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サタン@異世界編PART1

父親を探す少年と交わした"約束"

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「皆さんどうも、こんにちは!『カトサタンおんえあ』のカトちゃんと」

「誰か俺を殺しておくれよーー!!不死身のサタちゃんと~~?」

素人の少年に対して無茶ブリ過ぎる動画の入りを強要し、ニヤニヤしながらトスする。


「バンバン!ハロープーチュープ。どうも!!ローエングリンです!」


「挨拶あるんかい!」

「しかも名前カッコよすぎだろ」

敬礼のようなポーズをキメてカッコつける少年に思わずツッコむ。

「おい!お前、さっき動画に出ると個人情報がどうのとか抜かしてたよな。なにさりげなく入りの挨拶キメてんだよ」

「い、いや、動画クリエイターになったらこの挨拶やりたいと思ってて……」

「そこまで考えてるなら個人情報とかガタガタ言ってんじゃねーよ!!」

ローエングリンは舌を出しておどけてみせた。

「はい、カトちゃん。進行進行」

「あ、そうだった!……はい!ということで、今回は『ピッピンプンスカ教会の闇を暴いてみた!』の企画で新しい情報が入ったので緊急で動画を回してます」

「新展開ありましたね~」

俺はいつも通り適当に相槌を打つ。

「それがなんと、彼、ローエングリン君のお父さんが、ある日おかしくなって、ピッピンプンスカ教会に向かった、という情報です。それについて語ってもらえるかな?」

カトリーナはポーポー公爵を向けると、ローエングリンは語り出した。

父親がおかしくなった原因の怪物ウニの話、その後狂ったように『ぺぺン』としか言わなくなったこと。

そして何も言わずに教会へ向かったこと。

さらに今飲食店で信者らしき怪物ウニ中毒者に襲われたこと。

全て動画に向けて語ってくれた。

「……ということなのです。だから、我々はピッピンプンスカ教会への疑念をより強めました。そして、数日後には今回のことも含め、教会へインタビューしようと思っています」

「色々聞いてみたいですね~」

「そして、彼のお父さんもついで……いや、しっかり探し出して、彼の元に帰るよう説得したいと思います」

「帰らせましょう」

「では、また続報があり次第、お届けしたいと思います!それでは皆さん、行きますよ~?」

カトリーナと俺、ローエングリンもほっぺを膨らませて怒った表情になる。

「最初はプンプン!じゃんけんポイッ!」

ポーポー公爵に向けてチョキを出して固まる3人。



「バァーイ」



「「いや、お前が締めるんかい!」」

俺とカトリーナはローエングリンに思いっきりツッコんだ。



その後、俺たちはピッピンプンスカ教会のあるペペロニアへ向かうべく、場所に乗り込んでいた。

「サ、サタンさん!父ちゃんをよろしくね!お、俺、待ってるから!」

ローエングリンが馬車の横からこちらに叫ぶ。

「ま、約束はできんが善処する」

俺はぶっきらぼうに答えると、ローエングリンは涙目で俯いた。

まだ10歳そこそこの少年が、唯一の肉親である父親に家出されたのだ。

不安でないはずがなかった。

それを明るく振る舞ってひた隠していたのだろうか。

今の少年の肩はとても弱々しく見えた。

「サタン」

「ちっ。わかったよ。……ローエングリン。必ず親父は連れ帰ってやる。約束だ。だからメソメソすんな」

「う、うん!!」

ローエングリンは涙を拭いながら俺たちに笑顔を見せた。

そして馬車は動き出す。

「じゃあな」

「ローエングリン!またね!」

「ごきげんよう」

「またな。少年」

それぞれが馬車から顔を出して挨拶する。

それに対して、ローエングリンも大きな声で挨拶してくれた。



「バァーイ」



「もうええわ」

ピッピンプンスカ教会の闇を暴くべく、俺たちはペペロニアへ向かった。
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