あばずれローニャ

黒神譚

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第2話

幼馴染が追ってくるっ!! 16

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俺が水汲みから戻ると、涙で腫らした俺の目を見てアルバートが驚きの声を上げた。

「うわっ! 
 遅いと思ったら何でそんなに涙で目を腫らしているんだよっ!?」


(一応、身だしなみも整えたんだけど、そっちはさすがに気付いてくれない・・・か)

俺はそれでも折角セットし直した髪をさりげなく右手で払って見せたが、彼は涙跡が気になって仕方ないらしい・・・。
俺はアルバートに若干拗ねた感じで「・・・別に」とだけ短く答えると朝食の準備を始める。
湯を沸かし、紅茶とスープの元にする。
干し肉はそのままでは食べにくいので細かく砕いてスープに入れる。水汲みのついでに良い香草を積んできたのでそれもスープに入れる。ハーブと肉と塩と香辛料だけでは味気ないのでチーズも入れる。煮詰めて水気を少なくしたところに小麦粉を溶かし込んでトロミをつける。
煮詰めている間にフライパンに油を引き、目玉焼きを作ってからパンをナイフで切り分けて、フライパンに水を少し入れてから焼く。パンの両面が焼けるころには油と水気で保存の利く固いパンは柔らかくなっている。

「お待たせしました。アルバート様。
 肉とハーブのスープと目玉焼きと焼きパン。それからベリーの入った紅茶です。」
「おおっ!! 美味そうじゃないかっ!!」

アルバートは俺の料理を前に祈りを捧げてから「では、一緒に食べよう」と言ってスープから口をつける。
肉の入ったスープは程よいトロミがあってチーズのおかげで脂分も十分。
パンは中はふわふわ外はこんがりでアルバートはご機嫌になって俺を褒めたたえた。

「美味しいよっ!!
 ローニャっ!! 君は良いお嫁さんになるっ!!」

その言葉に飲んでいた紅茶を吹き出してむせ返る俺は、「い、いい加減なこと言ってんじゃないわよっ!!」と、どうにかこうにか動揺を隠すことができた。
正直、死ぬほど嬉しかった。

朝食が終わるとアルバートが洗い物をしてくれると言ってくれた。
「せめて後片付けくらいは私にやらせてくれ。」と言ったので任せることにして、俺はその隙にチャームと作戦を立てる。

(あの。チャームどうしたらいいと思う?)
(アルバートと話するときに上目遣いになったり、シナを作ってか細さをアピールしたり、普段よりも高い声で話すのをやめた方がいいと思うわ。ますます女性化が進むわよ。)
(そ、そそそ、そんなことしてないもんっ!!)
(ほらっ!! その話し方っ!!
 以前のあんたならこんなに太陽の力が強いうちに女言葉なんか出なかったわよっ!!)
(うっ!!)

し、指摘されて気が付いたっ!! 確かに無意識のうちに自分から女性化を進めている気がする。

(無意識じゃないっ!!
 ローニャ、あなたは今、明らかにあの男の気を引くために可愛い女を演じているの。
 もう何でもいいから適当な嘘ついてあの男と別れなさいっ!!)

チャームは語気を強めて説得を始めた。
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