞ」
「もちろん、この不始末はこのバルディス王に取らせます。当然、退位させましょう。ですが、カストール王国を残すことだけは認めていただけませんか」
「バルディスはまだ結婚していないだろう。他に王家を継ぐ者がいるのか」
「はい。先々代の王の忘れ形見、シオン様がいらっしゃいます。何度申し上げても王家にはお戻りいただけないのですが、必ずや説得いたします。シオン様は先々代同様、優れた心の方ですので、この愚かな王のような事には決してなりません。どうか、お許しいただけないでしょうか」
「どのような人物か、話してみないと信用する訳にはいかない。ここに連れて来てくれないか」
「わかりました。すぐに馬を出しますので、半日ほどお待ちを――」
「その必要はない」
「おお、シオン様!」
群衆から一歩進んで出た声の主を見ると、ペガサスを出してくれたシオンであった。
「シオンさん!」
「アイナ、知ってるのか?」
「ええ、さっき、私達をペガサスに乗せてここまで運んでくれた人よ。とてもいい人だったわ」
「お嬢さん、やっぱり探してたのはアルトゥーラ王だったんだな」
「黙っててごめんなさい。でも、シオンさん、カストールの王族だったのね」
シオンは頭を掻きながら歩いてきた。
「もうだいぶ前の話だからな。私の父がバルディスの父に殺された時、私は十歳で何も出来なかった。身ひとつで追い出され、もう三十歳になった。王宮よりも町で暮らした年月の方が長いんだ」
「あなたは、カストールを継ぐ意思があるのですか」
レイがシオンに尋ねた。シオンは、真っ直ぐレイを見つめ返すと、
「このような男に国を任せていたことを謝らせて下さい。そしてレイ陛下、もちろん償いは致しましょう。ですが、このカストール王国を、私達の手で再建させて下さい。もう一度、国を立て直して貴方に認めていただける国にしたいのです」
レイはしばらく考えていた。そして、重々しく答えた。
「わかった。貴方の言葉を信じよう」
「ありがとうございます。感謝の言葉もございません」
「バルディスの処分は」
「身分剥奪の上、北の塔に収監します。これでも魔力だけはたくさん持っていて危険ですから」
「では、二度とこのようなことのないように頼む」
「はい、お任せください。寛大なお心、ありがとうございます」
レイとシオンは固く握手をした。一方、重臣達の命令でバルディスは捕らえられ、エルミナ石の鎖で縛られて連れて行かれた。
自分達の王が捕縛されたというのに、広場に集まった民衆はワッと喜びの声を上げていた。
「さて、カストールの問題はこれで解決だが……アイナ。何でこんな危険な所にいるのかな」
「はい? ハク、無事で良かった!」
アイナはニッコリ笑って誤魔化そうとしたのだが、通用しなかった。
「私の事はいいんだ。アイナ、無事だったから良かったものの、何かあったらどうするんだ!」
レイは真剣に怒った顔をしていた。
「ごめんなさい。でも心配だったから……いてもたってもいられなかったのよ」
「心配してくれたのはわかっている……それに、アイナ達がいなければ助かっていなかっただろう。ありがとう。でももう……こんな無茶はしないでくれ。心臓に悪い」
レイは少し涙目でアイナを抱きしめた。
「ハク……本当に、良かったわ……」
アイナも涙を浮かべてレイの胸に顔を埋めた。もし間に合わなかったら、二度とこうして抱き合うことも出来なかっただろう。アイナはレイが生きて一緒にいられる幸せを噛みしめていた。
人々が口々に話しているのが聞こえた。どうやら、
『王が直々に罪人を裁くから昼に王宮広場に集まるように。来ない者は死罪にする』
というお触れが出たので渋々集まってきたようだ。
「ごめんなさい、通して下さい」
アイナは必死に人混みを抜けて一番前に出た。そこには、龍の姿のアレス、そしてレイは後ろ手に縛られて立っていた。二人とも、石のついた鎖を首に巻き付けられていた。
(ハク! まだ無事だったのね、良かった。でもこんな縛られた姿で……ひどい)
少し離れた所に金色の瞳をした男が立っていた。首には大きな石の首飾りをしている。
「黒龍だ」
コウが言った。
「あの男は黒龍だ。くそう、あいつ、なんでカストール王なんかに」
その時、ラッパの音が鳴り響いた。
「時間だ。カストール王のお出ましだ。皆、拍手で出迎えよ」
人々は仕方なく、といった感じで拍手をし始めた。
するとバルコニーにカストール王バルディスが出てきて、その拍手に応えるように手を振った。
バルディスはでっぷりと太っていて顔は脂で光っていた。きらびやかな衣装に身を包み、沢山飾り付けた勲章がジャラジャラと鳴っていた。
「皆の者、聞くが良い」
バルディスは話し始めた。
「今ここに、蒼龍を不当に扱った罪人を処刑する」
人々はざわめいた。蒼龍の持ち主がアルトゥーラ王であることなど、一般庶民でも知っていることだ。
バルディスは構わず続けた。
「蒼龍は千年以上こき使われ、もう嫌だと言っている。そこで私が正義の鉄槌を下し、蒼龍を解放してやろうと思う。皆の者、良く見ておくがよい」
バルディスはバルコニーから部屋へ引っ込んだ。おそらく広場に出てくるつもりだろう。
アイナはハクに必死に合図を送った。
(ハク! ここよ! 今助けるわ!)
