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そうだ! AIにイラストを描いて貰おう!!

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※本稿は2022年10月13日に「小説家になろう」へ投稿したものに改行と一字下げを加えて再掲したものである。
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AIに絵を描いて貰おうというソフトだかアプリだかが話題になっている。

 今朝ラジオでも話題になっていた。
 通勤中にカーラジオから流れてくる話を聞きながら、世論はこのアプリに対して否定よりもむしろ問題を解決しながらより便利に使えるよう発展させていく方向に進めたいのだろうと感じた。

反対意見はどうだろうか?

 専門職の人々の仕事を奪うと言う人がいますが、これだけテクノロジーが進化した現代社会には過去に多くの人が職を奪われていった実績があるわけである。
 
 だからといって彼ら機械に仕事を奪われた人々の生活を保護しようと活動を起こして機械設備の導入を食い止めている事例があるのだろうか? 

 私は知らないが、もしあったとしてもそれはごく一部に過ぎないであろうことは、自分の周りの生活と照らし合わせれば想像するまでもないことである。

 そうなれば我々オタク衆から絵師と称される職、芸人(※1)は仕事を追われることになる。やがて、絵を描く技能は世に必要のないスキルになるかもしれぬ。それは我々ラノベ作家とて同じことで、いずれAIが小説を書き我々は不要と呼ばれる時代が来るのかもしれない。

 ただし、私はそういう時代が来ても小説を書くことをやめないのである。未来のことだが断言して言う。
何故なら私は自分が物語を書きたいから書いているのである。

 それが世間にどれほど刺さるのかは結果でしかない。そして例え数人でも私の作品を喜んでくれた人がいた事実はとても嬉しかった。私の作品が誰かの心を温かくできたのならこんなに嬉しいことはない。

 さて、こういった自己満足や達成感を私以外の一体、誰が与えてくれるというのか?
 AIが叶えてくれるのだろうか? 
 AIも小説を書くことは出来よう。誤字脱字の多い私とは比べ物にならないくらい読みやすい文章を書くのではなかろうか?

 ならばAIは私以上の仕事をしてくれるであろう。それで誰かの気持ちが和らぐのなら、AIの仕事とはいえ、感動で私の心は大いに心打ち震えることであろう。

 ただ、私自身の心は満たされない。

 結局は自己満足なのである。
 誰かのためと思いながらも、やはり自分の成した仕事で感動をしてもらいたいと思ってもいるのだ。そうでなければ埋められない穴を誰しもが持っているでしょう。

 例えばメジャーリーグの選手が素晴らしいプレーを見せて多くの人を感動させたとしても、それはメジャーリーガーの手柄であり、それで自分の達成感を得られるわけがない。
 球団に多くお金を出したり、応援したりして球団を優勝に導いたという達成感は得られるかもしれないが、プレーをする達成感はえられまい。その達成感は、たとい草野球と言ってもご本人がプレーをすることでしか得られないのだ。

 故に私にとってはもし、AIが小説を書く時代になっても私が書くことが止まる理由にならないのだ。私は書き続けるだろう。

 同じ理由で絵師もきっとこの先、絵を描き続けるのだ。それも断言できる。

 ただし、絵師に頼らないケースはこの先、かなり増える可能性がある。

 なぜそうなるかと言えば、それは絵師に絵を頼むとマネーが生じるからだ。AIならばマネーが無くても書いてくれる。いずれ有料アプリが出るだろうが、それでも絵師に依頼するより安価になるであろう。 (そうでなければ、意味がない。)

 そんな事情を踏まえたうえで考えてもらいたい。例えば我ら作家が絵師ではなくてテクノロジーに頼ることは悪であろうか?

 私の答えは否(ノー)だ。それは絶対にありえないことなのである。
 クリエイターならば使える手は全て有効に使うべきだからである。金が無いのならAIに頼ればいい。

他にも
「私、漫画家になりたいけど、壊滅的に絵心が無いからAIに絵を描いてもらおうと思うのだけれども、これってズルいかしら?」と言う人がいたとしよう。

 私の答えは、やはり否である。

 まんがの原作者は絵が描けないから別の漫画家に絵を描いてもらっている。頼る相手がAIか他人かで評価が分かれるなど全くおかしな話であるし、その人の作品が持つ評価とは全く関係が無いことだからだ。
 優れた作品を発表したいのならば、使える手をドンドン使えばいい。

