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第8話 野伏り
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23番は、マルティス・デ・コスタから逃亡してすぐにどこへ逃げるか決めねばならなかった。23番は剣奴の分際で身請けしてくれた商人を殺し、そして商人の護衛をする者たちを殺し、防衛にあたる兵士も殺し、あまつさえ町に火を放ったのだ。
いずれも一つでも犯せば大罪。死刑は免れない。それをやってしまった23番を誰が見逃してくれようか? すぐにでも自分を殺しに追手が来ることは23番でなくても理解できることだった。
暗闇に乗じて城壁の外へ逃げ出したはいいが、23番には足となる馬や走り大トカゲがいない。徒士となって逃げ回らなければいけなかった。一方、追手側のマルティス・デ・コスタの兵士たちは、馬に乗って追いかけてくるだろう。
人間の足はどう頑張っても時速20キロ前後でしか走れない。馬は時速60キロ以上で走ることができる。さらに23番は、町を出るときに奪った戦利品の剣やナイフ、鎧、香油壺を身につけていたので、5キログラム以上の体重増加をしている状態だった。
こうなれば、そう長距離は走れない。
否。走れないことはないが、走った後に戦闘になった場合、疲れ果てて戦えない状況になるのは愚策という意味だ。
そのため23番は、近距離で逃走に向いた良い場所を探さねばならない。
23番は町を出るとすぐに見世物小屋の団長ギースが見せてくれた地図を頭に思い描く。
そして、この場から走って20分程でたどり着けて身を隠せる場所はないかと思案して、マルティス・デ・コスタから5キロほど北に上がったところにある山林を思い出した。
低地から緩やかな登り口は木々が生い茂り、身を隠すことにはうってつけであるとともに、その周辺は危険な魔獣が住み着いているので追手も深追いは出来ないはずだと判断して、そこを目指して走っていった。
走りながら、23番はギースが説明してくれた城壁の外界の仕組みを思い出した。
「何故、これほどの数の小国家が潰れても潰れても奴隷たちの隠れ里が存在できるかわかるか?」
「それはな、この世界には危険な魔獣が縄張りにしている場所が点在しているからだ。
奴らはそういった魔獣の縄張りを利用して、その奥に隠れ里を作る。外の世界の連中は、魔獣の縄張りを犯してまで敗残兵を追いかけたりはしない。
しかし隠れ里に使える安全な場所は所詮、ごく狭い区間だけの話だ。
何十年も過ごすうちに人口増加で口減らしや移住をしなければやっていけなくなるんだ。」
「ま、そうやって安全な隠れ里の外へ移住してしまった連中は、マルティス・デ・コスタみたいな勝者側の人間に見つかりやすくなる。
そいつらは軒並み確保されてしまうって寸法よ。」
「人間が住んで子供を作っていくサイクルが続く以上、この営みは終わらない。
言ってみれば常に剣奴の補充があるって話さ。」
「もちろん、数百年の歴史のうちに隠れ里で繁栄して国家として返り咲き、復讐を果たした国もある。
ただ、そういうのは少数だって話なのさ。」
世界の仕組みについて語ってくれたギースの話を思い出しながら、23番は自分が目指す山林の奥に魔女の家へと続く道があるという話も思い出していた。
火龍の妻と言われていて強大な魔法を駆使する魔女。そして、もう500年以上生きていると噂される「炎の魔女」の話を・・・。
ー炎の魔女の家への通り道へ逃げ込んだら絶対に追跡を切れるはずだー
23番はそう考えていた。
しかし、追手は騎馬兵だ。すぐに自分に追いついてくることは明白だった。
23番は考えながら走り、途中で足を止めて焚火をして敵を誘う方法を思いついた。
危険な魔獣の住処のある山林の前は平原が広がっている。こんな深夜に焚火をすれば、遠くからでも炎を見つけて敵は近寄ってくるはずだ。と、踏んだのだ。
23番は平原にある木の下で焚火をおこす。幸いなことに盗んだ香油がある。ナイフで木を削って弓を作り簡単な着火装置を作り、火おこしをする。
魔族の里での奴隷生活で身につけた火おこしのスキルは健在だった。あっという間に火がついて深夜の平原に明かりがともる。
「おい! あそこだ!! 怪しい明かりが見えるぞ!」
遠くから馬の足音と人間の声が複数聞こえてきた。聞こえてきたというのは、段々、敵が接近してきたという意味だ。
23番は焚火の近くで息を殺して敵を待つ。しばらくすると6人の騎兵が焚火の近くへ集まってきた。
騎兵が集まってきたとき、焚火の前には誰もいなかった。
「誰もいないぞ?」
「誰もいないところに火はつかないさ。そして、火をほったらかしにして出ていく者はいない。」
「いるとしたら、逃亡者だけさ!」
「ちげぇねぇ」
6人の騎兵は、この焚火を起こした者が逃亡者23番だと確信していた。
そして、周囲を注意深く見渡して23番を探す。途中、一人の兵士が炎の明かりの中に怪しい影を見つけた。
「あっ・・・・・」
声に出した時にはもう遅かった。怪しい影は木の上から落ちてきたのだ。
怪しい影を見つけた兵士は、まさかの上から落下してきた23番の鋭い一太刀で首をはねられてしまった。意表を突かれて反撃も防御も出来なかったのだ。
大量の血を吹き出しながら、馬を操る様に乗っている遺体。それがやがて力を失って地面に落ちていくとき、既に23番は他の3名の兵士の馬の脚を切り落として、騎兵たちを落馬させることに成功していた。
23番は、兵士達にとどめまで刺したかったが、兵士たちは上手く受け身を取って怪我を回避していたので、深追いは出来ない。敵に反撃できる余裕があったからだ。そして、23番が体勢を整えるために距離をとったときには落馬した3名も立ち上がっていた。
「この・・・人殺しの剣奴めがっ!!」
一人の兵士が叫びながら23番に襲い掛かってくる。それを引き金に他の5人も襲ってきた。
5対一の接近戦。本来ならば大変危険な状況にも係わらず、23番はニヤリとわらった。
「ほらよっ」
そう言って焚火の中から燃えた薪を抜き取って地面に押し当てると、一気に炎が巻き上がった。23番はあらかじめ周りに香油を巻いて罠を仕掛けていたのだ。香油に枯草。火はあっという間に燃え広がり、しかも兵士たちを取り囲む形で燃え上がった。
兵士たちが炎にたじろいだ隙をついて23番が炎を盾に身を隠して剣を突き立てた。動揺し冷静さを失った兵士など23番の敵ではなかった。あっという間に5人は切り刻まれてしまった。
こうして23番は、追手を撃退し、馬を手に入れることに成功した。
「待ち伏せは、仕掛ける側が100%有利」。これは兵法の基本であった。
23番はまたしてもギース団長から習った兵法の知識に命を救われたのだ。
焚火の火はそのまま放置して23番は馬に乗って走り去る。平原にも食料となる野草が生えているし、そこに生きる動物もいる。それらは食肉になる。
火事が起これば、それらが数年間にわたって台無しになるから、マルティス・デ・コスタの追手兵士たちは23番を追跡中であっても消火活動に人員を割かねばならない。それは23番にとって追手の危険が小さくなることを意味する。だから23番は、あえて火は消さずに走り去ったのだ。
魔女の家へと続く道のある山林まで来ると23番は馬を乗り捨てて、山に入る。
山に入って少し歩いてから、茂みに身を隠して再びゲリラ戦を仕掛ける準備を始める。
23番は知っていた。人の恨みの恐ろしさを・・・だから、追手はまだ来ることを予期していたし、一切油断もしない。
未だ来るであろう追手に対抗すべく、刺激性の強い樹液を持つ木の根っこを抜くと、根っこを棒でたたいて汁を出させる。搾り汁は乾燥した砂に混ぜたのち、商人の屋敷でくすねた素焼きの徳利にそれらを詰めた。
火おこし用の弓の矢を補充したし、その辺りに生えている木を削って棒状にすると、その棒の先に蔓性植物を使ってナイフを縛り付けて槍を作った。
そのあと、魔女の家へ向けて歩き出した。
そして、しばらく歩いて小高い丘のような坂道を登りきったとき、信じられないものを23番は目にした。
「ギースっ!!」
自分の進行方向の先にありえないことにギースが3人の兵士とともに立っていたのだ。
最悪の状況だった。自分の剣術の師匠であり、剣術の達人であり、自分の全てを知り尽くした存在であるギースが敵として立ちはだかったのである。
ギースは23番にとってまさに天敵。ギースが敵にいるとなれば23番が生き残れる可能性は限りなく低かった。そして23番は誰よりもそのことをわかっていたので、本当に絶望するほどギースの出現を恐れずにはいられなかった。
「賢いお前なら必ずここを通ると思ってたぜ。」
「俺の教えた情報をお前が最大限に生かすなら、ここを通るはずと踏んだんだ。」
ギースがそう言いながら腰の剣を抜刀すると3人の兵士も抜刀する。
ギースは23番の追手になった瞬間から、この場所に目星をつけて、先回りしてずっと待っていたのだ。そうでなければ、23番の進行方向の先にいるわけがないのだから・・・。
(俺に戦術を叩き込んだ相手なのだから、俺の行動を先読みすることなど造作もない。)
23番はそう思うと、震えさえ出てくる。しかし、恐怖を感じる相手にでも臆していてはいけない。勇気を振り絞って戦わなければ、死ぬしかないのだ。23番は、ギースの目が本気なので戦いは避けられないことを悟り、戦う決心をした。しかし、戦う前に尋ねておかないといけないことがある。
「あんたが・・・俺の追手に・・・なぜ?」
23番は、やけに冷たい汗を背中に流しながら尋ねた。23番は、ギースは戦いに来ると想像していなかったからだ。呑気な質問を受けて当事者のギースは怒鳴った。
「てめえのせいに決まってんだろ!! 俺がせっかく育ててやったのに、この恩知らずめが!
てめぇを育てたせいで、俺は責任を取ることになった!!」
「てめぇを殺さねぇと俺が殺されるんだよ!!」
恐ろしい剣幕でギースが怒鳴る。
そして、それを合図に戦いは始まってしまった・・・。
いずれも一つでも犯せば大罪。死刑は免れない。それをやってしまった23番を誰が見逃してくれようか? すぐにでも自分を殺しに追手が来ることは23番でなくても理解できることだった。
暗闇に乗じて城壁の外へ逃げ出したはいいが、23番には足となる馬や走り大トカゲがいない。徒士となって逃げ回らなければいけなかった。一方、追手側のマルティス・デ・コスタの兵士たちは、馬に乗って追いかけてくるだろう。
人間の足はどう頑張っても時速20キロ前後でしか走れない。馬は時速60キロ以上で走ることができる。さらに23番は、町を出るときに奪った戦利品の剣やナイフ、鎧、香油壺を身につけていたので、5キログラム以上の体重増加をしている状態だった。
こうなれば、そう長距離は走れない。
否。走れないことはないが、走った後に戦闘になった場合、疲れ果てて戦えない状況になるのは愚策という意味だ。
そのため23番は、近距離で逃走に向いた良い場所を探さねばならない。
23番は町を出るとすぐに見世物小屋の団長ギースが見せてくれた地図を頭に思い描く。
そして、この場から走って20分程でたどり着けて身を隠せる場所はないかと思案して、マルティス・デ・コスタから5キロほど北に上がったところにある山林を思い出した。
低地から緩やかな登り口は木々が生い茂り、身を隠すことにはうってつけであるとともに、その周辺は危険な魔獣が住み着いているので追手も深追いは出来ないはずだと判断して、そこを目指して走っていった。
走りながら、23番はギースが説明してくれた城壁の外界の仕組みを思い出した。
「何故、これほどの数の小国家が潰れても潰れても奴隷たちの隠れ里が存在できるかわかるか?」
