97 / 150
第7話
危険が一杯、オーク群生地っ!! 12
しおりを挟む
レイモンドは非情に冷静に残酷な事実だけを語った。
「そ・・・そんな・・・。」
若い少年二人の死に私とレジーナが無念の声を上げたけど、レイモンドは冷静にその場の状態を注意深く見て追加情報を見つける。
「出血の量から見て恐らく助かるまい。
しかし、気になるのは二人以外に足跡が一つしかないことだ。
そして二人は暴れた様子もない。」
その言葉に私達の緊張感が増す。
「つまり・・・二人は抵抗をする間もなく一瞬で一人に殺され、一人に引き摺られていった・・・と言う事ね?」
私が聞き返すとレイモンドは軽く頷いて肯定してから眉間にしわを寄せて警戒を促す。
「とんでもない使い手だ。
恐らく斥候三人もこいつに殺されたのだろう。腕利きの斥候が奴の存在に気が付く前に殺され、少年兵も殺された。
そして、奴は自分の存在の痕跡を消すこと無く、俺達が気が付きやすいように二人の遺体を引き摺って行った。・・・明らかに罠だ。
奴を追えば、我々は待ち伏せを受けることになる。
・・・いや、それどころかすでに我々は奴の罠の中にいると考えた方がいいかもしれない。
速やかに撤退すべきだ。」
レイモンドは手短に、それでいて的確な予測を立て、私に決断を促した。
私はこの分隊の隊長。ホセとカレブの二人には悪いけど、この強敵を前に今は生きている部下の命を大切にしないといけない。
撤退以外の選択肢はなかった。
「わかったわ。撤退します。
レイモンド。後退の先頭について。後方は私が見守ります。」
「・・・了解。」
レイモンドは短く返事をすると速やかに行動に移る。私達が既に敵の罠の中にいるのならば、後退路には仕掛けが施されている可能性がある。優秀な野伏であるレイモンドには、敵の罠を確実に発見しながら後退するスキルがあると、私は判断し、レイモンドを先頭に後退の指示を出す。
総員、強敵の襲撃に怯えながら後退していった。
そして優秀な野伏であるレイモンドの勘は当たった。
私達の撤退をどこかで見ていたのだろうか?
ホセとカレブが引き摺られていった方向から、恐ろしい殺気を放ちながら何かが突撃してくる気配がした。
「!! 来るわっ!!
全員、脇目も振らずに走ってっ!!」
私が声を上げたと同時だった。
私達の部隊の側面の木々の影からオークの群れが姿を見せた。
「くそっ! 回り込まれていたかっ!」
レイモンドは彼らの接近に気が付かなかったわけではない。きっと私達は行き違いに出くわしたのだろう。
その証拠にオークたちも若干の動揺を見せていた。
「戦闘よりも逃げる方を優先しろっ!!」
レイモンドが速射でオークを3匹射止めながら部下たちに叫ぶ。それと同時にレジーナがアルバートに私達の危険を知らせる角笛を拭き鳴らした。
「すぐに応援が来ますっ!! 走ってっ!!」
しかし、多勢に無勢。そして、背後には得体のしれない強敵。前方にはオークの群れ。
「っ!!
・・・いえ、もっとたちの悪いのもいるわね。」
私達の前方から襲ってくるオークの群れの中に一際巨体なオーク。
オークキングが待ち構えている姿が見えた。
「そ・・・そんな・・・。」
若い少年二人の死に私とレジーナが無念の声を上げたけど、レイモンドは冷静にその場の状態を注意深く見て追加情報を見つける。
「出血の量から見て恐らく助かるまい。
しかし、気になるのは二人以外に足跡が一つしかないことだ。
そして二人は暴れた様子もない。」
その言葉に私達の緊張感が増す。
「つまり・・・二人は抵抗をする間もなく一瞬で一人に殺され、一人に引き摺られていった・・・と言う事ね?」
私が聞き返すとレイモンドは軽く頷いて肯定してから眉間にしわを寄せて警戒を促す。
「とんでもない使い手だ。
恐らく斥候三人もこいつに殺されたのだろう。腕利きの斥候が奴の存在に気が付く前に殺され、少年兵も殺された。
そして、奴は自分の存在の痕跡を消すこと無く、俺達が気が付きやすいように二人の遺体を引き摺って行った。・・・明らかに罠だ。
奴を追えば、我々は待ち伏せを受けることになる。
・・・いや、それどころかすでに我々は奴の罠の中にいると考えた方がいいかもしれない。
速やかに撤退すべきだ。」
レイモンドは手短に、それでいて的確な予測を立て、私に決断を促した。
私はこの分隊の隊長。ホセとカレブの二人には悪いけど、この強敵を前に今は生きている部下の命を大切にしないといけない。
撤退以外の選択肢はなかった。
「わかったわ。撤退します。
レイモンド。後退の先頭について。後方は私が見守ります。」
「・・・了解。」
レイモンドは短く返事をすると速やかに行動に移る。私達が既に敵の罠の中にいるのならば、後退路には仕掛けが施されている可能性がある。優秀な野伏であるレイモンドには、敵の罠を確実に発見しながら後退するスキルがあると、私は判断し、レイモンドを先頭に後退の指示を出す。
総員、強敵の襲撃に怯えながら後退していった。
そして優秀な野伏であるレイモンドの勘は当たった。
私達の撤退をどこかで見ていたのだろうか?
ホセとカレブが引き摺られていった方向から、恐ろしい殺気を放ちながら何かが突撃してくる気配がした。
「!! 来るわっ!!
全員、脇目も振らずに走ってっ!!」
私が声を上げたと同時だった。
私達の部隊の側面の木々の影からオークの群れが姿を見せた。
「くそっ! 回り込まれていたかっ!」
レイモンドは彼らの接近に気が付かなかったわけではない。きっと私達は行き違いに出くわしたのだろう。
その証拠にオークたちも若干の動揺を見せていた。
「戦闘よりも逃げる方を優先しろっ!!」
レイモンドが速射でオークを3匹射止めながら部下たちに叫ぶ。それと同時にレジーナがアルバートに私達の危険を知らせる角笛を拭き鳴らした。
「すぐに応援が来ますっ!! 走ってっ!!」
しかし、多勢に無勢。そして、背後には得体のしれない強敵。前方にはオークの群れ。
「っ!!
・・・いえ、もっとたちの悪いのもいるわね。」
私達の前方から襲ってくるオークの群れの中に一際巨体なオーク。
オークキングが待ち構えている姿が見えた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
思春期ではすまない変化
こしょ
青春
TS女体化現代青春です。恋愛要素はありません。
自分の身体が一気に別人、モデルかというような美女になってしまった中学生男子が、どうやれば元のような中学男子的生活を送り自分を守ることができるのだろうかっていう話です。
落ちがあっさりすぎるとかお褒めの言葉とかあったら教えて下さい嬉しいのですっごく
初めて挑戦してみます。pixivやカクヨムなどにも投稿しています。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる