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第15話 蜥蜴族の王
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各国の星見は予言した。
「龍殺しの赤い騎士がこの世を破滅に導くであろう」と。
ところであなたは預言と予言という言葉は意味が全く異なる存在なことをご存じだろうか?
預言は「言葉を預かる」と書く。預かるとは、いったい誰から預かるのかと言えば、それはもちろん神だとか天だとかそういった神聖の存在だ。そして預かる言葉とは、神託を授かることを意味する。すなわち預言者とは神聖の存在と交信する奇跡を許された聖人を意味する。
反対に予言とは、単純に未来予知を意味する言葉だ。例えば株価の暴落を予言したとしても、そこに神聖の存在の有無は関係がない。単純に経験値や統計学でも株価暴落の予言は可能なのだ。
つまり例え預言者が予言を言っても、それは預言の神秘の一つにしか過ぎない。預言は未来予知以外にも様々な神秘の恩恵をもたらす。この世の真理の教授や、死人蘇生の奇跡や、神と人間界の在り方の調節契約をする権利すら預言者には与えられて来ている。つまり、キリストもモーゼもムハンマドも預言者であって、ただ単に未来予知を行う「予言者」ではない。これほどの奇跡が古今東西多数の人間に同時に与えられた例はない。
預言者とは、その時代に常に一人なのだ。
それはこの世界でも同じことだった。
預言を授かる者が各国に同時に出ることは、明らかに異常事態だった。そして、「龍殺しの赤い騎士がこの世を破滅に導くであろう」という預言を星見から聞いた各国の支配者、代表者は血相を変えてこの事態にどう当たるべきか、人類初の統一国家リトリ=ラ=ド=アクラへ使いを送り指示を仰いだ。
リトリ=ラ=ド=アクラ。この世界に生きとし生けるものすべてに破壊をもたらした魔王ドノヴァンとの決戦に備えて作られた統一国家だった。魔王ドノヴァンは、争いが絶えなかった世界の人々が手に手を取って助け合う統一国家を作ったのを確認すると1000年の不可侵を約束し、人間たちには1000年の平和を守る様に約束させた。
その後、魔王ドノヴァンは1000年の眠りについたのだが、人間たちは1000年の平和を守ることが出来なかった。
リトリ=ラ=ド=アクラは、長い歴史の中でその威光を失ってしまったのだ。
いつしか各種族が好き勝手に領土を主張して互いを攻撃しあい、分裂を繰り返してしまい、ついにはかつて破壊神ドノヴァンが忌み嫌った群雄割拠の時代を産み出してしまった。
もう、人類が協力し合う国家リトリ=ラ=ド=アクラとは過去の遺物でしかなかった。
しかし、リトリ=ラ=ド=アクラは、すでに本分を失ったと言え、かろうじて存続はしていた。
この時代、各国には領土支配のための権威と大義名分が必要だった。 リトリ=ラ=ド=アクラの存在はそこで利用されたのだ。
リトリ=ラ=ド=アクラの国王は独自の戦力は持ち合わせていなかったが、所領の支配権を許す権能が与えられていた。各国は戦争で奪った領土を支配する権利をリトリ=ラ=ド=アクラが発行する支配免状をもって正当性の証明とした。
皮肉にも各国からそのためにリトリ=ラ=ド=アクラは存続するように守られ、そして利用されてきた。
世界を統一した国家は、今やただの装置でしかなかった。
それでも各国はこの異常事態をリトリ=ラ=ド=アクラに伝えた。藁にも縋る思いとはまさにこの事である。
かつての統一国家と違い世界中で分裂を繰り返し、矮小化した群雄割拠の国々では、世界を滅ぼす火龍の存在に対しては無力すぎたのだ。
そこで各国は自力救済をあきらめて、統一王国を頼った。それは各国が共に助け合い協力することを同意したことを意味する。皮肉にも世界滅亡を理由に建国された統一国家は、世界滅亡を知らせる預言が原因で再びその権威を取り戻そうとしていた。
しかし、リトリ=ラ=ド=アクラの現当主カーランド・ジ・オーにとってもこの度の預言は、想像を絶する存在だった。
「これほどの預言が同時に起きるとは・・・世界は一体、どうなってしまうのか?」
カーランド王は権威を失て久しく。あばら家同然となった王宮へ次々と寄せられてくる各国からの報告書の山に頭をかかえた。その中でも特に問題であったのは、商業都市マルティス・デ・コスタからの救援要請だった。
内容は、カーランド王でなくても戦慄するものだった。
なんとマルティス・デ・コスタは予言の破壊者「龍殺しの赤い騎士」によって占領されてしまったという内容だったから。
ある日、かつてギュリアスを名乗っていた龍殺しの赤い騎士は、多くのリザードマンを引き連れて商業都市マルティス・デ・コスタを強襲した。理由は一つだけ。かつて誓った願いであるマルティス・デ・コスタの住民の皆殺しを果たすためだった。
マルティス・デ・コスタの総住民数およそ2000。対する龍殺しの赤い騎士が率いるは2500のリザードマンたちだった。
しかし、龍殺しの赤い騎士がマルティス・デ・コスタの城塞都市に来たとき、そこは既にもぬけの殻であった。マルティス・デ・コスタの星見も見たのだ。かつて23番と呼ばれた剣奴。城壁内に火を放ち、多数の兵士を殺して復讐を誓った美少年が新たなる火龍に昇華しリザードマンたちの王になった姿を。星見はすぐに商業都市の代表者に連絡した。
最初は星見の話を信じなかった代表者だったが、数人いる星見が次々と危険を知らせるのを聞くとさすがに戦慄を覚えて商業都市の放棄と緊急離脱を決意したのだ。
だから、龍殺しの赤い騎士がマルティス・デ・コスタに来た時、生きているものは剣奴として狩られた者たちだけだった。かつての御同輩をみて龍殺しの赤い騎士は彼らの解放を決意する。
食事を与え、風呂に入れてやり、解放を宣言した。しかし、剣奴達は全員が龍殺しの赤い騎士の志に同調して復讐を誓った。自分たちの家族を殺して自分たちを剣奴にしたマルティス・デ・コスタの住人全てを皆殺しにするために龍殺しの赤い騎士、リザードマンたちの王に臣従することを誓ったのだ。
龍殺しの赤い騎士は、よく考えたのち、彼らの申し出を受け入れて家臣団に加え、マルティス・デ・コスタ領内にある隠れ里にいる住人達も救うことを誓った。
リザードマンたちも剣奴達も互いに力を合わせて領地内を探し回り、生存者がいないか探り出し、隠れている者がいれば救済を行った。
その途中、面白い者を龍殺しの赤い騎士は、手に入れた。
それは、かつて自分をマルティス・デ・コスタへ運んだ商人「ダリス・グレイブ」だった。
彼は領地内の隠れ里の民が見つかれば買い取りしてマルティス・デ・コスタへ運ぶ番頭だった。そうやって領地内をウロウロしていたので、彼の一行は預言のことを知らず、逃げ遅れてしまったのだ。
捕らえられたダリスは、かつて自分が売り払った事に対する恨みの念を持つ剣奴達に囲まれたまま龍殺しの赤い騎士の元まで運ばれたので、龍殺しの赤い騎士と対面したときは恐怖におびえて憔悴しきっていた。
かつて23番と呼ばれた龍殺しの赤い騎士は、そんなダリスの髪を掴んで床に引きずり倒すと蔑む様に話しかけた。
「小太りな体は相変わらずだな。おっさん。」
かつて剣奴へと貶めた張本人であるダリスは、龍殺しの赤い騎士に睨まれただけで死んでしまいそうなほど恐怖したが、それでも龍殺しの赤い騎士がリザードマンたちの王になり建国した話を聞かされるとこれ幸いとばかりに交渉を持ち掛けた。
ー 自分は商人であるから、あなたの国の役立ちましょう。各国との交渉ごとに私をご用立ててくださいませ。必ずお役に立って見せましょう ー と。
それを聞いた龍殺しの赤い騎士は流石にあきれ返った。
「なんだと、貴様。この期に及んで命乞いどころか、仕事を与えよというのか?」
そう言いながらも龍殺しの赤い騎士はダリスの処遇について自問自答する。
(なんという破廉恥な男なのだろうか? かつての奴隷にこのような交渉事を持ち掛けるなんて・・・)
(それともこれが商人というものなのだろうか? プライドよりも実を取る。それが商人なのか?)
龍殺しの赤い騎士は、しばらく押し黙って考えていたが、やがてダリスの申し出を受け入れて家臣団に加えた。
それから龍殺しの赤い騎士は、奴隷商人を問いただし、領内にまだ隠れ里はないかと尋ねた。ダリスは隠れ里には詳しくなかったが、領内に点在する拠点にある剣奴を隠し場所は知っていた。そこで龍殺しの赤い騎士の命令の下、多くの剣奴を解放していった。解放された剣奴は、全てが怒りに燃えて復讐を誓ったので、それらも家臣団に加えた。
1か月もするうちに龍殺しの赤い騎士の家臣団はあっという間に3000を超えるまでに成長していた。
これらの流れを統一国家リトリ=ラ=ド=アクラのカーランド王はマルティス・デ・コスタからの報告書にて知らされた。カーランド王は、そこで預言の真実味を実感した。
そして、各国へ使者を送り、集結を求めた。
「世界を滅ぼす予言の者。龍殺しの赤い騎士は、商業都市マルティス・デ・コスタを占拠した。
これは預言が真実であった証拠である。
龍殺しの赤い騎士の国家を打倒するためにリトリ=ラ=ド=アクラの王カーランドが命ずる。諸侯は集結し協力せよ!」
全ての国家はこの呼びかけに応えて集結し、討伐軍を結成し龍殺しの赤い騎士が支配する商業都市を包囲するのだった。
その人数約3万。龍殺しの赤い騎士の国家は、建国後すぐに危機を迎えるのだった。
だが、そんな危機的状況であっても龍殺しの赤い騎士は、超然としていた。
商業都市の城壁に立ち、「わざわざ死ぬためにこんな田舎くんだりまで来るのだから、暇な連中だ!」と笑い飛ばすのだった。
自軍のおよそ10倍の兵士に城壁を囲まれても龍殺しの赤い騎士には、秘策があったので平気だった。そして、その秘策がこれより包囲した3万の軍勢を統一国家リトリ=ラ=ド=アクラ史上最悪の全滅戦へと導くのだった。
「龍殺しの赤い騎士がこの世を破滅に導くであろう」と。
ところであなたは預言と予言という言葉は意味が全く異なる存在なことをご存じだろうか?
預言は「言葉を預かる」と書く。預かるとは、いったい誰から預かるのかと言えば、それはもちろん神だとか天だとかそういった神聖の存在だ。そして預かる言葉とは、神託を授かることを意味する。すなわち預言者とは神聖の存在と交信する奇跡を許された聖人を意味する。
反対に予言とは、単純に未来予知を意味する言葉だ。例えば株価の暴落を予言したとしても、そこに神聖の存在の有無は関係がない。単純に経験値や統計学でも株価暴落の予言は可能なのだ。
つまり例え預言者が予言を言っても、それは預言の神秘の一つにしか過ぎない。預言は未来予知以外にも様々な神秘の恩恵をもたらす。この世の真理の教授や、死人蘇生の奇跡や、神と人間界の在り方の調節契約をする権利すら預言者には与えられて来ている。つまり、キリストもモーゼもムハンマドも預言者であって、ただ単に未来予知を行う「予言者」ではない。これほどの奇跡が古今東西多数の人間に同時に与えられた例はない。
預言者とは、その時代に常に一人なのだ。
それはこの世界でも同じことだった。
預言を授かる者が各国に同時に出ることは、明らかに異常事態だった。そして、「龍殺しの赤い騎士がこの世を破滅に導くであろう」という預言を星見から聞いた各国の支配者、代表者は血相を変えてこの事態にどう当たるべきか、人類初の統一国家リトリ=ラ=ド=アクラへ使いを送り指示を仰いだ。
リトリ=ラ=ド=アクラ。この世界に生きとし生けるものすべてに破壊をもたらした魔王ドノヴァンとの決戦に備えて作られた統一国家だった。魔王ドノヴァンは、争いが絶えなかった世界の人々が手に手を取って助け合う統一国家を作ったのを確認すると1000年の不可侵を約束し、人間たちには1000年の平和を守る様に約束させた。
その後、魔王ドノヴァンは1000年の眠りについたのだが、人間たちは1000年の平和を守ることが出来なかった。
リトリ=ラ=ド=アクラは、長い歴史の中でその威光を失ってしまったのだ。
いつしか各種族が好き勝手に領土を主張して互いを攻撃しあい、分裂を繰り返してしまい、ついにはかつて破壊神ドノヴァンが忌み嫌った群雄割拠の時代を産み出してしまった。
もう、人類が協力し合う国家リトリ=ラ=ド=アクラとは過去の遺物でしかなかった。
しかし、リトリ=ラ=ド=アクラは、すでに本分を失ったと言え、かろうじて存続はしていた。
この時代、各国には領土支配のための権威と大義名分が必要だった。 リトリ=ラ=ド=アクラの存在はそこで利用されたのだ。
リトリ=ラ=ド=アクラの国王は独自の戦力は持ち合わせていなかったが、所領の支配権を許す権能が与えられていた。各国は戦争で奪った領土を支配する権利をリトリ=ラ=ド=アクラが発行する支配免状をもって正当性の証明とした。
皮肉にも各国からそのためにリトリ=ラ=ド=アクラは存続するように守られ、そして利用されてきた。
世界を統一した国家は、今やただの装置でしかなかった。
それでも各国はこの異常事態をリトリ=ラ=ド=アクラに伝えた。藁にも縋る思いとはまさにこの事である。
かつての統一国家と違い世界中で分裂を繰り返し、矮小化した群雄割拠の国々では、世界を滅ぼす火龍の存在に対しては無力すぎたのだ。
そこで各国は自力救済をあきらめて、統一王国を頼った。それは各国が共に助け合い協力することを同意したことを意味する。皮肉にも世界滅亡を理由に建国された統一国家は、世界滅亡を知らせる預言が原因で再びその権威を取り戻そうとしていた。
しかし、リトリ=ラ=ド=アクラの現当主カーランド・ジ・オーにとってもこの度の預言は、想像を絶する存在だった。
「これほどの預言が同時に起きるとは・・・世界は一体、どうなってしまうのか?」
カーランド王は権威を失て久しく。あばら家同然となった王宮へ次々と寄せられてくる各国からの報告書の山に頭をかかえた。その中でも特に問題であったのは、商業都市マルティス・デ・コスタからの救援要請だった。
内容は、カーランド王でなくても戦慄するものだった。
なんとマルティス・デ・コスタは予言の破壊者「龍殺しの赤い騎士」によって占領されてしまったという内容だったから。
ある日、かつてギュリアスを名乗っていた龍殺しの赤い騎士は、多くのリザードマンを引き連れて商業都市マルティス・デ・コスタを強襲した。理由は一つだけ。かつて誓った願いであるマルティス・デ・コスタの住民の皆殺しを果たすためだった。
マルティス・デ・コスタの総住民数およそ2000。対する龍殺しの赤い騎士が率いるは2500のリザードマンたちだった。
しかし、龍殺しの赤い騎士がマルティス・デ・コスタの城塞都市に来たとき、そこは既にもぬけの殻であった。マルティス・デ・コスタの星見も見たのだ。かつて23番と呼ばれた剣奴。城壁内に火を放ち、多数の兵士を殺して復讐を誓った美少年が新たなる火龍に昇華しリザードマンたちの王になった姿を。星見はすぐに商業都市の代表者に連絡した。
最初は星見の話を信じなかった代表者だったが、数人いる星見が次々と危険を知らせるのを聞くとさすがに戦慄を覚えて商業都市の放棄と緊急離脱を決意したのだ。
だから、龍殺しの赤い騎士がマルティス・デ・コスタに来た時、生きているものは剣奴として狩られた者たちだけだった。かつての御同輩をみて龍殺しの赤い騎士は彼らの解放を決意する。
食事を与え、風呂に入れてやり、解放を宣言した。しかし、剣奴達は全員が龍殺しの赤い騎士の志に同調して復讐を誓った。自分たちの家族を殺して自分たちを剣奴にしたマルティス・デ・コスタの住人全てを皆殺しにするために龍殺しの赤い騎士、リザードマンたちの王に臣従することを誓ったのだ。
龍殺しの赤い騎士は、よく考えたのち、彼らの申し出を受け入れて家臣団に加え、マルティス・デ・コスタ領内にある隠れ里にいる住人達も救うことを誓った。
リザードマンたちも剣奴達も互いに力を合わせて領地内を探し回り、生存者がいないか探り出し、隠れている者がいれば救済を行った。
その途中、面白い者を龍殺しの赤い騎士は、手に入れた。
それは、かつて自分をマルティス・デ・コスタへ運んだ商人「ダリス・グレイブ」だった。
彼は領地内の隠れ里の民が見つかれば買い取りしてマルティス・デ・コスタへ運ぶ番頭だった。そうやって領地内をウロウロしていたので、彼の一行は預言のことを知らず、逃げ遅れてしまったのだ。
捕らえられたダリスは、かつて自分が売り払った事に対する恨みの念を持つ剣奴達に囲まれたまま龍殺しの赤い騎士の元まで運ばれたので、龍殺しの赤い騎士と対面したときは恐怖におびえて憔悴しきっていた。
かつて23番と呼ばれた龍殺しの赤い騎士は、そんなダリスの髪を掴んで床に引きずり倒すと蔑む様に話しかけた。
「小太りな体は相変わらずだな。おっさん。」
かつて剣奴へと貶めた張本人であるダリスは、龍殺しの赤い騎士に睨まれただけで死んでしまいそうなほど恐怖したが、それでも龍殺しの赤い騎士がリザードマンたちの王になり建国した話を聞かされるとこれ幸いとばかりに交渉を持ち掛けた。
ー 自分は商人であるから、あなたの国の役立ちましょう。各国との交渉ごとに私をご用立ててくださいませ。必ずお役に立って見せましょう ー と。
それを聞いた龍殺しの赤い騎士は流石にあきれ返った。
「なんだと、貴様。この期に及んで命乞いどころか、仕事を与えよというのか?」
そう言いながらも龍殺しの赤い騎士はダリスの処遇について自問自答する。
(なんという破廉恥な男なのだろうか? かつての奴隷にこのような交渉事を持ち掛けるなんて・・・)
(それともこれが商人というものなのだろうか? プライドよりも実を取る。それが商人なのか?)
龍殺しの赤い騎士は、しばらく押し黙って考えていたが、やがてダリスの申し出を受け入れて家臣団に加えた。
それから龍殺しの赤い騎士は、奴隷商人を問いただし、領内にまだ隠れ里はないかと尋ねた。ダリスは隠れ里には詳しくなかったが、領内に点在する拠点にある剣奴を隠し場所は知っていた。そこで龍殺しの赤い騎士の命令の下、多くの剣奴を解放していった。解放された剣奴は、全てが怒りに燃えて復讐を誓ったので、それらも家臣団に加えた。
1か月もするうちに龍殺しの赤い騎士の家臣団はあっという間に3000を超えるまでに成長していた。
これらの流れを統一国家リトリ=ラ=ド=アクラのカーランド王はマルティス・デ・コスタからの報告書にて知らされた。カーランド王は、そこで預言の真実味を実感した。
そして、各国へ使者を送り、集結を求めた。
「世界を滅ぼす予言の者。龍殺しの赤い騎士は、商業都市マルティス・デ・コスタを占拠した。
これは預言が真実であった証拠である。
龍殺しの赤い騎士の国家を打倒するためにリトリ=ラ=ド=アクラの王カーランドが命ずる。諸侯は集結し協力せよ!」
全ての国家はこの呼びかけに応えて集結し、討伐軍を結成し龍殺しの赤い騎士が支配する商業都市を包囲するのだった。
その人数約3万。龍殺しの赤い騎士の国家は、建国後すぐに危機を迎えるのだった。
だが、そんな危機的状況であっても龍殺しの赤い騎士は、超然としていた。
商業都市の城壁に立ち、「わざわざ死ぬためにこんな田舎くんだりまで来るのだから、暇な連中だ!」と笑い飛ばすのだった。
自軍のおよそ10倍の兵士に城壁を囲まれても龍殺しの赤い騎士には、秘策があったので平気だった。そして、その秘策がこれより包囲した3万の軍勢を統一国家リトリ=ラ=ド=アクラ史上最悪の全滅戦へと導くのだった。
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