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第7話
危険が一杯、オーク群生地っ!! 8
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アルバートの一喝を受けて私達は慌てて鎧を装着する。アルバートは半裸の私達の着替えから目を背けることなく堂々とした態度で今の状況を長々と説明する。
「3人とも聞きながら鎧を着込み給え。
ほんの少し前、私が斥候達の様子を見るために闇の勢力の監視場所に向った時の事だった。
私がその時見たのは斥候の遺体と神殿の中から出てくるオークの軍勢だった。」
「オークは犬並みに鼻が利く。おそらく斥候と戦闘になったオークたちは戦闘後にあの場に斥候以外の者達がいたことを知り、上官に告げたのだろう。
足跡を追いながらの進軍だから、私の後退する速度よりは大分劣るだろうが、それでもすぐにもここをかぎつけるはずだ。」
「一刻の猶予も許されない。素早く着替えたまえ、諸君らは貴重な戦力だ。
ヒューゴだけでなく君たちにも分隊の指揮を任せたい。
特にローニャ。君の精霊魔法は頼りにしている。」
私達は彼の説明を聞きながら顔面蒼白になって着替えを急ぐ。
およそ7倍の数の敵が私達を狙っている。それも女性の天敵である、好色の化け物オークだ。
彼らに掴まった女性がどんな目に合うのか想像しただけでゾッとする。
私達の着替えは恐怖をエネルギー源にして素早く行われた。
アルバートは私達の装備に満足したように「よしっ!」と頷くとテントを出た。慌てて私達がその背中を追いかけて外に出ると、既に冒険者たちが陣地の周りに防衛線を築いていた。
アルバートはその防衛戦の一角を個別に指差しながら私達3名に指示を出した。
「ナタリア。君は闇の勢力が一番早く到着するであろう東側の防衛の指揮を執ってくれ。
私が全体を指揮するが、右側はヒューゴが指揮するから左側の分隊は君に頼みたい。
レジーナとローニャはその後方で左右の分隊の指揮を頼む。脇道から襲ってくる陽動部隊があれば撃退してくれ。
それからローニャは必要に応じて私が魔法の指示を出すので、魔法は温存しておいてくれ。」
「はいっ!」
私達は同時に返事をすると素早く配置につく。欲を言えば私もアルバートと同じ位置で分隊指揮を執りたかったけど、今はそんなことを言っている余裕はない。私の役目は後方からの魔法による援護射撃がメイン。この配置も致し方なかった。
ただ、私が助言してナタリアに持たせたショートボウがこの作戦で早速役に立つようで、それが少し嬉しかった。
待ち伏せ攻撃は100%先手側が有利。それも木々に隠れた場所からの狙撃ほど効果を発揮するものはない。
冒険者たちもその程度の知識と経験は備えているので、最前列の者達は弓矢の準備を整えると息を殺して攻撃のタイミングを待っていた。
間もなくするとアルバートの予想通り、オークの群れの先頭が東側から姿を見せたという無声合図が私達の分隊に向けて発せられる。
全部隊に緊張が走る。
狙撃前にアルバートが周囲を迂回する敵部隊が姿を見せないなら中央に応援をよこせと手旗信号が送ってきた。
正面の敵の数が予想以上に多い証拠だ。
私とレジーナは周囲を注意深く観察してからそれに応じて応援を送る。
そして、その応援が中央の部隊に到着すると同時に一斉に矢が放たれるのだった。
「3人とも聞きながら鎧を着込み給え。
ほんの少し前、私が斥候達の様子を見るために闇の勢力の監視場所に向った時の事だった。
私がその時見たのは斥候の遺体と神殿の中から出てくるオークの軍勢だった。」
「オークは犬並みに鼻が利く。おそらく斥候と戦闘になったオークたちは戦闘後にあの場に斥候以外の者達がいたことを知り、上官に告げたのだろう。
足跡を追いながらの進軍だから、私の後退する速度よりは大分劣るだろうが、それでもすぐにもここをかぎつけるはずだ。」
「一刻の猶予も許されない。素早く着替えたまえ、諸君らは貴重な戦力だ。
ヒューゴだけでなく君たちにも分隊の指揮を任せたい。
特にローニャ。君の精霊魔法は頼りにしている。」
私達は彼の説明を聞きながら顔面蒼白になって着替えを急ぐ。
およそ7倍の数の敵が私達を狙っている。それも女性の天敵である、好色の化け物オークだ。
彼らに掴まった女性がどんな目に合うのか想像しただけでゾッとする。
私達の着替えは恐怖をエネルギー源にして素早く行われた。
アルバートは私達の装備に満足したように「よしっ!」と頷くとテントを出た。慌てて私達がその背中を追いかけて外に出ると、既に冒険者たちが陣地の周りに防衛線を築いていた。
アルバートはその防衛戦の一角を個別に指差しながら私達3名に指示を出した。
「ナタリア。君は闇の勢力が一番早く到着するであろう東側の防衛の指揮を執ってくれ。
私が全体を指揮するが、右側はヒューゴが指揮するから左側の分隊は君に頼みたい。
レジーナとローニャはその後方で左右の分隊の指揮を頼む。脇道から襲ってくる陽動部隊があれば撃退してくれ。
それからローニャは必要に応じて私が魔法の指示を出すので、魔法は温存しておいてくれ。」
「はいっ!」
私達は同時に返事をすると素早く配置につく。欲を言えば私もアルバートと同じ位置で分隊指揮を執りたかったけど、今はそんなことを言っている余裕はない。私の役目は後方からの魔法による援護射撃がメイン。この配置も致し方なかった。
ただ、私が助言してナタリアに持たせたショートボウがこの作戦で早速役に立つようで、それが少し嬉しかった。
待ち伏せ攻撃は100%先手側が有利。それも木々に隠れた場所からの狙撃ほど効果を発揮するものはない。
冒険者たちもその程度の知識と経験は備えているので、最前列の者達は弓矢の準備を整えると息を殺して攻撃のタイミングを待っていた。
間もなくするとアルバートの予想通り、オークの群れの先頭が東側から姿を見せたという無声合図が私達の分隊に向けて発せられる。
全部隊に緊張が走る。
狙撃前にアルバートが周囲を迂回する敵部隊が姿を見せないなら中央に応援をよこせと手旗信号が送ってきた。
正面の敵の数が予想以上に多い証拠だ。
私とレジーナは周囲を注意深く観察してからそれに応じて応援を送る。
そして、その応援が中央の部隊に到着すると同時に一斉に矢が放たれるのだった。
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