 それで絵師の仕事が減ったとしても、冒頭に話した通り、それが時代の流れであり絵師だけが特別なわけが無いのである。必ず、そういう時代が来る。

 しかし、もう一つ断言できることがある。

 それは、絵師の仕事がテクノロジーに奪われたとしても、絵師の価値は下がらないことである。
 何故そんなことを断言できるか理由を説明しよう。

 既に話した通り、我々は精神的な満足感や達成感を得たがる生き物だ。それは日本人なら特に顕著にそうなるであろう。

 例えば書道だ。年賀はがきが印刷やメールでも受け入れてもらえる時代になったが、それでも書道は失われない。価値は下がらまい。
 それはなぜか? 理由は簡単である。

 我我、日本人は書を通じて精神的な高みを目指す道を書道に見出しているからである。ましろな紙に墨ののった筆つけて、我が身に宿る精神を書にして表現する。その表現する所は書を追い求めるものほど、その高みを実感することが出来る。そうやって自分を磨く道や精神を我々は無意識に追い求めるのだ。

 それは絵でも同じである。

 例えばピカソの絵を落書きと称する者は、その高みを知らない。知らないから言えることだし、知ろうとしないものは「知ることが出来ない」。私は子供の頃、ピカソの絵が大嫌いだった。
 あんな落書きで金儲けするなんて薄汚いとまで思っていた。だが、高校生の美術の時間にピカソの代表作「ゲルニカ」について学んだとき、その意識が吹き飛んだ。

 ゲルニカが戦火に苦しむ人々の絵とその時知った。そして、何を描かれているのか知りたいと改めてその絵を見た時、私の心は神鳴りに打たれたかのような衝撃を覚えた。そこに描かれた人々の苦痛で世界が歪む地獄絵とそれを描いたピカソの感情を私は確かに見たと感じたからだ。

 それ以来、ピカソは私にとっての神絵師である。

 私のような俗物にはピカソの真なる高みはわからないが、その一端を私は確かに感じたのだ。
 それはAIではなく、その時代に肉をもって生まれ育ち、地獄と哀しみを知っているピカソが描いたからこそ価値を感じるのだと思う。

 今いる絵師たちも方向性は違えど、探求心と向上心を持って絵の道を生きておられる。道を生きている自覚が無くても世間的に見れば、それはそういうことなのだ。

 だから我々は絵師の描いた絵に道や高みを知ろうとするものは感じることが出来る。高みがわからなくても、それが自分と同じ肉を持った存在が絵を描いたのだと知れるだけで感動する者も多いのではないか。そうであれば絵師の価値は下がることがないし、お金があって高みを知るものは絵師にお金を払うだろう(※2)。それはそういうものなのだから。

 そろそろ話をまとめよう。

 私はAIと絵師の両方に価値を感じている。
 絵師ではなくAIに絵を描いてもらう者も私は別に悪い事だとは思わないし、大いに活用すればいいと思う。とくにクリエイターは使える手段は何でも使うべきだと思う。そのAIを作り出した人もまた芸人(※3)であろうと私は思う。だからAIの絵にも絵師とは違う方向性の価値もあると思っている。

 しかし、AIに飽き足らず絵師の持つ精神的な高みを欲する人は絵師に絵を描いてもらえばいい。ただそれだけのことだ。

 時代が変われば、失われていく仕事も多い。それは感情論ではどうにもならない。そうやって今までもこれからも時代は流れていくのだ。ただ、絵師に精神性や道を感じる人は絵師を頼ればよい。

 願わくば、この国。日本人には例えテクノロジーに頼ることになっても、いついつまでも精神性を大切にする部分を残す民族であってほしいと願うばかりである。

(※1)芸人とはお笑いタレントを指す言葉ではない。武芸者と言う言葉を思い浮かべればわかるでしょうが、何らかの芸道に生きる人、全てを芸人と言う。今は「お笑い」芸人と言う言葉をよく耳にするので芸人と言うとお笑いを指す言葉と誤解する人がいるらしいので、敢えて説明しました。お笑い芸人は「お笑い」の芸道に生きる人を指す言葉である。

(※2)高みと言う言葉が再三出てくるが、とても曖昧な表現である。そこは読み手に感じ取ってほしいところである。説明するつもりはない。

(※3)この表現が正しいかは、微妙であるが今回はこう表現した。
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