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サタン@異世界編PART2

襲い来る信者の群れからの生還

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俺は背中に白鳥を背負いながら、なんとか食堂から飛び出した。

「ルシフェル!こっちだ!」

ジョウチンは非常階段の方へ誘導する。

その間もゾンビのように食堂から信者が溢れ出してくる。

「ぺぺーーーーン!!!」

「ペーペーペペーーン!!」

「ペペンンンンンンンーー!!!」

ピッピンプンスカ教会が崇拝する神『ぺぺン』の名を洗脳された信者が次々と叫ぶ。


「ぺぺぺぺぺっぺぺぺーーー!!」


「いや、最後の奴言えてねーから!」

俺は思わずツッコむ。

「構ってる場合か!まだ気を抜くな!」

「サタン早く!」

ジョウチンとカトリーナに怒られてしまった。

非常階段に入ると、慌てて鍵を閉める。

「ふぅ~。危なかった……」

ジョウチンのツタから魔王の芽を受け取ると、俺は懐にしまいながらため息をついた。

「サタン!マジ最悪だよ!絶対エーギルにも気づかれちゃったじゃん!」

カトリーナが詰め寄る。

「いや、でも、コートが引っかかっちゃって……」


「だからコートなんて着てる奴いないって言ったんだよ!!」

「でも、これしか持ってな……」


「もう全裸でいろよ!!」


「いや、極端過ぎるだろ!」


「おい、痴話喧嘩はその辺にしとけ。まだ探してる奴が全員見つかった訳じゃねぇだろ」

ジョウチンがたしなめる。

「ち、痴話喧嘩とかじゃねーし!」

「?何で顔赤くなってんだ?」

ジョウチンは不思議そうに首を傾げる。


「う、うるさいな!●ねよ!」


「そんなに!?」


そして俺たちは一度安全な4Fに戻ることにした。


「そんで次はどうするか。まずこのおっさんを担ぎながら捜査すんの無理だしな」

俺たちはジョウチンが繋がれていた部屋で作戦会議をしていた。

ローエングリンの白鳥親父はまだ眠っている。

「うん。そうだね。おじさんはとりあえずここで待っててもらおうよ」

「わかった。逃げ出されても面倒だから、ツタで縛らせてもらうぜ」

ジョウチンはおっさんの体に能力でツタを巻きつけた。

そのツタからはいくつも花が咲き、頭に巻き付いたことで白鳥部分に赤い花が添えられた。

「あ!かわいい!」

白鳥と花のコラボでカトリーナが普通の少女のような声を上げる。

「……かわいいか?」

俺はその美的センスに軽く疑問を呈しておいた。

「だが、食堂に探し人の夫妻はいなかったよな。夫はいたかもしれねぇが、ヒントがあれじゃあ、先に妻の方を見つけないと難しそうだ」

ジョウチンはヤンキー座りで考え込んだ。

「そうだね!マリアさんは布教側って言ってたから、もしかしたら本部にいるかも?」

「うーん。そうなると明らかにヤバそうなエリアだな。俺とカトリーナは動画で顔バレしてるし、ジョウチンも脱走してるしな」

するとジョウチンが首を傾げた。

「動画で顔バレって?」

「それはあたしたちが"カトサタンおんえあ"っていうプーチューパーだからだよ!」

「プーチューパー?」

「そう!サタンがギガントモンスターとか海賊デューとかと戦ってる様子をライブ配信してるんだ」

「完全にこのガキに金ヅルにされてんじゃねーか」

「ち、ちがうよ!サタンも楽しんでやってくれてるんだ!」

「あ、ああ。まあな」

俺は以前のカトリーナのキレっぷりを思い出し、協力的な姿勢を見せた。

「マジかよ。お前実は表に出たいタイプの"化け物"だったんだな」

「いや、そこは普通に"人間"でいいだろ。なんだ"表に出たいタイプの化け物"って」

「じゃあ一旦メイジーたちと合流する?6Fに偵察に行くなら顔の割れてないメイジーかクロエに行ってもらった方が良いかも」

「まぁ、迷っちゃったフリすれば大丈夫か」

「決まったみたいだな」

「じゃあ、メイジーたちを探そう!さっき別れる時、あたしは食堂に行くって言ったから、多分2Fの大聖堂にいると思う!」

「おけい」


俺たちは再び非常階段へ向かった。
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