(アイナ! 何故ここへ? )
アイナに気がついたレイは驚きながらも目で合図を送り、黒龍の方を見るように示した。
よく見ると黒龍の後ろに控えている兵士達のうち一人はダグラスだった。
(ダグラス! 潜入してくれていたのね)
エレンもダグラスと合図を送り合っている。
そこへ、バルディスがふんぞり返って現れた。ゆっくりとレイの前に進むと、
「ふはは、レイよ。残念だったな。お前の軍隊もここまで来るには二日はかかろう。今お前を助ける者はいない。軍隊が着く頃には、アルトゥーラの王は私に変わっておるわ」
レイは大きなため息をついて言った。
「子供の頃から馬鹿だとは思っていたが、本当の馬鹿だな。私を殺したからといってお前がなぜアルトゥーラの王になれるのだ。誰もお前を王とは認めない」
「知りたいか? なら教えてやろう。王の証を私が継承するからだ」
バルディスは手をさっと振って合図をした。すると、黒龍の背後にいた兵士が、石のついた鎖を素早く黒龍の首に掛けた。
「な、なんだ?! なぜ私にこの鎖を掛ける?」
黒龍が叫んだ。
「お前がいると邪魔なのだ。蒼龍を解放するつもりはないからな」
「どういうことだ!」
「こいつを殺して蒼龍は私の下僕にし、私がアルトゥーラ王となるのだ」
「おのれ、騙したな。闇に消されたいのか」
「やれるものならやってみろ。そのエルミナ石の封印を破れるものならな」
「くっ……力が」
黒龍は膝をつき、そのまま龍の姿に戻ってしまった。
その瞬間、ダグラスとエレンの手から短刀が放たれ、レイとアレスの鎖を切った。石がキラキラと光りながらこぼれ落ち、レイの魔力がもの凄い勢いで溢れ出した。
「アレス!」
アレスは人型に戻り、レイは手のひらから氷魔法を出してバルディスの下半身を凍らせ、地面に繋ぎとめた。
バルディスの周りにいた兵士たちの持っていた剣や槍は、コウが風をおこして空に巻き上げ、すべて遠くの方に落とした。
「ハク!」
アイナはレイの元へ駆け寄って行った。
「アイナ、私の後ろへ!」
レイはアイナを庇いながら背後に回した。その後ろをダグラスとエレンが固め、横をアレスとコウがカバーした。
「うわああ。足が凍った。誰か、誰かこれを溶かせ。足が冷たいいい」
バルディスは叫び続けている。コウがからかうように言った。
「じゃあ、溶かしてやるよ。ほら、アイナ!」
「はい!」
アイナは手のひらに灯した火をバルディスに向けて指先で弾いた。足を狙ったつもりだったが上半身に当たってしまい、
「熱いいい」
「あっ、やっちゃった」
バルディスのご自慢の衣装は焼け焦げ、勲章も炭になった。火傷まではしなかったのが不幸中の幸いだった。
「バルディス。まだやるつもりか」
「く、くそう。お前達、こいつらを捕らえんか! でないと全員死罪だぞ」
だが、武器も無くなったうえに、氷や風や火の魔術を使う者たちを相手に戦う勇気など、誰も持っていなかった。しかも、このようなみっともない王の為になど。
「バルディス。今回の件は到底水に流すことは出来ない。国交断絶はもちろんだが、各国の首脳にも伝えさせてもらう」
それはカストールの孤立を意味していた。貧しいカストールにとって貿易を断たれることは死も同然だ。
「お待ち下さい、アルトゥーラ王よ。それでは我が国民は飢えて死んでしまいます。どうか寛大な処置をお願いいたします」
カストールの重臣たちが進み出て頭を深々とさげながら言った。
「これだけの不敬をはたらいて、よくもそのような事が言えるな。私の軍隊も二日後にはこの王都に入るだろう。街を占領し、カストール王家を廃してアルトゥーラに併合してもよいのだぞ」
「もちろん、この不始末はこのバルディス王に取らせます。当然、退位させましょう。ですが、カストール王国を残すことだけは認めていただけませんか」
「バルディスはまだ結婚していないだろう。他に王家を継ぐ者がいるのか」
「はい。先々代の王の忘れ形見、シオン様がいらっしゃいます。何度申し上げても王家にはお戻りいただけないのですが、必ずや説得いたします。シオン様は先々代同様、優れた心の方ですので、この愚かな王のような事には決してなりません。どうか、お許しいただけないでしょうか」
「どのような人物か、話してみないと信用する訳にはいかない。ここに連れて来てくれないか」
「わかりました。すぐに馬を出しますので、半日ほどお待ちを――」
「その必要はない」
「おお、シオン様!」
群衆から一歩進んで出た声の主を見ると、ペガサスを出してくれたシオンであった。
「シオンさん!」
「アイナ、知ってるのか?」
「ええ、さっき、私達をペガサスに乗せてここまで運んでくれた人よ。とてもいい人だったわ」
「お嬢さん、やっぱり探してたのはアルトゥーラ王だったんだな」
「黙っててごめんなさい。でも、シオンさん、カストールの王族だったのね」
シオンは頭を掻きながら歩いてきた。
「もうだいぶ前の話だからな。私の父がバルディスの父に殺された時、私は十歳で何も出来なかった。身ひとつで追い出され、もう三十歳になった。王宮よりも町で暮らした年月の方が長いんだ」
「あなたは、カストールを継ぐ意思があるのですか」
レイがシオンに尋ねた。シオンは、真っ直ぐレイを見つめ返すと、
「このような男に国を任せていたことを謝らせて下さい。そしてレイ陛下、もちろん償いは致しましょう。ですが、このカストール王国を、私達の手で再建させて下さい。もう一度、国を立て直して貴方に認めていただける国にしたいのです」
レイはしばらく考えていた。そして、重々しく答えた。
「わかった。貴方の言葉を信じよう」
「ありがとうございます。感謝の言葉もございません」
「バルディスの処分は」
「身分剥奪の上、北の塔に収監します。これでも魔力だけはたくさん持っていて危険ですから」
「では、二度とこのようなことのないように頼む」
「はい、お任せください。寛大なお心、ありがとうございます」
レイとシオンは固く握手をした。一方、重臣達の命令でバルディスは捕らえられ、エルミナ石の鎖で縛られて連れて行かれた。
自分達の王が捕縛されたというのに、広場に集まった民衆はワッと喜びの声を上げていた。
「さて、カストールの問題はこれで解決だが……アイナ。何でこんな危険な所にいるのかな」
「はい? ハク、無事で良かった!」
アイナはニッコリ笑って誤魔化そうとしたのだが、通用しなかった。
「私の事はいいんだ。アイナ、無事だったから良かったものの、何かあったらどうするんだ!」
レイは真剣に怒った顔をしていた。
「ごめんなさい。でも心配だったから……いてもたってもいられなかったのよ」
「心配してくれたのはわかっている……それに、アイナ達がいなければ助かっていなかっただろう。ありがとう。でももう……こんな無茶はしないでくれ。心臓に悪い」
レイは少し涙目でアイナを抱きしめた。
「ハク……本当に、良かったわ……」
アイナも涙を浮かべてレイの胸に顔を埋めた。もし間に合わなかったら、二度とこうして抱き合うことも出来なかっただろう。アイナはレイが生きて一緒にいられる幸せを噛みしめていた。
0
お気に入りに追加
273
あなたにおすすめの小説
辺境伯令息の婚約者に任命されました
風見ゆうみ
恋愛
家が貧乏だからという理由で、男爵令嬢である私、クレア・レッドバーンズは婚約者であるムートー子爵の家に、子供の頃から居候させてもらっていた。私の婚約者であるガレッド様は、ある晩、一人の女性を連れ帰り、私との婚約を破棄し、自分は彼女と結婚するなどとふざけた事を言い出した。遊び呆けている彼の仕事を全てかわりにやっていたのは私なのにだ。
婚約破棄され、家を追い出されてしまった私の前に現れたのは、ジュード辺境伯家の次男のイーサンだった。
ガレッド様が連れ帰ってきた女性は彼の元婚約者だという事がわかり、私を気の毒に思ってくれた彼は、私を彼の家に招き入れてくれることになって……。
