あばずれローニャ

黒神譚

文字の大きさ
上 下
59 / 150
第4話

初めての共同作業 17

しおりを挟む
アルバートの奇跡によりナタリアは奇跡の復活を遂げた。
全身の傷は消え、元通りにの姿になったのだった。

(全く、とんでもない人ね・・・。)

俺がかつてのライバルの力に驚きながらナタリアを見ていると、ナタリアが目を覚ました。
ナタリアは目を覚ましてすぐに事情を把握したのか、自分の無事を喜び泣きじゃくりながら抱きつく女たちを押しのけて立ち上がると、アルバートの前に進み出て頭を下げた。

「アルバート様。・・・ありがとう。
 神官騎士の奇跡が無ければアタイは死んでた。・・・感謝してもしきれない。
 そして・・・賭けはアタイの負けね。
 約束通りローニャの言い分を認めるわ。アタイ達では龍虫退治は無謀過ぎたわ。」

しおらしいセリフだけれども後半はアルバートじゃなくて俺に言うセリフじゃない?

「いや、君たちはよくやったよ。勝ちも負けもない。」

アルバートの慰めの言葉を聞いたナタリアは目に涙を一杯溜めたまま体を震わせた。
・・・きっと男に負けたくない意地で仲間を危険にした自分が許せないんだろう。
そして、ナタリアは一つの決断をする。
目に涙を溜めながら、こう宣言した。

「でも・・・アタイには指揮官の資格がない。
 今日でこのパーティを解散します。」

いきなりの申し出に俺もアルバートも「いや、なにもそこまで」と引き留めにかかった。だが、ナタリアが「既にパーティの皆も自分の限界に気が付いたはずです。」と言うと配下の女たちも目を閉じた。同意と言う意味だ。

きっと、彼女たちは龍虫との戦いで心が折れてしまったのだろう。アルバートのスキルの効果も既に尽き、我に返って戦いが恐ろしい物と思ってしまったのかもしれない。一度、心が恐怖を受け入れたら再起は難しい・・・。ナタリアは彼女たちの気持ちの変化に気が付いているのだろう・・・。

俺に出来ることは「それもいいかもしれないね。」と優しく第二の人生へと送り出してやるだけだ。
折角の出会いだが、ここでお別れか・・・。

と、思った矢先、ナタリアがアルバートの手を取って懇願する。

「アタイもアルバート様の旅に連れてって!!
 あんたの力になりたいんだ。そして、もっと強くなりたいんだ!」

その言葉にアルバートは感心した。

「君は・・・地獄を見たというのにまだ戦うのか。
 いいだろう。君は本物の戦士だ。歓迎するよ、ナタリア。」

・・・はぁ~~~っ!?
俺はアルバートの純粋さに呆れて猛抗議する。

「いやいやいや、なに騙されてんの? それは絶対に口実だよっ!
 ナタリア。貴女、ただ単にアルバート様と一緒にいたいだけでしょっ!?」

「ローニャ、何を言っているんだ?
 彼女の勇敢さは君も知るところのはずだ!」

アルバートは直ぐ否定した。どうやら俺の言う事に耳を貸す気は無さそうだ。
そしてナタリアはアルバートが自分の味方と知って嬉しそうにアルバートの腕に抱きついた。

「ありがとうございますっ!!
 モトリルのナタリア。一生、あなたにつき従いますっ!!」

「お、おいおい。大仰だなぁ・・・。」

なんて言葉を口にしながらアルバートはまんざらでもなさそうだ。
それはそうだろう。その逞しい腕がナタリアの豊満な乳房に埋もれているんだから。
う~~~っ、アルバートのスケベっ!!
もう怒ったぞ! 断固、反対してやるっ!!

「そんなの駄目~~っ!!」

だが、俺の猛抗議は受け入れられず、それどころかアルバートの腕に抱き着くナタリアは勝ち誇った目で俺を見て笑った。

「じゃぁ、これからよろしくな。ローニャ。」

「よろしくな、じゃなーいっ!!」

勝負に勝ったはずなのに、何か負けた気がする~~っ!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

思春期ではすまない変化

こしょ
青春
TS女体化現代青春です。恋愛要素はありません。 自分の身体が一気に別人、モデルかというような美女になってしまった中学生男子が、どうやれば元のような中学男子的生活を送り自分を守ることができるのだろうかっていう話です。 落ちがあっさりすぎるとかお褒めの言葉とかあったら教えて下さい嬉しいのですっごく 初めて挑戦してみます。pixivやカクヨムなどにも投稿しています。

朝起きたら女体化してました

たいが
恋愛
主人公の早乙女駿、朝起きると体が... ⚠誤字脱字等、めちゃくちゃあります

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

処理中です...