1 / 17
一話 豪運冒険者は理不尽な要求を断れない
しおりを挟む
運がいいと昔からよく言われた。
特に力が強いわけでもなく、頭がいいわけでもない。
ケンカをすれば負けるし、勉強は平均並み。
しかし、運が圧倒的に良かった。
俺の豪運伝説は5歳の時から始まった。
母と森に遊びに来ていたときだった、なんとなく地面を掘った。
そしたらなんか金塊がめっちゃ出たのだ。
母はその金塊を見て聞いた事のない歓喜の悲鳴を上げた。
その声がうるさかった事だけは覚えている。
そこから先は、金塊を掘るだけ掘って売り捌きお金に代えてうちが裕福になった。
そのお金で質の良い学校に行ったが、特に勉学の才能があったわけではないので成績は微妙だった。
それでもなんとかなく学校に通っていたら、道中に老人が倒れていた事があり、その人を助けたところ有名な魔女だったらしく、お礼になんか強そうな杖を貰ったりもした。
それ以外にも、王族助けたり、ドラゴンをたまたま倒したりした。
そのお陰で15歳になった今日、俺は貴族でないが冒険者として国営ギルドに入ることを許された。
「今日から冒険者かぁ……やる気でねぇな」
別になりたかったわけじゃないものになる。
職業としては悪くはない固定給プラスモンスター討伐の報酬。
固定給も高額でぶっちゃけモンスター討伐なんてしなくても生きてはいける。
それでもそんな良質な職であったとしても、なりたいものではないとしっくりこない。
これは奢りなのかな……なんとも社会は厳しいな。
「おいオルケン、お前弱いくせに冒険者なんてすぐ死ぬぜ」
「……ジョンか」
言い忘れていたが俺の名前はオルクス・マッケン。
あだ名はオルケン。
そしてこいつはボンボン貴族のジョン。
ファミリーネームは知らん。
「お前、運だけはいいもんな、ドラゴンだってたまたま落ちた雷で死んだって聞いたぞ」
「……ジョン」
その通り過ぎてなにも言い返せなかった。
そう、ドラゴンを倒したのもたまたま剣を空にかざしたら雷が落ちてきて、それで倒せただけでそれを見た多くの人たちが神の加護だの、雷神だの囃し立てたせいで、ドライブスレイヤーオルケンなんて呼ばれている。
しかし、真実はジョンの言う通りである。
おそらく本人は俺を馬鹿にするために半ばでっち上げのつもりで話したのだろう。
なんとそれが正解。
もしかして世も末なのかもしれない。
「まぁいいさ、オルケン俺はちゃんとダンジョン行って有名冒険者になるぜ、お前とは違ってな」
「……ジョン」
頑張れ。
正直、俺は働く気がまったくない。
おそらく煽っているのだろう。
ぶっちゃけ僕を煽ったって、ついていかないぞ。
俺の初期ステータスはレベル1のザコ。
対してジョンは初期ステータスレベル15の天才だ。
スタートラインの時点でもう違う。
レベル10上げるのに約一年かかるらしく、俺はすでにジョンと一年の間がある。
もうね、煽るとかやめな。
君は間違いなく逸材なんだからザコの俺は無視しなさい。
「じゃあなザコオルケン、俺は行くからなー」
「……ジョン」
じゃあな、達者でな。
俺はジョンの無事を祈り黙って彼を見送った。
さて、家に帰ろう。
一応、一人暮らし用に部屋を借りたしそこでほのぼの不労者ライフを送っていこう。
「あ、オルケン君、ちょっといいかな?」
「……マスター」
俺に話しかけきたのはギルドマスターのエルドリアさんだ。
この人は一応俺の上司にあたる。
ここで無視するのは今後の不労者ライフに支障が出る。
ここは話を聞くだけ聞くか。
まぁ聞くだけ聞いて帰るけど。
「あのねオルケンくん、うちのギルドの決まりでね君にはダンジョンに行ってもらいます」
「……マスター」
マジか。
俺、近々死ぬんだぁ。
ひょんなことから自殺しろと言われてしまった
この人はおそらく鬼の子なのだろう。
俺のステータスだって知ってるはずだ。
だったら俺にそんなこと言うはずがない、最低でもレベル5スタートなのにレベル1、もはや奇跡の数字である。
拝啓母さん、父さん。
俺の掘り当てた金塊で世界旅行中に、あなた達の最大の恩人である俺は静かに死にます。
今までの俺への感謝は毎日欠かさないでくださいね。
「行ってくれるねオルケン君」
「……マスター」
よし、覚悟は決まった。
さぁ、死にに行こう。
特に力が強いわけでもなく、頭がいいわけでもない。
ケンカをすれば負けるし、勉強は平均並み。
しかし、運が圧倒的に良かった。
俺の豪運伝説は5歳の時から始まった。
母と森に遊びに来ていたときだった、なんとなく地面を掘った。
そしたらなんか金塊がめっちゃ出たのだ。
母はその金塊を見て聞いた事のない歓喜の悲鳴を上げた。
その声がうるさかった事だけは覚えている。
そこから先は、金塊を掘るだけ掘って売り捌きお金に代えてうちが裕福になった。
そのお金で質の良い学校に行ったが、特に勉学の才能があったわけではないので成績は微妙だった。
それでもなんとかなく学校に通っていたら、道中に老人が倒れていた事があり、その人を助けたところ有名な魔女だったらしく、お礼になんか強そうな杖を貰ったりもした。
それ以外にも、王族助けたり、ドラゴンをたまたま倒したりした。
そのお陰で15歳になった今日、俺は貴族でないが冒険者として国営ギルドに入ることを許された。
「今日から冒険者かぁ……やる気でねぇな」
別になりたかったわけじゃないものになる。
職業としては悪くはない固定給プラスモンスター討伐の報酬。
固定給も高額でぶっちゃけモンスター討伐なんてしなくても生きてはいける。
それでもそんな良質な職であったとしても、なりたいものではないとしっくりこない。
これは奢りなのかな……なんとも社会は厳しいな。
「おいオルケン、お前弱いくせに冒険者なんてすぐ死ぬぜ」
「……ジョンか」
言い忘れていたが俺の名前はオルクス・マッケン。
あだ名はオルケン。
そしてこいつはボンボン貴族のジョン。
ファミリーネームは知らん。
「お前、運だけはいいもんな、ドラゴンだってたまたま落ちた雷で死んだって聞いたぞ」
「……ジョン」
その通り過ぎてなにも言い返せなかった。
そう、ドラゴンを倒したのもたまたま剣を空にかざしたら雷が落ちてきて、それで倒せただけでそれを見た多くの人たちが神の加護だの、雷神だの囃し立てたせいで、ドライブスレイヤーオルケンなんて呼ばれている。
しかし、真実はジョンの言う通りである。
おそらく本人は俺を馬鹿にするために半ばでっち上げのつもりで話したのだろう。
なんとそれが正解。
もしかして世も末なのかもしれない。
「まぁいいさ、オルケン俺はちゃんとダンジョン行って有名冒険者になるぜ、お前とは違ってな」
「……ジョン」
頑張れ。
正直、俺は働く気がまったくない。
おそらく煽っているのだろう。
ぶっちゃけ僕を煽ったって、ついていかないぞ。
俺の初期ステータスはレベル1のザコ。
対してジョンは初期ステータスレベル15の天才だ。
スタートラインの時点でもう違う。
レベル10上げるのに約一年かかるらしく、俺はすでにジョンと一年の間がある。
もうね、煽るとかやめな。
君は間違いなく逸材なんだからザコの俺は無視しなさい。
「じゃあなザコオルケン、俺は行くからなー」
「……ジョン」
じゃあな、達者でな。
俺はジョンの無事を祈り黙って彼を見送った。
さて、家に帰ろう。
一応、一人暮らし用に部屋を借りたしそこでほのぼの不労者ライフを送っていこう。
「あ、オルケン君、ちょっといいかな?」
「……マスター」
俺に話しかけきたのはギルドマスターのエルドリアさんだ。
この人は一応俺の上司にあたる。
ここで無視するのは今後の不労者ライフに支障が出る。
ここは話を聞くだけ聞くか。
まぁ聞くだけ聞いて帰るけど。
「あのねオルケンくん、うちのギルドの決まりでね君にはダンジョンに行ってもらいます」
「……マスター」
マジか。
俺、近々死ぬんだぁ。
ひょんなことから自殺しろと言われてしまった
この人はおそらく鬼の子なのだろう。
俺のステータスだって知ってるはずだ。
だったら俺にそんなこと言うはずがない、最低でもレベル5スタートなのにレベル1、もはや奇跡の数字である。
拝啓母さん、父さん。
俺の掘り当てた金塊で世界旅行中に、あなた達の最大の恩人である俺は静かに死にます。
今までの俺への感謝は毎日欠かさないでくださいね。
「行ってくれるねオルケン君」
「……マスター」
よし、覚悟は決まった。
さぁ、死にに行こう。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~
つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。
このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。
しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。
地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。
今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
何者でもない僕は異世界で冒険者をはじめる
月風レイ
ファンタジー
あらゆることを人より器用にこなす事ができても、何の長所にもなくただ日々を過ごす自分。
周りの友人は世界を羽ばたくスターになるのにも関わらず、自分はただのサラリーマン。
そんな平凡で退屈な日々に、革命が起こる。
それは突如現れた一枚の手紙だった。
その手紙の内容には、『異世界に行きますか?』と書かれていた。
どうせ、誰かの悪ふざけだろうと思い、適当に異世界にでもいけたら良いもんだよと、考えたところ。
突如、異世界の大草原に召喚される。
元の世界にも戻れ、無限の魔力と絶対不死身な体を手に入れた冒険が今始まる。
2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる