あばずれローニャ

黒神譚

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第7話

危険が一杯、オーク群生地っ!! 12

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レイモンドは非情に冷静に残酷な事実だけを語った。

「そ・・・そんな・・・。」

若い少年二人の死に私とレジーナが無念の声を上げたけど、レイモンドは冷静にその場の状態を注意深く見て追加情報を見つける。

「出血の量から見て恐らく助かるまい。
 しかし、気になるのは二人以外に足跡が一つしかないことだ。
 そして二人は暴れた様子もない。」

その言葉に私達の緊張感が増す。

「つまり・・・二人は抵抗をする間もなく一瞬で一人に殺され、一人に引き摺られていった・・・と言う事ね?」

私が聞き返すとレイモンドは軽く頷いて肯定してから眉間にしわを寄せて警戒を促す。

「とんでもない使い手だ。
 恐らく斥候三人もこいつに殺されたのだろう。腕利きの斥候が奴の存在に気が付く前に殺され、少年兵も殺された。
 そして、奴は自分の存在の痕跡を消すこと無く、俺達が気が付きやすいように二人の遺体を引き摺って行った。・・・明らかに罠だ。
 奴を追えば、我々は待ち伏せを受けることになる。
 ・・・いや、それどころかすでに我々は奴の罠の中にいると考えた方がいいかもしれない。
 速やかに撤退すべきだ。」

レイモンドは手短に、それでいて的確な予測を立て、私に決断を促した。
私はこの分隊の隊長。ホセとカレブの二人には悪いけど、この強敵を前に今は生きている部下の命を大切にしないといけない。
撤退以外の選択肢はなかった。

「わかったわ。撤退します。
 レイモンド。後退の先頭について。後方は私が見守ります。」
「・・・了解。」

レイモンドは短く返事をすると速やかに行動に移る。私達が既に敵の罠の中にいるのならば、後退路には仕掛けが施されている可能性がある。優秀な野伏であるレイモンドには、敵の罠を確実に発見しながら後退するスキルがあると、私は判断し、レイモンドを先頭に後退の指示を出す。
総員、強敵の襲撃に怯えながら後退していった。

そして優秀な野伏であるレイモンドの勘は当たった。

私達の撤退をどこかで見ていたのだろうか?
ホセとカレブが引き摺られていった方向から、恐ろしい殺気を放ちながら何かが突撃してくる気配がした。

「!! 来るわっ!!
 全員、脇目も振らずに走ってっ!!」

私が声を上げたと同時だった。
私達の部隊の側面の木々の影からオークの群れが姿を見せた。

「くそっ! 回り込まれていたかっ!」

レイモンドは彼らの接近に気が付かなかったわけではない。きっと私達は行き違いに出くわしたのだろう。
その証拠にオークたちも若干の動揺を見せていた。

「戦闘よりも逃げる方を優先しろっ!!」

レイモンドが速射でオークを3匹射止めながら部下たちに叫ぶ。それと同時にレジーナがアルバートに私達の危険を知らせる角笛を拭き鳴らした。

「すぐに応援が来ますっ!! 走ってっ!!」

しかし、多勢に無勢。そして、背後には得体のしれない強敵。前方にはオークの群れ。

「っ!!
 ・・・いえ、もっとたちの悪いのもいるわね。」

私達の前方から襲ってくるオークの群れの中に一際巨体なオーク。
オークキングが待ち構えている姿が見えた。
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