※筆者が考えた異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。クズがいますので、ご注意下さい。
無実の令嬢と魔法使いは、今日も地味に骨折を治す
月山 歩
恋愛
舞踏会の夜、階段の踊り場である女性が階段を転げ落ちた。キャロライナは突き落としたと疑いをかけられて、牢へ入れられる。家族にも、婚約者にも見放され、一生幽閉の危機を、助けてくれたのは、見知らぬ魔法使いで、共に彼の国へ。彼の魔法とキャロライナのギフトを使い、人助けすることで、二人の仲は深まっていく。
絶対零度の王子さま(アルファポリス版)
みきかなた
恋愛
「お前は友達なんかじゃねーよ。」
高校の卒業式、人生最大の勇気を振り絞り告白したのに、待っていたのは彼の冷たい一言でした。
ビビりでチキンな山城七海と、『絶対零度』とあだ名される藤原一佳(いちか)の、高校二年生から社会人まで、まったりのんびりジレジレのラブコメディです。
ムーンライトノベルズからの転載です。
婚約者はやさぐれ王子でした
ダイナイ
恋愛
「お前の婚約者が決まった。相手はレオン・クライトン王子殿下だ」
アーヴァイン公爵令嬢のシルヴィアは、父親に勝手に婚約者を決められてしまう。
しかもその相手は、クライトン王国でやさぐれ王子と悪名高い第二王子のレオン・クライトンだった。
いつかまた、幸せな日常に戻れると信じていたシルヴィアは、突然の婚約に抵抗しようとする。
しかし父親がそれを許すはずもなく、抵抗むなしく婚約が決まってしまう。
こうしてシルヴィアは、やさぐれ王子との婚約生活が始まってしまった。
結婚前日に友人と入れ替わってしまった・・・!
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
伯爵令嬢キャンディスは、愛する婚約者パトリックとの挙式を明日に控えた朝、目覚めると同級生のキムに入れ替わっていた。屋敷に戻っても門すら入れてもらえず、なすすべなく結婚式を迎えてしまう。このままではパトリックも自分の人生も奪われてしまう! そこでキャンディスは藁にも縋る思いである場所へ向かう。
「残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました」に出てくる魔法使いゼインのシリーズですが、この話だけでも読めます。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
水の都で月下美人は
ささゆき細雪
恋愛
舞台は栖暦(せいれき)1428年、中世の都市国家ヴェネツィア。
四旬節を目前に、元首が主催する謝肉祭が連日のように行われていた。
前元首の末孫姫ディアーナに仕える少女エーヴァは、主の一生のお願いを叶えるため、彼女に変装して祭りに参加していた。そんな彼女は異国からやってきた貿易商の息子、デーヴィットと出逢う。だがふたりは互いに仮面で顔を隠し、ダヴィデとディアーナと名を偽ったまま、恋に落ちてしまった。
次の祭りの夜、二人は仮面で素性を隠したまま再会を果たす。デーヴィットはエーヴァに月下美人の鉢植えを手渡し、「ただ一度の恋」という花言葉を告げ、彼女がディアーナではないと暴きつつ、彼女と一夜限りの関係を結んでしまう。
二人は思いがけない形で再会する。
それはディアーナの結婚話。十五歳になった彼女に、両親はデーヴィットを紹介したのだ。
けれどデーヴィットは謝肉祭の夜に出逢った少女の存在が忘れられずにいた。その少女がディアーナのお気に入りの侍女、エーヴァで……
身分違いのふたりは無事に想いを貫き、遂げることができるのか?
*中世ヴェネツィアの世界観をベースにした半分架空のヒストリカルロマンスです。そのため時代考証などあえて無視している描写もあります。ムーンライトノベルズにも掲載中。Rシーンは予告なしに入ります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる