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PVC
不貞
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「なんだ、めずらしい」
食事が済んだあと、部屋には戻らず、居間のソファーに寝転がって例の課題図書に挑んでいると、風呂上りのお袋がブラトップにパンツ姿でアタマを拭きながら入ってきた。夏休みまでたっぷりと時間があるとはいえ、ふだんは手にしないどころか目に入れることすらしない漫画じゃない本、それもブンガク、さらにいうなら、むかしの海外作品だ。堅苦しい表記や言い回しに難儀することは読む前から予想はできていたのだが、いざ開くと、ふだんの知的不摂生のツケだろう。せっかく芽生えつつあった俺の拝誦意欲を容赦なく殺ぎにかかってくるのには参った。並んでいる文字は明らかにネイティヴのそれなのに、まるで異国の言葉に見えてくる不思議。
だいたいなんで、本のタイトルにもなっている主人公じゃなく、狡猾な黒い瞳(悪女って意味か?)の家庭教師にちょっかいを出した不倫野郎が言い訳がましく右往左往している場面から始まるんだよ。
「おらッ」
気合い一発、反対側に伸ばしていた俺の脚を学生時代に培ったと思われる鋭い回し蹴りで乱暴に払いのけると、そのまま空いた空間に腰を落した。タオルを首にかけた状態でソファーの背もたれに両腕を預けているお袋の姿は洗髪でアタマが濡れている様も相俟ってボクサーのインターバルそのものだ。じっさいお袋は親父を時折、一方的な理由で拳のみで叩きのめしているようだし、あながち間違いでもない。拳のみで痛めつけるのはお袋なりの愛情らしい。被害者たる親父がそういっているので、たぶんそうなのだろう。
シルクのパンツはサイドを紐で結ぶやつで、上部には豪奢なレースが付いていた。少しは歳を考えてくれと意義を申し立てたくなるが、親父のようになりたくはないので、もちろん口には出さない。
「どういう風の吹き回しだ」
お袋の疑問ももっともだ。
俺は答える代わりに入部に際して渡された、ガラステーブルの上に置かれたプリントを指差した。お袋のキャラクターからして、こういうシチュエーションだと缶ビール片手に、といくところなんだろうが、お袋は飲まない。とはいえ、下戸ではないらしい。曰く、
「酒と煙草とギャンブルは学生時代に卒業した」
……それもどうなんだ。
「振興部? お前、ここに入ったのか」
まあ、誰だって首を傾げる。名前だけじゃ、何のクラブかなんて想像もつかないだろう。だが、そこはさすがは親というべきか、プリントに記された、マツヤニ女史も説明した過去の活動内容から俺がここに入部を決めた意図をあっさりと言い当てた。
「ナナミちゃんか」
自分でいうのもなんだが、今まで生きてきてボランティアなどという崇高にして物好きなものにはいっさい無縁にして興味もなかった俺がなにを好き好んで奉仕活動が主体のクラブなぞにわざわざ飛び込んだのか。
その輝かしい過去の活動実績の中に美術館があったのである。美術館といえば、美術品の展示がメインといってもいい。そもそもそれらを展示しないことにははじまらない。というか、それ抜きで何が美術館だって話だ。そして美術館の仕事というのはその表面的な華やかさからは程遠い、なんとも地味で想像以上に重労働なのだそうだ。そして常に人出不足。つまり、俺の出番というわけだ。
「ナナミちゃんの勤め先は瓊紅保だろ。手伝いの要請なら向こうの学校じゃないのか」
俺はやっとこの小説の主人公(例の浮気男は兄貴らしい)が出た――といっても名前だけだが――ところで、一旦、閉じると、起き上がってポットから麦茶を注いで一気に飲み干した。本もこういう感じでぐいっと飲み込めれば楽なんだがな。
「於牟寺だけじゃなくて、瓊紅保にも似たような活動をしている部があるらしいんだ。その集まりをなんつったっけな……ピー、ピーヴイー……なんだったかな、なんか塩化ビニールみたいな名前だったと思うけれど、そういう繋がりがあって、互いのマチのボランティア活動を分け隔てなく行き来するんだとさ」
俺の説明に何の反応も見せない、というより硬直したかのようなお袋はどことなく思案顔であった。
「どしたの」
「塩化ビニールだのピーヴイだのってポリ塩化ビニール、つまりPVCか」
「あー、それそれ。ピーヴィシー」
「……PPCやPCCじゃなくPVCなんだな」
「え、うん」
「そうか」お袋は思案顔を崩さない。「なんの略称か知ってるか」
「……えっと、ボランティアのサークルってのは覚えてるけど、アタマのPは聞いたことない単語だったな。けど、それがどうしたの?」
「……いや」
お袋の返事も表情も、明らかに心当たりや引っ掛かりがある場合に見せる、その場を取り繕う際にとっさに繰り出すそれそのものであった。
「で、その塩化ビニールの元締めはどこなんだ。学生や学校単位での行動とは思えないね。裏で糸を引いてる連中がいるんだろう」
……元締めだの裏で糸を引いてるだの、こういう発想は元ヤンならではといったところか。もっとも、本人はヤンキーなどではなかったと頑なに否定しているのだが。
我が母・六反園ハニヤ、旧姓・六道ハニヤは隣県出身で当時無法地帯だった同県北地域を制圧、荒れに荒れていた町に治安を取り戻した伝説のエコヤンキーとして語り継がれている存在なのだという。なにがどうエコなのかよく分からないが、いわゆるただの不良とは一線を画した、市民に愛される違いの分かるスケバン(死語)だったらしい。その武勇伝ぶりは他の地域にも轟き、ある者は憧れの『リクドウ』さんに遠路はるばる会いに来ては感涙し、ある者は憎き『リクドウ』に遠路はるばる決闘を申し出ては血だるまにされ、ある者は愛しの『リクドウ』さんに遠路はるばる愛を語りに推参しては袖にされたりと気の休まる日はなかったという話だ。
肝心のお袋は頑なに過去の自分を否定してることからも分かる通り、一切語ってはくれないから、本当のところは知りようもない。本人は「学生時代に酒と煙草とギャンブルは卒業した」などと発言していたことからも、確かにちょっぴり大人ぶっていたところもあったと認めはするものの、ヤンキーであった過去に関してはまったく触れないのだ。
喫煙、飲酒、賭博の三点セットに手を染めてる時点でヤンキーであったかどうか以前に黒歴史そのものなのではないかと思うのだが、まあ、自分のお袋の過去など、息子には何の関係もないといえばないので、そこは別に気にもならないのだが。
「元締めってか、仕切ってるのは婀徳会って社会奉仕団体だってさ。そこが所有する建物で定期的な集まりがあるっていってたな」
ふたたびお袋の表情に緊張が走った。今度はさっきよりもあからさまである。眉をひそめ、目を細め、口をひん曲げている。何事かを考えている、というより機嫌の悪いときにみせる凶悪な表情、一歩手前である。
「……お袋?」
俺の声が聞こえているのかいないのか、お袋は押し黙ったままであった。
このまま話を打ち切るか迷っていると、婀徳ね、とつぶやく声がした。気のせいか、怒りを押し殺しているようにも思える。
「有名なの?」
俺の問いに、お袋はひと息つくと、
「わたしが子供の時分には毎日のようにCMを見たけどね。当時人気のあった文化人やら俳優やらが出てたりしてさ。しょっちゅうあちこちに寄付をしたり、どこかで事故や災害が起これば支援物資をあれこれ送ったり、慈善事業の権化みたいな団体だから、あれもイメージアップの一環、今から思えば広告塔ってやつだったんだろう。もっとも慈善って名の付くモノには穿った見方がついて回るのが世の常だからね。悪徳会なんて陰口もよく聞いたよ」
一気にまくし立てるその様はまるで何かをむりやり飲み込もうとするかのような不自然さを俺に抱かせたが、深く考えるのはやめた。
それにしても。
日々忙しい健全な青少年には馴染みのない話だが、お袋の話から察するに、それなりの団体のようだ。しかし、慈善事業だの有名人を使ったCMだの聞くと、あまりいいイメージが沸かない。まるで胡散臭い宗教団体みたいじゃないか。
「どうだろうね。婀徳会のボス……っていうか、作ったとされる人物はいろんな方面に人脈を持つ海千山千、訳ありの人物だったって話だし、一筋縄ではいかないのは確かだけど、婀徳といちばんつながりのあった俳優は共演者やスタッフ、ファンに対して常にていねいで誠意ある対応を心掛けているような、悪い噂ひとつない、清廉潔白を地で行くような男でね、確実にあの団体に好印象を与えたのは間違いないね。もっとも、順風満帆の芸能生活の最中、ひっそり辞めたのは驚いたけど」
「……なんで?」
「本人はやりたいことが見つかった、みたいなこといってた気がするけど、婀徳会と関わっているうちにボランティア精神に目覚めたんじゃないかって世間での一致した見方だったね。すでにベテランの域に達した当人からすれば地位も名誉も手にして何の未練もなかったろうしさ。もっとも愚にもつかないような三流以下のゴシップ記事によればモデル出身の若手人気女優とデキたからって噂もあったけど」
どうやら、そのモデル出身の女優もその噂が立った前後にあっさりと引退をしたらしい。ドラマの主演までするくらいに売れはじめた所属タレントの引退は事務所に甚大な被害をもたらす。かなり揉めたんじゃないかと当時のマスコミは無責任に騒ぎ立てたようだ。
「そのあと、彼女は地元に帰って女の子を産んだっていう話だ」
芸能関係に疎い、というか、ふだんからそっち方面に興味ないどころかゴミでも見るかのような態度のお袋にしてはずいぶんな情報量である。
「同世代ってこともあるけど、その女優ってのが瓊紅保出身だからね。なんとなく気にはなったのさ。出産したって話が出た頃、ちょうどお前はあたしの腹にいたからなおさらね。もっとも例の俳優とのスキャンダルを含めてしょせん無責任な噂だと思ってたけど、実際に瓊紅保で子供連れの彼女を見かけたって話は人づてに聞くし、俳優との一件はともかく母親になったってのは事実なんだろうさ」
こりゃまた意外な話。お隣とはいえ、この一帯からすれば地元みたいなものだ。その瓊紅保から一世を風靡した元女優を輩出していたのは驚きだ。
「そのベテラン俳優、女優と噂になったっていうけど、ひょっとして……不倫?」
古今東西、口さがない連中の話題に上る筆頭は歪にして下世話な他人様の下半身事情だ。そういや今、まさに俺が戦っている課題図書もテーマがずばりそれじゃないか。
「いや。さっき悪い噂のない、清廉潔白を地で行くとはいったけれど、そっち方面にはマメないわゆるプレイボーイってやつでね、身を固めるのが嫌なのか、ずっと独身を通してたんだけど、騒がれた当時はすっかり落ち着いていたよ。つまりは独身同士。だから倫理的には問題はないわけだ。もっとも、男の方はああ、またビョーキが始まったかって感じで皮肉っぽい論調ではあったけど」
売り出し中の若手女優のファンからすりゃ、よりによって中年の、それもスケコマシとして名を馳せたような相手じゃ納得もいかないだろう。心中察して余りある。
「まあいい。で、お前が読んでるそれは、ここに書いてある読書会のためなんだな」
返事を返す代わりにいまいましげに、文庫本を見やった。今はまだ、表紙に佇むカレーニン夫人の表情は明るく健康的だ。
「学生が読むものかね、これ」
「不倫モノなんだろ」
「知ってたのかい。大して進んでいないようだけど」
驚きももっとであろう。息子の思考も嗜好もナナミさんのことを含めてガッチリ把握されている。され尽くしている。
「古い名作ならいろいろ情報も入るからね」
俺は以前観た、例の番組中のやり取りを思い出しながらいった。
「長いだけで面白くもなんともなかったけどね」
「……お袋、読んだことあるのか?」
俺の驚きにもお袋は冷静だった。ふだんから趣味は凶器になりそうな分厚い辞書を読み返すこと(と自慰)だといって憚らない女だが、まさかこの長編不倫小説を知っていたとは。
「つまらなくはないんだろうよ。あたしには合わなかったってだけでさ。ただね、なに不自由なく暮らしていた人妻が年下の男によろめいて、勝手に家を飛び出して、本当の愛に目覚めたなんて寝言抜かすような話のどこに共感を覚えればいいのか理解できないよ。挙句、死にそうになったら、今度は捨てた亭主に自分のところに来て欲しい、許して欲しいだの電報を打ってさ。それで和解するのかと思いきや、回復した途端に今度は生理的に受け付けないとかほざくんだ、この女」
……思わぬところで本性を見せる。
「さらにトヴェルスカヤってクソみたいな公爵夫人がこの女と間男の間をちょろちょろしてやがるんだけど、鬱陶しいったらないんだよ。こういう身の程を弁えないクソみたいな阿婆擦れが目の前にいたら間違いなくシメてるよ」
「……シメるって、どういう風に」
伝説の女番長・リクドウさんは見え透いた撒き餌にも躊躇なくそれはもうあっさり食いついてきた。
「後ろからボコって、簀巻きにしたあと、キャンプファイヤーかバーベキューの燃料にでもするのが適当だろうね」
「……その間男ってどんなヤツなの」
「小物だよ、小物。典型的な小物。雑魚。その上、俗物でストーカー気質の変態。高慢ちきでいけ好かない、つまんない男さ。つまんない女だから、つまんない男に靡いたんだろ。現代風にいや、バカップル。お似合いだよ。殴る価値もないね、こんなゴミ」
……そうですか。
「あと、禿げ」
そういう情報はいらないんだが……、面白いけど。
「そいつさ、この女より年下のくせに禿げなんだよ。なにかもう、救いようがないね、男として。終わってるよ」
……そこまでいうか。お袋はこのハ、間男に特別な怨みでもあるのだろうか。
「禿げに人権はないんだよ」
母上、問題発言ですよ。
とはいえ、はじめて長編大作という山に挑む身には感情的ではあっても、既読組によるこういった感想はタメになる気はする。
俺は文庫本を手に取ると、浮気男と召使いの退屈な会話に戻った。
「ところでさ」
麦茶をコップに注いで一気に呷ると、お袋は俺の肩をぐいと引き寄せた。その貌は明らかにメスのそれだ。その内容は想像に難くない。
「ナギちゃんのお父さん、帰って来てるの?」
「……いや、聞いてないな」
そっか。表情こそ笑みを浮かべてはいるが、口調は明らかに落胆していた。
「ほーんと、いい男だよねえ、ナギちゃんのお父さん」
お袋は事あるごとにナギんちの親父さんに対する想い、いやそんな可愛いものじゃない、露骨な劣情を口にする。それもまるで隠し立てする気などなく、むしろ聞いてくれと言わんばかりの態度である。親父の前でいわないのが救いではあるが、聞かされる身にはたまったものではない。これでも思春期真っ只中なのだ。
まあ、ナギの親父さんはガッシリとした体躯の、いかにも屈強で逞しき雄といった風情で女好きのするタイプだし、糅てて加えておっとりとした性格であのにこやかな笑顔は女性、特に日頃から旦那に不満を抱く奥様連中には相当もてるのは事実だ。
お袋は俺の二の腕に顔を埋めると、甘えるように身悶えた。
「……かあちゃんさァ、ナギちゃんのお父さんと、一発やりたいんだよォ」
今さら品よく振舞ってくれとはいわないが、せめてもう少しいいようがあるだろう。
「やりたいんだよォ」
知るかよ。
「やりたいんだよォ」
「……一発でいいのか」
俺の突っ込みに瞬時に顔を上げて曰く、
「いいわけないだろう」
即答である。
「一発やったら絶対、何度もしたくなるに決まってる。あたしの直感だと、ナギちゃんのお父さんって、絶対あっちは強いしテクも抜群だよ。いいカラダしてるしさー。一度味わったら最後、アレから離れられなくなるのは必至だね!」
だね! じゃないっつーの。だいたい、あれだけ不貞のヒロインを口汚く罵っておいて、どの口がいうのかって話だ。
気のせいか、さっきからブラトップの下でぶるぶる振えているその先端が立っているように見える。
「なんだい、吸いたいのか」
俺の視線に気づいたお袋はブラトップを捲り上げてみせた。子供を三人産んで吸わせたとは思えない、腹が立つほどきれいなピンク色である。
「そら、ぐいっと一発、いきな」
「いくかよ」
俺の返事など知るかとばかりに後頭部を抑え込むと、乱暴に胸に押しつけた。頬にピンク色の突起が当たる。
「うりゃうりゃ、観念して吸っちまいな」
「……親父、待ってるんだろ。そろそろ行かなくていいのか」
俺の言葉に、お袋の薄い笑い声が止まった。上目遣いで確認すると、その顔には興を殺がれたとも、痛いところを突かれたとも、どっちとも取れる色が乗っていた。
お袋は基本、風呂上りには何かしら、今ぐらいの時期ならジョギング時に穿くようなショートパンツ(ドルフィンパンツとかいうらしい)などを身に着けている。下着姿のときは夫婦の営みがある合図なのだ。つまりは今穿いている年甲斐もないシルクは勝負パンツ。それに気づいたのは妹たちが出来た辺りのことで、さすがに親父たちに確認こそしなかったが、まあ、当たっているようだ。
お袋は俺を解放すると、顔から表情を消したまま何もいわずに、居間から出て行った。歩行に合わせて振られるケツは食い込み気味の紐パンを含めて、母親に欲情しているわけではもちろんないが、客観的に見て、じゅうぶんセクシーで魅力的はあった。
そしてその背中はやはりどこか、リングに向かうボクサーのようにも見えた。まあ、一戦交えるという意味では的を射た表現であろう。もっとも、あっち方面にはすこぶる貪欲らしいお袋が一戦で満足するとは思えないが。
『独身時代はいい男と一発やることしか考えてなかったね。女に生まれたからは、いい男と一人でも多くヤるのが義務ってもんだからさ』(六反園ハニヤ・談)
親父の健闘を心から祈るばかりである。
食事が済んだあと、部屋には戻らず、居間のソファーに寝転がって例の課題図書に挑んでいると、風呂上りのお袋がブラトップにパンツ姿でアタマを拭きながら入ってきた。夏休みまでたっぷりと時間があるとはいえ、ふだんは手にしないどころか目に入れることすらしない漫画じゃない本、それもブンガク、さらにいうなら、むかしの海外作品だ。堅苦しい表記や言い回しに難儀することは読む前から予想はできていたのだが、いざ開くと、ふだんの知的不摂生のツケだろう。せっかく芽生えつつあった俺の拝誦意欲を容赦なく殺ぎにかかってくるのには参った。並んでいる文字は明らかにネイティヴのそれなのに、まるで異国の言葉に見えてくる不思議。
だいたいなんで、本のタイトルにもなっている主人公じゃなく、狡猾な黒い瞳(悪女って意味か?)の家庭教師にちょっかいを出した不倫野郎が言い訳がましく右往左往している場面から始まるんだよ。
「おらッ」
気合い一発、反対側に伸ばしていた俺の脚を学生時代に培ったと思われる鋭い回し蹴りで乱暴に払いのけると、そのまま空いた空間に腰を落した。タオルを首にかけた状態でソファーの背もたれに両腕を預けているお袋の姿は洗髪でアタマが濡れている様も相俟ってボクサーのインターバルそのものだ。じっさいお袋は親父を時折、一方的な理由で拳のみで叩きのめしているようだし、あながち間違いでもない。拳のみで痛めつけるのはお袋なりの愛情らしい。被害者たる親父がそういっているので、たぶんそうなのだろう。
シルクのパンツはサイドを紐で結ぶやつで、上部には豪奢なレースが付いていた。少しは歳を考えてくれと意義を申し立てたくなるが、親父のようになりたくはないので、もちろん口には出さない。
「どういう風の吹き回しだ」
お袋の疑問ももっともだ。
俺は答える代わりに入部に際して渡された、ガラステーブルの上に置かれたプリントを指差した。お袋のキャラクターからして、こういうシチュエーションだと缶ビール片手に、といくところなんだろうが、お袋は飲まない。とはいえ、下戸ではないらしい。曰く、
「酒と煙草とギャンブルは学生時代に卒業した」
……それもどうなんだ。
「振興部? お前、ここに入ったのか」
まあ、誰だって首を傾げる。名前だけじゃ、何のクラブかなんて想像もつかないだろう。だが、そこはさすがは親というべきか、プリントに記された、マツヤニ女史も説明した過去の活動内容から俺がここに入部を決めた意図をあっさりと言い当てた。
「ナナミちゃんか」
自分でいうのもなんだが、今まで生きてきてボランティアなどという崇高にして物好きなものにはいっさい無縁にして興味もなかった俺がなにを好き好んで奉仕活動が主体のクラブなぞにわざわざ飛び込んだのか。
その輝かしい過去の活動実績の中に美術館があったのである。美術館といえば、美術品の展示がメインといってもいい。そもそもそれらを展示しないことにははじまらない。というか、それ抜きで何が美術館だって話だ。そして美術館の仕事というのはその表面的な華やかさからは程遠い、なんとも地味で想像以上に重労働なのだそうだ。そして常に人出不足。つまり、俺の出番というわけだ。
「ナナミちゃんの勤め先は瓊紅保だろ。手伝いの要請なら向こうの学校じゃないのか」
俺はやっとこの小説の主人公(例の浮気男は兄貴らしい)が出た――といっても名前だけだが――ところで、一旦、閉じると、起き上がってポットから麦茶を注いで一気に飲み干した。本もこういう感じでぐいっと飲み込めれば楽なんだがな。
「於牟寺だけじゃなくて、瓊紅保にも似たような活動をしている部があるらしいんだ。その集まりをなんつったっけな……ピー、ピーヴイー……なんだったかな、なんか塩化ビニールみたいな名前だったと思うけれど、そういう繋がりがあって、互いのマチのボランティア活動を分け隔てなく行き来するんだとさ」
俺の説明に何の反応も見せない、というより硬直したかのようなお袋はどことなく思案顔であった。
「どしたの」
「塩化ビニールだのピーヴイだのってポリ塩化ビニール、つまりPVCか」
「あー、それそれ。ピーヴィシー」
「……PPCやPCCじゃなくPVCなんだな」
「え、うん」
「そうか」お袋は思案顔を崩さない。「なんの略称か知ってるか」
「……えっと、ボランティアのサークルってのは覚えてるけど、アタマのPは聞いたことない単語だったな。けど、それがどうしたの?」
「……いや」
お袋の返事も表情も、明らかに心当たりや引っ掛かりがある場合に見せる、その場を取り繕う際にとっさに繰り出すそれそのものであった。
「で、その塩化ビニールの元締めはどこなんだ。学生や学校単位での行動とは思えないね。裏で糸を引いてる連中がいるんだろう」
……元締めだの裏で糸を引いてるだの、こういう発想は元ヤンならではといったところか。もっとも、本人はヤンキーなどではなかったと頑なに否定しているのだが。
我が母・六反園ハニヤ、旧姓・六道ハニヤは隣県出身で当時無法地帯だった同県北地域を制圧、荒れに荒れていた町に治安を取り戻した伝説のエコヤンキーとして語り継がれている存在なのだという。なにがどうエコなのかよく分からないが、いわゆるただの不良とは一線を画した、市民に愛される違いの分かるスケバン(死語)だったらしい。その武勇伝ぶりは他の地域にも轟き、ある者は憧れの『リクドウ』さんに遠路はるばる会いに来ては感涙し、ある者は憎き『リクドウ』に遠路はるばる決闘を申し出ては血だるまにされ、ある者は愛しの『リクドウ』さんに遠路はるばる愛を語りに推参しては袖にされたりと気の休まる日はなかったという話だ。
肝心のお袋は頑なに過去の自分を否定してることからも分かる通り、一切語ってはくれないから、本当のところは知りようもない。本人は「学生時代に酒と煙草とギャンブルは卒業した」などと発言していたことからも、確かにちょっぴり大人ぶっていたところもあったと認めはするものの、ヤンキーであった過去に関してはまったく触れないのだ。
喫煙、飲酒、賭博の三点セットに手を染めてる時点でヤンキーであったかどうか以前に黒歴史そのものなのではないかと思うのだが、まあ、自分のお袋の過去など、息子には何の関係もないといえばないので、そこは別に気にもならないのだが。
「元締めってか、仕切ってるのは婀徳会って社会奉仕団体だってさ。そこが所有する建物で定期的な集まりがあるっていってたな」
ふたたびお袋の表情に緊張が走った。今度はさっきよりもあからさまである。眉をひそめ、目を細め、口をひん曲げている。何事かを考えている、というより機嫌の悪いときにみせる凶悪な表情、一歩手前である。
「……お袋?」
俺の声が聞こえているのかいないのか、お袋は押し黙ったままであった。
このまま話を打ち切るか迷っていると、婀徳ね、とつぶやく声がした。気のせいか、怒りを押し殺しているようにも思える。
「有名なの?」
俺の問いに、お袋はひと息つくと、
「わたしが子供の時分には毎日のようにCMを見たけどね。当時人気のあった文化人やら俳優やらが出てたりしてさ。しょっちゅうあちこちに寄付をしたり、どこかで事故や災害が起これば支援物資をあれこれ送ったり、慈善事業の権化みたいな団体だから、あれもイメージアップの一環、今から思えば広告塔ってやつだったんだろう。もっとも慈善って名の付くモノには穿った見方がついて回るのが世の常だからね。悪徳会なんて陰口もよく聞いたよ」
一気にまくし立てるその様はまるで何かをむりやり飲み込もうとするかのような不自然さを俺に抱かせたが、深く考えるのはやめた。
それにしても。
日々忙しい健全な青少年には馴染みのない話だが、お袋の話から察するに、それなりの団体のようだ。しかし、慈善事業だの有名人を使ったCMだの聞くと、あまりいいイメージが沸かない。まるで胡散臭い宗教団体みたいじゃないか。
「どうだろうね。婀徳会のボス……っていうか、作ったとされる人物はいろんな方面に人脈を持つ海千山千、訳ありの人物だったって話だし、一筋縄ではいかないのは確かだけど、婀徳といちばんつながりのあった俳優は共演者やスタッフ、ファンに対して常にていねいで誠意ある対応を心掛けているような、悪い噂ひとつない、清廉潔白を地で行くような男でね、確実にあの団体に好印象を与えたのは間違いないね。もっとも、順風満帆の芸能生活の最中、ひっそり辞めたのは驚いたけど」
「……なんで?」
「本人はやりたいことが見つかった、みたいなこといってた気がするけど、婀徳会と関わっているうちにボランティア精神に目覚めたんじゃないかって世間での一致した見方だったね。すでにベテランの域に達した当人からすれば地位も名誉も手にして何の未練もなかったろうしさ。もっとも愚にもつかないような三流以下のゴシップ記事によればモデル出身の若手人気女優とデキたからって噂もあったけど」
どうやら、そのモデル出身の女優もその噂が立った前後にあっさりと引退をしたらしい。ドラマの主演までするくらいに売れはじめた所属タレントの引退は事務所に甚大な被害をもたらす。かなり揉めたんじゃないかと当時のマスコミは無責任に騒ぎ立てたようだ。
「そのあと、彼女は地元に帰って女の子を産んだっていう話だ」
芸能関係に疎い、というか、ふだんからそっち方面に興味ないどころかゴミでも見るかのような態度のお袋にしてはずいぶんな情報量である。
「同世代ってこともあるけど、その女優ってのが瓊紅保出身だからね。なんとなく気にはなったのさ。出産したって話が出た頃、ちょうどお前はあたしの腹にいたからなおさらね。もっとも例の俳優とのスキャンダルを含めてしょせん無責任な噂だと思ってたけど、実際に瓊紅保で子供連れの彼女を見かけたって話は人づてに聞くし、俳優との一件はともかく母親になったってのは事実なんだろうさ」
こりゃまた意外な話。お隣とはいえ、この一帯からすれば地元みたいなものだ。その瓊紅保から一世を風靡した元女優を輩出していたのは驚きだ。
「そのベテラン俳優、女優と噂になったっていうけど、ひょっとして……不倫?」
古今東西、口さがない連中の話題に上る筆頭は歪にして下世話な他人様の下半身事情だ。そういや今、まさに俺が戦っている課題図書もテーマがずばりそれじゃないか。
「いや。さっき悪い噂のない、清廉潔白を地で行くとはいったけれど、そっち方面にはマメないわゆるプレイボーイってやつでね、身を固めるのが嫌なのか、ずっと独身を通してたんだけど、騒がれた当時はすっかり落ち着いていたよ。つまりは独身同士。だから倫理的には問題はないわけだ。もっとも、男の方はああ、またビョーキが始まったかって感じで皮肉っぽい論調ではあったけど」
売り出し中の若手女優のファンからすりゃ、よりによって中年の、それもスケコマシとして名を馳せたような相手じゃ納得もいかないだろう。心中察して余りある。
「まあいい。で、お前が読んでるそれは、ここに書いてある読書会のためなんだな」
返事を返す代わりにいまいましげに、文庫本を見やった。今はまだ、表紙に佇むカレーニン夫人の表情は明るく健康的だ。
「学生が読むものかね、これ」
「不倫モノなんだろ」
「知ってたのかい。大して進んでいないようだけど」
驚きももっとであろう。息子の思考も嗜好もナナミさんのことを含めてガッチリ把握されている。され尽くしている。
「古い名作ならいろいろ情報も入るからね」
俺は以前観た、例の番組中のやり取りを思い出しながらいった。
「長いだけで面白くもなんともなかったけどね」
「……お袋、読んだことあるのか?」
俺の驚きにもお袋は冷静だった。ふだんから趣味は凶器になりそうな分厚い辞書を読み返すこと(と自慰)だといって憚らない女だが、まさかこの長編不倫小説を知っていたとは。
「つまらなくはないんだろうよ。あたしには合わなかったってだけでさ。ただね、なに不自由なく暮らしていた人妻が年下の男によろめいて、勝手に家を飛び出して、本当の愛に目覚めたなんて寝言抜かすような話のどこに共感を覚えればいいのか理解できないよ。挙句、死にそうになったら、今度は捨てた亭主に自分のところに来て欲しい、許して欲しいだの電報を打ってさ。それで和解するのかと思いきや、回復した途端に今度は生理的に受け付けないとかほざくんだ、この女」
……思わぬところで本性を見せる。
「さらにトヴェルスカヤってクソみたいな公爵夫人がこの女と間男の間をちょろちょろしてやがるんだけど、鬱陶しいったらないんだよ。こういう身の程を弁えないクソみたいな阿婆擦れが目の前にいたら間違いなくシメてるよ」
「……シメるって、どういう風に」
伝説の女番長・リクドウさんは見え透いた撒き餌にも躊躇なくそれはもうあっさり食いついてきた。
「後ろからボコって、簀巻きにしたあと、キャンプファイヤーかバーベキューの燃料にでもするのが適当だろうね」
「……その間男ってどんなヤツなの」
「小物だよ、小物。典型的な小物。雑魚。その上、俗物でストーカー気質の変態。高慢ちきでいけ好かない、つまんない男さ。つまんない女だから、つまんない男に靡いたんだろ。現代風にいや、バカップル。お似合いだよ。殴る価値もないね、こんなゴミ」
……そうですか。
「あと、禿げ」
そういう情報はいらないんだが……、面白いけど。
「そいつさ、この女より年下のくせに禿げなんだよ。なにかもう、救いようがないね、男として。終わってるよ」
……そこまでいうか。お袋はこのハ、間男に特別な怨みでもあるのだろうか。
「禿げに人権はないんだよ」
母上、問題発言ですよ。
とはいえ、はじめて長編大作という山に挑む身には感情的ではあっても、既読組によるこういった感想はタメになる気はする。
俺は文庫本を手に取ると、浮気男と召使いの退屈な会話に戻った。
「ところでさ」
麦茶をコップに注いで一気に呷ると、お袋は俺の肩をぐいと引き寄せた。その貌は明らかにメスのそれだ。その内容は想像に難くない。
「ナギちゃんのお父さん、帰って来てるの?」
「……いや、聞いてないな」
そっか。表情こそ笑みを浮かべてはいるが、口調は明らかに落胆していた。
「ほーんと、いい男だよねえ、ナギちゃんのお父さん」
お袋は事あるごとにナギんちの親父さんに対する想い、いやそんな可愛いものじゃない、露骨な劣情を口にする。それもまるで隠し立てする気などなく、むしろ聞いてくれと言わんばかりの態度である。親父の前でいわないのが救いではあるが、聞かされる身にはたまったものではない。これでも思春期真っ只中なのだ。
まあ、ナギの親父さんはガッシリとした体躯の、いかにも屈強で逞しき雄といった風情で女好きのするタイプだし、糅てて加えておっとりとした性格であのにこやかな笑顔は女性、特に日頃から旦那に不満を抱く奥様連中には相当もてるのは事実だ。
お袋は俺の二の腕に顔を埋めると、甘えるように身悶えた。
「……かあちゃんさァ、ナギちゃんのお父さんと、一発やりたいんだよォ」
今さら品よく振舞ってくれとはいわないが、せめてもう少しいいようがあるだろう。
「やりたいんだよォ」
知るかよ。
「やりたいんだよォ」
「……一発でいいのか」
俺の突っ込みに瞬時に顔を上げて曰く、
「いいわけないだろう」
即答である。
「一発やったら絶対、何度もしたくなるに決まってる。あたしの直感だと、ナギちゃんのお父さんって、絶対あっちは強いしテクも抜群だよ。いいカラダしてるしさー。一度味わったら最後、アレから離れられなくなるのは必至だね!」
だね! じゃないっつーの。だいたい、あれだけ不貞のヒロインを口汚く罵っておいて、どの口がいうのかって話だ。
気のせいか、さっきからブラトップの下でぶるぶる振えているその先端が立っているように見える。
「なんだい、吸いたいのか」
俺の視線に気づいたお袋はブラトップを捲り上げてみせた。子供を三人産んで吸わせたとは思えない、腹が立つほどきれいなピンク色である。
「そら、ぐいっと一発、いきな」
「いくかよ」
俺の返事など知るかとばかりに後頭部を抑え込むと、乱暴に胸に押しつけた。頬にピンク色の突起が当たる。
「うりゃうりゃ、観念して吸っちまいな」
「……親父、待ってるんだろ。そろそろ行かなくていいのか」
俺の言葉に、お袋の薄い笑い声が止まった。上目遣いで確認すると、その顔には興を殺がれたとも、痛いところを突かれたとも、どっちとも取れる色が乗っていた。
お袋は基本、風呂上りには何かしら、今ぐらいの時期ならジョギング時に穿くようなショートパンツ(ドルフィンパンツとかいうらしい)などを身に着けている。下着姿のときは夫婦の営みがある合図なのだ。つまりは今穿いている年甲斐もないシルクは勝負パンツ。それに気づいたのは妹たちが出来た辺りのことで、さすがに親父たちに確認こそしなかったが、まあ、当たっているようだ。
お袋は俺を解放すると、顔から表情を消したまま何もいわずに、居間から出て行った。歩行に合わせて振られるケツは食い込み気味の紐パンを含めて、母親に欲情しているわけではもちろんないが、客観的に見て、じゅうぶんセクシーで魅力的はあった。
そしてその背中はやはりどこか、リングに向かうボクサーのようにも見えた。まあ、一戦交えるという意味では的を射た表現であろう。もっとも、あっち方面にはすこぶる貪欲らしいお袋が一戦で満足するとは思えないが。
『独身時代はいい男と一発やることしか考えてなかったね。女に生まれたからは、いい男と一人でも多くヤるのが義務ってもんだからさ』(六反園ハニヤ・談)
親父の健闘を心から祈るばかりである。
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