「それはな、この世界には危険な魔獣が縄張りにしている場所が点在しているからだ。
奴らはそういった魔獣の縄張りを利用して、その奥に隠れ里を作る。外の世界の連中は、魔獣の縄張りを犯してまで敗残兵を追いかけたりはしない。
しかし隠れ里に使える安全な場所は所詮、ごく狭い区間だけの話だ。
何十年も過ごすうちに人口増加で口減らしや移住をしなければやっていけなくなるんだ。」
「ま、そうやって安全な隠れ里の外へ移住してしまった連中は、マルティス・デ・コスタみたいな勝者側の人間に見つかりやすくなる。
そいつらは軒並み確保されてしまうって寸法よ。」
「人間が住んで子供を作っていくサイクルが続く以上、この営みは終わらない。
言ってみれば常に剣奴の補充があるって話さ。」
「もちろん、数百年の歴史のうちに隠れ里で繁栄して国家として返り咲き、復讐を果たした国もある。
ただ、そういうのは少数だって話なのさ。」
世界の仕組みについて語ってくれたギースの話を思い出しながら、23番は自分が目指す山林の奥に魔女の家へと続く道があるという話も思い出していた。
火龍の妻と言われていて強大な魔法を駆使する魔女。そして、もう500年以上生きていると噂される「炎の魔女」の話を・・・。
ー炎の魔女の家への通り道へ逃げ込んだら絶対に追跡を切れるはずだー
23番はそう考えていた。
しかし、追手は騎馬兵だ。すぐに自分に追いついてくることは明白だった。
23番は考えながら走り、途中で足を止めて焚火をして敵を誘う方法を思いついた。
危険な魔獣の住処のある山林の前は平原が広がっている。こんな深夜に焚火をすれば、遠くからでも炎を見つけて敵は近寄ってくるはずだ。と、踏んだのだ。
23番は平原にある木の下で焚火をおこす。幸いなことに盗んだ香油がある。ナイフで木を削って弓を作り簡単な着火装置を作り、火おこしをする。
魔族の里での奴隷生活で身につけた火おこしのスキルは健在だった。あっという間に火がついて深夜の平原に明かりがともる。
「おい! あそこだ!! 怪しい明かりが見えるぞ!」
遠くから馬の足音と人間の声が複数聞こえてきた。聞こえてきたというのは、段々、敵が接近してきたという意味だ。
23番は焚火の近くで息を殺して敵を待つ。しばらくすると6人の騎兵が焚火の近くへ集まってきた。
騎兵が集まってきたとき、焚火の前には誰もいなかった。
「誰もいないぞ?」
「誰もいないところに火はつかないさ。そして、火をほったらかしにして出ていく者はいない。」
「いるとしたら、逃亡者だけさ!」
「ちげぇねぇ」
6人の騎兵は、この焚火を起こした者が逃亡者23番だと確信していた。
そして、周囲を注意深く見渡して23番を探す。途中、一人の兵士が炎の明かりの中に怪しい影を見つけた。
「あっ・・・・・」
声に出した時にはもう遅かった。怪しい影は木の上から落ちてきたのだ。
怪しい影を見つけた兵士は、まさかの上から落下してきた23番の鋭い一太刀で首をはねられてしまった。意表を突かれて反撃も防御も出来なかったのだ。
大量の血を吹き出しながら、馬を操る様に乗っている遺体。それがやがて力を失って地面に落ちていくとき、既に23番は他の3名の兵士の馬の脚を切り落として、騎兵たちを落馬させることに成功していた。
23番は、兵士達にとどめまで刺したかったが、兵士たちは上手く受け身を取って怪我を回避していたので、深追いは出来ない。敵に反撃できる余裕があったからだ。そして、23番が体勢を整えるために距離をとったときには落馬した3名も立ち上がっていた。
「この・・・人殺しの剣奴めがっ!!」
一人の兵士が叫びながら23番に襲い掛かってくる。それを引き金に他の5人も襲ってきた。
5対一の接近戦。本来ならば大変危険な状況にも係わらず、23番はニヤリとわらった。
「ほらよっ」
そう言って焚火の中から燃えた薪を抜き取って地面に押し当てると、一気に炎が巻き上がった。23番はあらかじめ周りに香油を巻いて罠を仕掛けていたのだ。香油に枯草。火はあっという間に燃え広がり、しかも兵士たちを取り囲む形で燃え上がった。
兵士たちが炎にたじろいだ隙をついて23番が炎を盾に身を隠して剣を突き立てた。動揺し冷静さを失った兵士など23番の敵ではなかった。あっという間に5人は切り刻まれてしまった。
こうして23番は、追手を撃退し、馬を手に入れることに成功した。
「待ち伏せは、仕掛ける側が100%有利」。これは兵法の基本であった。
23番はまたしてもギース団長から習った兵法の知識に命を救われたのだ。
焚火の火はそのまま放置して23番は馬に乗って走り去る。平原にも食料となる野草が生えているし、そこに生きる動物もいる。それらは食肉になる。
火事が起これば、それらが数年間にわたって台無しになるから、マルティス・デ・コスタの追手兵士たちは23番を追跡中であっても消火活動に人員を割かねばならない。それは23番にとって追手の危険が小さくなることを意味する。だから23番は、あえて火は消さずに走り去ったのだ。
魔女の家へと続く道のある山林まで来ると23番は馬を乗り捨てて、山に入る。
山に入って少し歩いてから、茂みに身を隠して再びゲリラ戦を仕掛ける準備を始める。
23番は知っていた。人の恨みの恐ろしさを・・・だから、追手はまだ来ることを予期していたし、一切油断もしない。
未だ来るであろう追手に対抗すべく、刺激性の強い樹液を持つ木の根っこを抜くと、根っこを棒でたたいて汁を出させる。搾り汁は乾燥した砂に混ぜたのち、商人の屋敷でくすねた素焼きの徳利にそれらを詰めた。
火おこし用の弓の矢を補充したし、その辺りに生えている木を削って棒状にすると、その棒の先に蔓性植物を使ってナイフを縛り付けて槍を作った。
そのあと、魔女の家へ向けて歩き出した。
そして、しばらく歩いて小高い丘のような坂道を登りきったとき、信じられないものを23番は目にした。
「ギースっ!!」
自分の進行方向の先にありえないことにギースが3人の兵士とともに立っていたのだ。
最悪の状況だった。自分の剣術の師匠であり、剣術の達人であり、自分の全てを知り尽くした存在であるギースが敵として立ちはだかったのである。
ギースは23番にとってまさに天敵。ギースが敵にいるとなれば23番が生き残れる可能性は限りなく低かった。そして23番は誰よりもそのことをわかっていたので、本当に絶望するほどギースの出現を恐れずにはいられなかった。
「賢いお前なら必ずここを通ると思ってたぜ。」
「俺の教えた情報をお前が最大限に生かすなら、ここを通るはずと踏んだんだ。」
ギースがそう言いながら腰の剣を抜刀すると3人の兵士も抜刀する。
ギースは23番の追手になった瞬間から、この場所に目星をつけて、先回りしてずっと待っていたのだ。そうでなければ、23番の進行方向の先にいるわけがないのだから・・・。
(俺に戦術を叩き込んだ相手なのだから、俺の行動を先読みすることなど造作もない。)
23番はそう思うと、震えさえ出てくる。しかし、恐怖を感じる相手にでも臆していてはいけない。勇気を振り絞って戦わなければ、死ぬしかないのだ。23番は、ギースの目が本気なので戦いは避けられないことを悟り、戦う決心をした。しかし、戦う前に尋ねておかないといけないことがある。
「あんたが・・・俺の追手に・・・なぜ?」
23番は、やけに冷たい汗を背中に流しながら尋ねた。23番は、ギースは戦いに来ると想像していなかったからだ。呑気な質問を受けて当事者のギースは怒鳴った。
「てめえのせいに決まってんだろ!! 俺がせっかく育ててやったのに、この恩知らずめが!
てめぇを育てたせいで、俺は責任を取ることになった!!」
「てめぇを殺さねぇと俺が殺されるんだよ!!」
恐ろしい剣幕でギースが怒鳴る。
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