95 / 146
サタン@現実世界/カイ・グランデ編
眷属印と制約
しおりを挟む
ーーーグニュン。
殺意のまま引き金を引くと、指先に樹脂がくっついているかのようなグニャリとした感覚があった。
「……あ?」
そして次の瞬間、体中に電流が走るような衝撃が走った。
ーーーーービリビリビリ!
「がっ……!!?」
ーーーなぜか、変な感覚があり、引き金が引けない。
2度、3度、引いてみるも、電流が流れるような感覚で全身に激痛が走る。
「ぐ………!」
ペイジも目をつぶっていつ撃たれるか恐怖していたが、俺に何が起こっているのかわからず、半目で様子を伺う。
さらにもう一度指に力を込めると、やはり同じく電撃が走った。
「ぐあぁっ!!!」
「………!?」
さすがにペイジにも何かの異変を勘付かれたようだ。
(まさか、これって……!?)
その瞬間、俺はあの吸血鬼が言っていたことを思い出した。
あの気持ち悪い感覚の"眷属印"と"制約"のことだ。
「うん。その制約はね……。『銃で人を撃たないこと』」
あの時、吸血鬼はそう言っていた。
もしそれが本当だとすれば、この銃を撃つことはできない。
しかも、それがバレてしまったら、この状況がひっくり返ってしまう可能性もある。
俺は顔に焦りを出してしまった。
その表情をペイジは見逃さなかった。
「ク、ククク!まさか撃てないのか!?その銃、不良品だったか!?」
「………っ!」
「図星かァ!?」
「……そこまで言うなら試してみるか?」
俺はあくまで冷静を装って、ペイジに問いかけ、口に銃先を突っ込んだ。
「がぼっ……!ばべろ……!!」
おもちゃのゴム鉄砲ですら向けられると怖いもの。
いくら撃てない可能性があったとしても、この状況ではペイジの恐怖が勝ったようだ。
「●ねや……」
「ひっ……」
改めて、ペイジと目を合わせた。
と、その瞬間、耳を切り裂くような声が響いた。
「ダメーーーーー!!!!!」
振り向いた先にいたのは、涙をボロボロ流した、オリヴィアだった。
頭からは血が流れ、顔に垂れてきている。
「オ、オリヴィア……」
俺はその光景に目を奪われた。
「それをしたら、あなたは殺人者になってしまいます!!」
「だが……!こいつをやらねぇと……!」
またペイジに向き直る。
「ダメーーーーー!!!!!」
「耳、痛った!!」
「ダメーーーーー!!!!!」
「う、うるせーよ!」
思わずツッコんでしまったが、改めてペイジに向き直る。
その時見た顔は、とても嫌な笑顔だった。
それと同時に、俺は右腹に急な熱を感じる。
そして、ゆっくりと自分の腹に視線を落とす。
ーーーそこには、果物ナイフが刺さっていた。
ーーー油断した。
もう一度、引き金を引く。
が、ムダだった。
「ぐ、ぐぁあああぁぁぁ!!」
刺された腹と電撃のダブルダメージ。
俺は思わずのけ反ってしまった。
その瞬間、銃が口から離れたペイジが俺を蹴り上げる。
そして、俺から散弾銃を奪おうとする。
「これをよこせ!!」
「ぐ………!!」
俺は必死に銃を掴み、絶対に離さないようにした。
「この野郎!!オラァ!!」
その反抗に、ペイジは俺の脇腹に刺さったナイフをさらに奥へ蹴り入れた。
「ぐぁあああああ!!!」
「カイ様ーーー!!!」
あまりの痛みに、ついに銃を離してしまった。
オリヴィアの叫びが響く。
「……ふん。ビビらせやがって……!ザコが!!」
ペイジはそう言うと、散弾銃を階下へ放り投げた。
「きっちりお礼させて頂こうか……!カイさんよォ!!」
ペイジがものすごい形相で俺に近づいてくる。
ーーー差し迫る死。
「いやぁぁ!!カイ様ーーーーー!!!」
その様子をオリヴィアは涙を流しながら見ていた。
殺意のまま引き金を引くと、指先に樹脂がくっついているかのようなグニャリとした感覚があった。
「……あ?」
そして次の瞬間、体中に電流が走るような衝撃が走った。
ーーーーービリビリビリ!
「がっ……!!?」
ーーーなぜか、変な感覚があり、引き金が引けない。
2度、3度、引いてみるも、電流が流れるような感覚で全身に激痛が走る。
「ぐ………!」
ペイジも目をつぶっていつ撃たれるか恐怖していたが、俺に何が起こっているのかわからず、半目で様子を伺う。
さらにもう一度指に力を込めると、やはり同じく電撃が走った。
「ぐあぁっ!!!」
「………!?」
さすがにペイジにも何かの異変を勘付かれたようだ。
(まさか、これって……!?)
その瞬間、俺はあの吸血鬼が言っていたことを思い出した。
あの気持ち悪い感覚の"眷属印"と"制約"のことだ。
「うん。その制約はね……。『銃で人を撃たないこと』」
あの時、吸血鬼はそう言っていた。
もしそれが本当だとすれば、この銃を撃つことはできない。
しかも、それがバレてしまったら、この状況がひっくり返ってしまう可能性もある。
俺は顔に焦りを出してしまった。
その表情をペイジは見逃さなかった。
「ク、ククク!まさか撃てないのか!?その銃、不良品だったか!?」
「………っ!」
「図星かァ!?」
「……そこまで言うなら試してみるか?」
俺はあくまで冷静を装って、ペイジに問いかけ、口に銃先を突っ込んだ。
「がぼっ……!ばべろ……!!」
おもちゃのゴム鉄砲ですら向けられると怖いもの。
いくら撃てない可能性があったとしても、この状況ではペイジの恐怖が勝ったようだ。
「●ねや……」
「ひっ……」
改めて、ペイジと目を合わせた。
と、その瞬間、耳を切り裂くような声が響いた。
「ダメーーーーー!!!!!」
振り向いた先にいたのは、涙をボロボロ流した、オリヴィアだった。
頭からは血が流れ、顔に垂れてきている。
「オ、オリヴィア……」
俺はその光景に目を奪われた。
「それをしたら、あなたは殺人者になってしまいます!!」
「だが……!こいつをやらねぇと……!」
またペイジに向き直る。
「ダメーーーーー!!!!!」
「耳、痛った!!」
「ダメーーーーー!!!!!」
「う、うるせーよ!」
思わずツッコんでしまったが、改めてペイジに向き直る。
その時見た顔は、とても嫌な笑顔だった。
それと同時に、俺は右腹に急な熱を感じる。
そして、ゆっくりと自分の腹に視線を落とす。
ーーーそこには、果物ナイフが刺さっていた。
ーーー油断した。
もう一度、引き金を引く。
が、ムダだった。
「ぐ、ぐぁあああぁぁぁ!!」
刺された腹と電撃のダブルダメージ。
俺は思わずのけ反ってしまった。
その瞬間、銃が口から離れたペイジが俺を蹴り上げる。
そして、俺から散弾銃を奪おうとする。
「これをよこせ!!」
「ぐ………!!」
俺は必死に銃を掴み、絶対に離さないようにした。
「この野郎!!オラァ!!」
その反抗に、ペイジは俺の脇腹に刺さったナイフをさらに奥へ蹴り入れた。
「ぐぁあああああ!!!」
「カイ様ーーー!!!」
あまりの痛みに、ついに銃を離してしまった。
オリヴィアの叫びが響く。
「……ふん。ビビらせやがって……!ザコが!!」
ペイジはそう言うと、散弾銃を階下へ放り投げた。
「きっちりお礼させて頂こうか……!カイさんよォ!!」
ペイジがものすごい形相で俺に近づいてくる。
ーーー差し迫る死。
「いやぁぁ!!カイ様ーーーーー!!!」
その様子をオリヴィアは涙を流しながら見ていた。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない
AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。
かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。
俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。
*書籍化に際してタイトルを変更いたしました!
旦那様、私は全てを知っているのですよ?
やぎや
恋愛
私の愛しい旦那様が、一緒にお茶をしようと誘ってくださいました。
普段食事も一緒にしないような仲ですのに、珍しいこと。
私はそれに応じました。
テラスへと行き、旦那様が引いてくださった椅子に座って、ティーセットを誰かが持ってきてくれるのを待ちました。
旦那がお話しするのは、日常のたわいもないこと。
………でも、旦那様? 脂汗をかいていましてよ……?
それに、可笑しな表情をしていらっしゃるわ。
私は侍女がティーセットを運んできた時、なぜ旦那様が可笑しな様子なのか、全てに気がつきました。
その侍女は、私が嫁入りする際についてきてもらった侍女。
ーーー旦那様と恋仲だと、噂されている、私の専属侍女。
旦那様はいつも菓子に手を付けませんので、大方私の好きな甘い菓子に毒でも入ってあるのでしょう。
…………それほどまでに、この子に入れ込んでいるのね。
馬鹿な旦那様。
でも、もう、いいわ……。
私は旦那様を愛しているから、騙されてあげる。
そうして私は菓子を口に入れた。
R15は保険です。
小説家になろう様にも投稿しております。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる